うれしはずかし恋愛生活 東京編 (20)綾乃危機一髪! | 超自己満足的自己表現

うれしはずかし恋愛生活 東京編 (20)綾乃危機一髪!

 婚姻届が受理されたあと、あたしは大学に行く。雅和さんは公邸にいるお父さんに入籍の報告をするためにあたしを大学まで送ったあと、永田町に向かうことになってるの。


「じゃあ、行ってきます。雅和さん、講義終わったらあたしもお父さんにご挨拶に行くから・・・。」

「うん、僕は官邸にいるかもしれないからね・・・。」


雅和さんはあたしにキスをして車から降りたあたしを笑顔で送ってくれた。今日からあたしは弐條綾乃なんだ・・・。やっぱり大学には言っておいたほうがいいのかな・・・。とりあえず住所変更とか戸籍変更はしないといけないよね・・・。


あたしはいろいろ考えながら、まあとりあえず講義の行われる教室に向かっている。途中大銀杏の前を通る。ここは学生たちの憩いの場所。待ち合わせに使ったり、話し込んでいたり・・・。もちろんあたしも雅和さんと毎日ここで待ち合わせしてランチに行ったり、家に帰ったりしている。講義も終わり、あたしは友達とまたこの大銀杏のところへ来る。


「え~~綾乃、そうなんだ~~~。今度遊びに行っていい?」

「いいよ。いつでも新居に遊びに来て。でもこのことは内緒だからね・・・。」



丹波白衣
するとあたしの前に丹波さんが立っている。


「丹波さん・・・。なんですか?」

「今日は綾乃ちゃんの誕生日なんだってね・・・。今暇かな・・・。」

「ごめんなさい・・・。これから用事があって・・・。」


わざわざ信濃町キャンパスからあたしに会うためにこの三田まで来たわけ?なんなんだろこの人は・・・。模擬結婚式のときも未遂だけどあたしにキスしようとするしね・・・。


「どこかいくの?よかったら送っていくよ。」

「今から永田町。地下鉄で行くからいいです。」

「お茶くらい付き合ってよ。」

「だから時間が・・・。」


すると突然丹波さんはあたしを抱きしめてキスしてきたの!もちろん大銀杏の人がいっぱいいる前で!友達はみんな驚いていたわよ。もちろん私も・・・。あたしは丹波さんをひっぱたいてやったわよ。


「何するのよ!あたしは・・・あたしは・・・。」

「見た目と違って結構気が強いんだね・・・綾乃ちゃんって。弐條は綾乃ちゃんのそういうところを知ってるのかな・・・。ただのお嬢様じゃないんだ・・・。」

「だからってなんだって言うのよ!雅和さんは・・・弐條さんは・・・あたしのことよく知ってくれてるんだもん・・・。丹波さんはあたしのどこを知っているの?」

「俺は君のことすべてを知りたいんだ。」


あたしは丹波さんを無視して正門を出るんだけど、本当に丹波さんってしつこい。もうしつこいからタクシー止めてそのまま乗っちゃった。あの時あたしがもう弐條になったことを言ってもいいんだけど・・・。まだ公にしていないから、いえない。


この日から丹波さんは側に雅和さんがいないときを狙ってあたしに言い寄ってくる。どうしたら諦めてくれるんだろう・・・。彼氏がいようといなくても平気で言い寄ってくるって言う噂だから・・・。もしかして入籍したって言ったとしてもしつこいんだろうな・・・。


あの日大銀杏の前でいきなりキスされてから、もう大学中は大騒ぎよ!雅和さんの耳に入らないのが信じられないくらい・・・。ホントに雅和さんは何かに集中すると周りの事が耳に入ってこないんだから・・・。その集中力にはホントに脱帽よ・・・。


「え!まだ変更手続きしてなかったの?」


そう・・・丹波さんのおかげですっかり忘れてたわよ・・・。証明書も役所からもらってたのに・・・。雅和さんは本当に呆れてたわよ・・・。


「じゃあ、今から行こう。僕もレポート仕上がったから、提出しに行くしさ・・・。」


あたしは秋季試験の前日に変更届を出しに行ったのよ・・・。まあ今回の試験は旧姓で行うようにいわれたけどね・・・。雅和さんはきちんと指定されたレポートを提出して、後は教授から結果をもらうだけ・・・。いいよね・・・あたしはたんまり試験を受けないといけないのにさ・・・。


まあ試験中はやっぱり丹波さんは来なかったわよ。あっちも試験だもんね・・・。この10日間ちゃんと講義とかに出てるんだろうか・・・。こっちが呆れるわよ・・・。ちょっとなんであたしがあの丹波さんのことを気にしてるんだろう・・・。やばい・・・はまりそうだった・・・。


