超自己満足的自己表現 -458ページ目

うれしはずかし恋愛生活 東京編 (23)あれから1年・・・

 毎日が忙しすぎてあっという間に過ぎた日々・・・。気がつくといつの間にか、くそ暑い夏になっていた。無我夢中で官房長官の公設秘書をして何とか周りについていけるようになった。いろいろな代議士の公設秘書先輩にも可愛がられている。もちろん総理大臣の息子だからって特別扱いはなしだ。バシバシ先輩秘書や代議士たちに鍛えられているのは言うまでもない。


 僕は官房長官の窓口的な仕事を受け持っているので東京と官房長官の地元である宮城を行ったりきたりしている。毎日残業はざら・・・。休みもほとんどないに等しい・・・。


綾乃と入籍して半年以上が過ぎた。綾乃はこんな僕に文句ひとつ言わずに毎日送り出してくれるし、夜遅くなっても起きて待っていてくれるんだ。ホントに綾乃と一緒になってよかったと思っているよ。だから僕は毎日綾乃のために一生懸命がんばっているんだ。


 僕は未だに電車が怖い。最近になってやっと東京-仙台間で移動のために新幹線を利用できるようになったものの、必ず先頭車両には乗らない。ど真ん中を押さえる。どうしても精神的に乗れないときは自費でも飛行機に乗ったり、自分で車を運転して行ったりするんだ。


 脱線転覆事故から1年になる・・・。 もう1年か・・・早いものだ。一応僕は被害者だから、被害者の会というものには登録している。父さんも本来なら入りたいらしいけれど、やはり総理大臣という立場上そうはいかない・・・。よく考えてみてよ。もと国鉄といわれた鉄道会社とそれを管轄する国交省が絡んでくるんだから・・・。でも未だにごたついている補償問題を父さんはなんとか上手くいくように水面下で行動しているのは確かな話・・・。しかし今まで過去に起こった事故補償の例を無視できないから、それも難しいところだ。


事故原因は鉄道会社にあったという見解は真実だからね・・・。車両の整備不良やいろいろな原因が重なって起きた事故だったんだ・・・。まあ綾乃のお父さんがすばやい指示でレスキューと陸上自衛隊災害派遣部隊を迅速に動かして、最低限の死者で済んだ評価は未だに高い。以前起きた脱線事故ではレスキューと自衛隊の意思疎通が上手くいかずに手間取り、生きなければならなかった人たちまで亡くなったという教訓があるんだ。


「レスキューも自衛隊も関係ない!早く救助を!生きるべき乗客を早く助けろ!」と綾乃のお父さんは消防庁から派遣された隊長さんに怒鳴って、自ら陣頭指揮をしながら現場で救助を行ったという・・・。やはりすごい人だ・・・。あれ以来お父さんを悪くいう人はいなくなったって聞いたよ。


やっと事故後1年、お父さんは功績が認められて陸将補から陸将に昇格して、今度定年退職で空席になる東部方面総監に任ぜられることに決まったらしい。誰も文句いう人なんていない・・・。


事故が起こった日、僕は休みを取って慰霊祭に出かける。もちろん父さんは遺族会や被害者の会にお願いされて、出席し挨拶することになった。もちろん僕は最後に助けられた被害者として挨拶をするんだけど・・・。(はじめは断ったよ・・・。)言葉を考えるのに結構徹夜したし、父さんと言葉が重ならないように打ち合わせもした。 綾乃のお父さんは当時の派遣部隊を代表して出席している。もちろん公の慰霊祭だから、礼服に飾り緒、そして帯剣という最高の礼装で出席する。



NEX事故から1年
 まず父さんの挨拶から慰霊祭が始まり、国交省大臣やら鉄道会社、遺族、そして僕が被害者代表で挨拶をした。そして事故が起きた時間に全員で黙祷をし、献花が行われる。父さんは献花が終わると公務があるから官邸に戻って行ったけど、初めて事故以来事故現場に訪れた僕はなんともいえない気分で関係者が献花しているのを見つめる。


はっきりいって僕の場合は全然覚えてないんだけど・・・。事故前は熟睡してたし、事故後気がついたのは1週間後だったし・・・。救助を待つ間の出来事なんて覚えているはずはない・・・。ホントは挨拶は断ったんだけど・・・。ホント複雑・・・。僕よりももっと苦しんでいる人がいるに違いない。


 僕は慰霊祭が終わっても椅子に座ってうなだれていた。綾乃のお父さんは僕の横に座って肩を叩いていった。


「雅和君・・・。いろいろあって大変だったろうね・・・。君は程度的にも軽いほうかもしれないが、綾乃の記憶を失ったって言う辛い経験もしている。綾乃に聞いたよ、未だ電車に乗るのをためらうそうだね・・・。それをばねにしてがんばって行ったらいいじゃないか・・・。そして君が政治家になったときは被害者の立場になれる人物になったらいい・・・。」

「そうですね・・・お父さん・・・。」


本当にお父さんはいいこと言う。そうだよ、僕が政治家になって同じような事が起こったら、被害者の立場に立って何とかできるように・・・・。

うれしはずかし恋愛生活 東京編 (22)結婚準備

 やはり挙式第一希望はクリスマスイブだよね!今年のクリスマスイブは日曜日!それも大安!招待人数は300人強。ほとんど後援会の人や党関係者が多いんだけど、もちろん綾乃の家の関係者も多い。いろいろ下調べして、候補の会場を押さえないと・・・。


政界関係者用の披露宴はなんとかいつも新年会で使うニューオータニ東京。年明け早々。それはやはりコネで取れたんだよね・・・。一応オータニ東京の担当者が、オータニ神戸ハーバーランドブライダル担当者に伝えてくれているらしいんだけど、いい返事はない。やはりクリスマスイブは1年以上前から押さえている人が多いらしいし、一番大きな会場を用意しないといけないらしいから、なかなか取りにくい・・・。でもだめもとで直接ホテルに言ってみることにしたんだ。キャンセルが入るかもしれないし・・・。


 実は綾乃には内緒にしていたんだけど、去年のクリスマス、クリスマスイブのコンチェルトの全船貸切予約を入れていたんだ。もちろんランチクルーズで・・・。もしホテルがだめならここでいいかなって軽い気持ちで・・・。まあ日程が合わないのならキャンセルすればいいかなってね・・・。驚くかな・・・綾乃は・・・。


僕たちはオータニのブライダルサロンへ・・・。オータニ東京の担当者から連絡が入っているのか、待ち構えたように担当者が待っていた。


「お待ち申し上げておりました。弐條さまこちらへ・・・。」


僕たちはなぜか客室に通される。そこでいろいろ打ち合わせを・・・。


「今朝なんですが、キャンセルが出まして、少し小さめの翠鳳の間が空きまして・・・。200人が上限となっております。」

「200????鳳凰の間は?」

「すみませんちょうどほかに予約が入っておりまして。」

「あの、実はコンチェルトのランチタイムの挙式を押さえているんだけど、なんとかならないかな・・・。」


やはり無理らしくって、結局宴会場翠鳳の間を3時に押さえた。披露宴のはしご決定。一応地元神戸の会場は押さえたよ・・・。まあコンチェルトはハーバーランド発着だし、近いからいいっか・・・。コンチェルトはもちろん友人とか身内限定にするけど・・・。綾乃はコンチェルトで挙式することを知って案の定、驚いてたよ。まあイブに取れたってことだけでも運がいいと思わないとね・・・。


