こんばんは、なないろベース事務局&おおいた豊後大野ジオパークジオガイドのタカッチです!
さあ、4年ぶりにこのコーナー復活です!
「ジオおおのがたり」
おおいた豊後大野ジオパークについての基本情報を紹介する連載コーナーです♪
これまで、
…と5話まで進みました。
しかし、今回、いったん滝に戻ります(笑)
1章1節-3に「蝙蝠の滝」を挿入!
先日のふるさとまつり後に、ジオガイド研修に参加。
ついに念願の蝙蝠の滝を見学!
そこで、この滝をジオおおのがたりとしてご紹介いたします!
(※より詳しく知りたい方は、おおいた豊後大野ジオパークのジオガイドをご用命くださいませ&ぜひ現地で何かを感じていただければ幸いですm(__)m)
【目次】
(1)導入~ご存知でしょうか?~
(2)自然として
(3)人間とのかかわり
【目次】
(1)導入~ご存知でしょうか?~
[Q]「豊後大野の三名瀑(三大滝)は?」
みなさまご存知でしょうか?
…そう、まずは「原尻の滝」(緒方)ですね!
…次に、「沈堕の滝」(大野)でしょうね!
…ここまでは、ご存知の方が多いです!
さあ、あとひとつは??
…そう、「蝙蝠の滝」です!
…さあ、なんて読むのかな??(笑)
…「蝙蝠の滝(こうもりのたき)」と読みます!
今回はこの蝙蝠の滝を簡単にご紹介いたします!
☆「蝙蝠の滝」
朝地町上尾塚地区(普光寺あり)にある滝です!
大野川にございます。
▽赤い○部分にございます(緒方町・竹田市との境)
→「幅約120m×高さ約10m」と、大きな滝です!
Cf:原尻の滝…幅約120m×高さ約20m、沈堕の滝…幅約100m×高さ約17m
[Q]蝙蝠(こうもり)って?
岩の部分を観察すると…
…蝙蝠に見えませんか??
▽左右の三角や四角部分が翼、中央の○部分が頭部・胴体部分。
(余談:翼といえば本田翼→最近「ラインモバイル♪」のCMにはまっています(笑))
…って、見えるかどうかは、あなた次第!(笑)
実際に、蝙蝠が翼を広げたように崖が見えることから、「蝙蝠の滝」という名がついたそうです。
(うそじゃねーごたる!=冗談ではないようだ(笑))
今回は、緒方町炭焼集落にある展望台から拝見。
ちなみに、滝の近くへ行くには2ルートあり。
ただし、いずれも厳しいコースのようです…。
1)上流にある発電所から川を渡ってアクセス(※私有地通行の許可が必要&水量が多い時には川を渡れず…。)
2)朝地町上尾塚(普光寺付近)から尾根伝いでアクセス(※長距離&木々が生い茂った獣道)
古くから名瀑として知られていた蝙蝠の滝。
『豊後国誌』という豊後岡藩が幕府に命じられ製作された地誌にて、この滝は「飛激鳴流し、白日採光を吐く」と記されております。
非常に大きく迫力ある滝だと、昔から注目されていたのですね!
後述しますが、人間生活とのかかわりとして、舟路交通あり。
非常に難工事ながら、舟路を築きました。
この特異な舟路は大分県の近代化遺産として高く評価。
平成9年に、「蝙蝠滝舟路跡」として大分県指定史跡に。
また、国登録記念物にも登録され、国レベルでも注目されているようです!
さあ、この蝙蝠の滝について、ジオ的見地(自然面・人間とのかかわり面)から魅力などを簡単にご紹介!
(2)自然として
大野川河口から約55㎞上流にございます。
ポイントは、「柱状節理」ですね!
ジオおおのがたり第2話でもご紹介!
鉛筆を束ねたような縦長い岩です!
▽滝から連続する崖にも、よくご覧いただけると、縦筋の入ったような岩をたくさんご確認いただけるでしょう!
このおおいた豊後大野ジオパークのメインである、阿蘇溶結凝灰岩をよく観察できるジオサイトとして注目できます!
原尻の滝・沈堕の滝と同様、阿蘇溶結凝灰岩による柱状節理から構成される滝です!
さらに、滝の左側(緒方・竹田側)をご覧ください。
▽斜めの地層を確認できるでしょうか?
縦筋=阿蘇溶結凝灰岩の柱状節理ですね!
一方、横向きに積み重なっている岩もございますね!
この横向きに堆積した地層=大野川層群です!
大野川層群につきましては、いつかジオおおのがたりでも詳しく紹介予定。
簡単にご紹介すると、「1億年前に誕生」、「大野川中流~下流で確認される」、「砂岩&泥岩の互層」、「化石が発見される(アンモナイトやイノセラムスなど)」という特徴あり!
大野川層群のジオサイト=手取蟹戸(てどりがんど・千歳町)です!
▽2015年2月になないろベースで実施の「豊後大野目ジオ押しツアー3~大野川編~」でも登場!
