[ジオおおのがたり5(I-2)]磨崖仏~大地に祈りをこめて~ | いっちきち!やっちきち!豊後大野

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大分県のなないろベース(豊後大野市青年団)のブログです。活動のこと、豊後大野市のことを紹介します!

こんばんは、事務局です!
10月ですね!月日は早い!!
10月もなないろベースをよろしくお願いいたしますm(__)m
(10月半ばから11月はじめにかけて、なないろベースの活動も盛りだくさん…がんばろう!)

本日は、ジオおおのがたりコーナーです。
豊後大野の情報発信活動の一環として、事務局メンバーがおおいた豊後大野ジオパークを紹介するコーナー。
今回は通算5回目!今回から新しい節へ!(前節は「滝
章立ては、I章:阿蘇火砕流、そして2節に入ります!


みなさま、前回まで滝をご紹介いたしました滝
Aso-4火砕流の織り成す景観はダイナミックでしたね!
滝は、いわば自然そのままのジオサイトです。

今回からはしばらく、このAso-4火砕流を活用した、今度は「」の面(文化・信仰・生活)に関連したジオサイトをご紹介いたします!
なお、本日は理論編。今後紹介する各ジオサイトに共通する基本事項を、一緒に学習しましょう!
次回以降は、各ジオサイトを個別紹介いたします。


(0)導入
「みなさま、豊後大野市といえば何を思い出しますか??」
…様々なことを思い出されたでしょう!
「神楽」「酒まんじゅう」「大分市から程よい距離」…などなど、ざっくばらんでOKです

では、
「豊後大野市の文化といえば??」
…これも、「神楽」「獅子」「白熊」「棒術」「盆踊り」「花火」などなど、たくさん連想されるでしょう。

ではでは、
「豊後大野市の文化景観といえば??」
…なかなか出題されない質問でしょう(笑)
これも、いくつか連想されるかもしれませんね。


例えば、このような文化景観を、豊後大野市内でご覧になったことはございますか??
 
 
 
 
…さあ、なんでしょうかか??

…そう、「磨崖仏」ですね!
(えっ、「石仏」じゃないの??…と思われた方、詳細後述です!)
今回のテーマは「磨崖仏」です!
そもそも磨崖仏って何??という基本事項から一緒に学習しましょう♪


【目次】
(1)磨崖仏とは
(2)大分、そして豊後大野と磨崖仏。
(3)参考:仏像の基礎知識


(1)磨崖仏とは
「そもそも、磨崖仏って何??」
文字の通り、岩壁や崖などに刻まれた仏像のことです!
まさに上記画像の通りのものです!

「『石仏』とは違うの??」
磨崖仏と石仏の違いは以下の通り。
☆磨崖仏=動かせない(岩壁に刻まれている・くっついている)
☆石  仏=動かせる(持ち運び可能=ポータ仏…もとい、ポータブル・岩壁から独立している)

「例えば、『菅尾”石仏”』やら『菅尾”磨崖仏”』みたいに、名称が混同使用されているけど…」
詳細は、次回の菅尾磨崖仏コーナーで紹介予定です。
簡単には…「磨崖仏/石仏の明確な区分は戦後になって出来たそれ以前は区別は曖昧だった」との話があります。

文字面を見るとなんともまあ~硬そうな印象ですが(笑)、内容はカンタン!
岩壁に彫られた仏様=磨崖仏」ということです



(2)大分、そして豊後大野と磨崖仏。
「磨崖仏は、全国的にはどのくらいの数あるの??」
正式な数は不明ですが、全国に600~700箇所あるのではと予想されます。
なお、世界では、東南アジアでみられる石窟(寺院)も、広義的には磨崖仏の一つだと言われています。

「では、大分にはどのくらいの数があるの??」
大分県内には、約100の磨崖仏があるといわれます。
なんと、全国の磨崖仏の6~7割が大分県にあるということになります!
特に集中している地域が2地域→「国東半島」、「大野川流域(県中南部)」。
画像が見辛くて申し訳ございません・・・(今回は手書きフリーハンドです(苦笑))
 
例えば、国東半島の磨崖仏。
熊野磨崖仏(豊後高田市)
 
▽一方、豊後大野の磨崖仏
 
 
国東と豊後大野の磨崖仏とで、印象に違いが感じられましたか??
(もちろん何も感じられなくてもOKです みなさまの素直な感想・感覚が大切です!)

一般に、国東半島と大野川流域の磨崖仏には、以下のような特徴の違いがあるそうです。
☆国  東=薄肉・半肉彫(簡素的)→平面的
☆大野川=厚肉彫(繊細・緻密的)→立体的

国東半島の熊野磨崖仏は、まさに平面的(岩肌に絵が描かれたよう)。
一方、豊後大野の磨崖仏は、横から見ると、今にも立ち上がりそうなほど(笑)、立体的な印象がありませんか??

「どうして、このような特徴の違いがあるの??」
ここがジオPoint!
注目は、磨崖仏の彫られたです!

