リュケイオン2
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アースループを排除する②

Lynx Studio Technology E44/E22用デジタル変換ケーブル CBL-XMDR18 【国内正規品】

4年ほど前に¥2,175にて購入したXLR←RCAのデジタルケーブル。

開けてみると2番ホット(緑線)以外はすべて一つに繋がっていて唖然とした。

物は試しとホット以外は切断して一本繋ぎにした。

これで試してみても音は出る。

Veetop XLRケーブル

¥1,079 税込/本

そこで安いけれども金メッキ端子のXLRケーブルを購入して、アナログ出力も2番と3番のみ接続に徹底してみた。

こちらの2番と3番を残す。片方を切断すれば要を成すようにも思うが、ケーブル内で1番と外側シースが短絡する可能性も有るので両方切除した。

黒いケーブルが、1番と外側シースに連結されているのが解る。

で、こうなった。1本千円程度の安いケーブルだったが、芯線も太くお買い得だったと思う。

ちなみにこちらの赤ケーブルは今やペア7千円もする音光堂へ特注したケーブル。

さすがに物は違うが、音の違いは判らない。

さて、すべて2番もしくは3番のみの接続にしてみたが、なんとこれでも音は出る。

もしやと思い、デジタルプロセッサーを業務用CDプレーヤ―の天端から浮かせてみたら音が出なくなった。

機械アースでインシュレーターを通して繋がっていたみたい。

デジタルプロセッサーとCDプレーヤーの間にもう一枚マイクロクロスファイバーを敷いて完全絶縁を達成したら、音が出なくなった。

F-Factory RCA/ピンプラグ×2(赤・白) オス - XLR(キャノン) オス 変換ケーブル 1.5m VM-4115

¥999 税込

そこでこちらを購入した。

なんと、赤RCAのホットがXLR端子の2番で、白RCAのホットがXLR端子の3番に繋がっているという優れもの。

コールドは1番にしか繋がっておらず、XLR端子の外側シースには繋がれていない。インピーダンス整合が気になるが、取り敢えず2番ホットも3番ホットもデジタル接続出来るので使い勝手が良い。

しかし、1番は赤白共通なのでブラブラさせて置くのは気になる。

テクノベインズ RCAタイプ ピンプラグケーブル用キャップ(透明) 6個/パック RCATCK-W0-6

¥539 税込

RCA端子のキャップというと、メス用キャップしか無いのだが、これだけはケーブル用のキャップで助かった。

1個しか使う予定はないが、使っていないRCAケーブルは何本か有るので無駄にはならない。

と思ったら、ウチのは端子がゴツくてキャップなんて入らない仕様だった。

 

アースループはゼロに出来るのか

XLR端子からRCA端子へ変換するケーブルにて業務用CDプレーヤーの同軸デジタル出力を、デジタルプロセッサーのデジタル入力に繋いでたが、ふと調べてみるとこれも二番がRCA端子のホット側で、1番と3番と外側のケースがすべて繋がっていた。

2番ピンがRCAのホット側に配線するのはヨシとして、1番3番外側ケースとすべて連結する意味が有るのだろうか。

音光堂に特注したXLRケーブルは1番~3番と外側ケースもすべて独立配線した四芯ケーブル仕様である。それなのに内部で1番と外側ケースが繋がっているのでは、どれほどアースループしているのか。

 

¥2,175

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

AES/EBUデジタル接続×2と入力

以前から試してみたい事があった。デジタルプロセッサーはAES/EBUデジタル2入力(4ch)であり、いわゆるXLRケーブルにてデジタル接続が出来るのだが、特殊な形状の業務仕様であり、この端子故にDENONの業務用CDプレーヤーを選択した次第である。

それに加えて、DENONのCDプレーヤーには通常の同軸デジタル出力端子が有り、変換ケーブルにて追加で繋げないか、というもの。つまり、デジタルプロセッサーには、DENONの業務用CDプレーヤーから二系統にてデジタル接続をすることになる。

これがデジタルプロセッサー接続設定のトップ画面だが、左端のインプットを参照してみる。

デジタルプロセッサー背面のXLR端子右端からAES/EBUデジタル接続と、右から二番目には同軸⇒XLR変換ケーブルにてデジタル接続を二重に行っているのだが、画面上は背面右端端子が4⃣と5⃣として表されており、背面右から二番目のデジタル接続は6⃣と7⃣として表現されている。

曲を鳴らしながら変換ケーブル接続を足したり止めたりすると確かに音が太く強くなり、信号が二倍になっているのが判る。

しかし信号が強すぎてクリップしているようだったので、入力ゲインを下げることにした。

インプット2と有るので変換ケーブルの方。↑

インプット1と有るので、こちらは元から繋いでいたAES/EBUデジタルの方。

どちらも-1.0dBほど入力ゲインを下げた。

以前にも同じ入力信号が強すぎてクリップ表示をされるので、この画面にて入力ゲインを下げた事が有るのだが、その時はコンプレッサーを掛けられたかのような音の変化に辟易して、補正を解除してそのままつかっていた。

今ではマイナス1.0dBしても、音の圧迫されているかの聴き比べをしても違いが判らなかった。

 

