摂津国の天神めぐり⑦ ~露天神~ | NAVI彦 ~つつがなき神さまめぐり~

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神社めぐりをしています。
その土地ならではのお話も、
さくっとまとめてます。

大阪・梅田(うめだ)の
曾根崎(そねざき)にある

露天神社

(つゆのてんじんしゃ)
です。

 

曾根崎・梅田地域の

総鎮守(そうちんじゅ)

だといいます。


あたり一帯は、かつて
曾根崎新地ともいわれた
歓楽街であり

いまでも、きらびやかな
店舗がならんでいます。

 


江戸時代には

近松門左衛門
(ちかまつもんざえもん)

の人形浄瑠璃(にんぎょうじょうるり)・

曾根崎心中
(そねざきしんじゅう)

の舞台となった地だそうです。
 

露天神の境内で
実際に起きた心中事件を
もとに書かれたといいます。



ヒロインの遊女を
「お初(はつ)」
といったことから

お初天神(はつてんじん)
ともいうようですね。
 

裏手には

お初天神通り商店街

もつづいています。




「露天神」の由来は、

平安時代の貴族官僚・
菅原道真(すがわらのみちざね)

が、政争にやぶれて
大宰府(だざいふ・福岡県)
に左遷されるさい

この地をおとずれて


露(つゆ)と散る

涙に袖は朽ちにけり
都のことを思い出ずれば


と詠んだことによるといいます。



しかし、これはのちの
天神(てんじん)信仰
によるともいい

もともとは、清水が湧く
『露ノ井(つゆのい)』
からきているといいます。

 



浪速七名井のひとつ
ともいわれたらしく

「梅雨(つゆ)」になると
清水が湧きあふれたとか


「梅雨」の時期に
例祭を行っていたのが

「露(つゆ)」
の由来だそうです。

 



道真公は、この
露(つゆ)の井戸と

みずからの
尽ゆ(つゆ)る人生を
かけあわせて

井戸の水のように
あふれる涙を詠んだ

のでしょうか?

どうやら、ここにはもともと
井戸ともに祀られる神社があり

道真公はその神社を
訪れたようです。



露天神のシャッターには
1000年前の古代地図が
描かれているのですが

旧・淀川(よどがわ)
の河口部にあたる

中之島(なかのしま)
の一帯はかつて

このように、いくつもの
島がならんでいたといいます。

 



これらの島々を、
日本列島の島々にみたてて
八十島(やそしま)といい

天皇の即位儀礼のひとつ
八十嶋祭(やそしままつり)

がおこなわれていたそうです。



露天神のある小島も
八十嶋祭の旧跡であり

ここには

住吉須牟地曽根ノ神
(すみよしすむちそねのかみ)


が祀られていたといいます。

「住吉(すみよし)」
住吉(すみよし)大神
のことで


「須牟地(すむち)」
住む地(すむち)

「曽根(そね)」
神さまの名前だといいます。

住吉大神の御子である
曽根の神が祀られた

ということのようですね。

 



「曾根」という神名から
曾根洲といったようです。


やがて、海面がさがってゆくと
曾根洲は地続きとなって

岬のようになったことから

曾根崎(そねざき)
といったそうです。

 



大阪・
住吉(すみよし)大社

の周辺には

須牟地曽根(すむちそね)神社 
中臣須牟地(なかとみすむち)神社
神須牟地(かみすむち)神社


があるといいます。

 


住吉大神には

8人の御子がいた
といわれるらしく

須牟地神社では
御子を祀っていた

ともいわれるようです。
 

須牟地神(すむちかみ)から
住道神(すむちかみ)
ともいわれたらしく

摂津国(大阪)と
大和国(奈良)をむすぶ

古代の道・
磯歯津路(しはつみち)
にそって存在していたため

道行(みちゆき)の神とも
いわれるようです。

 


 

一説には、

酒の神様ともいわれ

 

諸外国からの

来賓客にふるまるための

酒を醸していたともいうようです。

 

また、住地曽根神は

曽根氏の祖神だといいます。



そんな、

曽根の神という
天神(あまつかみ)を祀り

露(つゆ)の井が
沸いていたことから

『露天神社』
といったのでしょう。

 



それがのちに、
天神地祇(てんじんちぎ)

の社とされて

少名彦大神(すくなひこな)
大己貴大神(おほなむち)


が祀られたのでしょうか?

