謹賀新年、今年もよろしくお願いします。
まず、短い感想を二つ。
一昨日の30日、新横浜駅から岡山行きの"ひかり"自由席に乗っ
なおいつも通り、スマホとタブレットとノートPCは実家に持ち帰
やはり年末にTVの歌番組を眺めていて、たまたまCreepy Nutsの曲を耳にした。私は若い頃の1970年代の曲を主に聞く人間で、若い人のセンスに
今回の雑事は、かなり昔、正月に取り上げた"君が代とSTAR TREK"という題の短い記事の内容を再録しよう。
まず手持ちの文庫本から、古今和歌集の内容のごく一部を抜き出す
岩波文庫 古今和歌集 佐伯梅友 校注
95ページ
古今和歌集巻第七
がのうた
賀歌
題しらず 読人しらず
ちよ いはほ こけ
わが君は千世にやちよに さゞれ石の巌となりて苔のむすまで
国歌"君が代"の君は天皇を意味するが、国歌の元になった古今和
その点では、STAR TREKに出てくるバルカン人が手のひらを前に出し中指と薬指の間を広げて言う挨拶の言葉"Live Long and Prosper"(長寿と繁栄を)と同じ意味を、この古今和歌集の歌は表現している。
なお賀歌とは祝いの歌らしい。
この歌だけだと少し寂しい気もするので、万葉集からも歌を取り上
岩波文庫 新訂 新訓 万葉集 上巻 佐佐木信綱 編
49ページ
万葉集 巻一
がまふ みかり ぬかだのおほきみ
天皇、蒲生野に遊獵しましし時、額田王の作れる歌
しめの のもり そで
あかねさす紫野行き標野行き野守は見ずや君が袖振る
皇太子の答えませる御歌
にく われこ
むらさきのにほえる妹を憎くあらば人づまゆゑに吾戀ひめやも
ことごと
大皇弟、諸王、内臣、及び群臣、悉皆に從ひきといへり。
ネットで調べるとこの歌には複雑な背景があるようだ。額田王は兄
中大兄皇子は大化の改新の主人公で大海人皇子は壬申の乱の主人公
万葉集から歌をもう一つ紹介しよう。
167ページ
万葉集 巻四
あふみのすめらみこと しの
額田王、近江天皇を思ひて作れる歌
やど
君待つとわが戀ひをればわが屋戸のすだれ動かし秋の風吹く
この歌には与謝野晶子の歌にも通じそうな率直な感情が感じられる
古今和歌集の"わが君"の歌では人生を小石や巨岩に譬えている。
一方、万葉集はそのストレートな感情表現が魅力と言え、それぞれ
著作権の問題については掲載内容を原典と思われるものに限ること
なお雑事も書くネタがなくなってきたので、本来の趣旨にもどり、
今回の私的な物理テキストは、一般相対論の3回目です。
前回は"2. 斜交座標"の続きで、斜交座標の2階テンソルを行列として見た場
当然ながら、今回の記事も特殊相対論の平坦な時空を前提としてい
実は今回の内容は、先月12月の弦理論の内容と重複する部分が多
まず2階のテンソルg_μνを用いて、反変ベクトルを共変ベクト
A_μ = g_μνA^ν (2.2)
この式でも上と下の添字νで和をとる。このg_μνは行列表示で
g_μν=(1 0 0 0)
(0 -1 0 0)
(0 0 -1 0)
(0 0 0 -1)
前回述べたように、g_μνの行列式をとれば-1なので逆行列が
A^ν = g^μνA_μ (2.3)
この式でも添字μで和をとる。
μとνの入れ替えでg_μνが不変だった(
次に(
単純に置き換えると、A_μ=
A_μ = g_μνg^νρA_ρ
となる。この式は一般相対論の本にあるが、番号が付けられていな
この式の右辺ではρとνに関して和をとる。右辺のg_μνg^ν
つまり、
g_μνg^νρ = g^ρ_μ (2.4)
と書くと、g^ρ_μは単位行列Eだから
g^ρ_μ = { 1 μ=ρのとき
{ 0 μ≠ρのとき (2.5)
このg^ρ_μは、弦理論の本のクロネッカーのδと同じもので、
(
g^ρ_μA_ρ = A_μ
同様に、g^ρ_μとA^μの積とは、
g^ρ_μA^μ = A^ρ
となり、g^ρ_μはベクトルの添字を入れ替える(
(2.4)式と同様に、
g^α_ν = g^αμg_μν
でもg^α_νが作成でき、さらにνを上付き添字に変更すると、
g^αβ = g^νβg^α_ν
となって、添字の変更(ν→α)にもg^α_νが使える。
まとめると、(
これで、"2.斜交座標"の説明が終った。
補足説明として、逆行列の求め方を簡単に説明しよう。
行列Aを以下として、
A=(a b)
(c d)
その逆行列A^-1は、以下となる。
A^-1=1/det(A)( aの余因子 -bの余因子)^t
(-cの余因子 dの余因子)
det(
aの余因子とは(a b)のaの行と列を除いた因子で、d。
(c d)
bの余因子とは(a b)のbの行と列を除いた因子で、c。
(c d)
cの余因子とは(a b)のcの行と列を除いた因子で、b。
(c d)
dの余因子とは(a b)のdの行と列を除いた因子で、a。
(c d)
