01124
キャンドルの、灯りをさ、何か話すたびに一緒に、点けていかない?
すっかり暗くなったから、灯りでも、灯そうか。君の心にも、僕の心にも、明るくて暖かい、灯りを。
今夜は、静かに、君と一緒に過ごす予定。でもさ、ほら、予定なんか、あってないようなものだから、どんな風に過ごすかなんて、一緒に居てみないとわからないよね。もしかしたら、大騒ぎしちゃうかもしれないし、さ。君がどんな風に過ごしたいって、今の僕にはわからないし、きっと僕がどんな風に過ごしたいかってのも、君には到底知った事じゃないのだから。忘年会、どうしようか。なんて友人からの連絡が入ったっけ、つい1時間ほど前に。ああ、どうしようかね。なんて相槌を打ったけれど、本当にどうしようか、なんて僕はごめん、考えていなかったよ。だって今夜は愛しい人と過ごすんだし、忘年会なんか、まだまだ先なんだ。そんな先の事なんか考えていられないんだ。なんては、言えなかったけれど、友人は、また連絡するよ。と、言ってたな。去年の忘年会は恵比寿だったっけ。ビールを、飲んだ、沢山飲んで、僕は恵比寿駅のホームで歌を歌ったっけ。アカペラで、歌ったら一緒にいた友人も、一緒に歌い出しちゃってさ、知らないお姉さんや、酔っ払ってるサラリーマンとかも一緒になって、歌ったんだっけ。あれ、何の曲だったかな。あれ、何の曲だったっけ。思い出すには、時間がかかりそうだから、友人から電話がかかってきたら、聞いておこう。とりとめなく、何の繋がりもない話を、こうやって淡々と話しているんだけど、ねぇ、僕の話、つまらなくないかい。たまにね、もう、わけのわからない頭に浮かんだ事を、話したくなったんだ。まだまだ続きそうなんだけど、イッタン、珈琲でも、入れてくるよ。
君も良かったら、何か、暖かいモノ、持っておいでよ。一緒に、キャンドルに灯りを灯しながらさ、
とりとめない話をしよう。Never Ending Story を、一緒に。僕らの、Never Ending Story を、さ。
01123
それ、一個、頂戴。
と、思わず手を出して、声かけたのは僕です。水曜日の朝の満員電車で、隣に座った女子高校生が食べようとしている葡萄味のキャンディー。匂いで、わかったんだ、葡萄味だって、葡萄味のキャンディー、食べたくなっちゃう位に、甘い、甘い匂いが漂ったんだ。
どうぞ、と、おっかなびっくりの顔をしたその子は、笑ったらきっと可愛いだろうなって、そう想って、思わず僕は、自分のポケットからみかん味のキャンディーを、彼女の手に渡した。すると、彼女は、物々交換ですね。と、笑顔で言って渋谷で降りていった。ありがとう。と、僕は手をあげて、押し出される彼女を見送った。小さく、彼女は頷いて電車から押し出されたら、扉が閉まったんだ。その、キャンディーが、今ここに。僕の口の中に入ろうとしている。きっと、今授業中であろう彼女も、みかん味のキャンディーを今、食べようとしているんじゃないかなって、そう想うんだ。サンタクロースじゃないけれど、素敵なプレゼント。僕にも、彼女にも、たった、一粒のキャンディーで、こんなに幸せな気持ちになったんだ。
空は、こんなに青いのに、風は物凄く冷たいけれど、僕は、今日も、元気です。


