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妊娠の神様に嫌われた女

妊活中の成果はいつも天文学的に悪い方の数字を引いてしまう。受精•着床不全、初期流産、子宮奇形…そして染色体異常の我が子を中期中絶。そんな私に不妊治療を続ける資格はあるのだろうか。

金銭的なことは先に書いたので別の角度から『不妊治療の苦痛』を。もちろんこれは全員にあてはまることではない。


それは…夫婦仲。


タイミング療法の時は、周期を重ねる度に苦痛で苦痛で仕方がなかった。


もともとセックスレスだった夫婦が突然、『この日とこの日にタイミングを取ってください』と言われる訳だ。


タイミングとは性行為のこと。
今からムードなんてない。


なんとなく『今日ね』と言ってみるものの上手く伝わらず、泥酔して眠る旦那を何度恨めしそうに見つめたか。

上手くタイミングが取れず、大喧嘩になった夜もあった。決まって次の日の朝、コトを済ますのだが、義務以外の何物でもなかった。


仲は悪くないし、セックスが嫌いな訳でもない。だからこそ子供も望む。だけど決められた日に『やれ』と言われてやることは、なんとも言えない気持ちだった。


そんな中、人工受精にステップアップし、気持ちの面ですごく楽になった。容器に精子を入れてもらう日時は決まっているので、旦那もきちんと協力してくれた。


体外受精にステップアップする頃には、セックス面での夫婦仲は冷え切っていた。義務感でのセックスなんて燃えるもんではない。


当然、ホッとした。
もうタイミングは不要だ。


きっと旦那もホッとしたと思う。『これでようやく解放だ。高いお金を払うんだからすぐに子供もできるに違いない!』と。


もともと短絡的思考ですぐに暴言を吐いたり、被害妄想が激しい旦那。よく1年弱、頑張ってくれた。


ふたり共が期待していた初採卵。その結果を知ったその日から、どんどん私達夫婦は壊れていった。


旦那の酒癖は悪くなり、暴言だけでなく、物を投げつけ、家具を壊し、身体的暴力をするようになった。


暴力が始まり数ヶ月、治療にも旦那にも疲れ果ててしまった。なんで自分ばっかりこんな目にあうんだ…と。


死んだほうがマシだと思うようになった頃、いつも的確なアドバイスをくれる人に助けを求めた。


私はこの時…
心の解放というものを知った。


 
不妊治療は月日が経つにつれ、大変なものになる。治療に伴う身体的苦痛の度合いはもちろん、終わりの見えない治療に対しての精神的苦痛。


中でも金銭的苦痛は大きい。

旦那に金銭的な文句を言わせないために、1円も出させないと決めた以上、自分で働き、治療費を稼がなければいけない。


初期は保険診療内がほとんどだし、保険外の検査でも数万で済むので大した痛手ではなかった。



体外受精に入ったら一変し、普通に10万単位でお金が飛んでいった。

採卵・卵子活性化・顕微授精・凍結…このセットで60万。


そして移植。
孵化(アシステッドハッチング)・移植で15万オーバー。



1度目の採卵は、卵子が取れなかったので、次周期も再度採卵のため、高いお金が連続して必要になった。

2度目の採卵では1個が正常授精したので、新鮮胚移植するも着床せず。ここで受精障害が判明する。


ストックの受精卵がないため、またまた採卵周期に突入。3度続けての高額支払いは、金銭的にも心身的にもかなりキツかった。


3度目の採卵では、卵子活性化を施したため受精率が上がり、3つの受精卵ができた。内ふたつは胚盤胞。これで2周期分の移植が可能になるも、やはり着床せず。

4度目の採卵では金銭的限界が見えてきた。これが最後の採卵だ…と。結果、胚盤胞が7個ができた。初期胚盤胞や一部コンパクションなどを含めると凍結胚は11個になった。


2度目の採卵まではストックできる受精卵がなかったので、当然凍結代はかからない。3度目もストック数が少ないので凍結代としては大した金額ではなかった。


しかし、お金の底が見えてきた4度目の採卵時、ストック数は11個。年間での凍結代がかかるので20万弱支払った。これは誤算だった。


全財産を不妊治療にかけられるわけもなく、残りの貯金では一度しか移植しかできない。

3回分の助成金(府→計45万、市→5万)が下りるのを心待ちにした。


体外受精をした8割の人は、3回目の移植までで妊娠するらしいのに、私はすでに4回目。着床すらしなかったこともあり、かなり追い込まれていた。



4度目の結果は…

待ち望んだ陽性反応!



