今月は物理ネタの予定でしたが、諸般の事情で、私事雑感に変更した。

その前に雑事、なお記事の途中にも挿入。

スーパーで純米吟醸の越乃寒梅を見つけたので買ってきた。一緒に買った土佐造りローストビーフとレンジでチンした鴨南蛮そばを、吟醸酒を飲みながら一人で楽しむのも悪くない。煮物、酢の物、うどん等にもよく合う。シングルライフにも季節ごとに相応のメリットがあるものだ。


日銀は総裁が替わったが、相変わらず金融緩和策を続けている。

金融緩和策を続けて賃金が少しは上がっても、激烈な円安により可処分所得は目減り、一般庶民はますます財布のひもを締める。そのため日銀が切望する内需拡大など夢のまた夢。金融緩和策であり余った金は富裕層に流れ、株や不動産に投資されて、官製バブルが延々と続いている。その結果一般庶民のマイホーム購入が遠のくと共に、結果的に不動産以外に使えるお金が減り、内需拡大にさらに水をさす結果となった。つまり不動産バブルは庶民が稼いだ低賃金の金を富裕層に向けて流す機能も持つ。金融緩和策を源とする金は庶民の賃金と一緒になって富裕層の銀行口座に積み上がるだけで死に金となり何も生み出さない。まさに愚の骨頂だ。

不動産バブルは大都市圏だけで、地方の不動産価格は安いままだが、人口の大半が大都市圏に集中している現状を考えると、その効果は決して小さくない。

円安は物価上昇という具体的な数値に出るので明確だが、不動産バブルによる可処分所得の減少は数値に現れず判別しづらい。最悪の場合、不動産バブルが内需拡大に及ぼすマイナス効果は円安以上に大きいのではなかろうか。

つまり庶民にとって金融緩和策はタコが自分の足を喰っているのに等しい。それがアホウな日銀官僚にはまったく理解できない。

金融緩和策を続ける日銀はどこまで馬鹿なのだろう。経済の指標や統計の数値しか見ようとしないお役所仕事の官僚には呆れるばかり。

日本は官僚が国と一般庶民を滅ぼす典型的な国で、栄えるのは富裕層だけ。

そしてツギハギ対策だけで、諸悪の根源である金融緩和策(アベノミクス)を今でも堅持しているのが、他ならぬ自民党政権なのである。

結局、自民党は政党支援金を多く出してくれる富裕層の味方で、外面を庶民の側に立っているように見せかけているに過ぎない。

富裕層にすれば株と不動産への投資で十二分に儲けて政党支援金で税金の特別控除を受けられる。まさに願ったり叶ったり。

富裕層が株や不動産のバブルを利用して銀行の残高を急激に増やしているのに比べ、母子家庭等の貧困層は毎日の食事にも事欠く窮状。すべては自民党の金融緩和策と非正規雇用拡大という安倍晋三の負の遺産が元凶。

非正規雇用は勤務可能な時間が極端に少ない等の理由で本人が希望する以外には許可しないように法律で改正すべきで、それにより全体的な賃金上昇が可能。貧困や低賃金による人材離れにも根本的な対策が出来る。内需拡大にも有効。非正規雇用の基本的全廃がすぐには難しかれば移行期間を設ければいい。

日本企業は金融緩和と非正規雇用というぬるま湯につかったままで弱体化の一途を辿っている。海外事業を含め厳しい環境での生存競争に生き残ってこそ真の実力が身につくのに今の日本のぬるま湯的環境がそれを阻んでいる。脱落した企業を助ける必要はなく、強い企業だけ生き残る。それがあるべき姿で、屍から新たな企業を育てる土壌も育つ。金銭面だけの企業保護という自然法則に反した環境は国際社会における日本の地位低下を進め最終的には国の滅亡につながる。


さて本題に入ろう。

今回の私事雑感は、私が経験した不動産売却の巧妙な詐欺を取り上げる。

5月下旬の夜、私の自宅に管理組合を名乗る人物から、電話がかかってきた。

私が所有する横浜白楽のワンルームマンションで、給水タンクか共有部分の配管か何かで水漏れが発生して、上の階の部屋が被害を受けた、私の部屋も被害を受けたかもしれないが、借主が不在で確認できない、という内容だった。