僕はきちんと父さんに報告。僕に任せるって言ってくれた。神戸で披露宴を2回するって言ったら笑ってたけどね・・・。父さんもすぐにスケジュールを調整をしてくれることになったんだ。もちろん首相の身での出席になるから、警備の手配もしないといけないって言うこともあるんだけど・・・。


芦屋にいるおじいちゃんにもちょっと遅いけど、直に入籍の報告と、年末に行う予定の挙式披露宴の報告に行ったんだ。おじいちゃんはすごく喜んでくれてね・・・。本格的に行われる打ち合わせまでに後援会やらのリストを用意しててくれるらしいんだ。神戸のホテル側も、打ち合わせは東京まで来てくれて、東京の打ち合わせと同時進行で行ってくれるそうだから何度も神戸に足を運ばなくってもいいので安心した。もちろんコンチェルトのほうはブライダルを企画する会社が東京にあるので、そちらで打ち合わせ可能。最終確認のみの神戸入りでよさそうだ。


僕たちは下見がてらにコンチェルトのディナークルーズ・・・。運よく決まった僕たちの挙式披露宴に綾乃はすごく喜んでいた。


「信じられない・・・。クリスマスイブに結婚か・・・。覚えてる?雅和さん。」

「なに?」

「あたし達が出逢ったのはクリスマスイブの日だったよね・・・。もうあれから5年なんだ・・・。」

「そうだったね・・・あの日はクリスマスイブだった・・・。」

「その出逢った記念日に挙式できるんだもん。あとね、雅和さんがあたしを思い出してくれた日もクリスマス・・・。ホントにあたし達はクリスマスに縁があるんだね。」


綾乃は微笑みながらコンチェルトの甲板から神戸の夜景を眺めている。僕は後ろから綾乃を抱きしめて一緒に夜景を眺めた。


「雅和さん、やっぱり神戸の夜景は最高だよね・・・。横浜やお台場もいいけど・・・。」

「うんそうだね・・・。」

「いつか神戸に住める時が来るのかな・・・。」

「じゃあ、手始めに地方議員からはじめるかな?そうしたら神戸に住めるよ。」

「またまた・・・有能なくせに・・・。」


綾乃はこれからずっと東京に住むことは知っているはず。やっぱり神戸に住みたいって気持ちはわからないわけではない・・・。


「さあ、あさってから仕事がんばらないとね・・・。」

「そうだね・・・。4月1日付けで藤原さんの公設秘書さんだものね・・・。がんばってね・・・。あたしも家事と学業を両立するから。」


綾乃は微笑みながら僕のほうに向かいキスをしてくれた。僕ももちろん綾乃をぎゅっと抱きしめて改めてキスをしたんだ。


さあ!あさってから怒涛の公設秘書生活が始まる。

他ブログサイトへの移動用の挿絵

他ブログサイト に加筆再投稿用の挿絵をUPしました。

夜中に適当に書いたのでまだまだですが・・・。

アメブロに投稿済みなのであわせてごらんくださればうれしいです^^;



うれしはずかし恋愛生活1「うれしはずかし恋愛生活(1)」



「優しいキスは放課後に・・・。」 の続編なんです^^;もともと私が書いていた平安小説の現代版を書いたつもりがえらい長くなっています^^;まだまだWordで書き続けているので・・・^^;番外編ではなくなっています。


でも名前がおんなじ人が出てくるんですよね^^;設定も無茶苦茶で。



ああカラー画も書きたいのですが、まだそこまで腕がついていっていないんですよね^^;


今の課題は人物書き分けと表情。そして動作^^;

最低1枚は書くようにしています。現代版の嫌なところは衣装ですね^^;平安物は一緒ですからね^^;


ただ書くんじゃなくって、上に書かれている主人公を大人顔にしないといけないし・・・。


んん・・・絵って難しいわあ・・・・趣味の範囲内なので許してくださいませ^^;背景をかけないのも辛いです^^;今のところ背景写真は自分で撮って集めています。または知り合いに譲ってもらっているって言うのかな・・・・。


うれしはずかし恋愛生活 東京編 (21)雅和の行動

 僕は卒業に必要な単位やレポートを提出し終え、もちろん卒業間違いなしと決まってから、事故以来やっていなかったバイトを再開した。僕はスーツに身を包み、モバイルパソコンをカバンに詰め込んで出勤する。


「はい。お弁当。お仕事忙しいかもしれないけど、ちゃんと食べてね・・・。」


僕は綾乃から愛妻弁当を受け取り、車で出勤。本当なら、広尾から東京メトロに乗って行かないといけないんだけど、事故以来電車に乗るのが怖い。別に眠ったまま事故に遭ったので怖い思いをしたわけではないが、後からいろいろ映像やら情報を聞かされて、自分がどんなことの巻き込まれたか知って本当に怖くなった。だから僕は特別に車通勤を許された。


党本部の駐車場に止めさせてもらって、今日は議員会館を訪れることになっている。身分証明書を首にかけ、議員会館の官房長官藤原氏の部屋に入る。


「おはようございます。」



雅和秘書官国会前
僕は与えられた自分のデスクに座ると、まずカバンからパソコンを取り出し、立ち上げる。いくら僕が
総理大臣の息子といっても、今は官房長官の私設秘書という身。公設秘書の補助的なことをしている。まあ事務員に近いかな・・・。ほとんど議員会館に詰めて、書類を作ったりなど雑用全般・・・。たまに党務秘書(党との橋渡しなど、まあいう雑用かな^^;)的なこともするんだけど・・・。まあこれも勉強の一環・・・。官房長官は官邸の官房長官執務室にいる事が多いから、たまにしかこちらに来られない。今はほとんど国会や様々な執務のための情報収集や資料集めが僕の仕事・・・。別にこういうのは嫌いじゃないからいいんだけど・・・。


お昼は綾乃の愛妻弁当。もちろん地下には食堂もあるんだけど・・・。出来るだけ節約して生活しようってことになったから、お昼はお弁当なんだ。食べながら仕事も出来るしね・・・。


午後からは官邸の官房長官執務室に行って集めた資料を基に政策秘書の人と話をしながらさらにまとめていく。毎日がこういう仕事。仕事のあと官房長官に呼ばれたんだ。


「弐條君、お父さんから聞いたよ。この春に卒業できるそうだね。」

「はい、なんとか・・・。留年覚悟だったのですが・・・。」

「このひと月、いろいろあなたの仕事っぷりを見せてもらったけれど、卒業したら私の公設秘書として働いてみないかな・・・。党務秘書をしてもらうことになるけれど・・・。この私の窓口的な役をしてほしいんだよ。」

「え?まだ僕には早いです。まだ本格的に秘書を始めたのはここ最近ですし・・・。今までやってきたことは本当に党の雑用ばかりで・・・。」

「弐條君には養わなければならない人がいるんだろ。私設秘書よりも公設秘書のほうが稼ぎもいい。君ならきっとやっていけると思うよ。」


本当にこんな僕でいいのかなって思いながら、いろいろ話していたんだ。官房長官は僕と綾乃の仲人を引き受ける人だから、いろいろ相談事もするんだけど・・・。この官房長官も父さんや僕と同じ政界のサラブレッドといわれている人なので、立場が同じだからいろいろ聞きやすい。