[Q]ちなみに、この滝の柱状節理をもたらした4回目の阿蘇噴火によるAso-4火砕流は何年前でしたっけ?
→そうです、「9万年前」ですね!
大野川層群は1億年前ですから、Aso-4火砕流よりかはるか昔の岩なのです!
どれだけ年代の差があるのか、ガイド中は1mものさしを用いて比較します!
この大きく異なる年代の地層が同居して観察できる…この蝙蝠の滝は貴重なジオサイトです☆
[Q]他に、Aso-4火砕流と大野川層群という年代の大きく異なる地層を一緒に観察できるジオサイトは他にあるの?
→「沈堕の滝」、「岩戸の景」(清川町)にございます!
ぜひ現地でご確認くださいませ!2つの地層には、それぞれどのような特徴の違いがあるのかをご確認いただければ幸いです☆
▽沈堕の滝
(3)人間とのかかわり
続いて、人間とのかかわりです。
ジオパークでは、自然そのものだけでなく、その自然がどのように人間とのかかわり歩んできたのかを学ぶことも大切!
まあ、見てのとおり、険しい崖&蛇行し水量もある大野川上流部にある滝です。
▽改めて見ると、迫力ある強固な滝ですね!(笑)
この蝙蝠の滝での歴史文化のキーワードは、「舟路」です!
人々は、自然を交通利用することも!
この地域を治めていた豊後岡藩は、都への交通路として、大野川を利用。
犬飼港~三佐港(大分市鶴崎)まで、大野川の水路を利用することで、アクセスの利便性を図りました。
本来であれば、この蝙蝠の滝周辺でも舟を通したかったのです。
しかし、この辺りは藩政時代には船を通せず(舟路工事ができず…)。
[Q]どうして舟を通せなかったの??
→「大野川流域の一部が、他の藩領と接していたため」。
大野川中流部、三重町百枝(ももえだ)地区は、かつて臼杵藩でした。
(厳密には、百枝地区内でも、岡藩領と臼杵藩領とが混在だとか。)
「藩が異なる=国が異なる」レベルだった江戸時代。
制度や法律も異なったようです。
そのため、2つの藩領を通る大野川で工事→許可や手続きなどでかなりの手間がかかるとの話を伺ったことがございます。
蝙蝠の滝での舟路工事が始まったのは、明治になってから。
[Q]どうして明治になってからようやく工事が始まったの?
→予想通り、「藩領域がなくなったから」です!
明治4年の廃藩置県で、藩領域がなくなりました。
そのため、竹田町(竹田市)~犬飼町まで大野川に舟路を築く運びに!
舟路掘削工事は、2つの工区で実施!
1)「下モ川」工区…沈堕の滝~犬飼町
2)「上ミ川」工区←今回はこちらメイン
・竹田町~沈堕の滝
・明治7年の工事開始。
最大の難所=蝙蝠の滝!
滝を迂回する形で舟路を築くことに。
滝付近では、強固な岩盤を掘削→滝下に至る大規模な舟路を築きました。
▽イメージ図(同じジオガイドの先輩お手製のイラストを拝借いたしますm(__)m)
滝の端から森・尾根の部分を掘削。そして下流部分に石積みをもって高さ調節。
▽現地では、森にある黄色の点線部分を掘削。
▽子どもたちと舟路跡を歩いた際の画像。
大人でも見上げるほどの高さある大きな石積みの舟路のごたるです。
いつか行ってみたい!
完成した舟路は、明治14年ごろまで、士族授産会社が運営していたそうです。
その期間、10年も続かず…。非常に短い期間だったそうです。
大きく立派な滝と人々の関わり、おわかりいただけたでしょうか?
▽最後に、動画でご紹介!
(※冒頭の説明文で「江戸時代、岡藩が掘削工事を実施」とありますが、誤りです。
正しくは、「明治期に舟路を掘削・築く」が正しいです。お詫びして訂正いたします。)
今回、初めて蝙蝠の滝へ訪問。
念願かない、純粋にうれしかったです☆
大きく立派な滝であるのも、Aso-4火砕流が大きく影響しているからですね!
また、人間は交通に利用しましたが、この大きな滝はやはり難工事だったでそうで…。
それでも、人々の工夫や尽力が伝わりました☆
☆展望所へのアクセス
国道502号、緒方町草深野にある「豊後大野パークゴルフ場」へ入る道から、丘の上へと上ります!
(※緒方→竹田へのアクセスの場合、小富士井路の水管橋看板が見える場所まで行く=行き過ぎのため、緒方方面へ引き返すこと。)
10分ほど車で登ると、「炭焼」バス停&車の待避所がある道路がございますので、そこに車を邪魔にならない位置に停車→徒歩15分ほどで展望所へ到着です!
※展望所付近の道は大変狭く、小型車でも厳しいですので、上記パーク&ウォークをお願いいたしますm(__)m)
みなさまもぜひ、蝙蝠の滝やおおいた豊後大野ジオパークへお越しくださいませ♪
以上です!
最後までご覧いただきありがとうございましたm(__)m
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<大分県豊後大野市青年団なないろベース>
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