自然観察会やお散歩などで虫探しをしながら草木をじっくり観察していると、時々見つける何かの卵。
調べたところによると、これはカメムシの卵らしい。模様も無く、ただの白い丸い卵で何の面白味も無いと思って興味を持たなかった私。
だがしかし!
私が師事している樹木医兼インタープリターの瀬尾一樹さん
に道端の雑草を教えて頂いている時に、瀬尾さんがマツの枝に付いているカメムシの卵の殻を発見。「カメムシの卵ってフタがついてて、フタを開けるためのプルタブまで付いてるんですよ」と言う。
え!?プルタブ?
オイオイ何言ってんのこの子?
と思って一生懸命見るも、肉眼では小さすぎてよく見えない。瀬尾さんがオリンパスTG-6で写して拡大して見せてくれた。なんか、黒い三角形が卵のフタの縁に付いている。
ほぉぉぉぉ〜〜〜。
TG-6すげぇ。
いや、カメムシの卵すげぇ。
生物の進化は合目的的ではなく自然選択の結果であると専門学校時代に学んだが(目的論とダーウィンの自然選択説)、プルタブが自然選択によって出来た産物とは信じ難い。合目的的でなくあんな物が作れるわけ?
好奇心のスイッチが入った私。
プルタブの動きが気になって気になって文献を漁る日々。
プルタブってことは、支点・力点・作用点があって、力点の力をうまいこと増幅させて作用点に届けるっつーことだよね。
↑暑くて火を使いたくない時の食事に持って来いの、いなばの缶詰。カメムシの卵にはこのプルタブが付いている…⁉︎
このカメムシのプルタブについてネット検索でHITした記事は難解で私の頭では理解出来なかったので、自分の目で確かめることにした。
そうしてカメムシの卵を求めて彷徨い歩く日々が始まった。しかし見つかるのは孵化後の卵ばかり。
なかなか無いもんだな〜と挫けそうになっていた時。娘がいつもお世話になっているシッターさんから、「我が家の朝顔の蔓に謎の卵があるので良ければ持って行きましょうか?」と連絡が。これこれ!探し求めていたカメムシの卵はコレですよ❗️
ナイスタイミングすぎない⁉️自分の子供のシッターさんからカメムシの卵もらう親ってこの世のどこに居るんだよ⁉️と思いながら「はい!欲しいです!」と即答。
そうして手に入れた、未孵化の卵たち。
朝いただいた時は真っ白だった卵たち。仕事が終わって帰宅した時にはヒヨコみたいな模様が浮き出ていた。かわいい
このヒヨコのくちばしみたいな三角形が渦中のプルタブだ。この三角形の構造物は「卵蓋破砕器」というらしい。
↑「千と千尋の神隠し」のオオトリ様がお風呂に入っている姿を連想させ、なんだかかわいい。
こりゃ〜、今日明日中には孵化するかもしれない。そう思ってこまめに観察すること一夜…
翌朝、朝一のチェック時にはまだ未孵化だった卵たちが、朝風呂終えて出てきた時にはもう一斉に孵化が始まっていた。
ぎゃー
カメラカメラ!
急いで動画撮影を開始。
肝心の卵のフタが開くところは見られなかったものの、なんとなく三角形の働きや、三角形と幼虫との位置関係が分かった。
どうやら、三角形は矢頭のような形をしていて、カメムシの幼虫がふにゃふにゃの柔らかい頭で三角形を押すと矢頭の先端の一番とんがっているところがフタのフチのミシン目に当たり、それで切れ込みが入って皮切りとなるようなのだ。
一旦切れ込みが入ると、そこからビリビリとフタのフチのミシン目的な線に沿って切れ目が広がっていき、フタが開いた隙間からカメムシの幼虫が出て来て体幹でフタを更に押し開けて最終的にフタは全開、ということのようだ。
↑卵蓋破砕器を真上から見た写真。尖っているのが見えますかね?矢印がちょっとズレちゃいました💦
実際のサイズはこんなもん。超小せぇ。
↑私の人差し指と比較
数時間後に見ると、カメムシたちに色がついていた。これは何カメムシだろう?
あぁ10ヶ月越しのモヤモヤが解けてスッキリ。
(正解かどうかは置いといて自分の中で結論が得られたのでOK)
しかし、これが自然選択によって出来た産物だとは…。この世は、生き物は、不思議だらけでamazingだ。
都市公園のゆる〜いネイチャーガイド
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