Green Dayには3つの傑作がある。その3つの傑作を生み出した背景を絡め順に説明していきたい。


na0の転がる石 苔まみれ

まずは1つ目の傑作は、いわずもがな「Dookie」、彼らのメジャーデビューアルバムである。NirvanaのCart亡き後、崩壊しつつあったオルタナティブ・ロックシーンに止めの一撃を加えたのがこのアルバムである。このアルバムの成功によって彼らは一躍スターダムに昇りつめるとともにRANCIDやBlink 182とともにいわゆる「メロコア」という新しいパンクのあり方を開拓したのである。


ここで言っておきたいのだが、メロコアはパンクだがパンクはメロコアではない。もちろんメロコアバンドでSex PistlesやRamones、Clashといった初期パンクの雄を聴いていない人はいないだろうが、聴いてみればわかるように初期パンクとメロコアとはまったくもって別物であるということは明白である。また、その歌詞の内容も全く異なっている。そもそもパンクとは反社会、反体制のプロテストソングの発展形であり、メロコアが歌うような女の子に振られたような歌などはその当時の人々に言わせてみれば鼻くそのようなものである。


話を戻そう。「Dookie」によってその名を全米中に知られるようになった彼ら、Green Day。ここで彼らは一躍メインストリームに躍り出る。続く「Insomniac」でもそのメロコア節を利かせ、メロコアはポップパンクとしてさらに大衆的なものへと変化していく。


ここで、彼らは一度立ち止まる。続く「Nimrod」ではメロコア性を継続させながらもそれまでになかったストリングやホーンの導入(「Hitchin' a Ride」「Kings For a Day」)、全編アコースティックの曲(「Good Riddance」)、そして最大の発明である「Redundant」というシンガロングを受けるロックソング、などあえてメロコアを否定するような矛盾したアルバムを作り上げる。それまでのメロコア全開のGreen Dayを期待していたファンは裏切られ、Nimrodのセールスは彼らのワースト記録となる。


だがこれこそ彼らが今あの地位を築き上げるまでになった礎である。それまでメロコアを鳴らし続け、オルタナや初期パンクをないがしろにしてきてしまったことに対する反省の意を表すアルバムを発表することでそれまでにはなかったステージに到達することとなる。



そしてここで2つ目の傑作を発表する。


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一見無視されがちだがこの「Warning」は彼ら初の「パンクアルバム」である。それまでのメロコアはなりを潜め、Green Dayは自らがサイドへと送りやってしまったオルタナティブロックへと回帰する。それとともにパンクとしての、プロテストソングとしての性格をも手にし、反体制をみんなでシンガロングすることのできる「Minority」というキラーチューンを手にすることとなる。


くしくも、いや必然というべきか、このアルバムと時を同じくしてアメリカ政治史も新たなるステージへと突入することとなる。それまでの平等主義の民主党クリントン政治から一転、保守的共和党ブッシュ政治へと変わる。




そして、2001年9月11日、あの事件が起こる。



同時多発テロからイラク戦争がおこり、そして、Green Dayは前作で開花させた、その真の意味でのパンク性を爆発させる。それが第3の、そして最高傑作「American Idiot」である。


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このアルバムにより、Green Dayは初期パンクすらなしえなかった次元に到達したといっても過言ではない。パンクを一つの物語になぞらえる。それによってすべてのメッセージははっきりと明確なものとなり、そしてこのジャケットのHeart Like Handgrenadeは、パンクの枠を超え全世界のロックの新たなるアイコンとなったのである。


アメリカの片隅のただのパンクキッズだった彼らは本当の意味でのロックスターとなり、BeatlesやRolling Stonesといったロック史に刻み込まれる存在となり得たのである。



そして、昨年彼らは再びロックオペラを作り上げる。それが「21st Century Breakdown」である。


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前作よりもオペラとしての物語性をさらに明確なものとし、プレッシャーに押しつぶされずにとても素晴らしいアルバムを作り上げた。これからも彼らの活躍は続いていくだろう。そしてこの先も第4、第5の傑作を作り上げていってくれるに違いない。


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YUI 『GLORIA』 2010年1月20日発売


少々遅れたがこの曲については書かずにはいられない。


今までで一番エモーショナルな一曲。今回の曲のテーマはズバリ「青春の終わり」。彼女自身、歌手という人と違った道を選んだという経験があったからこそ、その抑えきれない思いはサビを聴けばはっきりとわかる。『夢じゃない』ではなく『夢じゃないやい』でもない。『夢じゃないやいやいやいやい』と一見駄々こねにも思えるほどに言葉を重ねなければその思いは言い尽くせないのだ。


YUIは今一番ティーンの支持を受けているアーティストだ。セールスの仕方が絶妙だし、熱の入れ方も半端ない。だが、そんなアーティストだからこそしっかりとその内面を捉えてあげなければならない。


なぜこの曲のタイトルが『GLORIA』なのか。なぜ彼女はこんなにエモな曲でもアコギを手放さないのか。なぜ彼女は必ずカップリングに前シングルのアコースティックヴァージョンを入れるのか。流行ってるから聴く、聴くキッカケはそれでもいい。でもそれで終わらしてはいけないのだ、ティーンよ。


