最近のイラン戦争に対する私個人の見方を述べよう。勿論、私の勝手な発想による見方に過ぎないので、完全な誤解かもしれないことを予めお断りしておく。

 

 

イスラエルがハマスやヒズボラの背後にいるイランを攻撃するのはわかるが、米国とイランとの戦争は理解不能だ。ネットによると、前世紀のイスラム原理主義革命当時から米国とイランの関係が険悪でそれが尾を引いているとか、トランプ大統領が認知症を発症したとか、中国対策等々、しかしどれも説得力に欠ける。

 

以下のように様々な理由を検討しても、

 

*ウラン濃縮段階にすぎないイランの核開発は米国にとって脅威ではない。

*イランは中国寄りだが密接な関係はなく中国側は距離を保っている。

*イラン戦争の間接的経済効果の中国への波及には中国側で対策が可能だろう。

*トランプ大統領は以前からあんな感じで最近特に目立った変化はない。

*関係が険悪とはいえ過去の米国政権がイランへの軍事攻撃を強行した例はない。

*米国とイスラエルの同盟は強固だが米国がイスラエルの言いなりにはならない。

 

やはりどう考えても不合理だ。

 

 

知識や学識に基づく説明もいいが、もっと単純に、ベネズエラでの原油利権獲得という成功体験を再びイランでもと欲張った結果が、今回の米軍によるイラン攻撃につながったと私は考える。建前は核開発阻止だが本音はイランでの新たな原油利権獲得にあったのだろう。ベネズエラのようにイランの現政権が倒れ親米政権が誕生すれば達成可能だった。トランプ大統領にとって政治と軍事力は利益獲得の手段に過ぎない。

 

無論、イランではベネズエラのように上手く事が運ぶはずがない。空爆で指導者を殺害してもインフラを破壊してもイラン政権は倒れないと判明。以降の無駄な攻撃を避ける為、停戦し交渉に入った。

 

勿論、イラン政権が倒れなかったことにより、利権獲得の夢は泡と消えた。

 

しかしトランプ大統領としては消費した弾薬とミサイル及び破壊された航空機等の費用を考えると、イランから何の収入も得られないのは受け入れ難い。だから交渉条件として一部の原油利権の譲渡が含まれる場合も想定される。そこまで露骨でなくても、核問題を錦の御旗にして、非常に高価な濃縮済みウランを全て米側に提出させようとしていることはニュースにあった。当然ながらイランは譲歩せず、米国は攻撃再開を検討と混迷模様。

 

まさかとは思うが、イラン側が過去に発表した次元の異なる対応という表現が気がかり。濃縮済みウランが米国に渡らないよう、全て海に廃棄することかもしれない。その量にもよるが、非常に深刻な海洋汚染を引き起こし、生態系に与えるダメージは勿論、イラン近海が長期間航行不能になる可能性さえある。

 

 

ウクライナ戦争のように波及範囲が当事国内に限定されるならまだしも、ホルムズ海峡の航行障害による世界経済への悪影響が深刻で、全くはた迷惑な戦争だ。

 

容易ではないが、この際、世界全体が石油とホルムズ海峡に依存しない脱石油社会に生まれ変わることを切に願う。

 

 

イスラム原理主義のイランは政権維持の為、軍備増強を優先、北朝鮮と似た状況で、現政権崩壊を望む国民も多いという。北朝鮮の核開発は、米国を含む各国にとって既に脅威となっているが、その核開発の途中でもトランプ大統領は攻撃しなかった。イランは攻撃しても北朝鮮は攻撃しない。なぜなら北朝鮮には石油資源が存在せず攻撃しても得る物がないから。

 

その意味では、持たざる者や失う物がない者は幸福、といえる。

 

核兵器は実際には使用不可能で抑止力として持つ意味しかない。トランプ大統領もそれは承知していて、核問題という言葉は利益を得る為の切り札として有効活用。

 

昔、日本人はエコノミック・アニマルと呼ばれたが、今のトランプ大統領と比べれば、かわいいものだった。

 

 

グルジアやベネズエラでの勝利と目標達成の後、次の武力による強制的な政権交代という目論見が失敗したという点で、ロシアのウクライナ戦争と米国のイラン戦争はそっくり同じ。プーチンとトランプは似た者同士、敵を甘く見て痛い目にあうという点もまた共通している。ただ両者とも当初の計画をあきらめてはいないはずで、今後も予断を許さない。

 

強国の権力者にとって許し難い国や政府が存在するというのは理解できる。しかし直接には何の被害も及ぼさないそれらの国々を一方的に武力で攻撃し服従させるというのは、法的にも常識的にも正気の沙汰とは思えない。

 

もし中国による台湾侵攻が起これば同じ様になるのか、いや習近平はもっと慎重で台湾を内部から切り崩す策を優先するだろう。ただ実際に台湾侵攻が発生した際にどういう状況になるかは不透明で、抵抗運動が延々と続き、工業生産が長期に渡りストップして部品の供給が滞り、世界の製造業に甚大な影響が及ぶ場合もあり得る。

 

ただ台湾の場合は独立した国や政府ではなく、中国内の一地域という見方が正しいと思われ、イランやウクライナとは立場が異なるのは確か。それでも混乱や殺傷の発生は極力回避すべきだ。

 

米国、中国、ロシアの三大帝国に振り回される世界というのが、21世紀前半の特徴。望ましい状況ではないが、パワーバランスから考えて仕方がない。

 

 

