広瀬香美のNコン課題曲レッスンに見る児童合唱とコンクールのジレンマ
「音楽を楽しむ」ってどういうこと❓
昭和62年の小学校の部終了後に、審査員の間で子どもらしさについて議論になったことがあります。
子どもらしい発声であるべきだ❗
そういう枠は限定しにくい💧
子どもの発達段階にあった選曲を❗
あらゆる可能性を引き出すべきだ❗
広瀬香美の課題曲レッスン
成城初等学校といえば、2012年に日本一にもなった小学校。
広瀬さんが登場したときの「緑の虎」はどこか自信なさげ。緊張もあったのかもしれません。
すると広瀬さんが音楽の楽しみ方について少しアドバイスすると見違えるように変化します。
特に「ドラドラマドラ❗トラマジラ❗」の部分は、初演時から気になっていた部分で、どこの演奏を聴いてもしっくりきませんでしたが、アドバイスを受けた子どもたちの「ドラドラマドラ❗トラマジラ❗」は、「これだ」と目からウロコでした。
おそらく、作詞の廣嶋さんもこのイメージだったんじゃないかなという気がします。
コンクールでの難しさ
とはいえ、コンクールとなると話は別。
ここが難しいところで、「楽しい」「子どもらしい」だけでは次に進めないというジレンマがあります。
先ほど紹介した昭和62年の議論では、こんな声も審査員から出ました。
自分の曲を、正確な音程と表現で歌ってくれる演奏と、子どもらしくめいっぱいに歌ってくれる演奏、どちらを評価すべきなのか私にはわからない。
まさにこのジレンマです。今回の広瀬さんのレッスン動画を見ても同じことを思いました。
きっとこれは永遠のテーマで、だからこそ審査員が複数用意され、演奏の出来だけでなく「どんな音楽活動を行えば、将来も音楽を続けてくれるのか❓」という思いが加わり、その年の審査員の総意によって賞の色が決まるのだと思います。
コンクールでの演奏、何がベストなのか❓
2014年のNコン小学校の部ではこんな審査講評がなされました。
この年の講評はコンクールにおける「子どもらしさ」について腑に落ちる講評でした。
- 審査側の「子どもらしさ」への希望的観測と、参加側の向上心・探究心とのすれ違いがある。
- 難曲に挑んだ学校に「見事」と感嘆する審査員もいれば、「なぜこんな難曲を歌わせるのか」と批判する審査員もいる。
- 「素直だけでは全国までコマを進めない」と諭す審査員もいれば、「課題曲で不自然な工夫が多すぎて残念だ」という審査員もおり、「工夫で他校を退けてこの場にいる」という審査員もいる有り様だった。
- 子どもらしさを失わずに、最大限の力を発揮した金賞校はある意味、「中道をゆく演奏」とも言えなくない。
やはり審査員の間では今も意見が割れてしまうのが児童合唱。
「子どもらしさを失わずに、最大限の力を発揮する」というのがどの審査員からも良い評価を得るポイントなのかなという気がします。
【Nコン90】ヒゲダン版の「Chessboard」を聴いて感じたこと
ヒゲダン版「Chessboard」が公開
今年の中学校の部の課題曲はOfficial髭男dismの「Chessboard」。
難しいのでは❓という一部声もあるようですが、中学生たちが「歌ってみたい」と思える90回記念にふさわしい課題曲になったのではないでしょうか。
合唱部員以外にも訴求力のある課題曲だと思います。
ところで先日、ヒゲダン版の「Chessboard」が「みんなのうた」となり、フルバージョンのMVが公開ともなりました。
そこでいくつか気づいたこと、感じたことがあったので書き留めておきたいと思います。
※「みんなのうた」版もNHKがYouTubeにアップしていますが、埋め込み不可のため載せません。
▲Official髭男dism版の「Chessboard」
カット部分があった
結構、ばっさりとカットがあったんですね。
それもこの曲の主題の半分くらい占めてそうな部分がごっそり。
ゲームは続いてくこのフィールドで今度はどんな事が待ち受けているのだろう❓
一歩づつ大切に種を蒔きながら…
大きな歩幅で
ひとっ飛びのナイトやクイーン
みたいになれる日ばかりじゃない
からこそ躓いた 進めずに引き返した
そんな日にも芽生えてる
あなたの足元から 足跡から
繰り返しも迷いも後悔も旅立ちも全て
(「Chessboard」のカット部分 ※歌詞は字幕のまま)
Nコンの課題曲は5分以内に収めようとしているようなので、リリーフランキーさん作詞の課題曲「君が君に歌う歌」のときはフルバージョンと短縮版を用意するという混乱が起きたくらいです。
なので、このカットは苦渋のものだったとは思いますが、もったいないですね。
課題曲を歌う中学生はぜひフルバージョンも聴いておくべきだと思います。