「あの・・・ひとつお聞きしたいのですが・・・・。プライベートなことでも構いませんか?」

「ああいいよ。」

「あの、僕はできれば、今年中に綾乃と挙式をしようと思っているんです。藤原さんは宮城出身じゃないですか・・・。藤原さんが結婚された時って、どのようにされたのかなって・・・。僕としては神戸でしたいと思っているのです。でも父の仕事柄、こちらでしたほうが・・・。」

「私のときは地元と東京でしましたよ。地元は親戚、友人や後援会向きで、東京はやはり仕事関係・・・。弐條君もそうすればいい。でも大変だよ、今年中ってのは・・・。来年秋以降にすればいいのに・・・。総理大臣の息子の結婚となると警備やらなにやらで大変だと思うよ。お父さんの任期切れのあとでも遅くはないと思うんだけど・・・。」

「でも早く挙式をしたいんです・・・。」

「じゃあチラッとお父さんに伝えておくよ・・・。まあ早くしたいってのもわからんでもないけどね・・・。総理のスケジュール抑えるだけでも大変だ・・・。」


やっぱり予想通り大変そうだ・・・。急にできるもんじゃないからだいたいの目途は立てておきたいんだけどな・・・。来年の秋以降は遅すぎる・・・。まあわからないでもないんだけど・・・。父さんは結構忙しい人だからもう任期の切れる来年の秋までスケジュールが入っているはず・・・。何で早くしようと思ったのにもいろいろ原因があるんだけど・・・。


未だにあの丹波のやつが綾乃にちょっかいをかけてくる。綾乃にはできるだけ一人で外出しないようには言っているけどね・・・。でもそれは無理でしょ・・・。


僕は定時よりだいぶん遅れて自宅に戻る。


「ただいま・・・。」


玄関を入るとお客さんのようだ。男物の靴が揃えておいてある。もしかして???


「お帰り。雅和さん、お兄ちゃんが来ているの。珍しいでしょ。」


なんだお兄さんか・・・。一瞬丹波かと思ったよ・・・。


僕は綾乃にカバンを渡してリビングの入る。


「お邪魔してるよ。新婚さん。」

「あ、お兄さん・・・。どうしたんですか?」

「いや、ちょっと東京に用事があってね・・・。休暇をもらって3日ほど・・・。」


綾乃は僕のカバンから空になったお弁当箱を取り出すと、カバンを僕の書斎までもって行き言う。


「おにいちゃんったら、明日お見合いなのよ・・・。信じられないでしょ。」

「綾乃、兄ちゃんはもう29だよ。そろそろ身を固めないとね・・・。せっかく親父の上官である陸上幕僚長殿のご紹介なんだから・・・。」


お兄さんは防衛庁長官のお嬢さんとお見合いをするらしいんだけど、どうなんだろうね・・・。防衛庁長官のことはよく知っているけど、そういえば僕ぐらいのお嬢さんがいたな・・・。結構箱入り娘で、いくらお兄さんは将来有望な自衛官だとしてもうまくやっていけるんだろうか・・・。防衛庁長官は結構綾乃のお父さんびいきで、去年の脱線事故の際に綾乃のお父さんが消防庁レスキューとともに団結して迅速な救助活動で最小限の死者で済んだというのをたいそう気に入ってしまって、いろいろお父さんの昇級を働きかけているっていう噂を耳にしている。それでかな・・・お兄さんをお嬢さんのお相手として選んだのかな・・・。


「で、お兄ちゃんは決めちゃうわけ?」

「わかんないけどね・・・。俺は親父と違って優秀じゃない。そんな俺に長官のお嬢さんと・・・。」

「何言ってんのよ。お兄ちゃんは同期でも出世頭よ。」


なんだかんだ言って、お兄さんは結婚を決めてしまったんだよ・・・。もちろん長官サイドがすごく熱望してしまって・・・。断れなかったってこともあるらしいけれど・・・。まあお兄さんはちょっとシスコンっぽいところがあるけれど、いい人なのには違いないよ・・・。まあ余談はここまでにして・・・。


官房長官は僕の考えを父さんに伝えてくれたみたいで、父さんとこの先のことをじっくり話したんだ。もちろん父さんは来年の秋以降を提案したんだけど・・・。


「父さん、僕は怖いんだ。また綾乃のことを忘れたらどうしようかなって・・・。最近後遺症なのかな・・・たまにひどい頭痛に襲われて・・・。だから怖い・・・。今のような中途半端な状態ではなくって、公にしたいんだ。本当に僕のわがままだと思うかもしれないけれど、大学を卒業したら今まで以上にがんばるからさ。」

「お前が藤原君のもとで一生懸命がんばっているのは知っているよ。春から公設秘書として働くそうだね・・・。父さんにもいろいろ立場があるんだよ。もちろんはやく公にしてやりたいんだけどね・・・。」


毎日のように僕は仕事のあと父さんを説得した。そして卒業式を目の前にして、やっと前向きにスケジュールの調整をしてくれることになったんだ。


官房長官によると、父さんは来年秋に党総裁の任期が切れるんだけど、未だ高い支持率と、去年行われた総選挙の党圧勝、そして3年後に行われる衆議院の選挙対策のため、任期延長を党内で検討されているらしい。そうなればさらに僕らの挙式は遅れるということになる。それはまずいでしょう・・・。だからはじめ反対していた官房長官も、今年中になんとかできないかと父さんに働きかけてくれたらしい。


数日後には挙式が出来そうな候補日がリストアップされて、僕の手元に・・・。臨時国会が入ったら最悪来年に縺れ込むらしいけれど・・・。とりあえず目途が立って一安心ということで、綾乃と綾乃のお父さんにきちんと報告したんだ。もちろん来年父さんが任期延長するかもしれないってことも付け加えて・・・。


予定日まであと半年・・・。会場を押さえる事が出来るんだろうか心配だ・・・。それもクリスマスが絡んでいるんだから・・・。


僕たちは卒業式を終えたあと、新婚旅行じゃないけど、入籍後初めて会場探しのために休みを取って地元神戸へ出かけたんだ。 どうなるんだろう・・・・。おさえることは出来るかな・・・。

うれしはずかし恋愛生活 東京編 (20)綾乃危機一髪!

 婚姻届が受理されたあと、あたしは大学に行く。雅和さんは公邸にいるお父さんに入籍の報告をするためにあたしを大学まで送ったあと、永田町に向かうことになってるの。


「じゃあ、行ってきます。雅和さん、講義終わったらあたしもお父さんにご挨拶に行くから・・・。」

「うん、僕は官邸にいるかもしれないからね・・・。」


雅和さんはあたしにキスをして車から降りたあたしを笑顔で送ってくれた。今日からあたしは弐條綾乃なんだ・・・。やっぱり大学には言っておいたほうがいいのかな・・・。とりあえず住所変更とか戸籍変更はしないといけないよね・・・。


あたしはいろいろ考えながら、まあとりあえず講義の行われる教室に向かっている。途中大銀杏の前を通る。ここは学生たちの憩いの場所。待ち合わせに使ったり、話し込んでいたり・・・。もちろんあたしも雅和さんと毎日ここで待ち合わせしてランチに行ったり、家に帰ったりしている。講義も終わり、あたしは友達とまたこの大銀杏のところへ来る。