これがあの人の女の子を落とす手なのかな・・・。


やっと試験が終わって、なんとか単位をギリギリ落とさずに済んだ。ぎりぎりでも単位を落とさないのがあたしのモットー。


春休み突入だ!もちろん雅和さんもきちんと単位をもらえて、後は卒業発表と卒業式を迎えるのみ・・・。


実は今日まで夫婦生活をお預けだったのよ・・・。今まで夫婦なのに寝室は別々・・・。まあしょうがないよね・・・。学業優先なんだもん・・・。


今日からうれしはずかしの同じ寝室・・・。同じベッド・・・。やっぱり夫婦だから夜の営みってするんだろうな・・・。でもあたしが大学出るまで子作り厳禁だからね・・・。これから家族計画しながら夫婦生活するんだよね。ホント二十歳そこそこで恥ずかしいな・・・。


もちろん夜、雅和さんは迫ってきて、キスからはじめる。ああこれからって時にベッドの横にあるサイドテーブルにおいてあったあたしの携帯がなるの・・・。


「出ないと・・・。」

「ほっとけよ・・・。」

「でも・・・。」


雅和さんはあたしの携帯をマナーモードにしてそのままにしたんだけど、しつこくかかってくるからしょうがなく出ることにした。見たことのない番号・・・。


「はい、弐條じゃなかった・・・源です・・・。もしもし・・・。」

『俺・・・丹波だけど・・・。』

「綾乃?誰?」


あたしの耳元でキスしてくる雅和さんを気にしながらあたしはすぐ電話を切って電源も落とした。


「誰から電話?」

「ん?間違い電話よ。」

「そう・・・。」


こんな状態がもう数日続いている。着信拒否登録しても違う番号でかかって来るんだもん・・・。何台持ってんの?って感じかな?やっぱりそれだけ彼女いるんだろうか?デモなんであたしの携帯番号知ってるんだろう・・・。あんまり教えてないのに・・・。


しつこすぎて、雅和さんは怒ってしまって、今日こそは間違い電話に出るぞって・・・。何で丹波さんがあたしの電話番号を知っているのかと怒るんだろうか・・・。教えたことはないぞ!


案の定、夜あたしが雅和さんと寝ようとすると、電話・・・。また違う番号なんだよね・・・ここまで来ると呆れるわ・・・。


「僕が出る・・・。」


雅和さんはあたしの携帯を取ると、着信ボタンを押して出る。


「もしもし?弐條ですが・・・誰?」

『何で弐條が綾乃ちゃんの携帯に出るんだよ!』

「誰だよ!名前を先に言え!」

『丹波だ。丹波正信。これは綾乃ちゃんの携帯だろ?』

「そうだよ。何でお前は彼女の番号知ってんだよ!」

『ある筋から聞いたんだよ。何で?』

「もうかけてくんな!綾乃は僕の嫁さんだからな。今度ちょっかいかけてきたら、許さん!」

『え?』

「だからもう綾乃は源綾乃じゃなくって、弐條綾乃なんだよ!まだ公にはしてないけどな。切るぞ!」


雅和さんは携帯を切り、あたしに抱きつくの。


「もしかして毎晩かかってくる電話ってあいつから?」

「ん?んん・・・。しつこく言い寄られて困ってたのよ・・・。入籍を公にしてないから、面と向かっていえないでしょ・・・。ごめんなさい、相談しなくて・・・。」

「綾乃は悪くないから気にしなくていい・・・。それよりも・・・綾乃、明日この携帯解約に行って、新しい番号に変えよう・・・。」

「う、うん・・・。」


次の日あたし達は携帯の解約と、新規契約をしてきた。もう番号変更をみんなに知らせるだけで大変・・・。もちろん大学にも知らせないといけないでしょ。昨日雅和さんがきっぱり言って、これでしつこい丹波さんが言い寄ってこないといいんだけど・・・。雅和さんに任せないといけないな・・・。


ホント最悪・・・。



追伸:挿絵の丹波君は医学部での白衣の丹波君。白衣を書いてみなした^^;といっても関係ないか^^;以前書いた丹波君と顔が・・・・^^;


丹波見つめる
←これです^^;医学生が髪の毛長くていいんでしょうか?

  主人公の雅和と同級生ですが、医学部は6年まであるので、まだ在学します。そして綾乃と同じ年に卒業となるんですよね^^;こいつはまた「うれしはずかし~」のあとの話でも出てきて綾乃を困らせます。


彼は代々1000年以上続く医者家系の開業医のお坊ちゃん。設定では母方の伯父さんも偉い人で、その権威を使って綾乃を苦しめます。まあ罰が当たるんですけどね^^;


でもまた出してみたいキャラでもありますけれど・・・。

綾乃がかわいそうなのでやめておきます。