ぴいなつの頭ん中 -14ページ目

ぴいなつの頭ん中

殻付き。そにっくなーすが言葉を地獄にかけてやる

隣人が死んだ。

なんの関わりもない人だった。

あのひとはその電車にたしかに乗っていて、逆方向にどんどんどんどん進んで行っていた。

ほんとうはそんなぎゅうぎゅう詰めにならなくてもよかったのに、

一つ隣の、スカスカの綺麗な座れる電車、

ゲロひとつない昼14時の

電気をつけなくてもやさしくひかりのはいってくる電車

あのひとはあれに乗るはずだった

口を開けたままチョコレートを食べ尽くしてしまったので外袋を投げつけてわたしは祈った。


この蔓がどこまでもどこまでもどこまでも、のびて、あの人に届きますよう。


蔓を伸ばすにはなるべくたくさんの言葉で繋がねばならなかった。それはお前たちが思うよりも穏やかでファンタジックな現象ではなかった。


閉店は近づいていた。


飾り立てる嫌味と自慢とブランドものは、心的外傷と名前をつけて仕舞えばなんだか綺麗なドキュメントになりますので、人殺しがやめられないとピチピチの白衣を着ながらにこにこ笑っているおんなのサンダルをも、わたしは犬のおしっこがとても似合うと思って間違いなく黄金の果汁をそこに垂らしてあげる。


文字は汚えからやめた。言葉のサラダに合うドレッシングはなにかなっていうことばは、ずっと前から誰か言っててごま油をじゃぶじゃぶかけてしまえばそれは外見だけ味わい深い香ばしさ。わかんなくていいよ。わかんないようにわかんないようにあのひとへの気持ちを隠しまくる汚えからやめたあの子の映像ゾクゾクするような激情、なあ18歳だった頃こんなにヒリヒリすることなんか知らんから一人でいつまでもオナニーしていたよ、それしかわたしのぐちゃぐちゃを誤魔化してくれる動きはないと思ってたから。寝たきりの母の横で見えないからって聞こえないからって繰り返すオナニー。巻き込んだことなんてないよ。母と娘ではこどもをつくれないからね。

せめて綺麗に歯磨きしたりからだをあらうことくらいは教えてあげて欲しかった。

生まれた時からあらったことない指は、もう匂いがぜんぜんとれなくて指をかざすたびに少年は勃起する。

からだのほとんどを

自由にできなくなったあなたに

最後に残った能力が

笑う力であってよかった

あなたの笑顔を見たくて

苦しんでいるあたしの

元気なあなたを見たくて

苦しんでいるあたしの

毎日削られていくこころが

少しだけ報われる

あなたの、

緊張に欠けた、

まろびおちるような笑顔を

あたしは祈るように

小さくゆれつづける指が冷えないように

しっかりと掴んで

あいしていることを示す


あなたのむつきをはかり

5分だけでもいなくなることを

想像する

世界のノイズをここに集めてどうしてこんなにもわたしは聞こえてくる、聞きたくない息遣いや翅のきしる音までもがあたしを責める

電車待ってるんけど駅でスイカバーをおいしそうに食べてるおじいちゃんがタネを律儀にすべて出している。


おじいちゃん満面の笑みでスイカバー頬張り頬張り、タネをとうめいな袋にピョイと吹いては、頬張り頬張り、にこにこ、ときどき頭痛そうにしている、


頬張り頬張り、ピョイピョイ、いたた、頬張り頬張り、ピョイピョイ、いたた、おじいちゃん楽しそうだ、初めてスイカバー食べたのだろーか


おじいちゃんは松崎しげるをミルクで7:3で割ったみたいな浅黒いしわしわの強そうな蟹顔をにんまりさせて、ピョイピョイやっている、


ホームの向かい側にいるわたしは、真正面から誰にも邪魔されずにその様子を見ていた、頑張れば、そのタネはチョコですよう!と言えたはずだ、しかしわたしは見ていた、このままいくと、皮の部分はどうするんだ、皮の部分はやわらかいから、アイスだとちゃんとわかるだろう、可食部だと、わかるだろう


いやしかし、おじいちゃんのビニールの中は溶けかけたチョコのタネたちがひしめいている、全部は見えないけど、それ後から「食べられますよ」と言われてもそうそう食べたくない代物に変わっていってしまうはずだ、早期発見早期治療、それがわたしのモットーだったはず、


きっとおじいちゃんは、スイカの種を食べると盲腸になるというまことしやかな迷信を今でも忠実に信じ守っているのだろう、やさしかった農家のご両親が教えてくれた、たくさんの処世術の中のひとつとして


だからおじいちゃんがわたしから何か言われたとしても、それに従うかどうかはわからない、初見の他人のコンプライアンスをはかれるほどわたしはベテランではない、だけど、ここで声をかけなかったら、あのチョコたちは、食べられるのにもかかわらず、無残にも破棄されてしまうのだ!