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場の量子論は8回目、前回までで"1.1 調和振動子"が終わったので、今回から新たな項目に入ります。

 

第1章 場の理論事始め

 

1.2 特殊相対性理論の復習

 

上付き添字と下付き添字に同じ文字があると、Σ記号がなくてもその添え字で和をとるアインシュタインの規約を、この本ではアインシュタインの縮約という表現で使っている。またアインシュタインを省略して単に縮約ともいう。

 

例として4元ベクトルdx^μ(4元ベクトルは4成分ベクトルであり4次元ベクトルともいう、一般相対論では反変ベクトルとも表現される)とすると、

 

(1.34) dx^μ = (dx^0, dx^1, dx^2, dx^3) = (cdt, dx, dy, dz)

 

だから

 

Σg_μνdx^μdx^ν ⇒ g_μνdx^μdx^ν

 

上式でのΣはμ,ν=0,1,2,3で和をとる。その右辺ではアインシュタインの縮約を使いΣ記号が省略されている。

 

g_μνを計量テンソルと呼び、平坦な4次元時空では計量テンソルは以下となる。

 

(1.35) g_μν =

(1  0  0  0)  μ,ν=0,1,2,3

(0 -1  0  0)

(0  0 -1  0)

(0  0  0 -1)

 

計量テンソルを使って、長さds^2を表現すると、

 

(1.36) ds^2 ≡ g_μνdx^μdx^ν = (cdt)^2 - (dx)^2 - (dy)^2 - (dz)^2

 

となり、この平坦な4次元時空をミンコフスキー(Minkowski)空間と呼ぶ。

 

一般相対論の本ではこの場の量子論の本と同じく時間成分が+で空間成分が-だが、弦理論の本では時間成分が-で空間成分が+になっていた。これは単に定義の違いで、要点は時間成分と空間成分の符号が逆になっていることだ。

 

(1.35)式のg_μνとその逆行列との積は、下付き添えを上付き添字に直して一つの添え字について和をとったもので、以下のように表される。

 

(1.37) g_μλg^λν = g^νλg_λμ = δ^ν_μ

 

(1.38) δ^ν_μ = { 1;μ=ν, 0:μ≠ν }

 

と表される。上式でδ^ν_μは弦理論の本でも出ていたクロネッカーのδで、一般相対論の本では、同じ機能を持つテンソルg^ρ_μが出てきた。

 

δ^ν_μは単位行列だから、g^λν,g^νλ,g^μν等は計算しなくても自明で、

 

(1.39) g^μν =

(1  0  0  0)

(0 -1  0  0)

(0  0 -1  0)

(0  0  0 -1)

 

つまり、もとの行列g_μνと同じだ。

 

同様にg^μν=g_μν=g^νλ=g_λμ=g_μ^ν=g^μ_ν等。

 

次に弦理論の本でも出てきたが、エネルギーと運動量を組み合わせた4次元運動量ベクトルp^μを以下のように定義する。

 

(1.40) p^μ ≡ (E/c, p)

 

Eはエネルギー、cは光速、pは通常の3次元の運動量ベクトル。この場の量子論の本ではp^μを短く4元ベクトルという。

 

一般に4元ベクトルの2乗の符号により、

 

(1.41) p^μp_μ = { >0;時間的領域, =0;光的領域, <0;空間的領域 }

 

の3つの領域に分類できる。

 

勿論、添え字μで和をとる。具体的には、

 

p^μp_μ=p^μg_μ^νp_ν=(E/c,p)g_μ^ν(E/c,p)^T=(E/c)^2-p^2

 

となる。この計算は今までさんざんやって来たので説明は不要だろう。

 

さらに質量mの粒子は4次元速度cで運動していると考えることができる。この点は光円錐図(弦理論の本では光錐図)で考えると理解しやすい。3次元空間を2次元平面に簡略して表現すると時間軸は上に向かう座標軸となる。静止している粒子は光速cで時間軸を上を動くから、その4元ベクトルの2乗は,

 

(1.42) p^2 ≡ p^μp_μ = m^2c^2

 

を満たす。速度vで運動している場合は、4元ベクトルは同じで時間軸から少し角度をつけた斜めの線で表現できるが、その場合もp^2=m^2c^2が成り立つことになる。

 

これを分散関係という。勿論、この粒子はp^μp_μ>0だから時間的領域を運動する時間的ベクトルで表される。

 

この分散関係の式に、先程の4元ベクトルの2乗p^μp_μ=(E/c)^2-p^2を用いると、

 

m^2c^2=(E/c)^2-p^2

 

となり、この式から静止している質量mの粒子のエネルギーEが、

 

(1.43) E = c√(p^2 + m^2c^2) ≡ E(p)

 

と求まる。

 

この(1.43)式でp^2はp^μp_μではなく、通常の3次元運動量ベクトルp、(これ以降、質量mを追加:誤り訂正2026/5/6)

 

p=(px,py,pz)=(mdx/dt,mdy/dt,mdz/dt)

 

の内積p^2=p・p

 

p^2=p・p=(px^2,py^2,pz^2)=((mdx/dt)^2,(mdy/dt)^2,(mdz/dt)^2)

 

を意味する。

 

これ以降は例題となるので、今回はここまでにしよう。

 

 

注意: (1.34)のように番号が付いている数式は以下の書籍からの引用です。

 

演習 場の量子論 基礎から学びたい人のために 柏太郎著 サイエンス社 新装版第3刷

 

それ以外の数式と説明は私が作成したものなので、ミスや間違いが含まれる可能性があります。