この妊娠が今回の妊娠だった。


喜びの陽性反応から4ヶ月後、待ちに待った奇跡の我が子はダウン症を患っていたんだ。


 
不妊治療専門のクリニックに通い、一年間は本当に純粋に子供を待ちわびた。『純粋に』というのは、陰から見られても恥ずかしくない生活をしていた、ということだ。


仕事はフルタイムで男並みに働き、手抜きはするけど家事もこなしていた。容姿はともかく身なりは小綺麗。旦那の我儘は笑顔でかわし、旦那の両親とも仲良くし『いい奥さん』だったと思う。


過去に妊娠したことがあるし、私は不妊ではないと思っていた。ただ年齢的にゆっくりしている時間はないと思っただけだった。


2回目のタイミング療法で陽性反応が出るも、胎嚢が見えたすぐ後に初期流産。

それでもその時は『ほら、すぐ妊娠できるんだから』そう思ってやまなかった。


しかし、それ以後は着床することもなく、検査をする度に悪い結果。

子宮腺筋症から始まり、高プロラクチン血症(100以上)、片側の卵管閉塞が判明。それでもなんとか心折れずがんばっていた。



だけど神様は『過去の私』をお許しにはならなかった。



体外受精に踏み切り、初めての採卵。

結果は…12個採卵するも卵子がゼロという悲惨な結末だった。しかも謎のhCG反応。採卵周期前に妊娠反応がないかは確認済み。

ショート法が合わなかったのか、謎の妊娠反応のせいなのかは分からないけど、『卵子がゼロ』という事実は確実に私たち夫婦を壊していった。


 
自分自身がダウン症の子を身ごもり、初めて真剣に考えた。単純に子供が欲しいなら、障害の有無は関係ないんじゃないか…と。

ましてや不妊治療をしておきながらも、中期中絶を行うなんて、頭がおかしいんじゃないかとも。


ダウン症について検索し、たくさんのブログや掲示板を見た。

その中で一番印象強かった言葉…



天使はいらない
欲しいのは人間



…強烈だった。

いろいろ突っ込みたい言葉ではあるが、否定はできない、そのとおりだった。



そもそも私は『ダウン症は天使』という言葉が嫌いだ。天使なんかじゃない、ひとりの人間だ。

天使のような…という比喩ってこと位わかるけど、その例えが嫌いなんだ。

我が子の可愛さを『天使』で表現するのはわかるけど、『ダウン症=天使』はおかしい。


おかしいと思う私がおかしいのだろうか。そんな私だから、神様は私にダウン症の子を身篭らせたのだろうか。

今、お腹の中にいる21トリソミーの女の子は、私に何を教えようとしているのだろう。


少なくても、我が子には我が子の使命があるはずだ。私はその使命をしっかりと受け止めなければならない。


…あと数日で、私はひとつの命を消すのだから。


 
羊水検査をすると決めた時点で『陽性=中絶』と決めていた。その選択をする際は『旦那と離婚し、罪を一生背負う』と。もちろん、陽性(染色体異常)があると事前に知っていても産む人もいるだろう。


だけど私には…無理だ。


こういう意見を書くと、バッシングを浴びるだろうけど、私は『健常児』の赤ちゃんを授かりたいのだ。

もちろん、障害を持って生まれた子や、事故や病気などで障害を持った人を差別したり、人格を否定したりはしない。


しかし…

例えば、ダウン症の子供を持つお母さんによく投げかけられている『尊敬するわ』『偉いと思う』という言葉には違和感を感じる。

親しい人以外から受けるその言葉は、なんだか…見下している・哀れんでいるように聞こえる。


何が偉いの?
何が凄いの?
どこに尊敬するの?


正直に言えばいい。
「大変だね」って。


子育てだけでも大変なのに、加えて障害があれば心身共に苦労が増えるし、現実問題お金もかかる。

障害があろうがなかろうが、子供を捨てたり殺したりすることは出来ない。育てていくしかない。


誤解しないで欲しいのは、子育てする人全般に対しての尊敬の念とは違う意味で発せられる『偉い』『凄い』『尊敬』である。



綺麗事は言わない。世間は偏見にあふれている。『染色体異常の子は産まない』と決めた私も、やっぱり偏見に飲み込まれているんだろう。


出産後に分かった障害なら、しっかりと受け止めて育てていく。だけど、事前に分かる障害なら…諦める(堕胎する)。

羊水検査を受ける人の多くの意義は ”そこ” だと思う。 

『事前に障害があるとわかれば、心の準備や、物的な調整ができるから』と言う人もいるけど、ごく一部だと思うし、結果論で陰性だった人の言葉が多い。


『出生前診断は命の選別』と批判する意見もあるが、私はそれも否定しない。選別といえば選別だ。だけどどんな選択をしても、外野が勝手で無責任な意見を言う必要はない。

育てていくのは当本人だ。



学生の頃、こんな授業があった。

羊水検査を受けたら染色体異常が見つかりました。あなたはどうしますか?