どうもバランス⇔RCA変換ケーブルに交換してからというもの、位相が合わない。

覚え書き

①YAMAHA 2番HOT
②DENON DN-700C(業務用CDプレーヤー)2番ホット
③デジタルプロセッサー 3番HOT(記載無く、聴感判定)
④DENON PMA-SX11 3番ホット(NORMAL)
⑤Accuphase E-800 3番HOT(工場出荷位置)

参考⇒marantz PM-10 2番ホット

YAMAHAとE800は合わせたが、DENONだけは正相でも逆相でもしっくり来ない。

上記覚え書きより、デジタルプロセッサーからの出力は3番ホットなので、2番ホットのYAMAHAアンプとの接続は、XLR端子でいう所の3番と2番をクロスさせる特注ケーブルで繋いである。

3番ホットのE800は普通のXLRケーブルで繋いで有るが、YAMAHAアンプとはフェーズ切替をした方が位相は合う。

結局すべてバランス接続へ戻した。そうすると、クロスケーブル仕様のYAMAHAアンプに位相を合わせると、E800は正相でピッタリだった。DENONアンプは何故か反転切替した方が位相は合う。

理屈を追っかけて行くと3番ホットのデジタルプロセッサーとDENONアンプは正相接続になりそうだが、聴感を頼りにすべて合わせた。

原因究明には及ばなかったが、久しぶりに三つのスピーカーの位相が揃い、ドカンと重低音が弾けた。

 

 

 

5/10追記

これの1mタイプを購入し、11,000円ほどで導入した電流帰還アンプへもデジタルプロセッサーからの信号を送れるようにした。

しかし、何故かしら位相がズレているような違和感が付きまとう。

テスターで調べたところ、2番ピンがRCA端子のホット側で、なんと1番ピンと3番ピンはコールド側に接続されていたので、いわゆるアースループ現象が起こっているのではないか。

 

 

 

 

 

2024年のバスレフ共鳴管④

取り敢えず、スタンド内も共鳴管として動作する見込みで図面を引いてみた。

ルックス重視で何度も書き直してみたが、長岡先生の「スタンダード」を超える事は出来なかった。

キャビネット下部と、スタンド上部の擦り合わせが難しく、板取が足りなくなってしまい無理やり辻褄合わせした。

組み合わせが難しくてスンナリはまる構造には出来なかったため、見切りをつけて前後にスライドする事で、バスレフポート断面積を縮小出来るようにしてみた。絞ってみて音が変わるかどうか確認出来る。

スタンド下部の開口部面積は30㎠で、振動板面積よりも小さいがバスレフ動作にはならないと見込んでいるが、相変わらず底板を設けていないので、鳴らしながら底板を持ち上げたりして変化を確認出来る。

しかし、凝った造りにしても、このF特のユニットから素晴らしい重低音が出るとは思いにくい。

それならば、現用セカンド方式で極シンプルにするべきか迷う。

 

3/22 追記

実際に一次審査も通るかどうか判らず、造らない可能性も高いのだが、やはり美しく無ければ造ってみようという意欲が湧かないのでもう少し頑張ってみた。

これは美しい。惚れ惚れするような造形になった。このスタンド構造は、ユニットメーカー渾身のスピーカーユニット用に取って置いたアイディアだったが、自分自身があと何年元気で居られるかも定かでは無いので惜しみなく盛り込むことにした。

打倒「スタンダード」は30年来の悲願だったが、これなら自信を持って推せる。唯一の気掛かりは、この筐体にYAMAHA社9㎝フルレンジユニットをセットしても、音色は大した事は無いだろうという事。

共鳴基音は変わらず60Hz以下としているが、このスタンド構造だと70Hzも怪しくなる。

板取も限界まで頑張って、余剰分はホンの数センチまで詰められた。これだけ部品点数が多いと、組み立てミスも怖いが隙間が開いても共鳴管動作しなくなるので冷や冷やではある。

本来、こういう競作には自身が既に成功を収めて有る枯れた技術を披露すべきなのだが、重低音に期待出来ない以上、自分で使う事は想定出来ず、製作意欲を掻き立てるためには、造ってみなくては理解が及ばないほどのアグレッシブな設計と、出来上がった時の美しさのイメージが重要と思う。

 

3/26追記

小型スピーカーを高く持ち上げるスタンドの多くは70㎝台で、上記試作スタンドのH=82㎝というのは前代未聞ではないかと探してみると、なんと80㎝どころか90㎝(15,000円ペア)まで売られていて驚いた。

聴取時、耳の高さについて長岡先生は90㎝と仰っていたが、実際は70~80㎝なので91㎝サブロク板の横辺をスピーカーの高さにするとユニット軸が耳の高さに来て丁度良かった。

なのでスタンドの高さが90㎝ともなると頭上に焦点する事になり、もしかするとサラウンドスピーカー用途かも知れない。

 

¥11,734 税込

これは美しいソナスファベール、ミニマⅡのスタンド。Sonus Faber - Carrara Stand(ペア)Minima Amator II 推奨スタンド

価格 : 264,000円(税込)

寸法(1本)    幅305×高さ720×奥行380mm
重量(1本)    11.2kg

 

 