この方々は、京都の
菅原道真の旧邸の向かいにある
 

五條天神宮(ごじょうてんしんぐう)

でも祀られるようです。

 

天津神を祀っていた

天神社(あまつかみやしろ)が

 

菅原道真をまつる

天神社(てんじんじゃ)となる

ことは多いようです。

 

露天神でも、

菅原道真が祀られたのは

江戸時代になってから

だといいます。

 


また、ご祭神に
天照皇大神(あまてらす)

豊受姫大神(とようけ)
祀られているのは、

露天神の近くにあったという
神明社(じんみょうしゃ)

によるようです。

 



平安時代初期に
嵯峨(さが)天皇の子・
源融(みなもとのとおる)

によって創建されたらしく

『大神宮の北野洲』
『神明の鼻』

といわれたようです。

また、社殿が

西を向いているから
『夕日の神明社』

とも称えられたようです。

 



大阪にはほかに

春日出には東向きの
「朝日の神明社」

鶴町には南向きの
「日中の神明社」

があり、
『大阪三神明』
称えられていたようです。

 

 

いまでも、露天神の

200メートル東には

 

夕日の神明社の

旧跡が残されています。

 

 

これは、

千年前の古地図にも
残っているようですね。

 

 

地図にはほかに

太融寺(たいゆうじ)も

みられますが、

 

菅原道真が左遷のさいに

参拝した寺院であり

 

露天神はその道すがらに

立ち寄ったようですね。

 

とはいえ、あえて

曽根洲に上陸するほど

惹かれるものがあったのでしょう。

 


ほかに、境内社には
水天宮・金刀比羅宮

があります。

 



これは近隣の
武家屋敷で祀られていた

福岡・久留米藩の
水天宮(すいてんぐう)と

四国の
丸亀藩・高松藩と渡った
金刀比羅宮(ことひらぐう)が

 

あわせ祀られているようです。

これらの本社にも
いずれ行ってみたいです!


ほかには、
開運稲荷がありました。

 



近隣にあった

4社のお稲荷さま

玉津大神
天信大神
融通大神
磯島大神

が合わせて

祀られているようです。

 



ところで、
ホツマツタヱでは

住吉大神こと
カナサキの子といえば

天照大神

妃のひとりとなった

ハヤアキツヒメ・アキコ
がいます。

このかたは、いまでは
祓戸(はらえど)大神として
 

大祓詞(おおはらえのことば)

にのこるようですね。

 

露之井でも

速開都比咩大神

として祀られていました。



ほかにも、

カナサキの御子には

ミヤツヒコや

 

安曇(あずみ)と

つながったかた

 

宗像(むなかた)と

つながったかたなど

 

数名いらっしゃったようです。

 

けれども、やはり

詳しくはよくわからないようです。

 

カナサキの御子のなかに

『ソネ』というかたがいて

 

淀川河口部をおさめていた

のでしょうか?爆  笑キラキラ

その方々の子孫が

曾根氏となった

のかもしれません。

 

 

曾根洲という

島にあった神社ですから

 

かつての境内は

とてもひろかったようですね。


心中事件が起きた

江戸時代でも


薄暗い森がひろがる
静かな境内だったといいます。

 

 

案内看板には

曾根崎心中物語の

ざっくりなあらましも

書いてありました。

 

 

いつの時代も

ドラマになるのは

愛と金のかけひき

なのでしょうか?

 

 

かなしい心中事件も

いまでは恋人の聖地

となっているようです。

 

境内の一角には

ブロンズ像までありました。

 

 

どうぞ、末永くお幸せに

と願うばかりです。

 

 

歴史の古い神社ですから

境内には、ほかにも

由緒のありそうな石灯篭や

 

 

磐座のような巨石も

ありました。

 

 

ほかにも、いろいろと

見どころがたくさんです。

 

手水にある丸石は、

水圧によって回転するという

難転石だといいます。

 

となりには、

道祖神もありますね。

 

 

不思議なかたちをした

木がさりげなく植えてあったり

 

 

盆栽に狸に蛙に

狐に天狗さまにと

とても賑やかな境内です。

 

 

曾根崎心中が

爆発的な人気をえたことで

 

この地は、いわゆる

「原作の聖地」となって

 

江戸時代には

おおくの参拝客で

にぎわったといいます。

 

 

そこへ、

明治時代になって

大阪駅ができたことで

 

梅田の街はいまのように

発展していったといいます。

 

 

露天神は、そんな

大阪・梅田の発展に

一役かっていたようです。

 

 

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摂津国の天神めぐり ~終~

 

 

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摂津国の天神めぐり② ~大阪天満宮 その1~
摂津国の天神めぐり③ ~大阪天満宮 その2~
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