タイ訪問では、国際図書評議会(IBBY)の各国オナーリストに提出するとき、候補にあがった絵本を何冊かいただきました(そのときのブログはこちら)。
その中の1冊です。
『飛んだことのないフクロウ』
という絵本です。
これは、2023年タイ良書賞の、「子どものための美しい本」部門を受賞しています(こちら)
22センチ×29センチの大型のハードカバー絵本です。
ハードカバーであるのは、これがポップアップの「飛び出す絵本」だからです。
ショッピングサイトなどでは、3-5才用とされています。
1ページ1文だったり、たしかに3-5才でも読んでもらうとわかりやすいです。
お話は・・・これ、ネタバレになりますが、この絵本を読むことができる方は少ないでしょうから、結末まで書きますね。
あるフクロウ、飛んだことがありません。
どこかに行きたいときは・・・
と、1ページごとに、フクロウのユーモラスな絵が描かれます。
歩いたり、
自転車にのったり、
自動車を運転したり、
電車に乗ったり
冬はスケート、夏は泳いだり。
ある日、ハチマキをしめて、汗を流して走っているところに、
つばさのはえた「とべるブタ」が飛んできました
そして、フクロウに飛ばないのか尋ねると、
「だって飛んだことないもん」
「飛ぶのがきらいなの?」
「わからないよ、飛んだことないもん」
そして、もう帰るというフクロウに、送って上げるよ、と「とべるブタ」は背中に乗せて飛んで送って行きました
その日から・・・フクロウは決心しました。
そして、次の最後のページ、おおきくつばさを広げて飛ぶ、すばらしいポップアップのフクロウの絵が。
中身が見られるショッピングサイトがありました。
出版したのは「PAPERMORE เปเปอร์มอร์」
というところで、ウェブサイトのこちらで作品を見ることができます。
フクロウが飛ばなかったのは、飛ぶというのがどういうものかわからなかったのですね。
それを、ブタが体験させてくれてどんなものかわかったので、飛ぶことができた。
そういう経験って、飛ぶことにかぎらずありますよね。
それがおもしろいところでした。
タイの絵本にありがちな、おきまりの教訓話でなく、「そういうことありますよね」という心にそっているのが、現代的だなあと思いました。