10月中旬に4齢幼虫になった後、1週間見ない間にいつの間にかツノが丸っこく変化しお馴染みの越冬幼虫の姿になったゴマちゃん。

↑左の4齢から、右になるまでの1週間の間に脱皮したかどうか不明。5齢かもしれない右。


自分の居場所と決めた葉っぱの葉柄を糸で留めているようで、その後数日は他の葉っぱに出かけて食べては元の葉っぱの台座に戻り、食べては戻りを繰り返していた。



↑糸で留めた葉っぱの隣近所を食べ尽くすゴマちゃん



最終的には留めてあった葉っぱも食べてしまい別の枝に移動していったが、移動した先でも1枚の葉っぱの葉柄を留めて台座を作ってそこに居座っていた。

↑11月4日 食べる葉っぱは留めてないみたい。



やがて11月初旬頃からはゴマちゃんは摂食をやめ、糸で留めた葉っぱの表面でじっとしているようになった。

↑11月8日 色が薄くなった。


↑葉柄はしっかり留めてある。



隣近所の葉っぱがどんどん落葉していく中、ゴマちゃんが居座っているこの1枚は葉柄が枝から取れても糸でしっかり留まっており、ゴマちゃんの意図によって落ちないようにされているものと思われた。


徐々に体の色が変わっていき、茶色っぽくなっていく。11月下旬、越冬幼虫のお馴染みの色の茶色になった。

↑11月12日 葉っぱと同じ、薄い透け感のあるマスカット色。


↑11月16日 黄色っぽさが加わり背中の突起は茶色。


↑11月19日 茶色さが増している


写真を撮り忘れたが11月21日もまだ同じ場所にいたが…



中1日空いて11月23日に見ると、あの場所に居なくなっていた。



エノキの根本を見ると…


落ち葉の上に移動していた。



あぁついに!!

こうして越冬幼虫になるのだね。

大好きなゴマダラチョウの生態に一歩迫ることが出来た、ワクワクする観察の日々でしたニコニコ飛び出すハート



越冬幼虫が4齢なのか5齢なのかは、来年秋の観察に持ち越し魂が抜ける




私はゴマダラチョウの幼虫が大好きだ。

先日、お散歩中に樹高30cmくらいの小さな小さなエノキの幼木に、なんとゴマダラチョウの2齢幼虫が1匹ついていた。


東京都区部〜多摩地区でエノキの幼木上で見つかるゴマダラ系の幼虫はほとんどが特定外来生物の「アカボシゴマダラ」だが、200回に1回くらいはゴマダラチョウを見つけることが出来る(気がする)。



で、歓喜して持ち帰り、飼育。

これまでもゴマダラチョウの越冬幼虫を持ち帰って飼育し羽化させたり、夏型の幼虫を見つけて持ち帰って飼育し羽化させたりしたことはあったが、「秋に生まれて越冬幼虫になるまでのステージ」を観察したことは無い。


なので、これは越冬幼虫になるところを観察し得る、絶好のチャンス!



9月28日

2齢で発見

ゴマダラチョウがついていたエノキの幼木

↑ここに居たの!葉っぱごと取っちゃったけど!


ゴマダラチョウ2齢幼虫




10月3日

3齢になってた

ゴマダラチョウ3齢幼虫


ゴマダラチョウ3齢幼虫の顔



10月10日

4齢になってた

ゴマダラチョウ4齢幼虫


ゴマダラチョウ4齢幼虫の顔



まだまだ夏の装い。これはもしかしてこの秋の間に成虫になってしまうのか?とソワソワして観察を続けていたところ…



10月18日

あれ?形が変わっているよ?

明らかに毛が増えてツノが太く丸っこくなって、越冬幼虫の形態に様変わりしている!

体長に変化は無く、1cm程度。

越冬態勢に様変わりしたゴマダラチョウ4齢幼虫

↑衣替え完了


越冬態勢に様変わりしたゴマダラチョウ4齢幼虫の顔

↑ニコニコ('ω')


↑ 左:1週間前の4齢幼虫。ツノは細く枝分かれ。

 右: 現在の姿。





この1週間、ツブサな観察を怠ってしまっていたので脱皮したのかしてないのか分からないけど、いつの間にか衣替えが完了している…!