加えて先生はこう言った。

『「障害があっても命の重さは変わらないから産みます」という安易な意見はいらない。』


産むという選択をする時は、自分の人生が終焉を迎えた後、その子がどういう風に生きていくかまで考えなければいけない。

堕ろすという選択をする時は、ひとつの命をこの世から消し去るという意味を考えなければいけない。

当時は出なかった答えが、当事者になって初めて答えが出た。


あなたならどうしますか?


 
自分自身が羊水検査で陽性であることがわかり、染色体異常を理由に堕胎することになった時、これ程のネット社会に ”その情報” が少なすぎることに驚いた。

しかも13トリソミーや18トリソミーなどは『まだ仕方がない判断』だと受け入れられているが、21トリソミー(ダウン症)での中絶となると話が別だ。


極端に情報量が少なくなる。


鬼畜、非道、命の選別…たくさんの批判や罵りの言葉であふれた情報ばかりで、知りたい情報は伏せられているのが実情だ。


統計的には羊水検査で染色体異常が判明したほとんどの人が中絶を選択しているのにも関わらず、染色体異常で一番多いとされるダウン症の方の情報だけ見当たらないのもおかしな話だ。


もちろん、『中絶』を良しとしている訳ではない。


だけど私は『ダウン症の赤ちゃんをおろした』という事実だけは曲げようがない。このブログを見て、私の考え方や書き方に悲しむ方もいらっしゃるかもしれないけど、それでもあえて書いている。


中期中絶を選ぶことは簡単なことではない。想像以上の痛みも、莫大なお金も、予後の精神状態もボロボロになる。

それでも『命を絶つ』責任を負いながらも、前に進んでいこうとする自分勝手な私と同じ立場・同じ思いの人がいるかもしれない。

『羊水検査 ダウン症 中絶』での検索で、こんなしがないブログにたどり着く方が多いのも、ネット上にその情報が少ないが故だと思う。


いろんな不安を抱え、羊水検査の結果を待つ人や、”判断” に迫られている人、”中絶” を選んでやり場のない思いに心を痛めている人に真実を伝えたい。


仲間や同士を作り、中絶を肯定したいんじゃない。だけどやっぱり気になるんだ。


『中期中絶は痛いのか』
『費用は?』
『中絶の流れは?』
『予後の体調は?』
『どれ位で再治療?』


人は人だと理解しつつも、誰かと自分を比べたり、安心したり希望を持ったりしたいんだ。


少なくとも私は…知りたい。

そしてやっぱり…
『ひとりじゃない』と思いたい。


 
私はよほど『神様』に嫌われているらしい。思い当たる節は…山のようにある。だからと言ってここまで酷い仕打ちをなさるとは、神様の権力とはすごいものだ。


神様に嫌われた理由は…

①堕胎を1回
②不倫


特に不倫はスピリチュアルな世界ではタブーとされているらしく、本当に『神』や『仏』や『霊』がいるならば、私は確実に報いを受けていることになる。


男運もない。

いや、男を見る目がないだけかもしれないが、1番目の旦那も2番目の旦那も暴力亭主。付き合っていた頃は優しかったのに素質に見抜けなかったバカな私。


2番目旦那の扱い方がわかってきたせいか、直接的暴力はなくなり、私の年齢も35歳を過ぎたのでさすがに子供が欲しいと望むように。


しかし妊活に関しては最悪だった。天文学的数値な不運を何度も乗り越え、二年間の不妊治療の末に授かった子は21トリソミー…ダウン症だった。


お腹の中で「生きたい!」と動く我が子を…おろす決断をした。

中期中絶?
いや、れっきとした殺人だ。


殺人を犯した私に与えられる次なる罰はなんなんだろう。羊水検査をすると決めた時に、「もしも堕胎をすることになったら旦那とは別れて罪を一生背負う」と決めていた私なのに、それでもまだ懲りずに不妊治療を続けようとしている。


そもそも…子供を持ちたいと願ってはいけないのだろうか。