「え~~綾乃、そうなんだ~~~。今度遊びに行っていい?」

「いいよ。いつでも新居に遊びに来て。でもこのことは内緒だからね・・・。」



丹波白衣
するとあたしの前に丹波さんが立っている。


「丹波さん・・・。なんですか?」

「今日は綾乃ちゃんの誕生日なんだってね・・・。今暇かな・・・。」

「ごめんなさい・・・。これから用事があって・・・。」


わざわざ信濃町キャンパスからあたしに会うためにこの三田まで来たわけ?なんなんだろこの人は・・・。模擬結婚式のときも未遂だけどあたしにキスしようとするしね・・・。


「どこかいくの?よかったら送っていくよ。」

「今から永田町。地下鉄で行くからいいです。」

「お茶くらい付き合ってよ。」

「だから時間が・・・。」


すると突然丹波さんはあたしを抱きしめてキスしてきたの!もちろん大銀杏の人がいっぱいいる前で!友達はみんな驚いていたわよ。もちろん私も・・・。あたしは丹波さんをひっぱたいてやったわよ。


「何するのよ!あたしは・・・あたしは・・・。」

「見た目と違って結構気が強いんだね・・・綾乃ちゃんって。弐條は綾乃ちゃんのそういうところを知ってるのかな・・・。ただのお嬢様じゃないんだ・・・。」

「だからってなんだって言うのよ!雅和さんは・・・弐條さんは・・・あたしのことよく知ってくれてるんだもん・・・。丹波さんはあたしのどこを知っているの?」

「俺は君のことすべてを知りたいんだ。」


あたしは丹波さんを無視して正門を出るんだけど、本当に丹波さんってしつこい。もうしつこいからタクシー止めてそのまま乗っちゃった。あの時あたしがもう弐條になったことを言ってもいいんだけど・・・。まだ公にしていないから、いえない。


この日から丹波さんは側に雅和さんがいないときを狙ってあたしに言い寄ってくる。どうしたら諦めてくれるんだろう・・・。彼氏がいようといなくても平気で言い寄ってくるって言う噂だから・・・。もしかして入籍したって言ったとしてもしつこいんだろうな・・・。


あの日大銀杏の前でいきなりキスされてから、もう大学中は大騒ぎよ!雅和さんの耳に入らないのが信じられないくらい・・・。ホントに雅和さんは何かに集中すると周りの事が耳に入ってこないんだから・・・。その集中力にはホントに脱帽よ・・・。


「え!まだ変更手続きしてなかったの?」


そう・・・丹波さんのおかげですっかり忘れてたわよ・・・。証明書も役所からもらってたのに・・・。雅和さんは本当に呆れてたわよ・・・。


「じゃあ、今から行こう。僕もレポート仕上がったから、提出しに行くしさ・・・。」


あたしは秋季試験の前日に変更届を出しに行ったのよ・・・。まあ今回の試験は旧姓で行うようにいわれたけどね・・・。雅和さんはきちんと指定されたレポートを提出して、後は教授から結果をもらうだけ・・・。いいよね・・・あたしはたんまり試験を受けないといけないのにさ・・・。


まあ試験中はやっぱり丹波さんは来なかったわよ。あっちも試験だもんね・・・。この10日間ちゃんと講義とかに出てるんだろうか・・・。こっちが呆れるわよ・・・。ちょっとなんであたしがあの丹波さんのことを気にしてるんだろう・・・。やばい・・・はまりそうだった・・・。


これがあの人の女の子を落とす手なのかな・・・。


やっと試験が終わって、なんとか単位をギリギリ落とさずに済んだ。ぎりぎりでも単位を落とさないのがあたしのモットー。


春休み突入だ!もちろん雅和さんもきちんと単位をもらえて、後は卒業発表と卒業式を迎えるのみ・・・。


実は今日まで夫婦生活をお預けだったのよ・・・。今まで夫婦なのに寝室は別々・・・。まあしょうがないよね・・・。学業優先なんだもん・・・。


今日からうれしはずかしの同じ寝室・・・。同じベッド・・・。やっぱり夫婦だから夜の営みってするんだろうな・・・。でもあたしが大学出るまで子作り厳禁だからね・・・。これから家族計画しながら夫婦生活するんだよね。ホント二十歳そこそこで恥ずかしいな・・・。


もちろん夜、雅和さんは迫ってきて、キスからはじめる。ああこれからって時にベッドの横にあるサイドテーブルにおいてあったあたしの携帯がなるの・・・。


「出ないと・・・。」

「ほっとけよ・・・。」

「でも・・・。」


雅和さんはあたしの携帯をマナーモードにしてそのままにしたんだけど、しつこくかかってくるからしょうがなく出ることにした。見たことのない番号・・・。


「はい、弐條じゃなかった・・・源です・・・。もしもし・・・。」

『俺・・・丹波だけど・・・。』

「綾乃?誰?」


あたしの耳元でキスしてくる雅和さんを気にしながらあたしはすぐ電話を切って電源も落とした。


「誰から電話?」

「ん?間違い電話よ。」

「そう・・・。」


こんな状態がもう数日続いている。着信拒否登録しても違う番号でかかって来るんだもん・・・。何台持ってんの?って感じかな?やっぱりそれだけ彼女いるんだろうか?デモなんであたしの携帯番号知ってるんだろう・・・。あんまり教えてないのに・・・。


しつこすぎて、雅和さんは怒ってしまって、今日こそは間違い電話に出るぞって・・・。何で丹波さんがあたしの電話番号を知っているのかと怒るんだろうか・・・。教えたことはないぞ!


案の定、夜あたしが雅和さんと寝ようとすると、電話・・・。また違う番号なんだよね・・・ここまで来ると呆れるわ・・・。


「僕が出る・・・。」


雅和さんはあたしの携帯を取ると、着信ボタンを押して出る。


「もしもし?弐條ですが・・・誰?」

『何で弐條が綾乃ちゃんの携帯に出るんだよ!』

「誰だよ!名前を先に言え!」

『丹波だ。丹波正信。これは綾乃ちゃんの携帯だろ?』

「そうだよ。何でお前は彼女の番号知ってんだよ!」

『ある筋から聞いたんだよ。何で?』

「もうかけてくんな!綾乃は僕の嫁さんだからな。今度ちょっかいかけてきたら、許さん!」

『え?』

「だからもう綾乃は源綾乃じゃなくって、弐條綾乃なんだよ!まだ公にはしてないけどな。切るぞ!」


雅和さんは携帯を切り、あたしに抱きつくの。


「もしかして毎晩かかってくる電話ってあいつから?」

「ん?んん・・・。しつこく言い寄られて困ってたのよ・・・。入籍を公にしてないから、面と向かっていえないでしょ・・・。ごめんなさい、相談しなくて・・・。」

「綾乃は悪くないから気にしなくていい・・・。それよりも・・・綾乃、明日この携帯解約に行って、新しい番号に変えよう・・・。」

「う、うん・・・。」


次の日あたし達は携帯の解約と、新規契約をしてきた。もう番号変更をみんなに知らせるだけで大変・・・。もちろん大学にも知らせないといけないでしょ。昨日雅和さんがきっぱり言って、これでしつこい丹波さんが言い寄ってこないといいんだけど・・・。雅和さんに任せないといけないな・・・。


ホント最悪・・・。



追伸:挿絵の丹波君は医学部での白衣の丹波君。白衣を書いてみなした^^;といっても関係ないか^^;以前書いた丹波君と顔が・・・・^^;


丹波見つめる
←これです^^;医学生が髪の毛長くていいんでしょうか?

