からだのほとんどを
自由にできなくなったあなたに
最後に残った能力が
笑う力であってよかった
あなたの笑顔を見たくて
苦しんでいるあたしの
元気なあなたを見たくて
苦しんでいるあたしの
毎日削られていくこころが
少しだけ報われる
あなたの、
緊張に欠けた、
まろびおちるような笑顔を
あたしは祈るように
小さくゆれつづける指が冷えないように
しっかりと掴んで
あいしていることを示す
あなたのむつきをはかり
5分だけでもいなくなることを
想像する
世界のノイズをここに集めてどうしてこんなにもわたしは聞こえてくる、聞きたくない息遣いや翅のきしる音までもがあたしを責める