オペラ歌手を目指す島根県松江市の門脇早紀さん

これは素晴らしい独唱で、引き込まれた。

コメント欄で指摘されて気付いたが、お辞儀も綺麗な日本式で清々しい。

見事大役を果たし、満場を魅了しました。
オペラ歌手を目指す島根県松江市の門脇早紀さん。高校3年生で、このほど卒業式を終えたばかりの彼女が、18日開幕した春の甲子園「センバツ高校野球大会」開会式で、「君が代」を独唱しました。
午前9時から始まった開会式では、出場32校の選手たちが、プラカードを先頭に入場行進。
そして門脇さんが選手たちとスタンドを埋めた観衆を前に、「君が代」を独唱しました。
今回、門脇さんが大役を担うことになったのは、2023年11月に横浜市で開催された「全日本学生音楽コンクール全国大会 声楽部門・高校の部」で栄えある第1位、日本一に輝いたため。

大会には全国4つの地区の予選を勝ち抜いた12人が出場。
門脇さんは高校2年生で出場した2022年の第2位を上回る、全国トップの栄冠を見事につかみ取りました。
事前のインタビューで門脇さんは、次のように話していました。

(Q.本番に臨む心境は?)
門脇早紀さん
「高校生の憧れの場所だと思うので、まずはその人たちにエールを届けることができたらというのと、震災とかもあったりして大変だった人たちがいっぱいいると思うんですけど、そういう人たちにも自分の歌でエールが届けられたらいいなと思います」
門脇さんの夢は、オペラ歌手になること。
小さい頃から歌うことが大好きだったという門脇さんは、5歳のときに、松江プラバ少年少女合唱隊に入隊。
ソプラノ歌手の渡邊志津子先生に師事し、真剣に歌と向き合ってきました。

(Q.門脇早紀さんの声の特徴は?)
松江プラバ少年少女合唱隊を指揮 ソプラノ歌手 渡邊志津子さん
「喉がよく鳴るのでパンッと良い声が出てくる、鳴ったら鳴ったで鳴った人の苦労もあるんですよね。一人の門脇早紀として歌手として、どれだけその人の個性が出てきて、人を感動させることができるか」
門脇さん、本番では伸びのある歌声で、大空に吸い込まれるような君が代を披露しました。
門脇さん独唱に対し、SNSには「ジーンときた」「感動した」「清々しかった」といった投稿が寄せられました。

門脇早紀さん
「(Q開会式を終えた感想は?)入りの所とかすごく緊張したんですけど、最後唄う時には楽しく自分らしく唄えたかなと思います」
球児たちの夢の舞台で、見事、大役を果たした門脇さん。
次は自身の夢、オペラ歌手を目指し4月から東京藝術大学声楽科に進学、新たな一歩を踏み出します。

正直、小柳某さんの高3時代と比較すると及ばないかも知れないが、発声には才能が深く関係し門脇早紀さんは素晴らしい才能の持ち主である。

オペラ歌手を目指しているとの事だが、pops歌唱の方にも興味を持ち素晴らしい歌唱を世に送り出して欲しい。

2024年のバスレフ共鳴管③

長岡先生の作品にスタンダードというのが有る。

スタンドまで一体化した素晴らしいアイディアのモデルで、いつか更に斬新なアイディアにて一新してみたかった。

板取もサブロク一枚で二本作るタイプで俄然やる気が出てくる。

音色は極普通のバスレフ式で特に魅力は感じ無い。805D4と比較するとしたら、こちら「スタンダード」の方はフラットに見える分、小音量では重低音の迫力で負けるだろう。

とすると、YAMAHAの9㎝フルレンジユニット競作品では、うねる重低音ぽいのを足せたら目標達成としても良いのではないか。

フルレンジを共鳴管に使うとなると、内部吸音材は不可欠なので、どうせなら内部仕切りに全長31㎝で幅が11㎝足らずのペットボトルを仕込む。

これならアグレッシブな設計で、失敗するにしても学びが有る。

問題なのは、文章で説明してもサッパリ理解されないだろうという点。恐らく、バスレフ動作も共鳴管もサッパリ理解していない素人がDIYで箱だけ組み立てました、という作品だと解釈されるのではないか。大きく外れてはいないが、断じてそれだけではない。ハードでシャープでダイナミックというのは長岡スピーカーの特徴とされるが、設計に於いてこそ真価を発揮する。

ではYAMAHAの競作イベントに想定しているであろう意図は何かと推測すると、自作マニアが一堂に会し和気あいあいと互いの作品を称え合うほのぼのした交流会ではなかろうか。

これまでの要点をまとめると以下。

①設計目論見がすべて奏功しても、せいぜいフラットと言えるのは80Hz程度のユニットでは、自分で使う事は無い。

②YAMAHAが想定しているであろうイベント主旨と、自分が価値在ると思う設計とでは方向が違うであろうこと。

③運良く最終選考まで残れたとしたら、YAMAHA社にて無響音室測定をしてくれる利点がある。

④YAMAHA技術陣が驚くほどの美音を奏でる作品がいくつも出れば、次回のイベントはYAMAHA社渾身のピュアオーディオユニットを提供してくれるかもしれないという事。

書き出してみて③と④はとてつもなく魅力的である。

 

 

 

 

 

 

 

 