  主人公の雅和と同級生ですが、医学部は6年まであるので、まだ在学します。そして綾乃と同じ年に卒業となるんですよね^^;こいつはまた「うれしはずかし~」のあとの話でも出てきて綾乃を困らせます。


彼は代々1000年以上続く医者家系の開業医のお坊ちゃん。設定では母方の伯父さんも偉い人で、その権威を使って綾乃を苦しめます。まあ罰が当たるんですけどね^^;


でもまた出してみたいキャラでもありますけれど・・・。

綾乃がかわいそうなのでやめておきます。

うれしはずかし恋愛生活 東京編 (19)新年早々の入籍

 毎年恒例の弐條家の年賀状。今年はなぜかあたしまで入っているのよ。この写真を撮ったのは三田祭が終わってすぐ、雅和さんから改めてプロポーズされた次の日・・・。もうあたしは弐條家の後継者の正式な婚約者として結納も済ませているから、あたしは振袖を着て弐條さんの横に並んで営業スマイル(?)。今年の年賀状は総理公邸の庭で撮ったのよ。雅和さんは、この時はまだあたしのことを思い出していなかったけれど、写真用にあたしの肩に手を置いて微笑んでいる。


 あたし達が神戸の旅行から帰ってきて、雅和さんは毎日あたしの自宅に通い、パパと会って、入籍の許しをえようとしてくれるの。もともとパパは厳格な人だから、学生結婚なんて許さないと頑として反対・・・。そしてどうやって学生同士の二人が生活していけるのかと問いかける。もちろんそうだよね・・・。あたしはバイトしてないし、学費やお小遣いをパパから出してもらっているわけだし、雅和さんも以前バイトした時の蓄えはあっても、事故以来まだバイトを再開していないから、収入はなく学費や生活費はお父さんやお爺様が出してくれてるのよね・・・。別にお金には不自由のない家庭に育ったあたし達だけど、パパは結婚するなら自立しないといけないといっているんだろう・・・多分・・・。反対し続けているパパのことを知った雅和さんのお父さんはあたしのパパを説得してくれたの。年を越えてやっと許してもらえたんだけど、条件があるって言うのよ。


1. 学業優先。

2. 雅和さんは今まで通りきちんとバイトすること

3. 親をあてにしないこと

4. 子供はあたしが大学卒業してから


この4点を条件にあたし達は入籍のみ許してもらえた。もちろん結婚式は雅和さんがキチンとした職に就き、二人が生活できるくらいの給料が出るまで・・・。もちろんあたしの学費は今まで通り出してもらえるそうだけど、きっと共働きはしないといけないだろうね・・・当分の間・・・。ということは結婚してもまだまだ子供はだめってことね・・・。まあ雅和さんと一緒に暮らせるならこれくらいいいかな・・・。


  今日は1月5日。今年初めての授業開始日・・・。今日はなぜか雅和さんも大学へ・・・。そういえば初めて一緒に通学するんだよね・・・。雅和さんは大学に呼ばれたらしくって、それで行くらしい。


「ねえ雅和さん。何言われるのかな?」

「ん、んん・・・。まだ復学届けだしてないんだけどな・・・。」


雅和さんは不思議そうな顔をして学生総合センターに入っていくんだよね・・・。単位のことかな・・・。多分卒業に関することなんだろうけど・・・。


あたしは講義を済ませて、お昼を一緒に食べる約束をして、学食へ・・・。


「何呼び出されたの?」

「ん?やはり単位のことと、卒業のことなんだけど、ちょっとややこしいことになっていて・・・。」


雅和さんはあたしにわかりやすく話してくれたの。それでもややこしいんだけど・・・。 雅和さんはアメリカからエアメールで復学届けとか復学に向けての書類を学校宛に送ったのね。それが届かないうちに雅和さんは事故に遭って、あたしが休学届けを出したでしょ。その後復学届けがアメリカから届いて、休学を取り消した状態になっていたの。まあ学校として、雅和さんは不慮の事故に遭ってそれなりの待遇をしようと検討していたらしくって、検討中にワシントン大学から単位認定の書類が届いたの。それを見ると卒業に必要な単位をすでに取得したことになっていたらしいのよ・・・。もちろん雅和さんは勉強が好きでしょ。取れるものはみんな三年の前期までに取っていたのよね・・・。そしてワシントン大学でも、取れるものは全部とっていたから、なんと1年で1年半の単位をすべてとったってこと・・・。まあアメリカだからそれが出来るんだろうけど・・・。


「だからさ、この春卒業でできるらしい。響貴と一緒に卒業できないと思っていたけど・・・。」

「でも卒論は?」

「留学レポートがあったし、僕は事故にあって最近まで通院していたでしょ、だから優遇されて、それを卒論としてくれたんだ。まあ教授に言わせると、卒論と同じ価値がある内容だって言ってたけどね・・・。あと指定された文献を数冊読んでレポートを秋季テストの最終日までに出したらいいんだって・・・。父さんにもそのことを伝えておいたら、すごく喜んでくれて・・・。」


雅和さんはとても嬉しそうに食事をしているの。ホントそうよね・・・。無事卒業できそうなんだもの・・・。主席卒業ってのは無理かもしれないけれど、卒業できたらいいんだもんね・・・。これで雅和さんは晴れて春から社会人になるんだね・・・。あたしは嬉しいよ。しっかり働いてもらって、あたしを養ってもらわないとね・・・。


ちゃんとあたしはパパにもこのことを話したの・・・。パパは思ったよりも喜んでくれてね・・・。 もちろん卒業後の就職先は決まってるんだもの。今まで叔父様の秘書として働く予定だったんだけど、いろいろあって結局官房長官の私設秘書から始めるらしいのよね・・・。でも下積みは長いから、今度は雑用ばっかりじゃないって言ってたけど・・・。なんていったのかな・・・。官房長官の第一秘書で政策関係を受け持つ人について本格的に政策などを学びながら仕事するんだって!雅和さんの瞳は生き生きしてたわよ。昔なんて政治家なんて嫌だって言ってたのに不思議よね・・・。


 この日から雅和さんとあたしは一緒に通学して、あたしは講義、雅和さんは図書館で勉強、そして一緒に帰ると言う毎日。もちろん帰りにはスーパー寄って仲良く帰るんだけど・・・。なんだかんだ言って事故以来あたし達は同棲してるでしょ。もうこれは近所では当たり前の光景なんだけど・・・。まあたまには雅和さんとあたしの麻布の実家に帰ってパパと一緒に食事をしたりするんだけど・・・。パパは最近機嫌が悪い。一緒に食事をしても、すぐに自分の部屋に籠もってしまうんだから・・・。でも来年の4月には妹がこっちの大学を受験して来る予定になっているから、パパも寂しくないよね・・・。きっとあたしが後もう少しでお嫁に行っちゃうからすねてるんだよ。


 今年は派閥新年会に行かないことになってるので、誕生日の前日あたしは久しぶりに非番のパパを連れて、出かけることにしたのよね。パパはあたしと出かけるのが嬉しいらしくって、一日中嬉しそうな顔であたしを眺めてたんだよね。


「何?パパ。あたしをじろじろ見ないでよ。恥ずかしいでしょ。」

「綾乃が明日から弐條君のお嫁さんになるのだから、今のうちに綾乃をよく見ておこうと思ってね・・・。綾乃よくドラマでやるようなことは辞めてくれよ。近所に住んでくれるんだし・・・。」


パパが言うのはあれよ。嫁入りの時にパパにする「今までありがとうございました」っていうような事かな・・・。結構パパって照れ屋って言うか恥ずかしいのかな・・・。


「でもパパ、お嫁に行くって言っても今雅和さんと住んでるんだし、ただ籍を入れるだけだよ。」

「それはそうだけど、パパの戸籍から綾乃がなくなるんだよ・・・。」


まあそれはそうだよね・・・。今日一日ずっとパパと一緒にいたんだよね・・・。もちろん今夜は麻布のマンションの自分の部屋で眠ったの。この部屋も当分帰らないのかな・・・。