借主の連絡先を聞きたいのかと思ったが、そうではなく賃貸営業担当の不動産会社の名前と私の携帯電話の番号を知りたいという。

私はその両方を教えた。

その電話の直後、㈱ランドネットの社員を名乗る人物から、その横浜白楽の部屋を80万で買いたい、という連絡が自宅の固定電話にあった。

何年も前の話だが、ランドネットの複数の社員から私が所有する部屋を買いたいという電話が多くかかったきた。私は全て断り、迷惑だから電話をかけないよう申し入れ、それ以来ランドネットから電話が来なくなった。勿論、ランドネットの固定電話の番号を着信拒否に設定済み。

その話をして、ランドネットを名乗る人物にはその事情を聞いてないかと逆に尋ね、売却を断った。

翌日、横浜白楽の賃貸営業をまかせているエイブル白楽店の長谷川と名乗る人から私の携帯に電話があった。水漏れは私が所有する部屋には影響がなかったと報告した後に、白楽のワンルームマンションでは家賃3万5千円でも1年以上にわたり空室の部屋が多く、次の賃貸契約の見通しが立たないから売却した方がいいという話だった。売却金額は90万円程度。

借主から6月下旬に退去したいという連絡をハガキで受けていて、賃貸契約切れが近づいていた。契約切れの話はしなかったが、90万円という二束三文の価格で売却しても意味ない、という理由で断った。

さらにその翌日、今度は白楽のワンルームマンションの管理会社である保全管財の社員から電話があった。修繕積立金を6千円値上げする、さらに最近は多くの部屋が空室で売却を考えているオーナーが多い、保全管財では物件の売却も手掛けているので、今なら90万円で売却できると言った。

その電話からは明らかに人をバカにしたような印象を受けたのに加え、修繕積立金の値上げは信じられなかったので、私は今は売却するつもりはない、と断った。

この時から、これら一連の電話に不信感を抱き始めた。

確かに物件売却依頼の電話は多いが、今まで電話で売却金額を直接提示されたことはない。郵便での売却依頼には金額が入っている場合もあるが、電話ではなかった。

さらに短期間でこれほど一つの物件に売却依頼が集中することはない。売却金額が似通っているのも不自然で、やはり詐欺の匂いがプンプンする。

私は自宅の電話にナンバーディスプレイの機能を追加しているので、これらの電話が全て携帯電話の番号からだとわかっていた。つまり名乗っている会社名が本当かどうかも疑問だった。

それに保全管財からは毎年の総会の議題や議事録が送られてきていて、その中には修繕積立金の値上げはなかったはず。

実は当時、保全管財から総会開催の資料が届いていて、私は欠席の返答を返したが、その議題を記した資料を確認してみた。その議題には修繕積立金の値上げの項目はなかった。念の為、その資料に掲載されている保全管財の電話番号に電話をかけて、担当者に修繕積立金に関して尋ねると、値上げの予定はない、という。

後で登記記録を調べた時に判明したことだが、私が所有している横浜白楽の部屋は3階にあるが、建物自体が3階までしかなく、上の階自体が存在しない。だから最初の管理組合を名乗った人物が嘘をついたことは明白、自称エイブル白楽店の社員で水漏れに触れた人物も同じで、両方とも詐欺。

結局、これら一連の電話は明らかに詐欺だったのだ。

白楽の物件がどの程度の価格で売れるか正確なところは知らないが、神奈川県では川崎から横浜までが不動産投資の対象エリアだから、不動産バブルの現況では、築35年の私の物件も数百万で売れるはずで、90万円で買い叩き数百万円で売って法外な利益を得ようという計画なのだろう。

この詐欺の巧妙さは、複数の人物が関わり、各人の役割を決めて、ランドネットやエイブル白楽店や保全管財という実在の会社を名乗っていることだ。そして段階を追ってその状況が厳しくなっていくように説明。多分、私を含め複数の部屋の所有者に電話をかけ、関連する実在の会社の名前を聞き出して、何の関係もないのに、それを次の電話で使ったのだろう。

ただランドネットに関しては、実際にランドネットの社員達が詐欺を実行した可能性もゼロではないし、ランドネットを退職した社員達の場合も考えられる。不動産業界に精通していることからも納得できる話だ。

しかし修繕積立金の値上げという、確かめようと思えば容易に確認可能な項目を持ち出したのが、致命的なミスとなった。

図に乗るんじゃないぞ、詐欺野郎ども!!!

