まず雑事。

 

最近、また管理会社を騙る詐欺野郎から、同じ水漏れネタで電話がかかってきた。すぐ、詐欺だろ、と指摘して電話を切ったが、見破られることも多いのか非通知で電話をかけていた。そこで非通知も着信拒否に設定。

 

今でも見知らぬ不動産屋から電話がかかってくるが、売却依頼の電話だけでなく、購入依頼の電話も増えてきた。郵便受けに入っているチラシにも、同じ新築物件のチラシが長期間にわたり続いているものが多い。大都市圏の人気物件は株と同じで値上りを見込んだ売買取引が盛んだが、その結果、一般の物件価格も上昇して売れにくくなっているのではないか。価格の上昇による売却希望者も多く、この調子だと年内か来年早々には、売れない物件が不良債権化して、20世紀末の不動産バブル崩壊が再現するかもしれない。

 

株も不動産も実質的な利益を生む価値以上のバブル状態にあるのは確かで、長年にわたるアベノミクスである金融緩和策の副作用だ。シャボン玉と同じでバブル崩壊は必然の結末。以前から言っているように、この官製バブルの責任は、全て日銀と自民党にある。

 

金融緩和策により常に営業資金が借りられる状況では、赤字や資金不足になることはないとも思ったが、たとえ無利子で借りられても投資した資金が回収出来るわけではなく、借入金だけが増える一方で経営を圧迫し、最終的に行き詰るのだろう。その点は日本の国家財政も同じ。

 

仮に株や不動産のバブル崩壊が発生した場合、今でもまだ利率は十分に低いのだから、さらなる金融緩和策には何の効果もない。

 

最近の賃金引き上げの動向を見ても、旧安倍政権の非正規雇用の拡大策が平均給与の低下を招いて貧困層を大幅に拡大、そのぬるま湯体質による企業の競争力低下と急激な円安と日本の国際的地位低下に直結、物価高と景気後退を進める結果となったのは明らか。自民党の政策は以前から逆効果しか生んでない。そう考えると最近の軍備拡張策も長期的な視点から見れば、戦前の軍国主義を連想させ、将来どんなマイナス効果を生むか不安と恐怖を感じる。

 

私に言わせれば、自民党の政治資金問題は自民党の性質から考えると当然の結果であり今更驚く程のことでもないが、前世紀に崩壊したバブルをアベノミクスという形で自ら再び始め、一時的ならともかく半永久的に続行。非正規雇用の拡大により庶民の購買意欲をくじき母子家庭の生活苦さえ招いた。自民党の政策は阿呆を通り越して犬や猫でもやらない愚行としか言いようがない。

 

バブル崩壊で不良債権が大量に発生しても自民党は過去のバブル崩壊対策のように国家予算で穴埋めするだろう。ただしその予算は庶民から吸い取った税金に他ならない。金持ちのマネーゲームの失敗の尻拭いを庶民がするなど言語道断も甚だしく、全く容認できない。

 

もう一つ政治に口を出すとしたら少子化問題。この対策は大幅な移民受け入れしかない。少子化による日本の人口減が年間何人程度かは知らないが、例えば年間50万人程度人口が減少すると仮定すると、その倍の年間100万人の移民を受け入れる。

 

それも期間限定の人手不足対策ではなく、最終的に日本国籍を持つ移民を増やす。そうして初めて人口減少や労働力不足の根本的な解決がなされて、文化の多様化と社会の活性化さらには景気浮揚や税収増加につながり、日本をより豊かな国にすることが可能になる。つまり日本は移民大国である米国を手本にすべきなのだ。

 

 

さて、気分を変えて。

 

現在の自宅に入居する前から使っていた古いエアコンがついに壊れた。30年近く前に買ったものだから、サブ的な使用だったとは言え、長くもったものだ。その他に入居時に買った寝室用のエアコンもあり、約24年間使っている。これもあと数年で壊れるだろう。もう一台リビングで使っているメインのエアコンは数年前に買ったもの。フィルター掃除機能が付いてるが、たまにゴミ受けを掃除しろというランプが点灯するし、掃除用の回転式ゴムべらに汚れが付着して、ウェットティッシュで汚れを拭き取るにも手動では回転しないので、拭き取りにくい。また黒い汚れの塊が時々落ちることがあり、フィルター掃除機能付きのエアコンはオススメとは言えない。