パパは誕生日の朝、あたしに通帳とはんこを渡してくれたの。


「これはね、綾乃が生まれた時からずっと綾乃のために貯めていたものなんだよ。困った事があったらこれを使いなさい。」

「パパ・・・。」


ホントにパパっていつもあたしのことを心配して見守ってくれたんだね・・・。ホントに感謝しなきゃ・・。パパ、今日からあたしは弐條雅和さんのお嫁さんになるけど、ずっとパパはあたしのパパだから・・・・。


あたしは迎え来てくれた雅和さんと一緒に車に乗って渋谷区役所に一緒に行ったの。もちろん代理人でもよかったんだけど、やっぱりこういうことはきちんと二人でしようってことになったのよね・・・。あたし達は区役所の窓口に以前書いた婚姻届を出し、無事受理された。今日からあたしは源綾乃から弐條綾乃になったの。


うれしはずかし恋愛生活 東京編 (18)記憶を取り戻す旅 ~最高のクリスマスプレゼント

 12月に入ってすぐ、僕は彼女(綾乃)にあることを提案する。提案するって言ってももう決めてしまったんだ。


「あのさ、今年のクリスマスは神戸に帰ろう。メリケンパークのオリエンタルホテルを予約した。それも23,24,25,26日の3泊4日。飛行機も取ったよ。」

「え?神戸?ホテルを3泊も?」

「うん。君と神戸でゆっくりしたくって・・・。いいでしょ、いまさらお父さんに許可をもらう必要はないよ。いろいろ周りたい所もあるしね・・・。」

「わかった・・・。楽しみにしておくね。」


彼女はすごく喜んで毎日のように指折り数えて旅行の日を心待ちにしていた。 何で神戸にしたかというと、響貴が僕と彼女の出会いからを話してくれたんだ。出会った場所、初デート、そして初キス・・・。そしてはじめてのお泊り旅行。だいたいわかることを響貴は教えてくれた。僕は彼女と入籍する前に少しでも記憶を戻そうと思い出の地と言われる所を辿ってみようと思ったんだ。きっと少しでも思い出すことがあるかもしれない。最近彼女の対する感情がよみがえっているような気がして、主治医の先生にあるきっかけから思い出すかもしれないといわれたんだ。だから僕はこの旅行を企画し、実行したんだ。もちろん彼女のためだけではない、自分のためでもある。


 僕たちは23日の一番の飛行機で伊丹空港に着き、リムジンバスで三宮に到着した。まずホテルに荷物を預け、初めて出会った高校に向かう。


「ねえ、雅和さん、どこに行くの?」

「いいからついてきて・・・。」

「ここって・・・高校よね・・・。」

「うんそうだよ。初めて出会ったのはどこ?」


彼女は僕を音楽室前の廊下の窓から、中庭を眺めさせた。そして彼女は中庭にいる。


「雅和さん、そこからここに降りてきてよ!」


僕は彼女に言われるまま中庭に降り、彼女の前に立つ。


「昔ね・・・丁度今頃だったかな・・・。あたしがねここに転校することになって学校見学に来た日に雅和さんがあの窓から楽譜を落としてしまってね、あたしがここで拾ってあげたの。そしたら雅和さんはあたしを見つめて微笑んでくれて、そして編入試験がんばってねって励ましてくれた。そしてきっと受かるよって・・・。覚えてない?」

「んん・・・・?」


なんとなくそんな事があったように思うんだけど・・・。


次は学校の体育館の裏・・・。ここで僕と彼女は初キスをしたらしい・・・。お互いの初キスを・・・。その後ここでお弁当を食べたとか、学食のこの席は指定席だったとか、いろいろ聞いた。でももうひとつ、ピンと来なかったんだ。


いつも手をつないで歩いた彼女の神戸の自宅までの道のり、そして彼女の神戸の自宅。 この日は高校周辺の思い出の場所を訪ねてみたんだ。


彼女はホテルの部屋できっと思い出すよって言ってくれて、微笑んでくれたんだ。 次の日はクリスマスイブ。この日は午前中、元町をぶらぶら歩く。ここでは僕がはじめて小さなビーズで出来た指輪を彼女にプレゼントしたところらしい。


「ルミナリエも二人でこの時期毎日いったんだよ・・・。もう終わっちゃって残念だけど・・・。」

「そう・・・あのルミナリエを二人で?次はどこ?」

「うんそうだね・・・。おなか空いたからハーバーランドへ行こうかな・・・。いい?雅和さん。」

「うんいいよ。何食べる?」

「昔よく響貴さんや堀川さんと行った店があるんだ・・・。そこでランチでいい?」


 僕たちはハーバーランドの海に面したテラスがあるイタ飯屋に入って、テラスで食事をする。


「ここでよく四人でいろいろ注文して取り分けして食べたんだよ。食べた後必ずあの遊園地の観覧車に乗って・・・・。」


このハーバーランドの南側には小さな遊園地がある。そこには小さい観覧車、メリーゴーランド、そして子供たちが喜びそうな遊具があるんだ。


ちょうどテラスの前の波止場にはクルージングレストランコンチェルトが停泊していた。この船はクルージングしながら食事が楽しめるレストラン船。これにも乗った事があると彼女は言っていた。


ちょうど船上では結婚式をしていた。この時期にはちょっと寒いけれど、すごく幸せそうなカップルが船上でたくさんの招待客に祝福されていた。ああいいなと思いながら僕は言った。


「綾乃、僕らもコンチェルトで結婚式をしようか・・・。」

「え?雅和さん・・・・さっきあたしのこと何って言ったの?」

「なに?なにかいった?」

「さっきあたしのこと「綾乃」って・・・名前で・・・。」

「言ったかな??」


ホントに不意に出た言葉で、自分がなんていったのか覚えていない。もし彼女の名前を言ったのならば、もう少しかもしれない・・・。それとも自分がもう気づかないうちに思い出しているのかな・・・。


僕たちは食事を済ませて思い出の遊園地へ・・・。



綾乃神戸1
遊園地の手前にあるウエディングサロンに彼女は駆け寄って店の外からドレスを見つめていた。


「そういえばここでよくあたしね、立ち止まって眺めていたんだ。雅和さんったら真っ赤な顔して早くあっちに行こうって・・・。早くこんなの着たいな・・・。」

「この前三田祭できたじゃないか・・・。ドレス・・・。」

「あれはあれ・・・。今度は雅和さんのために着たいの。雅和さんのためだけにね・・・。」

「綾乃・・・。」

「え?」


確かに僕は彼女のことを綾乃って言った。なんだか頭の中が混乱してきて、気分が悪くなって座り込んでしまった。


「雅和さん、大丈夫?ホテルに戻る?それとも病院行く?まだ通院しているんだし・・。」

「じゃあ、ホテルに戻ろう・・・。悪いけどタクシーを止めてくれる。近いけど歩くのは無理かも・・・・。」


彼女は僕のために近距離を謝ってタクシーを拾ってくれた。なんとか部屋に戻って僕はベットに横になる。未だ頭の中が混乱して頭痛がする。


「やっぱり病院いこ?だめだよ無理しちゃ。まだ事故から半年も経っていないんだし・・・。」

「いやいい・・・寝たら直るかもしれない・・・。ちょっと薬を・・・。」


僕は彼女から薬をもらって飲んだ。落ち着いたのか、僕はいつの間にか眠っていた。眠っている間、彼女は主治医に相談してくれていたようだ。どれくらい眠ったんだろう・・・。朝になっていた。いつもよりもなぜだろう・・・。清々しい・・・。