詐欺は、騙される方が馬鹿で騙す方が賢いと思ってるんだろうが、お前たちだって簡単にミスを犯すような同程度のバカなんだよ。さらに言わせてもらうと、詐欺に罪悪感を感じないような人間こそがクズだろうが。

この詐欺といい毎日山のように届くバレバレのフィッシングメールといい、本当に人類は出来損ないの知的生物だと感じる。絶滅した方がマシだ。

私の人間嫌いがますます加速していく。


First Contactを描いたSF小説"三体"のように、所詮、人類の知性なんて猿知恵で、宇宙に存在する多くの知的生物の中では、その知的レベルは最低に違いない。

三体とは三体問題のことで、物理学の用語、一般的には多体問題という。古典力学の範疇だが、特殊な対称性を持つ場合を除き運動方程式の一般解や厳密解が存在せず、摂動論による数値計算が必要とされる。マイクロプロセッサーを数多く密結合した専用の計算機を研究者が自作して計算するケースもある。日本の研究者の得意分野で、代表的な研究では球状星団の振動モデルが有名。

ちなみに日経サイエンスの2020年3月号で、特集:『三体』の科学として、科学雑誌では珍しくSF小説を取り上げている。物理の現状からすると、無理だな、と感じる内容もあるが、このSF小説のシリーズは物理に関する知識を非常に数多く含んでいて、興味深い。


低い知性しか持たない人類は、遺伝子に刻まれた闘争本能に導かれ、その内部での集団的暴力つまり戦争を過去から連綿と続けてきた。最近ではロシアとウクライナの戦争やハマスとイスラエルとの紛争が挙げられる。

ロシアとウクライナの場合は、民族的にも言語的にも宗教的にも近い二つの国家の問題で、原因は小国のウクライナと大国のロシアが隣接していること。強者の国が弱者の国に度々侵攻しては略奪と破壊と殺戮を繰り返しその支配を目論むという大国の支配者の欲望が生んだ戦争だ。

ハマスとイスラエルの場合は、民族も言語も宗教も異なる集団がやはり隣接していることが原因。軍事力で劣るハマスがイスラエルに強力な先制攻撃を仕掛けたことは、追い詰められた状況の一か八かの打開策とも取れるが、その恨み自体が激烈だとも考えられる。そもそも相手を理解できず理解しようともしない姿勢が問題で、人類という同じ生物種なのだから基本的な欲求は大差ないのに、恨みの連鎖の歴史が理性的な思考を妨げている。理性より感情がまさる人間のさがが生んだ紛争だ。

つまり人間の欲望や感情はやっかいな存在なのである。

事情は異なるが興味深い事例もある。

ユダヤ民族は優れた民族でイエス、マルクス、アインシュタインと歴史を左右する傑物を排出してきた。欧米諸国の富裕層の多くの部分を占め政権への影響力も強い。欧米政権はユダヤ民族が樹立した国家であるイスラエルを支持すると共に人道支援も実行する必要があり、イスラエル支持と人道支援の間でジレンマが発生している。

中国では最近、習近平の側近が複数失脚して表舞台から姿を消したという。習政権が役人の汚職や腐敗に厳罰を課すという方針を決めた為に、賄賂に手を染めた側近を見逃せなかったのだろう。これは習近平個人の中の本音と建前の相克というジレンマを露呈した形で、人間の面白い特徴を如実に示している。なおこの失脚により習政権の弱体化が進み、対台湾政策に対して強硬路線が取りにくくなればよいが。


さて、話が脱線したので、不動産の話に戻して。

私が不動産の購入を始めた1999年頃は、前世紀のバブル崩壊の爪跡である空き地が都内でも各所に残り、マンションを売りたい人は多くても買いたい人は少なかった。当時私は貯金を数千万円程度は持っていた。買いたいとは一度も言わなかったが、偶然知り合った不動産屋から賃貸物件を紹介され、次の収入源を探していた状況に合致したので、不動産賃貸を始めた。それは最後に物件を購入した2006年も同じで、だから安く物件を買えたとも言える。当時の不動産会社は販売先を探すのに苦労していた。新築物件の値引き販売も当たり前。

私の購入目的は最初から賃貸収入を将来の生活費にあてることだった。

その後、延々と続く金融緩和策により、あり余った金が不動産市場にも投入され、再び不動産バブルが発生。不動産会社の売却物件探しが始まった。

そしてその異常なヒートアップが不動産詐欺まで生み出したのだ。

正直な話、売買を業務とする不動産関係者は、まったく信用できない。この詐欺の電話以降には、取引のない業者から来た電話で不動産の話題が出た時点で、即刻、電話を切り着信拒否に設定する。