2024年のバスレフ共鳴管②

前回の寸法では、余りにも学びが無いので少しだけ冒険してみたい。

8㎝×13㎝ダクトの断面積が、振動板面積の240%となりいよいよバスレフ動作はしないかも知れない。

しかし、入口部は5㎝×13㎝で、150%なので何らかの負荷は働くと期待する。

開口部は3.5㎝×13㎝で、106%なのだがこちらはバスレフ動作はしないと思う。念のため、組み立て測定時に底板を外してF特が変わるか確認して置きたい。

共鳴基音は58Hzなので、なんとか60Hzまでは再生下限として確保したいところ。

内部バスレフポートは、108Hzほどだが、実際はもう少し低い値になりそう。

この↓グラフを見ると、バスレフで持ち上げれば1kHzに対して80Hzでマイナス3dBも狙えそうだが実測して見ないと何とも言えない。

 

現用6㎠フルレンジユニットと同じ程度の重低音再生能力ならお手上げだが、以前直管共鳴管にて使ったFF85K×2発のユニットは、60Hz付近までタップリと再生してくれたので無謀な設計とは言えないかな。

1kHz付近を基準に見ると、70Hz付近はマイナス12dBくらい。

 

何しろ音が良くて鳴りっぷりが良くてお気に入りだったが、コーン紙の劣化が早くて1年持たなかった印象がある。

ボイスコイル径20㎜は、8㎝フルレンジユニットではかなり大きい方だと思う。

Fs:122Hzと高いが、80Hz付近まではフラット再生してくれた。

Qts:0.47はやはり強力なユニットだったことを示す。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

2024年のバスレフ共鳴管①

上手くまとまるか、試しに図面を起こしてみたが、当初想定していた方向とは異なり、fd=86Hzの最低共鳴音域64Hzとなった。

実効振動半径:r=3.7㎝から振動板面積を求めると43㎠なので、断面積65㎠のダクトは振動板面積の1.5倍となり肝心のバスレフ動作並びに前後の空振り動作をしてくれるのか怪しくなって来た。

ユニット裏から開口部までをL=1.1mと仮定すると、音響迷路計算では↑156Hz, ↓312Hz, ↑469Hz, ↓625Hzとなる。

大まかな構造は現用メインスピーカー「タイタン」と同じだが、60Hzが薄いスピーカーを作ったとしても自分で使う事は有りえないし、何しろ試行錯誤の学びが少ない。

特に低域特性が非常に見にくい。一目盛りが2dBなので振れ幅も大きく他のF特との比較に混乱するので部分拡大してみた。

1kHz~5kHzに掛けても凹凸が激しいので、1kHzを基準に低域を観るとフラットと言えるのは200Hzまでで、150Hzではもう5dBほどマイナスとなり、80Hzでマイナス10dBくらいだろうか。

ユニットについてはカノン5Dさんが詳細にツイートして下さっているので参考になる。通信傍受が怖くてスマホにはTwitterをインストールしていないため、スクリーンショットを貼らせて貰った。

F特の暴れからすると「精緻」は期待薄だが「パワフル」には期待する。↓

電子楽器用のスピーカーユニット↑との事で、美声が聴けるようなルックスでは無いが、ソアボ2の白いコーン紙も外見とは裏腹に素晴らしい女性ボーカルを聴かせてくれたので期待は出来る。

男女ボーカルは5~6㎝フルレンジでも充分に帯域カバーしてくれるので納得だが、大編成のクラッシックとなるとある程度の低域再生と大音量が必要かと思う。タフで高耐入力なユニットを目指している印象で、昔のテクニクスユニットのようなタイプだろうか。

エッジが柔らかいという事は、音の立ち上がりを重視しているのか。

シンバルに違和感というのは、単純に9㎝フルレンジフェライトマグネット仕様なので高域スパイスが届かないのだと推測。

5~6㎝フルレンジユニットでも、フェライトマグネット仕様だと高域は鋭さが出ない。

この辺はとても残念。「自作マニアに挑むなら本気のユニットで来い」と長岡先生ならメーカー担当者に仰るだろうか。ハードでシャープでダイナミックな長岡派にはやや物足りないスペックなのは音からも推測出来そう。

 

ヤマハ独自の振動系素材テクノロジーを使った9cmフルレンジスピーカーユニット(以下、ヤマハ製フルレンジスピーカーユニット)で、スピーカーを自作してみませんか?このユニットは、新開発素材の振動板とサラウンド(エッジ)によるプロトタイプで、サイズを超えた低域表現とダイナミックレンジを特長としています。
完成した自作スピーカーの試聴イベントも開催予定です。ふるってご応募ください。
主催:ヤマハ株式会社
共催:株式会社ヤマハミュージックジャパン
協力:MJ 無線と実験(株式会社誠文堂新光社)

上記でスピーカー自作を呼び掛けているのが妙だ。高性能ユニットかも知れないが安価で高耐入力が特徴のように読める。

サイズを超えた低域表現というのは、所詮9㎝フルレンジの帯域範囲という事で100Hz程度を想定しているのかも知れないが、安いユニットを使い易い木工を愉しんでるDIYマニアならいざ知らず、名うてのスピーカービルダーに呼び掛けるには物足りない気がする。スピーカー筐体の良し悪しは100Hz以下の低域再生に掛かっているのだから。さすがにこのユニット販売で儲けを出そうという目論見ではないと思うので、単純にユーザーを楽しませるのが目的だろうか。少なくとも、応募作品から何らかのヒントを見出そうという尖ったユニットでは無いと思う。