「綾乃、おはよう・・・。ああよく寝た・・・。昨日はせっかくのイブなのに、何もしなかったね・・・。今日こそは毎年のようにどこかで食事をして・・・そうだプレゼントを買わないと。去年はワシントンでコートを買ってあげたよね、今年は何がほしい?」


彼女はこの僕を見てきょとんとしている。すると涙を流して僕に飛びついてくる。


「雅和さん!あたしのこと思い出してくれんたんだね!そう去年はワシントンで過ごして、コートを買ってくれた。毎年一緒に過ごして・・・・。」

「え?」

「雅和さん、じゃああたしは誰?詳しく言って・・・。」

「源綾乃19歳。慶應文学部2年。1月15日生まれA型。生まれたのは神戸で、育ったのは東京。そして海外生活をして神戸に東京。自宅は南麻布。お父さんは今市ヶ谷駐屯地で幕僚副長をしていて・・・・え?」

「記憶が・・・。戻ったんだよね・・・。」

「そうみたいだね・・・。」

「あたしにとって最高のクリスマスプレゼントよ。」

「そうだね。この僕にとってもね・・・。」


ホントに神戸にいたおかげかどうかはわからないけれど、僕のなくした記憶が戻ったんだ。綾乃はすごく喜んでずっと僕のことを離してくれなかった。


本当に神様はいるんだね・・・。粋なことをしてくれるんだから・・・。


僕は早速父さんに電話をした。父さんはとても喜んでくれて、以前からお願いしていた用件を承諾してくれた。


それはもちろん・・・入籍と結婚のこと・・・。後は綾乃のお父さんを説得するだけなんだ。

不思議な妊娠の話^^;

チリで生まれた赤ちゃん、お腹の中に別の胎児が (ロイター)
 [サンティアゴ(チリ) 24日 ロイター] チリ南部のテムコで今月、腹部に別の胎児が入った男児が生まれていたことが分かった。出産を担当した医師によると、双子の片方が妊娠期間中にもう片方のお腹の中で育っていたもので、極めて珍しい症例だという。

 医師らが出産前の母親を検査したところ、誕生間近の男児の腹の中に約10センチの別の胎児を確認したという。この胎児に四肢や部分的に発達した脊椎(せきつい)は認められたものの頭部はなく、医師らは生存の可能性は無かったとしている。

 今月15日の出産の後、男児の腹部から胎児を摘出する手術が行われた。術後この男児は順調に回復しているという。

 病院の新生児病棟の責任者は、ロイターに対し「生児出生の50万件に1件という確率で起きる非常に珍しいケース」だと語った。

双子を持つママの私として理解できない記事・・・。???な記事だと思いませんか?成長段階で双子のもう一人を取り込んでしまったってことですか???ホントに????な記事ですね^^;

おうちに最新型の掃除機がやってきた!

楽天のジョーシンさんは60800円なのに、ジョーシンつかしん店さんは53800円だった・・・。楽天最安値でも56700円だから、底値なんだろうか・・・。


フィルター掃除10年間不要という優れものだから、いいんじゃない? サイクロン掃除機は2万円台から結構いいものあるけど、ほとんどが最低週一はフィルター掃除をしないといけないらしくって、しなかったら下手すると数年で潰れるらしい。フィルター掃除不要の分で最安値の最新型は東芝のだから、5万前半はお買い得です。だってN社の最新型紙パック用は、50800円もしたんだから、こっちのほうが買いだね・・・。紙パック代節約できます。 ごみ処理も簡単。ふた開けてごみ入れ取り出して片手でボタンを押してポイ!


さてダイソンと比較して見ると、ダイソンはやはり音がうるさくって、吸引力は東芝に劣る。そして重い!またダイソンの場合は、よくホテルのような絨毯に適した仕様らしくって、日本の畳とか、フローリングには適さないらしいです。それで同じ価格帯かそれ以上だから、どちらを選びますか?


店頭の見本を使ってみて、うちは東芝で・・・。音が小さいし、マナーモードってのがあるんですよ^^大きさは変わらないんだけどね・・・。そして軽い。まあダイソンみたいにコンパクトに収納できないのが難点だけど^^;


いろいろ親身になって聞いて話してくれたジョーシンつかしん店の店員さんに感謝です。近所に店舗あるんだけど、品揃え少ないし、あまり親切じゃないような気がするのね^^;だから大きいものを買うときはいつもここなの。

ガスコンロも買わないといけないし・・・。ああ^^;


奥さん!ご主人からのクリスマスプレゼントにひとついかがですか?

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うれしはずかし恋愛生活 東京編 (17)三田祭での模擬結婚式

 三田祭でミス慶應に選ばれたあたし・・・。選ばれるなんて思っていなかったの。


あたしは学祭の後、いつものように買い物を済まし、雅和さんのマンションで夕飯を作る。今日は雅和さんの親友の響貴さんも一緒。


「いやあ、久しぶりだな・・・綾乃ちゃんの手料理・・・。毎日食べられる雅和がうらやましいよ。明日は早いんでしょ。」

「うん・・・。いろいろ用意があるらしいから・・・。」


そうあたしは明日の最終日にミスター慶應に選ばれた医学部4年の丹波さんという人と模擬結婚式のモデルにでることになっているのよ。今日もさっきまでスポンサーさんの人と最終の衣装合わせを済まし、打ち合わせを終えたところ・・・。



丹波見つめる
丹波さんも同席していたんだけど、ホント丹波さんって、雅和さんと正反対な、なんていうのかな・・・軽そうな人。いろいろ噂は聞いているんだけど・・・。打ち合わせ中もあたしの顔をじっと見つめて、目が合うと、微笑んでくる。こういうところがプレイボーイといわれるところなんだろうな・・・。雅和さんの微笑とは全然違うんだから!やっぱり雅和さんの優しい微笑のほうがいいに決まっている。顔立ちだって雅和さんのほうが、品があって、あたしのタイプなのよ。


「綾乃ちゃん、丹波には気をつけろよ!あいつは平気で人の彼女を寝取るやつなんだから!」

「響貴さんも結構プレイボーイじゃ・・・?」

「俺は他人の彼女まで取らないよ!以前俺の彼女をあいつが寝取ったんだから・・・。」


へえ・・・あの響貴さんの彼女、寝取られたって????すごい話を聞いちゃった・・・。雅和さんは聞こえているのか知らないけれど、黙々と食事を食べているのよね・・・。やっぱりまだあたしには興味ないのかな・・・。


次の朝、あたしは雅和さんのお昼を置いて大学に向かうの。


「雅和さん、今日も来てくれるの?昨日は来てくれて嬉しかった・・・。」

「わからない・・・。響貴に誘われたら行くけど・・・。」

「じゃあ行ってきます。」


あたしはいつものように自転車の乗って、三田キャンパスに向かった。やっぱりミスに選ばれたからかな・・・。ついた途端男の子たちが集まってきて、あたしにデートの誘いをしてくる。


