ロンドン・ブリッジ駅からナショナル・レイルで15分程の駅North Dulwichから徒歩10分のダリッジ・ピクチャー・ギャラリーでラビリオス展とブリュードン展を見た。ダリッジビレッジという古い建物が緑に映える素敵な一角の中をギリシャの兵役帰り君と道に迷いながら到着。ロンドン出身のエリック・ラビリオス(1903-1942)は第2次世界対戦時の英国政府所属の戦争画家、並びに陶器メーカーのウェッジウッドのデザイナーとしても知られる水彩画家。ロンドンの情報誌『タイムアウト』でもベスト5の展覧会として上がっている展覧会は特に彼の作品の中で水彩画だけに焦点を当てたという。イギリスの田舎のランドスケープや光溢れるインテリアの水彩画は絵本の絵のように幻想的で記憶の中にある光景のようだ。実際水彩絵の具と鉛筆、色鉛筆を組み合わせて、これまでに見たことがない独自のテクスチャを作り上げていることから、アーティストとしての彼の作品は近年急速に評価が上がっているとか。どの絵も優しい色合いだが、戦争画家らしく彼の描写する潜水艦内部や飛行機は独特の立体感があって迫力がある。どういう目を持っていたのだろう、と思うほど、リベリオスの立体の歪め方はどこか変で気になるので、つい立ち止まって見入ってしまう。ひと目でパースペクティブがあるべき形ではないことに気がつき、フレーム内の対象物が眼前に迫って見える。この展覧会で初めて、水彩画なりの光の表現や美があることを知った。ラビリオスの描く水彩画のインテリアを見て自分でも何か建築の水彩画を描いてみたくなった。
一方のプリュードン展はギャラリーに行くまで同時開催していることを知らなかったが、小ギャラリーに足を踏み入れた途端、緻密な鉛筆とパステルによるスケッチに目を奪われた。ナポレオンのお抱え画家だったピエールー=ポール・プリュードン(1758-1823)はルーブル美術館所蔵の皇帝最初の妻ジョゼフィーヌの肖像画(1805)で知られる。本展覧会では下書きのスケッチのみだったが、離れて見ると人体が浮き上がって見え、しっかり「絵」になっている。
10月の展示はトロンプ・ルイユ(だまし絵)で名高いオランダの画家『エッシャー展』。カフェでゆっくりできるよう今度は天気の良い日にまた来たいと思っていたところ、兵役帰り君に「ロンドンの生活では、満足に自分の創作ができないので、来月ギリシャに戻ることにした」と、突然告げられた。お陰で『ラビリオス展』は忘れられない展覧会になってしまった。
Eric Ravilious - The Westbury Horse discussed by James Russell
Explore Pierre Paul Pru'dhon's work at Dulwich Picture Gallery
一方のプリュードン展はギャラリーに行くまで同時開催していることを知らなかったが、小ギャラリーに足を踏み入れた途端、緻密な鉛筆とパステルによるスケッチに目を奪われた。ナポレオンのお抱え画家だったピエールー=ポール・プリュードン(1758-1823)はルーブル美術館所蔵の皇帝最初の妻ジョゼフィーヌの肖像画(1805)で知られる。本展覧会では下書きのスケッチのみだったが、離れて見ると人体が浮き上がって見え、しっかり「絵」になっている。
10月の展示はトロンプ・ルイユ(だまし絵)で名高いオランダの画家『エッシャー展』。カフェでゆっくりできるよう今度は天気の良い日にまた来たいと思っていたところ、兵役帰り君に「ロンドンの生活では、満足に自分の創作ができないので、来月ギリシャに戻ることにした」と、突然告げられた。お陰で『ラビリオス展』は忘れられない展覧会になってしまった。
Eric Ravilious - The Westbury Horse discussed by James Russell
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