歌詞の理解がより深まるはずです。
フルバージョンの合唱版も聴いてみたいです。
「美しい緑色…」の部分
この部分、バックコーラスになっていましたね。
エールのように聞こえる印象的な部分です。
合唱版でもこの感じ出せないですかね、楽譜の許す範囲で。
「主人公が語りかける部分」と、「みんなでエールを送る部分」。
本来であれば手を大きく挙げて横揺れしながら歌ってもいいくらい壮大な感じがします。
全国コンクールに登場できるのか❓
ということで、地区コンクールも始まり、ブロックコンクールも近づいています。
全国コンクールではヒゲダンは登場してくれるんでしょうか❓
声帯ポリープで休養中のようなので、難しいかもしれませんが、全国コンクールのステージで披露してもらえたら感動的な90回記念のスペシャルステージになると思います。
そして、全国の参加校の皆さん、暑い日が続きますが無理せず頑張ってください。
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【Nコン2023中】大阪府コンクール 中学校の部予選B 自由曲一覧
大阪府コンクールの自由曲情報を
Nコンon the Webの掲載がブロック以上となったため、地区コンクールの自由曲情報を知る手段がなくなってしまうので、できるだけ情報を残しておこうと、大阪府コンクールのプログラムだけ手に入ったので、掲載しておきます。
中学校の部予選Bです。英田・桜台・野村・岸城は無指揮だったそうです。
地区コンからNHK大阪ホールで歌えるのは、大阪の学校の特権です。
Nコン2023 中学校の部予選B大阪府コンクール自由曲一覧
審査員
清原 浩斗(合唱指揮者)、日下部 祐子(声楽家)、納多 正明(声楽家)、矢田 正一(合唱指揮者)、山口 英樹(合唱指揮者)
出場校
※ 🥇 は本選出場校
(1) 東大阪市立 英田中学校(混声)
「明日へ」
作詞・作曲:富岡 博志
(2) 🥇 岸和田市立 桜台中学校(女声)
女声合唱のための 「信長貴富アカペラ・コーラス・セレクション」から
「それじゃ」
作詞:木島 始、作曲:信長 貴富
(3) 茨木市立 西陵中学校(女声)
女声合唱のための 「三つの詩」から
「のすたるじや」
作詞:林 望、作曲:上田 真樹
(4) 高石市立 高石中学校(女声)
木下牧子女声合唱曲選ア・カペラ篇から
「夢みたものは…」(改訂版)
作詞:立原 道造、作曲:木下 牧子
(5) 🥇 大阪市立 大淀中学校(女声)
女声合唱とピアノのための「たましいのスケジュール」 から
「たましいのスケジュール」
作詞:覚 和歌子、作曲:横山 潤子
(6) 堺市立 大浜中学校(女声)
女声合唱とピアノのための組曲「桜の花びらのように」から
「レモンイエローの夏」
作詞:みなづき みのり、作曲:田中 達也
(7) 岸和田市立 野村中学校(混声)
混声合唱のための 「木下牧子アカペラ・コーラス・セレクション」から
「ロマンチストの豚」
作詞:やなせ たかし、作曲:木下 牧子
(8) 豊中市立 第十一中学校(女声)
女声合唱組曲 「今日もひとつ」から
「今日もひとつ」
作詞:星野 富弘、作曲:なかにし あかね
(9) 🥇 堺市立 浜寺南中学校(混声)
「一詩人の最後の歌」
作詞:H.C.アンデルセン、訳詩:山室 静、作曲:松下 耕
(10) 🥇 大阪市立 野田中学校(混声)
混声合唱とピアノのための「二つの巨いなる情景」から
「昨日よりも優しくなりたい」
作詞:和合 亮一、作曲:信長 貴富
(11) 🥇 岸和田市立 久米田中学校(女声)
「いまの「いま」」
作詞:工藤 直子、作曲:三宅 悠太
(12) 🥇 吹田市立 第一中学校(混声)
「ヒカリ」
作詞:瀬戸 沙織、作曲:松下 耕
(13) 岸和田市立岸城中学校(女声)
女声合唱とピアノのための 「初心のうた」から
「初心のうた」
作詞:木島 始、作曲:信長 貴富
(14) 🥇 大阪市立 夕陽丘中学校(混声)
混声合唱とピアノのための「いのちへのオマージュ」から
「いきる」
作詞:工藤 直子、作曲:三宅 悠太
(15) 和泉市立 光明台中学校(女声)
無伴奏女声合唱曲集 「種子はさへづる」から
「種子はさへづる」
作詞:山村 暮鳥、作曲:信長 貴富
(16) 🥇 大阪市立 文の里中学校(女声)
「帰郷 ― 女声合唱とピアノのための ―」
作詞:谷川 俊太郎、作曲:三宅 悠太
(17) 和泉市立 郷荘中学校(女声)
木下牧子女声合唱曲選ア・カペラ篇から
「鷗」
作詞:三好 達治、作曲:木下 牧子
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