「ごめんなさい・・・あたし婚約者がいるから・・・。」


大半の人は知っていると思ったんだけどな・・・。あたしと雅和さんが婚約しているって・・・。でも・・・その婚約がこのまま続くかは保証はないけど・・・。でも今のところ雅和さんのお父さんは心配いらないって言ってくれているし・・・。


あたしは実行委員とスポンサーが用意してくれた控え室に入る。やっぱりいいスポンサーよね・・・。きちんとしたメイクさんとか、連れてきているの。ホント大学内じゃないみたい・・・。


「源さん、今のうちに何かおなかにいれておいたほうがいいわよ。着替えたら何も食べられないからね。よかったらここのサンドイッチ食べて。」


実行委員の女の子が、あたしにサンドイッチを勧めてくれる。昨日選んだ真っ白なウエディングドレスがきちっとかけられている。そして純白の百合などで作られたすごいきれいなブーケまで・・・。ホントにあたし、結婚するみたい・・・。相手が丹波さんじゃなくって雅和さんだったら・・・。


あたしはヘアメイクを済まし、ドレスに着替える。もちろんドレスをきれいに着こなすための下着やドレスシェイプもつける。ドレスはというと、体のラインがはっきりと出るマーメイドラインの最新のデザイン。大人っぽくって、でも品のある・・・。ウエディングベールもすごくいい生地使っていて、ホントにきれいなレース使い・・・。テイアラもホントにきれいなんだもん・・・。結婚指輪ももちろんレンタル・・・。昨日一応リハーサルみたいなこともしたんだけど・・・・ほとんどがぶっつけ本番のようなもので・・・。父親役はあたしのセミナーの教授。教授には娘さんがいらっしゃらないから、貴重な体験だって言っておられたのよね・・・。


模擬結婚式が行われる会場は名物の大銀杏のあたり。本当に特設って感じで朝のうちに突貫工事で会場が作られたの。模擬結婚式の始まりは正午・・・。ホントドキドキする。あたしは着替えが終わり、少しくつろいでいた。するとドアの外から声が聞こえる。


「新婦役の準備完了???新郎役が見てみたいって言うんだけど・・・。」

「だめだよ!ふつう結婚式前の新婦を新郎が見ちゃだめって言うじゃん。もうすぐだし我慢だよ。すごくきれいだからね。」

「おおそうか・・・楽しみだな・・・。」


こんな実行委員のやり取りから数分後、会場に移動になる。やはり丈の長いドレスは慣れていないので油断すると転んでしまいそう・・・。靴はヒールだし・・・。新郎役の丹波さんに身長にあわすために、結構高いヒール・・・。足元が見えないってのも辛いわよね・・・。ああいい経験だわ・・・。


会場にある幕の張られたテントにひとまず入って開始時間を待つ。ホントに模擬結婚式なのにドキドキものだわ。本当の結婚式になったら倒れるかも・・・。


開始5分前になると、実行委員が放送を流す。結構人が集まってきているようで、だんだん表が騒がしいのよね・・・。


「源さん、いい経験じゃありませんか。あなたも何年か後に弐條君と結婚するのですから。予行練習と思って挑みましょう・・・。」

「はい・・・。」

「本当にきれいですね・・・。私にもこのような娘がいればいいけれど・・・。」

「先生・・・。」


なんだかしみじみしてきて、本当に涙が出そうだった・・・。私のパパもこうして送り出してくれるのかな・・・。


「さあ始まるわよ。準備はいいですか?」

「は、はい!」


新郎役の丹波さんはすでに会場に立っているのか、女の子たちの黄色い声が聞こえてくる。そしてあたしは実行委員に誘導されて、父親役の教授とともに会場へ・・・。するとあたしを見た学生達が(特に男の子)が、じっと見つめているの。そしていろいろ聞こえてくる。


(やはり超きれいだよな・・・綾乃ちゃんって・・・。さすがミス慶應。このままタレントにでもなればいいのにさ。)

(三田キャンパスの弐條が婚約者ってのが悔しいよね・・・。ホント模擬でも相手になれた丹波がうらやましい!!!)

(しょうがないだろ。信濃町キャンパスの丹波だからな・・・俺らが選ばれるわけないよな・・・。)

(やっぱり源さんってきれいよね~~~~。私もあんなの着てみたい。)

(その前にダイエットしないと・・・。ホントに源さんってスタイルいいよね・・・。)

(さすが弐條さんの婚約者よね・・・。お似合い・・・。丹波さんのタキシードもいいけど、弐條さんのタキシード姿も見たかったよね・・・。)

(そうそう、休学してなかったらきっと弐條さんがミスターに選ばれていたわよね・・・・。)


そんな声を聞きながら模擬結婚式が始まる。定番の結婚行進曲が流れ、一歩ずつ父役の教授とともに新郎役がいる祭壇に向けて歩いていく。そして新郎役の前に到着すると、父親役の教授は新婦役のあたしを祭壇前で新郎役に渡す。あたしは新郎役の丹波さんの腕に手を置き、式が始まる。神父役が段取りどおり進めていく。その間ずっと丹波さんはあたしを見つめていたのよね・・・。


誓いの言葉が終わり、次は指輪の交換。そして誓いのキス・・・。まあこれは真似だけでいいって言われていたの。あたしは少ししゃがんで丹波さんにベールを上げてもらい、さあ誓いのキス・・・。


すると・・・ちょっと!!!丹波さん顔近づけすぎ!!!


あたしの唇と丹波さんの唇が触れようとした瞬間!


「ちょっと待て!!!」


雅和さんが走ってきてあたしの腕を掴んで丹波さんから引き離すの。そしてあたしを引っ張って会場を出て行くのよ~~~~~。


「雅和さん、待ってよ・・・痛い。」


会場は大歓声よ!とんだ邪魔が入った丹波さんはすごく悔しそうな顔をしていたけど、観客は大喜び。だってホントに映画やドラマを見ているようで・・・。


一部の学生はこれを演出だと思っていたらしいのよね・・・。計画通りに行かなかったんだけど、違う意味で大反響。まあ実行委員もこういうのもありかなって言ってくれて、なんとかなった・・・。


あの後あたしはドレスのままで校舎の裏まで連れて行かれて、雅和さんに言われたの。


「ごめん・・・せっかくの模擬結婚式をだめにしてしまって・・・。でも君は僕の婚約者なんでしょ。人前で他の男とキスなんか・・・。」

「え?」

「まだ君のことは思い出せないけど、婚約している限りはきっと君と結婚するから・・・。もし一生思い出せなくても、今からでもいい、僕はもう一度君にプロポーズして記憶がなくなる以前よりも君を好きになって大事にしようと思う。だから・・・。もうこんなことやめにしよう・・・。」

「雅和さん・・・。」


雅和さんはあたしを事故以来初めて抱きしめてくれたの。以前のようにキスはなかったけれどあたしはこれで満足だったわ・・・。


「約束どおり、君の誕生日に入籍しよう・・・。この僕から父さんに言っておくし、君のお父さんにも伝えておくよ。反対されたとしても必ず・・・。そして早ければ僕が復学して卒業できたら、結婚式をしよう・・・。」


あたしはホントに嬉しかった。事故以来、こんな優しい言葉をかけてもらえなかったから・・・。


そして改めてプロポーズしてくれて、あたしは安心したよ。ありがとう・・・雅和さん。


あたしも大好きいえ、愛してるよ。早く結婚できたらいいね・・・。



作者から^^;

もちろんフィクションですので、実際の三田祭と異なりますのでご了承ください。

作者自体慶應には行った事ありませんので^^;適当に流してくださいね^^;