■内容
スピーカーを自作していただく方は、ご応募の中から選出します。選出された方にヤマハ製フルレンジスピーカーユニットをご提供します。
・自作スピーカーの中から、試聴イベントに出品するスピーカーを選出します。
・試聴イベントに出品するスピーカーは、ヤマハの無響室で音響特性を測定し、製作された方に結果をお知らせします。

上記がとても気になる文言である。自作派の愉快な仲間達で馴れ合いして貰おうという企画なら応募者すべてに有償配布し写真掲載してお茶を濁しそうだが、基本的に作品を選出するという姿勢が有る。試聴イベントまで企画しているという事は、広く聴かせる意図は確かに有りそう。しかし、100Hz以下は見込めないスピーカーで何を聴かせるというのか不思議。無理やり整合を付けると、応募者の技量が問われる100Hz以下の筐体は期待せず、中高域で無様な酷い音を出さない応募者を慎重に選別し、イベント等にて広告代わりに活性化を図ろうとしていると観るがどうだろう。この推論が正しければ、自分のような不細工なべニア造りの長岡派は一次審査ではじかれるであろう事も容易に推測出来る。しかし、軸上1mのF特測定結果を添付すればどうか?バスレフ共鳴管の目論見がすべてジャストミートすれば、望外の重低音実測をお見せ出来るはず。しかし、これは恐らく信用されないだろう。自分以外に頻繁にF特を公表している御仁は滅多に居ない。ならばこそ、メーカー謹製の無響音測定室にて同条件測定して頂きたいところ。正直、自分で測定したF特とメーカー測定と、その違いには興味津々である。可能で有れば、自分の作品だけでも測定結果を広く公表して欲しいところ。自分の場合も長岡先生の作例F特を食い入るように見入って音を想像したものなので、スピーカー自作の楽しさと可能性を広く知らしめたい想いが有る。
ヤマハ製フルレンジユニットの仕様書はこちら
※ヤマハ製フルレンジスピーカーユニットは非売品です。 

■開発者からのメッセージ
 私は電子楽器の音響部品を担当する設計者です。始まりは「フラッグシップ電子ピアノに相応しい、究極のスピーカーユニットが欲しい」という要求でした。主な要求性能は、小口径・高能率・広帯域・高耐入力・低歪、しかもかけられるコストに限りがあるという無茶ぶりです。真っ先に相談した社内のユニット専門部署からは「非現実的で難しい……」との反応でした。これらを実現できる素材が無かったためです。
 「素材が無いなら作ればいい―――」。電子楽器開発セクションと研究開発セクションによるタスクフォースが立ち上がりました。楽器、ユニット、振動板素材、エッジ素材の専門家が力を合わせ、従来技術にはない素材と製法を駆使することで、2年をかけてようやく理想のユニットが出来上がりました。このユニットがフラッグシップ電子ピアノ設計部門の高い評価を得られたのは勿論のことですが、私は、HiFi用のユニットとしても とてつもない可能性を持っているのではないか!と気づいたのです。そして沸き上がってきたのは「この感動を一刻も早くお客様に届けたい」という想いでした。
 私たちは、完成品としてのスピーカーにはこだわらずに、このユニットをお客様にどのように届けるべきか検討を始めました。そして「スピーカーを自作される方たちなら、このユニットの良さを理解してその価値をさらに引き出してくださるのではないか」という仮説の下、「MJ無線と実験」編集部の方々やオーディオライターの小澤隆久氏の協力をいただき、このユニットを用いた自作イベントを開催することができることとなりました。
 本イベントの趣旨に共感いただき、可能性探索へともに取り組んでいただける、たくさんの方の参加をお待ちしております。

担当者の名前を出さないのも時代の流れか。取り敢えずで雇い入れたアルバイト氏の仕事ではなく、YAMAHA技術者からの呼びかけという事で興味深く拝読した。

しかし会社から要求された内容は「安くて電子ピアノにふさわしいユニットを造れ」なので世界のトップエンドスピーカーに挑むものでは無い事は行間に示されている。2年掛けて出来上がった理想のユニットというのは、理想的低コストユニットという意味合いが強いのではなかろうか。担当者氏も「hi-fi用のユニットとしても可能性をもっているかも?」と期待してはいるが、「このユニットの中高域の良さを理解」出来る層としてスピーカービルダー諸氏にお呼びが掛かったと見る。「価値をさらに引き出す」と丁寧に記載されては居るが、箱造りの腕の見せ所である100Hz以下の重低音には端から期待しておらず、このユニットの持ち味である中高域をそのまま出してくれる程度の期待をしているのだと思われる。

YAMAHAは変わったメーカーで、他社が重低音競争に明け暮れたCD黎明期から素っ気ない低音でお茶を濁して来た社風が有る。

ソアボ2を聴いて確信したが、重低音を出すのは簡単だが多くの場合中高域を汚すので潔く重低音は二の次にしているという印象があり、今回のユニットも社風であるところの「綺麗な中高域」をゆかいな仲間たちに褒め称えて貰おうというイベントではなかろうか。しかし、「可能性探索へともに取り組んで」の一文に重きを置く。YAMAHAも暗中模索の最中なのだろう。

 