文献上はゴマダラチョウ越冬幼虫は4齢とされている。

脱皮せずに毛が増え、ツノの突起部が吸収され丸っこくなったのだろうか。この謎の解明は、来年秋の宿題として持ち越しである。



そして、エノキの根本に降りるまでこの葉っぱに居座ることを決めたのか、葉っぱが落ちないように葉柄を糸で留めてあった。

ゴマダラチョウ幼虫がエノキの葉柄を糸で留めてあった




↑下の葉っぱはこの前までゴマちゃんが居た葉っぱ。台座は残っているが、葉柄は糸で留めてない。


夏の終わりに生まれてまだ落葉を経験したことのないこの子が、落葉を知っているの?It's amazing!

昆虫の本能ってすごすぎるー爆笑



10月23日

めっちゃ葉っぱ食べてあった

しかもちょっと大きくなってる



過去の観測から、ゴマダラチョウ幼虫が冬越しのためにエノキの根元に降りてくるのは11月下旬頃。それまで1ヶ月間、どのような挙動を取るのか興味津々である。



→ To be continued !!



昨シーズン、我が家で飼育したセスジスズメ、コスズメ、ブドウスズメに寄生し食い荒らしてくれたにっくきヤドリバエ。

ヤドリバエは、その種によって様々な寄生ルートを持つそうだが、ある種のヤドリバエは寄主となるイモムシの食草に卵を産み付け、食草とともに卵がイモムシに食べられることでイモムシの体内に取り込まれ、寄生を成立させるという。そして寄主が蛹になった後に蛹の殻を食い破ってウジ虫が外に這い出し、脱出から数十分後に脱皮することなくそのまま蛹になる(囲蛹)。

コスズメ蛹から出てきたヤドリバエ幼虫

↑昨シーズン、コスズメ蛹を食い破って出てきたヤドリバエ幼虫


コスズメ蛹から出てきたヤドリバエ幼虫

↑「プニー!」


コスズメ蛹から出てきたヤドリバエが蛹化し囲蛹になった

↑脱皮することなくそのまま蛹化したヤドリバエ(囲蛹)


私の住むエリアでヤブガラシの葉を野外から採取してくると高率にヤドリバエの卵が付いているようで、卵から室内飼育しているスズメガたちであっても寄生バエにやられてしまっていた。

ヤブガラシの葉を1枚1枚スポンジでこすり洗いしても、5割程度のスズメガは寄生されてしまっていて、もうガックリきていた。


このヤドリバエの種類を同定してやろうと、にっくきヤドリバエの囲蛹を虫かごに入れて大切に保管していたが、羽化することは無かった。

乾燥に弱いのだろうか。


そして秋のある日。娘の幼稚園降園後に公園で残り遊びをしているのを見守っている時、ヤブガラシの葉から葉へ飛び回るハエを見つけた。

もしやと思ってじっと観察していると、葉の裏に回り込んでどうやら卵を産みつけているらしかった。


オ・マ・エ・が!にっくきヤドリバエの正体か!

ヤブガラシの葉を裏返して確認すると、黒い小さな卵らしき点を確認できた。

ヤブガラシの葉裏に産み付けられたヤドリバエの卵

↑尖らせた0.5mmのシャーペンの先端で点を描いたくらいの大きさ。



これが、ヤドリバエの卵!

肉眼で見えるくらいの大きさではある。


よし、今後はこの卵を目視で確認の上、ゴシゴシ洗い流してスズメガに食草を与えれば寄生を防げるぞ。降園後の見守り最中の、思わぬ収穫に大満足。



そして10月某日。その3週間前に桜並木のアスファルトで見つけて持ち帰ったモモスズメ終齢幼虫が潜ってった鉢植えから、1匹のヤドリバエ成虫が出てきてメッシュケースの中をブンブン飛び回っていた。

くっそー!モモスズメの羽化を心待ちにしていたのに!ヤドリバエが寄生していたのか!