郵便物も即刻ゴミ箱行き、営業担当者が自宅に尋ねてきてもインターフォンをオフにしてマンション1階のドアは決して開けない、と決めた。

インターフォンをオフにしても再び営業が呼び出しを鳴らしそれを何度も繰り返すケースがあった。最終的には警察に電話。警察から訪問者の名前と年齢を聞くよう言われたので、それを伝えると年齢は29歳で名前は言わず帰っていった。訪問者は㈱NEXTの社員で、その後で自宅に来た警察官と話をして、インターフォンに残った訪問履歴の画像を携帯電話で撮影してもらった。

何故取引のない不動産会社から電話がかかってきたり、ダイレクトメールがきたり、自宅に知らない営業担当者がくるのかというと、私が物件を購入した会社が廃業したり社員が退職した後、その顧客名簿を各顧客には無断で他社に提供しているから。そして非常に多くの不動産会社の間で名簿のコピーが繰り返されている。

名簿は同業者から譲り受けたもので合法と言う不動産屋の話を聞いたことがあるが、常識的に考えても明らかに違法で迷惑この上ない。その中にはTVコマーシャルを流しているような有名な不動産会社も含まれている。勿論、違法に入手した個人情報を使用しているのは間違いない。でなければ私の名前を知りようがない。私はSNSをやらないし、この匿名のブログ以外には、ネット上に公開されている私の名前や個人情報は皆無なのだから。

店舗や事業所ならともかく、ネットで調べても私の住所や電話番号は出てこない。

勿論、不動産の登記記録を参照するという手はあるが、不動産は数多く存在する。物件の正確な住所や部屋番号を知っている必要がある。それに登記記録には所有者の名前と住所は記載されるが電話番号は含まれない。その住所は物件取得時の住所で引っ越しをしても自動的には更新されない。正確な情報を知っていればネットからPDFファイルでダウンロード出来るが一件当たり300円かかり、多数の物件を調査すれば相当な出費となる。だから登記記録を調べる方法は多数の物件所有者の名簿の作成という目的では非経済的で時間効率が悪い。

登記記録の調査が合法であっても、個人の了解なしに勝手に個人情報を調べること自体が私には許せない。その意味で登記記録の参照には各個人の認証を必要とするべきで、e-Taxサイトと同様に個人番号カードの適用が最良の方法。

本来、私の名前や住所や電話番号を知らないはずの不動産会社には、大手を含め、不信感しか湧かない。勝手に入手した個人情報から私に電話をかけたりダイレクトメールを送ったりした有名な会社の名前を告発の意味で以下に挙げておく。

東急リバブル、三井のリハウス、ピタットハウス、穴吹不動産、オークラヤ住宅

他にもあったかもしれない。これらの不動産会社のTVコマーシャルを見るたびに、その会社に対する嫌悪感が増していく。

穴吹不動産(正確には大京穴吹不動産)から来るダイレクトメールは昔から私の名字が1文字違っていて、大を木と誤記。10年前から同じで違法に取得した名簿を使い続けている証拠だ。大手でも貧相な常識しか持たない。

私とは何の面識も接点もないのに、勝手に電話やダイレクトメールや訪問が出来る人間の神経を疑う。そんな無神経な営業は願い下げだ。

どんな大手の会社であっても私は絶対に信用しない。


不動産だけでなく不用品買取の電話も多い。これら買取電話に特徴的なのが二段階での電話。パソコンのプログラムで固定電話の番号を例えば03-0001-0001から順に1ずつ加算して電話をかけ、電話に出れば何も言わずすぐ切る。その後で携帯電話から電話をかけ実際の営業担当者が話をする。最初の電話はその番号が使用中かつ在宅かどうかを確認する電話で、二回電話することにより電話番号を調べる必要がなく自動的に作業できる。

インターネットと携帯電話さえあれば固定電話は不要で、手軽に営業可能。電話を受ける方は気が付かないと考えているんだろうが、実際はそれほど馬鹿でもない。私の場合、それを察知して二回目の電話には不機嫌な態度で対応し、営業も早々に退散。

間違った番号に電話をかけても何も言わず謝りもせず電話を切る礼儀知らずもいる。

本当に最近は迷惑な電話が多い。出不精のリタイヤ生活者には困った事態だ。


さて白楽の物件の賃貸状況だが、エイブル白楽店の社員から電話があった。勿論、電話帳に登録している固定電話の番号からかかってきたことを確認したので、安心して対応できた。それによると確かに賃料は下がっていて、最近の標準的な金額である4万2千円で賃貸募集をかけてもらった。