 

壊れたエアコンの買い替えは、最寄りの電器店でカビのつきにくい機種を選んだが、フィルター掃除機能は付いてないはず。それでも8畳用で18万円程度かかった。今月の上旬には設置される予定だ。

 

 

やっとPS4版のGod of War(以下GoW)が終った。アイテムの濃霧の掟は全く入手出来なかったし、タイミングよく敵の攻撃をかわせないのでダメージを受けずに20匹の敵を倒す試練もクリア出来なかったが、Horizonでもクリア出来ない狩場や未入手のアイテムが多かったし、PS2版のGoWでは加速泳法が苦手で途中で断念したことを思えば、EASYモードでエンディングにたどり着けただけで十分

 

敵の攻撃から逃げていると方向感覚を失い敵が何処にいるか見失うことが常だし、昔から手が不器用でインベーダー、パックマン、スーパーマリオ等のゲーム自体が苦手だったことを考えると、最近のゲームの多くは不器用でも何とか物語を進められるようになっているのだろう。

 

PS2の時代からGoWは先進のゲームで他のRPGに与えた影響が大きい。例えば、私が知る限りフィールド上に敵が見えるのはGoWが最初で、その後、FFやDQにも波及。それ以前はフィールド上に敵は存在せず、歩いているとランダムに敵が発生し戦闘に突入した。ネットで調べるとフィールド上に初めてザコ敵が出現したのはFFではFF12が最初でDQではDQ9が最初。発売日はPS2版GoW:2005年3月、FF12:2006年3月で、DQ9:2009年8月。常にDQは遅れて変化に対応。

 

PS2からPS3にまたがるGoWの三部作はギリシャ神話がベースでPS4版からは北欧神話がベースになっている。バランスの取れた物語で言葉使いから言っても大人向けの内容。少なくとも小学生向けではない。人物描写が明確で新鮮、会話自体が面白い。

 

PS5版のGoW Ragnarokも購入して始めたが、こちらも何とかエンディングまでたどり着きたいものだ。なおHorizonと同様にSTORYモードがあったので、それで始めた。

 

なおGoWではフィールドの各所に様々な仕掛けが設置してあり、それを突破しないと先に進めない。その突破法を自分で考えるのも醍醐味の一つだが、先に進めなくなった場合は、無理せず攻略動画や攻略サイトを参照して、その対処法を探し出せばいい。

 

仕掛けは簡単でも時間制限があって、操作ミスとリズムやタイミングが上手く取れないことが原因で入手出来ないアイテムもあるが、それは仕方ない

 

フィールド上の似た仕掛けはFF7 Rebirthにもあり、FFはHorizonと共にGoWも手本にしていると感じる。

 

 

さて次に、前回の記事の補足をしておこう。

 

前回、宇宙クラスを定義したが、その上位クラスに数学クラスや神クラスが存在し得ると書いた。そこでこの3つのクラスの説明をしよう。

 

宇宙クラス…物理定数や物理法則や情報形式を定義したクラス。

 

数学クラス…自然数や整数や実数や複素数やグラスマン数等の数学的存在の表現と性質と関係を定義したクラス。

 

神クラス…AとBを存在や表現としてA→B、A←B、A=B等の関係つまり因果律を定義したクラス。

 

神クラスの下位クラスが数学クラスであり、数学クラスの下位クラスが宇宙クラス、そして因果律が全てを支配する。

 

補足説明をもう一つ。宇宙クラスのインスタンスである2次元ホログラフィー面は素粒子生成の基底となるが、素粒子は秩序でありエントロピーが減少する。その反動で2次元面のエントロピーは増大する。これは宇宙の情報処理機構である2次元面が素粒子の秩序に対するカオスに該当すると捉えることが可能。つまりダークエネルギーはカオスのエネルギーでもある。

 

空間とは情報処理の領域であり時間とは変化の指標に過ぎない。宇宙の数だけ時間と空間がある。つまり時空は無数に存在する。

 