YAMAHAと創るスピーカー自作と試聴イベント

まさかと驚くような情報が上がっていた。YAMAHAが自社ユニットを用いた自作スピーカー競演を開催するとの内容。

■応募資格
以下を満たす方がご応募いただけます。
・ヤマハ製フルレンジスピーカーユニットを使って、スピーカーを自作できる方
・2024年10月中旬に開催予定の試聴イベントに自作スピーカーを出品(事前送付) できる方


■製作条件
応募時に「作りたいスピーカーシステム」についての構想を記入いただきます。製作時には以下の点にご留意ください。
・ヤマハ製フルレンジスピーカーユニット(9cm)を左右チャンネルに1本ずつ使用すること
・スピーカーユニットは提供品のみを使用し、他のユニットと組み合わせないこと
・ウーファーやツイーターなど、他のユニットの追加はしないこと


■応募期間
2024年3月8日(金)9:00~5月24日(金)23:59


■選出と結果発表
・スピーカーを自作していただく方について
応募時に記入いただいた内容を参考に選出します。結果はご応募いただいた皆さまに、2024年6月中旬にメールでご連絡します。


・試聴イベントに出品するスピーカーについて
スピーカーの情報(写真、コンセプト、構成、特徴など)を参考に選出します。結果は選出された作品を製作された方のみに、2024年9月中旬にメールでご連絡します。
しかし、肝心のユニット仕様を見るとショボい性能でバスレフ共鳴管の本領発揮出来る物ではない。
先ず、最低強振周波数が高過ぎて小型スピーカーで充分な企画である。バスレフ共鳴管の真骨頂は小型スピーカーでは御法度の40Hz付近を再生してボーカル帯域に影響しない事なので、フラットと言えるのは精々80Hz程度のお気楽スピーカーでは他者と差が出ないだろう。というか負ける可能性も高い。
余談だが、昭和の終わり頃隆盛を極めた598スピーカーの再生範囲がその程度だったと思う。なので100Hz付近からだら下がりになるD-55でも、200Hz付近が持ち上がっている特性を捉え「低音が厚い」と評価されたりもした。とは言え、低域下限への伸びが圧倒的に違うので、当時の598スピーカーはあくまでも大きなブックシェルフタイプという位置付けは納得できた。
さてYAMAHAの9㎝フルレンジユニット。Q0も0.66と高く、鋭い立ち上がりの繊細なボーカルは期待出来ないであろう。
現用サブスピーカーやセカンドでも、5~8㎝のフェライトマグネットユニットでは退屈な音色で、共鳴管ならではの精妙なボーカルは聴く事が出来ない。超小口径フルレンジを中高域に充てているとは言えども、ネオジウムマグネットユニットが有ればこそのバスレフ共鳴管なのだ。
現有サブスピーカーは全高77㎝ほどの小型サイズであり、机上でも最大限の効果を発揮出来そうであるが、この小ささでも再生帯域下限は40Hzを誇るフロア型であり、軽低音をカバーする音域と背圧を受けない女性ボーカルを両立させる世界のトップエンドスピーカーと比較出来る音色を目指している意欲作で有り、デスクトップエンドスピーカーなどと称している。

さて、応募して最終試聴まで残ったとしてもバスレフ共鳴管の醍醐味を示せないであろう条件下ではあるが、上記F特グラフを見て設計するならどのような筐体になるだろうか。

先ず、バスレフチューニングは前代未聞の120Hzで振動板面積比100%~120%のダクト部を仕込む。共鳴管としての全長は1.5mほどを目指して最低域を60Hzで、軸上30㎝測定時に中高域マイナス10dBなら上出来ではなかろうか。これは上記F特グラフで言うとプラス5dBほどであり、現用サブスピーカーの6㎝フルレンジユニットだけの実測値と同じ程度の低域上昇なので、無謀な目標では無いと思う。
ただ、くどいようだが今回のYAMAHAの9㎝フルレンジユニットが、ボーカルの美しいユニットでなければ他者自作方式との差異が出ないのでどんぐりの背比べになり、素人木工のこちらは圧倒的に不利であろう。万一、この競作ユニットが素晴らしい女性ボーカルを聴かせてくれる優秀な逸品であれば、逆に素人細工の筐体は工作素人でも再現性が高く作り易く敷居が低いという利点になるのだが、恐らくそのような目標で造られたユニットではないらしく美声は望むべくも無し。
ショボい仕様ユニットではトップを目指す事も叶わず、べニア細工の素人工作では一次審査で落とされる可能性も高いが、それでも競作に出品する意義は有ると思う。
先ず、重低音についてはこの仕様ユニットでは大差は出ないかも知れないが、それでもバスレフ共鳴管の重低音効率は圧倒的であろう。少し考えてみて負けるとしたらスワンタイプで有るが、あれは団子状の低音がモコモコ出てくる印象なので、量感では負けたとしてもウッドベース基音を細かく描き分けるハイエンドタイプに重低音では無いので除外する。更に共鳴管ならではの簡単な工作で重低音タップリとなれば、もはやバックロードホーンの必要性は無くなるであろう。
そして共鳴管ならではの特質が床を選ばないという点であり、畳の上でも絨毯でも殆ど影響を受けず、硬くて丈夫な床を必要としない。
これはちょっと凄い事なのだが誰も気付かないかも知れず、やはりハイエンドユニットに依る競作でなければ不甲斐ない結果に陥りそう。

 

3/13追記

なんとカノン5Dさんの作例がツイートされていた。

 

