ドストエフスキー『カラマーゾフの兄弟』人物事典19(10人目)

 

~アレクセイ・カラマーゾフ(断片)~

 

【アリョーシャ一覧】

 

~アレクセイ・カラマーゾフ(序)~

~アレクセイ・カラマーゾフ(1日目11時半)~

~アレクセイ・カラマーゾフ(1日目16時~)~

~アレクセイ・カラマーゾフ(1日目19時~)~

~アレクセイ・カラマーゾフ(1日目21時~)~

~アレクセイ・カラマーゾフ(2日目早朝~)~

~アレクセイ・カラマーゾフ(2日目12時~)~

~アレクセイ・カラマーゾフ(2日目12時半)~

~アレクセイ・カラマーゾフ(2日目13時半~)

~アレクセイ・カラマーゾフ(2日目14時~)~

~アレクセイ・カラマーゾフ(2日目20時~)~

~アレクセイ・カラマーゾフ(3日目18時~)~

~アレクセイ・カラマーゾフ(3日目21時~)~

~アレクセイ・カラマーゾフ(公判前日1)~

~アレクセイ・カラマーゾフ(公判前日2)~

~アレクセイ・カラマーゾフ(公判当日~)~

 

◎アリョーシャという人間は、何があっても人を非難したりせず、すべてのことを赦していたのではないか――もっともそのおかげでひどく悲嘆にくれることはよくあったが――とさえ思える。【⇒第1編:ある家族の物語4 三男アリョーシャ】

 

◎特別の愛情をわが身に呼び寄せる才能は、いわば生来の、自然に与えられたあるがままの性質だったのである。【⇒第1編:ある家族の物語4 三男アリョーシャ】

 

◎アレクセイという男は、百万の人口をもつ、見知らぬ大都市の広場に無一文で放り出されても、決して飢えや寒さのために死ぬ

ことのない人間だ。【⇒第1編:ある家族の物語4 三男アリョーシャ】

 

◎たとえわれわれが罪や偽りや誘惑にまみれていても、この地上のどこかに、聖なる至高のお人がおられることに変わりはない。だからそのお人のところには真実があり、そのお人なら真実をご存じだ。【⇒第1編:ある家族の物語5 長老たち】

 

◎きみのことはずっと前から観察してきたんだけどね。きみはやっぱりカラマーゾフなんだな、正真正銘、カラマーゾフなんだ――つまり、血筋や遺伝もそれなりに意味があるってわけだ。父親ゆずりの女好きで、母親ゆずりの神がかりってわけだ。 byラキーチン【⇒第2編:場違いな会合7 出世志向の神学生】

 

◎世界にだれひとり、自分を怒らせようなどという気を起こすよとはいない、いや気を起こさないのではなく、気を起こせないのだとアリョーシャは信じ切っていた。アリョーシャからするとこれは理屈ぬきで永久に与えられた一種の公理のようなもので、その意味で彼はなのためらいもなく先へ進むことができた。【⇒第3編:女好きな男ども3 熱い心の告白――詩】

 

◎(子どもの信頼を得るには)なによりもまじめに事務的に、まったく対等な立場から話を切り出さなくてはならない。アリョーシャはそのことを本能で心得ていた。【⇒第4編:錯乱3 子どもたちと知り合いになった】

 

◎アリョーシャの心はやはり曖昧模糊とした不安に耐えられなかった。なぜなら、彼の愛の性質はつねに実践的だったからだ。受身で愛するということが彼にはできず、いったん愛したとなると、彼はただちに相手を助けにかかるのだった。【⇒第4編:錯乱5 客間での錯乱】

 

◎いろいろな点で、ぼくの心って底が浅いんだなって。【⇒第5編:プロとコントラ1 婚約】

 

◎アレクセイさん、あなたってほんとうにびっくりするぐらい立派だけど、でもときどき知ったかぶりするみたいなところがあるでしょう……ところがよく観察してると、ぜんぜん知ったかぶりじゃないのね。 byリーズ【⇒第5編:プロとコントラ1 婚約】

 

◎人生は多くの不幸をおまえにもたらすが、それらの不幸によっておまえは幸せになり、人生を祝福し、ほかの人々にも人生を祝福させるようになる。これがなによりも大事なのです。おまえはそういう人間なのです。 byゾシマ長老【⇒第2部 第6編:ロシアの修行僧1 ゾシマ長老とその客たち】

 

◎たとえ非合理であれ、やはり大きな愛が原因で生じた熱中に身をゆだねるということは、そういう熱中にまるで無関心でいるより、はるかに尊敬に値するのではないかとわたしは思う。青春時代であれば、なおさらのことだ。なぜなら、つね日ごろあまりに分別臭い青年というのは、さして頼りにならず、そもそも人間として安っぽいというのがわたしの意見だからである。 by語り手【⇒第2部 第7編:アリョーシャ2 そのチャンスが】

 

◎どうして神は「いちばんだいじなときに」(アリョーシャはそう思った)ご自分の手をお隠しになり、目は見えずものも言わない無慈悲な自然の掟に、自分をゆだねるなどという気になられたのか?【⇒第2部 第7編:アリョーシャ2 そのチャンスが】

 

◎この人をよく見てごらんよ。この人がぼくにどんなに優しくしてくれたか、見ただろう? ぼくがここに来たのは、人間の邪悪な心を見つけるためだったんだ。ぼく自身がそんなふうに惹きつけられたのは、ぼくが卑劣で、邪悪な人間だったからさ。でもね、ぼくがここで見つけたのは、誠実な姉さんだった。大事な人だった……愛する心だった……この人はさっきぼくに優しくしてくれた……アグラフェーナさん、あなたのことを言ってるんです。あなたがいま、ぼくのこころを甦らせてくれたんです。【⇒第2部 第7編:アリョーシャ3 一本の葱】

 

◎僧服を脱いだ今、彼はオーダーメイドのすばらしいフロックコートを着込み、丸いソフト帽をかぶり、髪の毛はみじかく刈り込んでいた。そうしたことが彼の風貌をみごとに引き立て、見違えるほどの美男子に仕立てていた。【⇒第10編:少年たち3:生徒たち】