神クラス、数学クラス、宇宙クラス、そのインスタンスである無数の2次元ホログラフィー面、そして情報の生々流転である多宇宙という形の森羅万象。これら全ては一体何の為に存在するのか。空想を駆使しても納得がいく説明は得られない。

 

人間の思考力ではそれらの存在の意味や目的を解明するには無理があるのも確かだが、そもそも意味や目的があるのか。存在それ自体が目的であり意味であるのかもしれない。

 

 

ここから本題に入って。

 

ネタ切れ対策で始めた私的な物理ネタも、説明から私の空想まで様々な内容を取り上げたが、完結してしまった。それで次どうするかなのだが、何かテキストつまり教科書を決めてその概要と数式を追っていこう、と考えている。

 

私は大学生の頃の専攻は物理学だが、手が不器用なので実験物理は無理、理論物理でも物理や数学のセンスがなく、物理で生きていける見込みがなかった。

 

そこで大学院には進学せず就職を選択したが大学の物理の成績はよかった。だから就職後も物理は好きなままで、趣味として物理の勉強を続けた。

 

私の概略も述べよう。富山大学文理学部理学科物理学専攻(現:理学部物理学科)を1980年3月卒業。CSKからSonyに移り、2005年3月Sonyをリストラ退職、中小企業で5年間働いた後、2010年春に53歳でソフト屋(主にメーカー系プログラマー)を引退しリタイヤ生活に入った。それ以後は1秒たりとも働いていない暇な変人。勿論、ずっと独身の一人暮らし。住所は神奈川県大和市。

 

私が興味を持っているのは物理理論の概念だが、生来、記憶力が劣悪で、小学校の成績が最悪だったのと同様、理論や実験の詳細については殆ど憶えられない。

 

子供の頃から空想好きなので、前回までの記事のような個人的に理解した内容や私の空想を述べるのは楽しいが、それだけでなく何か教科書となる専門書を選んで、その内容を私なりに解釈して説明を加え、可能な範囲で数式の変形を追いかけるのもいい。

 

このテキストを読む進める方式は、ネタ切れ対策としては十二分に満足出来るものだと言える。専門色が強くなるのでブログとしての人気は最低だろうが、そもそも私のブログは読者に媚びることなく、自分の言いたいことを言う、やりたいことをやるというのがモットーだ。多くの方に読まれたいとは最初から思っていないし、ネットやSNSで儲けようと思うはずもない。そもそもスマホの小さいキーボードを使うのが苦手で入力ミスばかり。スマホでのキーボード入力は絶対やりたくないので、人間嫌いの性格は別としても、SNSをやらないのは当然だと言える。

 

 

なお飽きるのを避ける為に、テキストを3冊選んで、順繰りに勉強していこう。

 

最初に取り上げるのは、一般相対性理論のテキスト=専門書で、手持ちの蔵書の中から何が適当か考えたのだが、私の好みは薄く簡潔な記述の専門書なので、最終的に以下の本を選んだ。

 

一般相対性理論 P.A.M.ディラック著 江沢洋訳 東京図書 1995年5月20日新装第6刷

 

この本は索引まで含めて128ページしかない薄い専門書。

 

薄いぶん扱っている内容は限られペンローズ図の記述もないが、一般相対性理論のアインシュタイン方程式のテンソル計算に慣れることが目的なので問題ない。

 

 

さっそくこのテキストに沿って勉強を始めよう。

 

最初の章は"1. 特殊相対性理論"。特殊相対性理論と言っても、この章では平坦な4次元時空に限る以外に具体的な説明はなくて、スカラーとベクトルとテンソルの説明が主になっている。

 

時間をt、空間座標をx、y、zとして、t=x^0、x=x^1、y=x^2、z=x^3と表し、まとめてx^μと書く。ここで^は累乗ではなく上付き添字を意味しμ=0,1,2,3つまり0から3まで動く。xとx^1の文字が重なっているが単に記号が重なっただけで気にせずに、x^μで4次元時空の位置xを表現していると解釈する。

 

位置xの近傍の点をとりx^μ+dx^μと表す。dx^μは位置xからの変位と考え長さと方向を持つベクトルとなる。dx^μは成分が4つあるので4次元ベクトル。

 