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andymori 『ファンファーレと熱狂』 2010年2月3日発売


素晴らしい一枚である。2ndアルバムでこの域に達しているというのは素晴らしすぎる。いってしまえばミスチルでいう『It's a wonderful world』、くるりでいう『ワルツを踊れ』、いやもはやBeatlesのサージェント・ペパーズといってもいいのではないか。


何が素晴らしいかといえば、このアルバムでヴォーカル・小山田はすでに世界を全面的に肯定しているのである。曲を超えてクロスする歌詞世界も挑戦的とも言えるし、アヴァンギャルドともいえる。ミクスチャーとギターポップを織り交ぜて歌うスタイルも目新しいとは言えないが新鮮味と若さをスパイスとしてくわえてくれている。


もちろん演奏面でも拙い部分もあるし、歌唱力も(それが売りとはいえ)下手ウマなので受け入れられづらい部分はある。しかし、それを補って余りある可能性を秘めていることはまちがいない。


地方出身者の活躍が目立つ若手Jロック界で、東京のど真ん中からこんなにも存在感のあるアルバムを鳴らしてくれたことも、それがこの2010という新たな節目の初めであったことも、何かしらの運命、ではないが時代の必然性というものを感じずにはいられない。andymori、今年は彼らに注目である。

Taylor Swiftでしたね。個人的にはLady Gagaかなとも思ってたんですが。


それよりもなにより個人的に一番うれしいのはBest Rock AlbumにGreen Dayが選ばれたということ。

あの、21gunsのパフォーマンスも涙ちょちょ切れものでした。まぁインパクトでいえばPinkのほうが上でしたが。


というわけで、次回の更新では、いかにGreen Dayが今の地位を確立するに至ったか。そのリリース年表とアメリカの政治史、ロック史とをからめながら語りたいなぁと思います。

「椎名林檎」とは?そこから始めなくてはなるまい


彼女はデビュー当時から今に至ってもそのルックスばかりが目立ってしまっている。もちろん彼女があのルックスを持っていなければこんなに売れることはなかっただろうし、売れるためにはそれを利用するのが一っ晩であったに違いない。だが、それだけで彼女が好きだという奴は死んでしまえ、とここらから罵倒してやりたい。ていうか、してやる。かかってこい。


椎名林檎とは?彼女はJ-POP界という戦場を駆るヴァルキュリアである。


彼女のでデビューシングル『幸福論』から2nd『勝訴ストリップ』までの期間、彼女が協調してきたのは「ストイックさ」と「歪み」である。ヴォコーダーを多用した聞こえづらい歌声やギターのひずみ、それらをそのまま録音し、それでいてストリングスやピアノ中心の曲やシンセを使ったドリームポップもある。要はしっちゃかめっちゃかのてんこ盛りなのである。ただ、そうすることによってそれまでのJ-POP界では受け入れられるはずの無い音を鳴らし、現代のJ-POPシーンに宣戦布告を行ったのである。そして、これは成功する。


その後、『唄ひ手冥利』で自らの音楽性を構築するにいたった楽曲を発表することで自身を丸裸にし、3rd『カルキザーメンクリノハナ』というそれまでの2つのアルバムとは違うピアノ中心の楽曲集を発表し、その内に秘める新たなダークな面をさらし、椎名林檎としての第1章に幕を下ろした。


そうして始まったのが、東京事変である。それまで独力で戦い続けてきたヴァルキュリアがその途中でヴァルハラに迎えあげた最高の戦士たちとともに作りあげた新たなる軍団によってさらに強力な猛攻を仕掛けよう、として結成されたスーパーバンドである。そしてその力は1stシングル『群青日和』によって証明されたといって過言ではない。


ただ、2nd『大人』の発表前にその彼女らに変化が起こってしまう。バンドメンバーのうち2人が変わってしまったのだ。もちろん、新たなメンバーの演奏力がひどいというわけではないが、椎名林檎の考えていた東京事変と実際のそれの乖離が起こってしまう。そのことによって彼らの手にした力は「東京事変」から「椎名林檎」そのもののところまで落ちてしまう。


この変化、というか危機に対し彼女がどう対処したのか。東京事変という5つの歯車によってなる精密機械からその中心である自らの歯車を引っこ抜いたのである。ある意味自殺行為とも思えるこの試みによって、それまで椎名林檎のみに向いていた4人のバンドメンバーの眼をそれぞれ自分自身と他のメンバーに向け、さらに受動体であったかれらの姿勢を能動体に変化させることで、バンドとしての底あげに成功し、さらに最高傑作の3rd『娯楽』を製作するにいたった。


さらに東京事変と並行して、斎藤ネコとのコラボや映画『さくらん』の楽曲担当、さらに4枚目のソロアルバム『三文ゴシップ』などによって椎名林檎自身も着実かつ確実に自らの力をより堅固なものへと成長させていく。そしてその力を見事に表現しきったのが、昨年末のあのシングル『能動的3分間』である。その素晴らしさは言わずもがな、である。


そして今月24日彼女らの最新アルバム『スポーツ』が発表される。本当に期待している一枚である。だが、その期待を飛び越してくれるとの確信もある。今年一番のアルバムがもう出てしまうかもしれない。必聴間違いなし。