憎くて憎くてたまらないヤドリバエを、やっと写真に収めることが出来た。ヤブガラシに卵を産んでいたあの子と模様はソックリである。

モモスズメ蛹から出てきたヤドリバエ

↑羽の縁が虹色に輝いているのが美しい。憎いけどね!


モモスズメ蛹から出てきたヤドリバエ

↑白い面に黒い点々が、ホラー映画「13日の金曜日」のジェイソンみたい驚き


モモスズメ蛹から出てきたヤドリバエ



とてもユニークな顔をしていて、なんとなく可愛くも感じられる。

残念ながら、良い資料に辿り着くことが出来ず種の同定は出来なかった。

→2025/11/24追記: 「ハエハンドブック」(熊澤辰徳 解説/須黒達巳 写真/文一総合出版/2024年5月)によると、「ギンガオハリバエ Nemorilla floralis」に一番近いようだ。



たとえ私にとって憎くてたまらない寄生バエであっても、彼らはただ与えられた命をDNAに従い一生懸命に生きているだけなのだ。憎いけど殺処分にはせずに、野外に放つことにしよう…。



結語:ヤドリバエの種の同定は出来なかったが、卵がどんなものかが分かった。今後のスズメガ飼育羽化率向上のために有用な情報なので、ここに共有させて頂いた。


当時4歳だった娘が公園で見つけたブドウスズメの卵を飼育したことから始まったスズメガmyブーム。

意外と身近に居ることを知り、見つけた卵・幼虫は連れ帰って飼育する日々を2シーズン送ってきた。


飼育する前は、スズメガといえば目玉模様がいっぱい並んだ黒い巨大イモムシ、セスジスズメしか知らなかったので、その可愛らしいピコピコ動く尾角が一体何のためにあるのか分からなかった。

セスジスズメ終齢幼虫

↑セスジスズメ終齢幼虫




セスジスズメと食草を同じくするコスズメ、ブドウスズメの尾角はピコピコ動かないので、更に疑問は深まるばかりだった。

コスズメ中齢幼虫

↑コスズメ中齢幼虫


ブドウスズメ中齢幼虫

↑ブドウスズメ中齢幼虫




しかし。スズメガ科ウチスズメ亜科に属するウンモンスズメを飼育した時に、初めて尾角の存在意義に納得する。



ウチスズメ亜科のイモムシたちの体側面には、「斜条」という白い斜めの線が走っている。

これを背中側から見ると見事に葉脈に擬態していることが分かる。

ウンモンスズメ中齢幼虫の白色斜条

↑白い斜条は種によってバリエーションがある。


丸まったケヤキの葉にそっくりなウンモンスズメ中齢幼虫

丸まったケヤキの葉っぱにソックリ!



三角頭に縦に走る白線は、頭を上に向けると体側面の斜条の向きと揃い、頭まで葉脈に見事に化ける。

ウンモンスズメ中齢幼虫の三角形の顔

↑顔の白い縦の線が体側面の斜条と同じ向きになっている写真は撮ってありませんでした魂が抜ける


そしてウンモンスズメの尾角は、食草ケヤキの葉柄の色に完全一致しており、結果として幼虫の虫体全体がケヤキの葉に見事に擬態していたのだ。

ケヤキの葉にそっくりなウンモンスズメ中齢幼虫

↑尾角が赤褐色でケヤキの葉柄にソックリ。


尾角を含めたこの見事な擬態のお陰で鳥などの天敵からの捕食を免れ、結果的に脈々と受け継がれて来た形質なのではないだろうか。



その仮説を支持するもう一つの事例が、シモフリスズメだ。シモフリスズメの食草はイボタノキ、クサギ、シソ、オリーブ、ネズミモチ、トネリコ、ノウゼンカズラ、キリ、サカキ、ナスなど公食性と言われるが、中国原産の園芸種ボタンクサギもよく食べる。そのシモフリスズメの尾角がこちら。

シモフリスズメ終齢幼虫


シモフリスズメ終齢幼虫の尾角


顕著なイボイボを持つ尾角。これが!食草ボタンクサギの葉柄・茎の皮目(イボイボ)に見事に擬態しているように私には見えるのだ!