平坦な時空では、位置xからの変位の長さ(距離と同じ)の2乗は以下のようになる。

 

    (dx^0)^2 - (dx^1)^2 - (dx^2)^2 - (dx^3)^2                  (1.1)

 

()^2の^2は上付き添字ではなく2乗の意味で、通常は(dx^0)^2の前に光速cの2乗がつくのだが、ここではc=1の単位系を使っている。

 

(1.1)式で重要な点は時間(dx^0)の係数が+1で、空間(dx^1,dx^2,dx^3)の係数が-1だということ。4次元時空の距離を計算する場合、時間と空間の係数が逆の符号となる。勿論、時空での距離もピタゴラスの三平方の定理の延長と言える。

 

この本では時間の係数が+で空間の係数が-だが、本によっては以下のように時間の係数が-で、空間の係数が+の場合もある。

 

-(dx^0)^2 + (dx^1)^2 + (dx^2)^2 + (dx^3)^2

 

なお+1,-1は平坦な時空だがら+1と-1なのだが、曲がった時空では+1,-1以外の数値や変数が掛かることになる。

 

 

この変位の長さは、特殊相対性理論の平坦な時空での座標変換を行っても不変な量であり、これをスカラーと呼ぶ。変位ベクトルは成分が4つあるが、それから作成された変位ベクトルの長さであるスカラーは、成分は1つだけ。

 

変位ベクトルも座標変換で不変でこのベクトルを反変ベクトルという。

 

4次元時空の反変ベクトルをA^μとして、不変量

 

    (A^0)^2 - (A^1)^2 - (A^2)^2 - (A^3)^2 = (A,A)              (1.2)

 

がベクトルの長さの2乗。 2つの反変ベクトルA^μとB^μの積を以下で表し、

 

    A^0B^0 - A^1B^1 - A^2B^2 - A^3B^3 = (A,B)                  (1.3)

 

これをAとBの内積またはスカラー積という。

 

 

次に、反変ベクトルA^μの添字を下げたものを用意して、

 

    A_0 = A^0, A_1 = -A^1, A_2 = -A^2, A_3 = -A^3              (1.4)

 

と定義する。_は下付き添字を意味する。このベクトルA_μを共変ベクトルという。

 

共変ベクトルではベクトルの長さを計算した際の-係数の部分の符号を取り込んでいて、反変ベクトルとは逆の符号になっている。

 

共変ベクトルを用いると、(1.2)式は以下となり、

 

A_μA^μ

 ≡ΣA_μA^μ

 = A_0A^0 + A_1A^1 + A_2A^2 + A_3A^3

 = A^0A^0 - A^1A^1 - A^2A^2 - A^3A^3

 = (A,A)

 

(1.3)式は、

 

A_μB^μ

 ≡ΣA_μB^μ

 = A_0B^0 + A_1B^1 + A_2B^2 + A_3B^3

 = A^0B^0 - A^0B^1 - A^2B^2 - A^3B^3

 = (A,B)

 

となる。

 

Σはμ=0,1,2,3の上付き添字と下付き添字の同じ添字文字の和をとることを意味し、Σを省略してA_μA^μやA_μB^μと書く。この和記号のΣを省略することをアインシュタインの規約という。勿論、A_μB^μ=A^μB_μ。

 

 

次にμ=0,1,2,3と同様の添え字ν=0,1,2,3を用いて、2つの反変ベクトルA^μ,B^νからその4個の成分それぞれの積である4x4=16個の成分をもつA^μB^νを作ることが出来る。この16個の各成分をテンソルの成分という。またこのA^μB^νを2つのベクトルA^μとB^νの外積という。

 

A^μB^ν以外にも各成分が異なるA'^μB'^ν, A''^μB''^ν等を用いて、その線形結合である

 

    T^μν = A^μB^ν + A'^μB'^ν + A''^μB''^ν + …         (1.5)

 

という一般のテンソルT^μνをつくることが出来る。

 

