大谷レディースクリニックの着床前診断について、遺伝カウンセリングで教えていただいた内容を記載しておきます。
【着床前診断とは】
・受精卵の着床前診断とは、「子宮内に着床・妊娠する前の受精卵の一部を用いて行う遺伝子あるいは染色体の診断」である。
・aCGH法(アレイシージーエイチ法)を用いて、
24種類ある染色体の全ての数を調べる。
・受精卵の着床前診断は、着床可能で妊娠継続可能な染色体を持つ受精卵を選んで子宮に戻すことにより、体外受精の妊娠率を上げ、流産の可能性を減らすことを目的に実施するもの。
・米国、REPROGENETICS研究所-Santiago Munne博士と協力して実施している。
【着床前診断の手順】
・体外受精・胚移植法、胚生検法及び遺伝子診断法の3つの技術が用いられる。
・5~6日目位までに胚盤胞になった卵から、2~5細胞を直径約30ミクロンのピペットで吸引して採取し(胚生検)、診断に用いる。
・aCGH法により24種類全ての染色体の診断を行う。
【染色体診断の精度】
・受精卵が
正常型の染色体をもつと診断できる確率は97%程度。
・診断精度がどんなに上昇しても誤診の可能性はゼロではない。
・染色体異常以外が原因の流産もあるため、着床前検査を受けても
流産の確率は10%程度残る。
・
染色体異常児が生まれる確率は、着床前診断を受けない場合に比べて1/30以下になるが、染色体異常児が生まれる確立は残る。
【子供の予後について】
・胚盤法から2~5細胞を取っても受精卵のその後の発育に異常はない
・着床前診断によって生まれた外国の約30,000例異常の子供に関する異常は報告されていない(2010年10月現在)。
・新しい診断法であることから、安全性に「全く問題がない」と断定できないとする意見も一部にある。
【診断不能の受精卵および余剰受精卵の取扱い】
・異常な染色体を持つと診断された受精卵と同様に、これらの受精卵は凍結保存するか破棄するかを決めることができる。
【費用について】
・健康保険の適用はない。
・胚盤胞の数により費用が異なる。(→
詳細)
・他院の凍結胚を移送して検査することができる。(→
詳細)
【その他:遺伝カウンセリングより】
・特に異常のない方の自然妊娠でも、受精卵の約25~30%しか出産まで至らず、残りは着床しない、流産、あるいは死産してしまう。
・
正常卵と診断された卵の着床率は約50~60%で、年齢による率の差はない。
・39歳までなら
5個程度の胚盤胞で約60%の人が出産に至っている。
・40歳を超えると15個以上採らないと結果が出にくい。
・通常は細胞分裂におけるエラーの結果として染色体異常が起こる。(受精後の分裂のタイミングで起こる)
・年齢が高くなるほど、各染色体が縦に割れにくくなり(剥がれにくくなり)、分裂がうまくいかなくなる。
・
胚盤胞の染色体異常率は34歳以下で59%位、
35~39歳で63%位、40歳以上で74%位。
・胚盤胞にならなければ着床前診断はできない。
・転座ではない人は貯卵はできない。
・大谷LCでの羊水検査や母体血清マーカーなどの出生前検査は行っていない。
(
羊水染色体検査、母体血清マーカー、母体血胎児染色体検査(新型)を受けなくて済むようにと考えられたのが着床前検査である・・・と、大谷院長は考えられているため。)
・大谷LCで着床前検査を行い、出産に至った方の予後も追いかけているが、現在のところ
染色体異常をもった児は産まれていない。
【私の場合の確立】
例:出産時の年齢が38歳で着床前検査を受ける場合
・着床率が約38%から約60%に上がる。
・21トリソミー(ダウン症)の確立は1/80から1/2400になる。
(着前後は21トリソミーになる確率は1/30になるので『1/80×1/30=1/2400』)