☆国東=溶結角礫岩(猪牟田カルデラ→耶馬溪火砕流)→粒が大きく、硬さあり
☆大野川=溶結凝灰岩(Aso-3,Aso-4ほか)→加工しやすい

…と、使われている石材で、姿・印象も変わるのです!
そこに自然によって、人々の文化も変化する…まさに、ジオパークらしいですね!
自然によって、地域の個性がはぐくまれます☆


「で、豊後大野にはいくつ磨崖仏があるの?評価はされているの??」
豊後大野市内には、22ヶ所もあるそうです!
大分県内の市町村で、磨崖仏数数が一番多い豊後大野市☆
(大分県内の磨崖仏の5ヶ所に1ヶ所は豊後大野市のもの!)
そのうち、国指定磨崖仏は、4件
これも、大分県内の市町村で、国指定磨崖仏数が一番多い豊後大野市!
(なお、大分県の国指定磨崖仏数は、国宝含め8件→またもや半数は豊後大野!)
国指定ということは、それだけ学術的な価値を認められている・注目されている証拠ではないでしょうか?

ちなみに、日豊本線が開通した当初、関西方面から研究者がたくさん大分に訪れ、県内の磨崖仏を調査されたそうです。
このとき、豊後大野の磨崖仏も調査された記録があるそうです。
やはり、磨崖仏も立派な文化だなと感じますよね


「なんで、大分や豊後大野にはこんなにもたくさん磨崖仏があるの??」
磨崖仏文化が芽生える背景には、次の3点があるそうです。
1)「仏教文化」が浸透していた→「磨崖『』」、「石『』」ですからね
2)「有力豪族」の存在→造立を支える経済基盤がある
3)「石材」が豊富

豊後大野の場合、
1)…天台宗の寺院が影響している?
2)…豊後大神氏(とりわけ、緒方三郎惟栄)が現在の豊後大野域を支配していた
3)…阿蘇の火砕流(Aso-4等)他、加工しやすい石材に恵まれてた
…という背景があるようです!



(3)参考:仏像の基礎知識
ここでは、簡単な参考程度でご覧いただいてOKです
今後、豊後大野の磨崖仏をご覧になる際、知っておくとちょっとは楽しめるであろう、仏像の基礎知識をご紹介いたします!
※本当に簡単な部分しか紹介しておりませんので、あしからず…。ご参考までに…。
 全部紹介しようとするとキリがなさそう&執筆者も素人・初心者ですから…(苦笑)

1)仏の種類
仏様にも、実は種類(地位・段階)があります!
大きく4つに分類されます。上に行くほど上位段階です。
1「如来(にょらい)」=悟りを開いた後の状態→Ex:釈迦如来、大日如来
2「菩薩(ぼさつ」=お釈迦様が悟りを求め修行中の段階→Ex:地蔵菩薩、文殊菩薩、千手観音
3「明王(みょうおう)」=如来が姿を変え、人々を救うため必死な状態→Ex:不動明王
4「天部(てんぶ)」=古代インドの神様が土台→Ex:弁財天、大黒天

各仏の外見について、お笑い芸人:笑い飯の哲夫さんが、面白くわかりやすい説明をされていましたので、ご拝借いたしますm(__)m

「もし、仏様が、お尻に浣腸(カンチョー)されたら…」(笑)
如来→「大丈夫やで~」と笑顔で諭す(←悟りを開いたため)&暑さ寒さも無い(=煩悩なし)ので体にほとんど何も身につけていない
菩薩→まあなんとか笑顔でこらえる(=悟りの途中)&装身具でちょっと格好づけ(=少し煩悩あり
明王→「おい!やめろ!」と、怒りの表情(=必死の形相
天部→「おまえ何考えとんねん!許さへんで!!」とかなりご立腹&服も着ている


2)持ち物
手に持っている物に注目すると、これまた各仏像に個性があるかも!?
▽あくまでも一例(薬壷・鉢・剣・けん索など)
  
3)手やポーズ
禅定印、結跏趺坐
など、ポーズにも注目!

 
4)髪型、装身具
ここも個性が出やすい部分でしょう!

…と、磨崖仏(+仏像)の基本については以上です!
途中堅苦しい内容もございましたが、これはあくまでも知識の話(興味を抱かれてからでOKなZONE)。
まずは、豊後大野市内の磨崖仏めぐりなんていうのも面白いでしょう
かなりおすすめですよ!
各磨崖仏に個性がありますし、磨崖仏めぐりのうちに市内一周もできるかもしれません!(笑)


長文失礼いたしました。
おおいた豊後大野ジオパーク、いよいよ人間文化面のジオサイト紹介へ突入!
次回からしばらくは、市内各磨崖仏を個別に紹介予定です!
ぼちぼちの更新となる旨、ご了承願いますm(__)m

最後まで読んでくださりありがとうございました☆
ぜひぜひ、豊後大野の磨崖仏さまにお参りにいらしてくださいね♪
以上です!

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