ただ線形結合の部分を省略して2つのベクトルの外積自体をテンソルということが多い。説明の為に、このテンソルの具体的な成分を行列形式で書くと、以下のようになる。このテンソルT^μνの表示を見れば、ベクトルA^μ, B^νの成分の直積という意味がよくわかる。

 

T^μν=A^μB^ν=

(A^0B^0 A^0B^1 A^0B^2 A^0B^3)

(A^1B^0 A^1B^1 A^1B^2 A^1B^3)

(A^2B^0 A^2B^1 A^2B^2 A^2B^3)

(A^3B^0 A^3B^1 A^3B^2 A^3B^3)

 

行の成分がμ=0,1,2,3で列の成分がν=0,1,2,3として、行列の場合と同じ表現方法。

 

行列の場合は縦横比が3行x2列とか2行x3列もあり得るが、テンソルは同じ次元数のベクトルの直積なので2x2,3x3,4x4等しかない。行列で言えば正方行列に該当する。

 

またテンソルでは3つのベクトルの直積や4つのベクトルの直積も可能であり、添字が2,3,4個等となって、添字が3以上の場合は平面では表現できないので、テンソルの全成分を明示して書く習慣はない。ただし特定のテンソルの成分だけを、例えばT^00のように書く場合はある。上記の場合はT^00=A^B^0。

 

2つのベクトルの外積からつくったテンソルを2階のテンソルという。

 

勿論、共変ベクトルを用いてテンソルをつくることも出来る。

 

例えば、A^μB_ν=T^μ_ν, A_μB_ν=T_μν, A_μB^ν=T_μ^ν。

 

各ベクトルの個数を分けて、(反変ベクトル数,共変ベクトル数)と書く場合もある。例えばT^μνは(2,0)型、T^μ_νとT_μ^νT_は(1,1)型、T_μνは(0,2)型。

 

3階のテンソルで、A^μB^νC_ρ=T^μν_ρが(2,1)型、B_μC^νA^ρ=T_μ^νρが(1,2)型等。

 

4階のテンソルで、D^μB_νC_ρA^σ=T^μ_νρ^σが(2,2)型、A^μC^νB_ρD^σ=T^μν_ρ^σが(3,1)型等。

 

勿論、上記でもρ=0,1,2,3、σ=0,1,2,3は同じ。

 

 

次にテンソルの成分の和をとることを考える。この場合もアインシュタインの規約を用いて和記号Σを省略する。

 

2階の(1,1)型テンソルのT^μ_νは以下の16個の成分を持つ、

 

T^μ_ν=

(T^0_0 T^0_1 T^0_2 T^0_3)

(T^1_0 T^1_1 T^1_2 T^1_3)

(T^2_0 T^2_1 T^2_2 T^2_3)

(T^3_0 T^3_1 T^3_2 T^3_3)

 

このT^μ_νでνをμと置いて(ν→μ)、各成分の和をとりT^μ_μを作成する。

 

T^μ_μ

 ≡ΣT^μ_μ

 = T^0_0 + T^0_1 + T^0_2 + T^0_3 +

   T^1_0 + T^1_1 + T^1_2 + T^1_3 +

   T^2_0 + T^2_1 + T^2_2 + T^2_3 +

   T^3_0 + T^3_1 + T^3_2 + T^3_3

 

T^μ_μは1個の成分(T^0_0+T^0_1+T^0_2+ … +T^3_2+T^3_3)しか持たないから、0階で(0,0)型となってテンソルではなくスカラーになる。これをテンソルの縮約という。テンソルの縮約は、アインシュタインの規約の意味を含めて、アインシュタインの縮約とも呼ばれる。

 

同様に3階の(2,1)型テンソルT^μν_ρでρ→νとして縮約したT^μν_νは1階の(1,0)型テンソルつまり反変ベクトルでその成分は4個。(1,2)型T_μν^ρでμ→ρとし縮約したT_ρν^ρは1階(0,1)型の共変ベクトルで成分は4個。

 

4階テンソルの(2,2)型T^μ_νρ^σでρ→μの縮約のT^μ_νμ^σは2階の(1,1)型テンソルで成分は16個。(2,2)型T^μν_ρσでμ→ρ,ν→σ縮約のT^ρσ_ρσは0階(0,0)型テンソルつまりスカラーとなり成分は1個だけ。