ちなみにエイブル白楽店の担当者は綾部さんという名前で、最近、担当になったらしく、前任者は鈴木さんだったという。これでも詐欺が確認できた

白楽ではなく戸越銀座の物件で、6月中旬に内装工事費用に関する件でフリーダイアル0120-228-952に電話して欲しいというメール(携帯電話の番号に宛てたテキストメッセージ)が私の携帯に来た。差出人の名前は高林だが会社名はなかった。

一目で詐欺だと確信したので、まずその物件の賃貸営業を任せている会社に電話してみると、賃貸契約は続いてるし工事の予定もない、という。その後で、そのフリーダイヤルの番号に電話してみたが、誰も出ない、時間をおいて電話しても同じ。おそらく詐欺を気付かれたと感じて既に逃げた後だったのだろう。この件は、一応、地元の警察と賃貸営業の会社に連絡しておいた。勿論、このフリーダイヤルの番号は着信拒否に設定済み。


最後に、もう少し。

私が不動産の賃貸投資を始めたのが、1999年秋だから既に24年が経過した。

その当時から考えていたことだが、賃貸投資による損失はどうでもいい。私の賃貸投資の目的は、30年、40年、50年と長期間に渡って生活費を捻出し続けることで、利益を出すことではない。

その為、賃貸物件を6部屋まで増やし、住宅ローンを全て完済、借金ゼロ。

賃貸投資の開始当初からつけている表計算シートの収支記録によると、現時点での累計支出は1億7千万以上。物件の購入費と住宅ローン返済費用、修繕費用、税金、保険料、管理費等で構成される。通期の損益は5千万円以上の赤字で利益だけ見ると大幅なマイナス。

ただ収入の累積額は1億2千万を超えていて、24年で割ると年平均収入は約5百万円。実際に使えるのはその一部(固定資産税が年約40万で管理費が年約140万=自宅を除いた経費としての申告額)だが、生活費確保の目的は達成している

もともと生活費の調達から解放されることが賃貸投資の目的。

そして生活費の捻出さえ可能なら、賃貸投資による最終的な損益が赤字になろうと黒字になろうと関係ない。そこが短期間の損益を重視する株や不動産の売買投資との根本的な違いだ。

この視点に立つと、詐欺が持ち出した6千円の修繕積立金の値上げとか90万円での売却とかは、微々たる金額で、私の賃貸投資にとっては何の意味もない。

この詐欺はそこが理解できていなかった。世間一般の短期間の損益を重視する投資しか考えなかったが、生憎、私は世間の常識に捉われない変人なので。

結局、詐欺を疑う前の段階でも、私には何も効果がなかったのだ。

実際、横浜白楽の物件は賃料が安く賃料保障にも集金代行にもなっていない唯一の物件で、賃貸収入全体から見ると10%強程度の割り合いでしかない。だから長期間に渡って空室でも、所得税や地方税や健康保険料や介護保険料を下げる節税効果を考えると、その損失はたいした問題ではない。

私と賃貸営業の不動産業者、修繕工事を請け負う修繕工事業者さらには火災保険等を担う損害保険会社の4者の間をお金が回り、それぞれに売上と利益をもたらしている。4者の共存共栄と言える。住宅ローンの返済が続いていた2018年までは銀行も含め5者。入居者と管理会社を含め部屋数の6をかけて、重複分を引いてもかなりの数になる。最初に私が多額の金を使い不動産を購入したことが発端で、不動産をベースとした効率的に機能するキャッシュフローが発生し成長して来た。

富裕層の銀行口座に貯まっているだけでは動きが少ないが、金は天下の回り物で、金を使うことにより、世の中を動かし活性化させることが出来る。

お金と不動産に働かせて、自分が働くのは止めよう、という発想でもあった。

リタイア後に大学の理学部に戻ることも考えたが、その元気も金もなかった。ただ働いていた時と同様に物理の勉強を独学で続けることは出来る。だからリタイア後にやる事は決まっていた。

以前の記事でも触れたように、賃貸投資を始めた際の多額の資金は質素でシンプルな貧乏学生のようなライフスタイルによって自然に貯まったもの。人間嫌いの性格で出世や結婚には縁がなかったが、S社の設計部門で製品に含まれるソフトウェアの開発を長年担当してきたので、給料は比較的よかったかもしれない。またS社をリストラ退職した際の退職金と加算金も貢献してくれた。

私の個性とも言えるが、投資で儲けるとか利益を出す、という発想はない。

お金は生活できるだけあればよくて、自宅で本や音楽やゲームを楽しむ金銭的余裕があれば十分だ。それ以上の金は必要ないし欲しいとも思わない。

案外、金は必要がない人間や執着しない人間に寄って来る、のかもしれない。