ボタンクサギの茎

↑ボタンクサギの茎


とすると、シモフリスズメのもともとの食草はボタンクサギで、生息域が拡大・拡散していく時に他の様々な食草を食べるようになったが形質はまだ残ったまま、という可能性が考えられる。

ボタンクサギの原産地とシモフリスズメの生息域が被っていれば、より信頼性は増すはずだ。



さらに、先日桜並木のアスファルトで見つけたモモスズメ終齢幼虫。

サクラの丸まった葉にそっくりである。

サクラの丸まった葉っぱにそっくりなモモスズメ終齢幼虫





ホシホウジャクの食草ヘクソカズラは、葉の根本が葉柄を抱くようなハート型になっているが、ホシホウジャクの尾角はこの葉っぱを裏からまたは横から見た時の葉柄に擬態しているように私には見える。

ヘクソカズラの葉にそっくりなホシホウジャク終齢

↑上段:ヘクソカズラの葉  下段:ホシホウジャク終齢幼虫


そして食草ヘクソカズラの茎の色とホシホウジャク終齢幼虫の尾角の色が、完全一致!ミラクル!

ヘクソカズラの茎の色にそっくりなホシホウジャク終齢幼虫の尾角

↑グリーンと赤のグラデーションが一致!



じゃあ、セスジスズメの尾角はどういう擬態?って聞かれると、答えに窮してしまうのだけど…。

ウチスズメ亜科とは違った進化の過程があったのでしょうか。進化の途中なのでしょうか。わかりましぇーん。



そして、非常に特徴的な尾角を持つクロメンガタスズメ幼虫(自分で見つけた経験が無いので画像がありません、気になる方は調べてみて下さい❣️)。

チョンボリチョロリという言葉がピッタリのくるんと曲がった尾角はなぜそんな形になったのか謎が多すぎるが、もしかしたらクロメンガタスズメの元々の生息地における食草が、こんなイボイボのクルクルしたつる植物だったとか?

そんなことを妄想しつつ、いつかクロメンガタスズメ幼虫の飼育を夢見るのでした。

(ナスの葉っぱを食べるので東京都内でも畑に居るんだそうです!見かけたら教えてください!)




以上、スズメガ大好き素人の考察でした!



自宅から数軒先の道路上をセスジスズメ終齢幼虫が歩いていたので保護して飼育。


昨シーズンは寄生蜂と寄生バエにやられて羽化率15%の散々な成績だったが、今年はなんだか上手く行っている。

保護したセスジスズメ終齢幼虫ちゃんは無事に蛹化し、今朝羽化したところを娘が気付いて教えてくれた。

急いで写真を撮る私。

あー 可愛いニコニコ



可愛いね〜 可愛いね〜 と言って

撮った写真を娘と一緒に見返していた時、気付いた。


スズメガの顔って、マズルがあって哺乳類みたいで可愛いなーと思っていたけど、このマズル、、、




羽化したての時は無い!




羽化して少し経ってから、左右の小顎の一部分が正中で合わさってマズルのような形になっている。知らなかった…。

そういえばエビガラスズメも羽化直後、口の辺りがガシャガシャしてた。


↑2024年9月に羽化したエビガラスズメ3号。


↑2024年9月に羽化したエビガラスズメ3号


↑ガシャガシャしたのがストローの両脇にあるね!?


↑ストローの両脇のガシャガシャしたのが正中で合わさって、ハムスターのマズルのようになっている。可愛い。




スズメガを可愛くしてくれているこの部分、何て名前なのかな?

これが無いと、蝶々と同じような顔になるんだね。



スズメガ飼育、新しい発見がとても楽しい♪



2025/9/21 追記

オオスカシバも羽化直後に写真が撮れたので追加で載せときますにっこり

↑羽化直後。



↑羽化直後。ストローの両脇に鞘のようなアゴ。


↑羽化してしばらくしてマズルが出来上がったところ。凛々しい。