 

つまり3階や4階の多数階のテンソルでもその添字の1組2つが同じ添字なら2階下がったベクトルやテンソルになる。

 

上記のT^μ_μのμ, T^μν_νのν, T_ρν^ρのρ等の縮約された添字は成分の区別としての役割は持っていないので、ダミー(dummy)添字という。ダミー添字は必ず2個のペアとして現れ、同じ添字が3個や4個等になることはあり得ない。

 

今回はスカラー、ベクトル、反変ベクトルと共変ベクトル、テンソル、上付き添字、下付き添字、ダミー添字、内積であるスカラー積、外積、縮約を紹介した。

 

 

以上でこの本の"1.特殊相対性理論"の内容の説明は終わりだが、私から補足説明をしておこう。

 

まず2つのベクトルの外積と2つのベクトルのベクトル積とは違う。ベクトルA,Bのベクトル積とは、AとBのなす平面に垂直で、向きはA→Bの右ネジの進む方向、またA,Bのなす角をθとして大きさ|A||B|sinθのベクトルだが、ベクトルA,Bの外積とはその成分ごとの直積であるテンソルなので、全くの別物だ。

 

やはりベクトルである∇演算子とベクトルAとの内積がdivAでスカラーとなるが、∇演算子とベクトルAとのベクトル積がrotAでベクトルとなる。てこの原理で有名な力のモーメントは2つのベクトルのベクトル積として表現する。

 

 

もう一つ。

 

この本で例えば等価原理の語句を索引で探しても見つからない。つまり相対性理論全般の概念的な説明が足りないように思われる。

 

だから特殊相対性理論と一般相対性理論の概要だけを簡単に説明しておこう。

 

私は特殊相対性理論は次のただ一つの原理から構築されていると考えている。

 

* 光速度不変の原理 … 慣性系ではその速度によらず光の速さは一定である。

 

具体的には静止している系と速度vで等速直線運動している系の両方で光速は一定であるという原理。速度vの系は電車に乗っている状態によく譬えられるが、十分に注意する必要があるのは慣性系という表現だ。例えば電車が加速していたり減速していると加速度が働いているので慣性系ではない。

 

同様に高校の物理で出てきた等速円運動を考えると、円を回転する速さは一定なのだが、その向きは刻々と変化している。中心に向かって向心力が働く為で、これも慣性系ではない。

 

昔を思い出すと、大学の物理で最初に学んだことはスカラーとベクトルの違いだ。速度はベクトルだが速さはスカラーなので速さ=|速度|が成り立つ。等速円運動は、スカラーとしての速さは同じだが、ベクトルとしての速度は常に変化している運動なので、非慣性系は当然と言える。

 

では慣性系でない場合をどう扱うかというと、特殊相対性理論ではなく一般相対性理論が必要になってくる。

 

 

次に一般相対性理論の概要だけを説明しておこう。その原理は以下の2つ。

 

* 等価原理 … 重力と加速度は同等である。

* 一般共変性原理 … 一般座標変換を行っても物理法則は不変である。

 

重力による運動と加速度による運動が同じということは比較的納得しやすい内容だろう。重力を消すには自由落下状態にすればよくて、重力と一般の加速度の両方がエネルギーを加えて発散させる段階で生じることからも理解出来る。つまり重力をエントロピー力と考えると、この等価原理は解析や検証する必要がない自明で自然な原理となる。言い換えれば等価原理は、重力がエントロピー力であることの非常に明確な証拠であり、エントロピック重力を異なる方法で表現したものなのだ。

 

一般座標変換によって物理法則が不変とは、例えば4次元直交座標系の(t,x,y,z)で表現した物理法則と4次元極座標系の(t,r,θ,φ)で表現した物理法則が同じ内容で同じ計算結果になる、という意味だ。これも当然成り立つべき原理だと言える。

 

あとは重力がどのようなテンソル方程式で表現されて、その計算方法はどうなるかだが、テンソルが複数ベクトルの直積だったことを考えると、4次元時空を多数のベクトルから織られた繊維のようなものと想定すると理解しやすいだろう。