逆行列の式で、bの余因子とcの余因子に-1がついているのは、
aは1行1列目なので、aの余因子には(
bは1行2列目なので、bの余因子には(
cは2行1列目なので、cの余因子には(
dは2行2列目なので、dの余因子には(
この1または-1の符号因子は、前回の一般相対論の記事での行列
det(A)=|a b|
|c d|
=+a|d|
-c|b|
=ad-bc
+a,-cの符号として付いていたのだが、説明を省略した。
さて、上記の説明を踏まえて、逆行列の計算に戻り、
A^-1=1/det(A)( aの余因子 -bの余因子)^t
(-cの余因子 dの余因子)
=1/det(A)( d -c)^t
(-b a)
=1/(ad-bc)( d -b)
(-c a)
とAの逆行列A^-1が求まった。
これが正しくAの逆行列かどうかは、実際に計算してみればわかる
AA^-1=(a b)1/(ad-bc)( d -b)
(c d) (-c a)
=1/(ad-bc)(a b)( d -b)
(c d)(-c a)
=1/(ad-bc)(ad-bc -ab+ab)
(cd-cd ad-bc)
=1/(ad-bc)(ad-bc 0)
( 0 ad-bc)
=(1 0)
(0 1)
=E(単位行列)
逆行列の求め方には、余因子を使う方法以外に、掃き出し法という
掃き出し法は実際には、行列Aの横に単位行列を置いて計算する。
(a b 1 0) … ①
(c d 0 1)
この形から以下のように変更する。
(1 0 ? ?)
(0 1 ? ?)
つまり(a b)の部分を(1 0)に変える。
(c d) (0 1)
その為に、まず上式の1行目①をaで割る。なおa≠0と想定して
(1 b/a 1/a 0) … ①
(c d 0 1) … ②
1行目①にcをかけ②から引く、つまり②-c①→②
( 1 b/a 1/a 0)
(c-c d-bc/a -c/a 1)
=(1 b/a 1/a 0)
(0 (ad-bc)/a -c/a 1) … ②
2行目②を(
(1 b/a 1/a 0)
(0 1 -c/(ad-bc) a/(ad-bc))
=(1 b/a 1/a 0) … ①
(0 1 -c/(ad-bc) a/(ad-bc)) … ②
2行目②にb/aをかけ①から引く、つまり①-b②/a→①
(1 b/a-b/a 1/a+bc/a(ad-bc) -b/(ad-bc))
(0 1 -c/(ad-bc) a/(ad-bc))
=(1 0 ((ad-bc)+bc)/a(ad-bc) -b/(ad-bc))
(0 1 -c/(ad-bc) a/(ad-bc))
=(1 0 d/(ad-bc) -b/(ad-bc))
(0 1 -c/(ad-bc) a/(ad-bc))
これで(1 0 ? ?)の右側に現れる(? ?)の逆行列A^-1=1/(ad-bc)( d -b)が求まった。
(0 1 ? ?) (? ?) (-c a)
上記の手続きが掃き出し法で、行列本来の意味である鶴亀算を行う
逆行列を求める手順については、2行2列の行列Aの逆行列は比較
B=(a b c)
(d e f)
(g h i)
説明しにくいので説明は省略する。ただ具体的な数値で構成された
なおg_μνの逆行列は掃き出し法により簡単に求まるので、実際
g_μν=(1 0 0 0)
(0 -1 0 0)
(0 0 -1 0)
(0 0 0 -1)
(1 0 0 0 1 0 0 0)
(0 -1 0 0 0 1 0 0) … ②
(0 0 -1 0 0 0 1 0) … ③
(0 0 0 -1 0 0 0 1) … ④
②,③,④の各行に-1をかけると、
(1 0 0 0 1 0 0 0)
(0 1 0 0 0 -1 0 0)
(0 0 1 0 0 0 -1 0)
(0 0 0 1 0 0 0 -1)
となって、逆行列g^μνが以下のように求まる。
g^μν=(1 0 0 0)
(0 -1 0 0)
(0 0 -1 0)
(0 0 0 -1)
つまりg_μνの逆行列g^μνは、もとのg_μνに等しい。
g_μν=g^μν
これは直接g_μνとg^μν(
g_μνg^νρ
=(1 0 0 0)(1 0 0 0)
(0 -1 0 0)(0 -1 0 0)
(0 0 -1 0)(0 0 -1 0)
(0 0 0 -1)(0 0 0 -1)
=(1 0 0 0)
(0 1 0 0)
(0 0 1 0)
(0 0 0 1)
=E
=g_μ^ρ
=g^ρ_μ
だから実際に計算するまでもなく、g_μνの逆行列g^μνはす
以上で一般相対論の本の"2. 斜交座標"の章が終わった。今回はここまで。
注意: (
一般相対性理論 P.A.M.ディラック著 江沢洋訳 東京図書 1995年5月20日新装第6刷
それ以外の数式と説明は私が作成したものなので、ミスや間違いが