ーーーどんなに小さなチョコの命も、大切な命なのだ、スイカのタネの形をしているからと言って、その形になるまでの苦労を思えば、無残に誤解され捨てられるなんてことはあってはならない!ーーー



わたしは、届くかもわからないが精一杯の声をだし、「おじいさーん!!!!そのタネはチョコですよーーー!!!食べられるんですーー!!!」と叫んだ!罪深いほど低俗な内気さの子孫、シャイオブザシャイガールのわたくしにとっては、これは地軸を揺るがす大冒険なのだった‼︎‼︎


南無三!!!

不幸にもちょうど私たちの間を2つの電車が行き交った。電車たちは私たちの間を引き裂いただけでなく、わたしの必死の声をもかき消してしまったのである


おじいさーーーーん!!!!


わたしはおじいちゃんが向かいのホームで電車に乗り込むのをみた。わたしも反対側の電車に乗った。車窓越しにわたしはおじいちゃんと話そうと思った。恥も外聞もなかった。わたしがチョコを救えれば、おじいちゃんはチョコを美味しく食べることができるこの誤解は必ず解かねばならぬと思った。


おじいちゃんは運良くわたしの見えるところに乗っていた。しかし声は伝わらない。わたしはおじいちゃんの手にあるスイカバーを指差し、袋を指差し、つまんで食べるまねをし、頬に指を突き立てヤミーの合図をした。


おじいちゃんはわたしに気づいた。さっきのジェスチャーを何度も繰り返す。おじいちゃんは何かに気づいたようだった。おじいちゃんは笑っていた。わたしにyummyの合図をして、にっこりして、こちらに手を振った。手を振った拍子に、持っていたスイカバーの袋と、タネの入ったとうめいな袋が揺れた



片目だけじゃなきゃ見れない世界がある

寂しさを我慢してる背中に、おいで、と声をかける優しい風。

迷惑をかけられればかけられるほどポッケのお菓子が増えていく。



向かってくる人混みをみながら今までであったことのあるひとたちのかおを思い出していた


知ってる人を探してるのに知ってる人ひとりもいないから思い出から錬成して作り出してるみたいだった


あのひとの青春を思った


わたしの力ではどう叩いても壊せないのわかってて、でも壊した先にあるものを見たくて、でもその先に何もなかったらどうしたらいい?


ジュリアは汚いおじさんの話を真剣に聴いていた


イヤホンの中の叫びと、そとのひとの嬌声がシンクロする


取り残された島でもやっていけるよ

どうして隠しているかというと、わたしには、消せない刻印があるから。二の腕のところに、所属と名前が刺繍されているのだ


黄色い皮膚に縫い付けられた、紺色の刻印。

刻印としか言いようのない憎たらしい何か。

あかりが青っぽかったので、つい飛び出してしまったのだ。そして怨念を、拾う


自転車のハンドルが手放せないから、中指を立てることができない。ピースもできない。写真の中に自分じゃないみたいな自分がいて、笑顔に見える顔をやっている。


たくさんの人を傷つけたくさんの人を殺してきた自覚があるからこそ、好かれる詩は書けない、いいこなしもかけない。


わたしがゆっくり歩くのは世界が憎いからだ。


文鳥が生まれてから輸送されるシステム


①冷凍睡眠システム

光よりも早く進む。楽だけどさびしい。おかねかかる。先進的だけど導入していない地域も多い。


②人力フィーディングシステム

トラックの中で文鳥の餌付けを母鳥役の人が行う。古来からの方法。江戸時代は台車からフィーディングしていた。


③鳥が鳥運ぶシステム

大きめの鳥さんにおねがいする。

鳥さんは気まぐれだし報酬がえげつないので、あまりお願いする人は多くない。たまにインコとかにお願いして、散々寄り道されて後悔するパターンがある。おなかがすいてもあんまり食べさせてくれない。大道芸でお金を稼ぐ。