 

コメントを読むと120Hzでマイナス10dBと有るので、何だろう?と公式F特の横線スパンを良く見ると20dBピッチだった。

というわけで、大幅に目標周波数を修正したので悪しからずどうぞ。

何かに似ていると思ったら、現用6㎝フルレンジユニットと似たような高低バランス。

↓こちらは6㎝フルレンジユニットの軸上30㎝実測F特。2kHzを基準にすると80Hzがマイナス10dBくらいだろうか。

YAMAHAの9㎝フルレンジは↑こちらの6㎝フルレンジに近いF特なのだろうか。

 

3/22 追記

競作の意図は不明かと思っていたが、製品化のヒントにすることも有るのだとか。

知的財産権の取り扱い
・本イベントの結果に基づき、ヤマハが独自に発明・考案・創作等を行ったとしても、また、これらの結果に基づき、それらをヤマハが独自に
商品化したり、サービスとして第三者に提供したりする等したとしても、お客さまは何ら主張や異議を唱えることがないことをご確認ください。
・お客さまが創作した著作物または実演については、当然お客さまが原著作者または実演家となる権利物です。当該権利物が本イベントの結果に含まれ、ヤマハに対しその
使用を許諾いただきますようお願いします。
・お客さまは、製作されたスピーカーのデザイン、仕様、動作の仕組みや考え方を第三者(ヤマハを含みます)が模擬(模倣)することまたは参考にすることに対して、異議を唱えないこととします。

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まるで、寄せられた応募作を基に新たな商品開発でもするかのような文言だが、もし製品化のアイディアを募集しているのであればこのような書き方はしないのではないか。これは、京都アニメーション事件を受けて禍根を残さないようにとの配慮だと思う。

それにしても先は長い。一次審査を通ったかどうかの連絡すら三か月後。その後、製作猶予期間が約二カ月で、更に二週間後に二次審査の結果連絡が来るとのタイムスケジュール。

6月中旬とされている参加者へのご案内は随時行うべきではないか。早々に申し込んだ人たちは二カ月半も宙ぶらりんのまま着手出来ずに居ることになる。2万円の代金負担と、二次審査に漏れる可能性を承知の上でならどんどん先に進めさせて欲しい。

製作期間の2カ月は充分かというと、板材カットサービスを受けてくれるところは少なく、1カ月待ちはざらなので正味2週間ほどで組み立てと調整を終える事になりかなりタイト。

とは言え、ユニットが到着しなければ実際にどのような音が出て来るか分からず、調整も出来ない。なので対応の早い応募作には順次前倒しでどんどん結果を出すというルールには出来ないのだろうか。コンテストなら期間の公平性は厳密に成されるべきだが、今回の企画は広く公募する程度の意味合いなので逐次一次審査、二次審査の合否を伝える方向で良いのではないか。

メーカー側のリスクを考えてみると、非売品ユニットが流出するというのが有るかな?応募するフリをして、非売品ユニットを手に入れヤフオク等で高く売りつける輩は居るだろう。しかしそれは、長期間を設けても同様のはずで、二次審査から漏れた人たちが二万円で手に入れた非売品ユニットを放出するのは想定内であろう。

審査期間を緩く広くした場合に、同じ人が何作品も応募して来たらどうか?一次審査に落ちるような人が何度も応募してくるのは問題無いだろうが、二次審査まで通るような人が何作品も応募して来たら一人で何点も応募出来る事になる。実際に、スピーカービルダーというのはピンキリで、十人の十作品よりも達人の十作品の方が遥かに価値が有る場合も多い。

それを避けたいなら一人一作品の縛りを設ければ良いだけだが、そのような規約は無い。もしかすると、応募数が極端に少ないと見込んでいるのではないか。3カ月の応募期間を設けても二次審査に通りそうな応募作が10作品にも届かないと見越しているのかも。

■製作条件
応募時に「作りたいスピーカーシステム」についての構想を記入いただきます。製作時には以下の点にご留意ください。
・ヤマハ製フルレンジスピーカーユニット(9cm)を左右チャンネルに1本ずつ使用すること
・スピーカーユニットは提供品のみを使用し、他のユニットと組み合わせないこと
・ウーファーやツイーターなど、他のユニットの追加はしないこと

改めて製作条件を見直してみても選出基準は設けていないようだ。つまり何の変哲もないバスレフ箱の応募作だらけになる可能性も有る。筐体構造に工夫の無い応募作は落とされるのか、それとも木工技術を求めているのか?

ルックス重視で木工仕上げを競わせる主旨と想定するとシックリくるが、そうなると一次審査の意味が薄い。筐体構造を競わせるつもりなら、せいぜい100Hz程度のユニットでは本来の意味で役不足。筐体構造を競わせる目的ならせめて100Hz以下で差が出るユニットが必要だし、出来れば50Hz前後にf0が有るユニットがふさわしい。

一般公募イベント前に、有名どころスピーカービルダー5名と小澤氏による発表会を行ったとの事で、MJ誌4月号に僅かながら記事が載ってた。

↑表紙にはYAMAHA製ユニットの表記は無く、重きを置いていない事が判る。

少し判り難いが、一般販売されていないから本誌に作例を出せないが競作イベントはOKという事?

