最近、東京都知事になった猪瀬直樹さんの本を読んでいるのだけれど、その中の一冊に 『言葉の力―「作家の視点」で国をつくる ―』(中公新書ラクレ)
という本がある。これは、副知事時代のメールマガジンを集めた本なので、猪瀬さんが副知事のなる以前の、一次資料にあたって、事実を発掘して書いた本格的なノンフィクションに比べると荒っぽいところがあり、少し物足りない。でも、「こんなことを考えている人なんだな」とわかって面白い面もある。
この本には、「フィンランドの教育がすごい理由」というのが書いてあった。
北川さんは、フィンランドの小学校の授業を見学した。生徒が意見を言ったら、別の生徒が「違う」と否定した。そのときに、先生は「違う」と言った生徒のほうを叱った。
北川さんは、なるほど、これがフィンランド式なのだ、とはたと気づいた。先生は、何がどういけないのか、どこの部分がどう違うのか、もう一度ちゃんと意見を聞いてから反論しなさいと言った。命題をきちんときいていないことについて叱ったのだ。相手が何を言っているのか、相手側の特別な理由は何かと考えず、ただ撥ねつけていたら、話が論理的に展開していかないからだ。
(62ページ~63ページ)
この部分が、フィンランドの教育について評価している部分の中心的なところである(北川さんというのは、フィンランドの教育教材を日本に紹介している研究者)。
私は、これを読んでどうもピンとこなかった。
「相手の言ったことをちゃんととらえてないのに相手の意見を否定する生徒」を叱るのは、別にフィンランドの先生でなくたって、いると思う。もちろん日本にだっているだろうし、フィンランド以外のヨーロッパとかアメリカなどの先生にもいるだろう。フィンランドにしかいない特別ないい先生というわけではないと思う。「フィンランドの先生」ということではなく、「いい先生」とか「話し合いや議論の仕方をうまく教えてくれる先生」という表現が正しいと思う。「フィンランドの教育がすごい理由」という小見出しがついているわりには、拍子抜けする内容である。
もう少し、フィンランドということにこだわった内容が読みたかった。
『言葉の力―「作家の視点」で国をつくる ―』(中公新書ラクレ)![](https://www.assoc-amazon.jp/e/ir?t=n78031416-22&l=as2&o=9&a=4121503899)
内容(「BOOK」データベースより)
国難の今こそ、政・官の言葉を検証し、自ら思想を鍛え、ヴィジョンを示せ。東京都が進める「言語力再生」の目的とメソッドを紹介。グローバル時代を生き抜くコミュニケーション力とは?グローバル基準の言語技術、俳句・短歌、ツイッター等のソーシャル・メディアを検証。
この本には、「フィンランドの教育がすごい理由」というのが書いてあった。
北川さんは、フィンランドの小学校の授業を見学した。生徒が意見を言ったら、別の生徒が「違う」と否定した。そのときに、先生は「違う」と言った生徒のほうを叱った。
北川さんは、なるほど、これがフィンランド式なのだ、とはたと気づいた。先生は、何がどういけないのか、どこの部分がどう違うのか、もう一度ちゃんと意見を聞いてから反論しなさいと言った。命題をきちんときいていないことについて叱ったのだ。相手が何を言っているのか、相手側の特別な理由は何かと考えず、ただ撥ねつけていたら、話が論理的に展開していかないからだ。
(62ページ~63ページ)
この部分が、フィンランドの教育について評価している部分の中心的なところである(北川さんというのは、フィンランドの教育教材を日本に紹介している研究者)。
私は、これを読んでどうもピンとこなかった。
「相手の言ったことをちゃんととらえてないのに相手の意見を否定する生徒」を叱るのは、別にフィンランドの先生でなくたって、いると思う。もちろん日本にだっているだろうし、フィンランド以外のヨーロッパとかアメリカなどの先生にもいるだろう。フィンランドにしかいない特別ないい先生というわけではないと思う。「フィンランドの先生」ということではなく、「いい先生」とか「話し合いや議論の仕方をうまく教えてくれる先生」という表現が正しいと思う。「フィンランドの教育がすごい理由」という小見出しがついているわりには、拍子抜けする内容である。
もう少し、フィンランドということにこだわった内容が読みたかった。
『言葉の力―「作家の視点」で国をつくる ―』(中公新書ラクレ)
内容(「BOOK」データベースより)
国難の今こそ、政・官の言葉を検証し、自ら思想を鍛え、ヴィジョンを示せ。東京都が進める「言語力再生」の目的とメソッドを紹介。グローバル時代を生き抜くコミュニケーション力とは?グローバル基準の言語技術、俳句・短歌、ツイッター等のソーシャル・メディアを検証。