踏み込んで読み取ると、一般販売されていないユニットでは、本誌へ作例を発表する意味が薄いので、競作イベントとして楽しんで、という文意かも。

非常に見難いが、上から①小澤氏②カノン5D氏③新井氏となっており、グラフ横軸は10-20-50-100Hzの順で、小澤氏の作例だと70Hz付近までフラットに仕上げて有り素晴らしい。自分が考案中の作品で、すべてのアイディアが奏効してもここまで良い特性になるか怪しいので、何人もこのレベルが居るのは嬉しい。

こちらは一番上④がステレオ誌で常連の塩ビ管スピーカーの人で、最低域はなんと40Hzまで伸びている。高域比でマイナス10dBというのは、長岡式BHと同じような高低バランスなのだろうか。

中段は⑤てつさんと記載されているが、60Hz付近までフラットであり中高域比で100Hzがマイナス5dBほどと音圧が明らかに高く、頭一つ抜けている感じだろうか。

下段は⑥バックロードバスレフの御仁で、正確なF特は初めて見た。中高域付近に暴れは有るものの50Hzまで伸びている低域はさすがである。インピーダンス変化が塩ビ管の人と似ており、バスレフ箱との違いが顕著。

もう少しインピーダンス特性は凹凸レンジを広く見やすくして欲しい所。

さて感想はというと、これらの作例と肩を並べるのは難しい、というかほぼ無理だろうと思う。となると、改めて自分の作品を応募する事で新ユニット開発に弾みがつく可能性も低く、今回は様子見で見送って来年以降により強力なユニットで公募されたらチャレンジするのが無難かも。

自分のバスレフ共鳴管をメーカー無響音室にて精密測定して頂くのが楽しみだったが、縦軸が狭すぎて期待値が下がる。

特性としては④と⑥に近くなると思うが、スピーカー自作なら設定fd値や音道長などのデータとインピーダンス特性を比較して読みたい。

雑誌記事を興味深く読み込んでみたが、自作スピーカーに熱心なのは小澤氏の方で、メーカーとしてはそれほど高性能筐体には期待していないニュアンスだろうか。

 

2インチホーンは好電源状態を反映しないのか

好電源状態の考察で思い出したのだが、大型ホーンでは好電源状態を感じた事が無い。

押しなべて音質的な評価はFF85Kユニット8㎝×2発の共鳴管と同じくらいだった。

FF85K仕様の共鳴管は好電源状態で素晴らしく吼えるのだが、声の向上はそれほどでも無かった。これはユニットの表現限界ではないかと思う。FE-208ES-Rならば遥か高みを聴かせてくれた。

それならば、更に強力な2インチスロートホーンドライバーなら、FE-208ES-R同等以上の音色を聴かせてくれそうなのに一度もない。その理由をこじつけてみる。

↑こちら↑真ん中はホーンドライバーをアンプ直結で鳴らして測定したデータ。450Hz付近まで出ているが、250Hzに向けてだら下がりのF特である。

 

こちら↑最上段は大容量のコンデンサーを噛ませてローカットしている。400Hzが増えて250Hzが殆ど無くなった。

音もスッキリして背圧が掛からなくなったのが顕著であり、最高域に掛けてフラットになっているのが判る。

両方の条件下で考察してみると、先ずコンデンサー無しでアンプ直結で鳴らしていた時は、背圧が強くて好電源状態が音に反映されなかったと見る。次にコンデンサーを噛ませた場合は、好電源状態の鋭い立ち上がりが均されてしまったのではないか。

コンデンサーにそのような働きが有るのか解らないが、ホーンドライバーだけは一度も好電源状態の美音を聴けた事が無いので何らかの作用は有ると思う。

とすると、今なら大容量コンデンサーに頼らず、デジタルプロセッサーにてローカットも思いのままなので、もしかすると大口径ホーンでも好電源状態の美音が聴けるかも知れず、それはもしかすると神器FE-208ES-Rの美音すら超える可能性も有るのではないか。

それとも、もう一つの仮説である「重低音以下の低音が作用している」のかも知れない。通常電源では振動板前後の空気との間にクリアランスが生じ中高域も鋭さが出ないのだが、好電源状態には常に軽低音域までグリップしているので中高域も鮮度が上がるという仮説。

完全な山勘、当てずっぽうだが後者の方がより聴感にかみ合う気がする。とすると大口径ホーンの選択肢は排除して、中高域ユニットもローカットしない方向で構築する。

すべては100%好電源状態時にチューニングを合わせるつもりで試行錯誤していく。

そういえば、38㎝ウーファーはどうだったか。好電源状態を多少は反映していたような気もするが、目の覚めるような変化は無かった。

アンプは8Ωで560W+560Wの業務用アンプCP1400。

確かトロイダルトランスの逸品だったはず。ウーファー部はデジタルプロセッサーでハイカットしていたのでコイル等は含まなかったが、バスレフポートで35Hzチューニングだったためか、振動板重量が100gほどと重かったからか、好電源状態で激変した事は無い。

20年以上前にこれだけのハイパワーアンプは素晴らしいと思ったが、残念ながら黒モグラほど鋭い低音では無かったと思う。

このアンプのお陰でハイパワーアンプへの幻想は消えた。重たいパッシブネットワークのウーファーユニットなら差が出るかも知れないが、アンプ直結では50Wアンプと大差ないのではないか。

 

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