こんにちは
ご訪問いただき、ありがとうございます
フラワーセラピールームn.Ground(エヌ・グラウンド)主宰・八重樫紀子(やえがしのりこ)です
昨日、都立東村山中央公園で自然観察会を無事に開催できました
「無事に」という言葉を使ってしまうのも、今年に入って2月と4月に予定していた小金井公園での自然観察会が雨天中止となっていたから…
いつものチーム制の自然観察会は約半年ぶり
そりゃ楽しみなわけですよ。
さらに今回は、いつものメンバー以外に自然観察指導員の仲間が参加してくれたのです
365日野草生活・のんちゃん
その名の通り、野草雑草のスペシャリストで、多数のメディアに出演する活躍ぶりなのです。忙しい中、来てくれました~
蝶や昆虫のスペシャリスト・もみちゃん、樹木や感覚のスペシャリスト・あーや、そして東村山中央公園の花壇を知り尽くした案内人・のり。
いつものチームに新たな分野のスペシャリストを加えての自然観察会スタートです。
まずは、五感の準備体操の場にふさわしい香りのハーブガーデンから。
入って半径2メートルの範囲でさえ見どころ満載。
左の写真の手前のアップルミント、奥のカレープラント、右の写真はシロタエギクの花。
アップルミントとカレープラント。続けて嗅ぐには、香りのジャンルの違いが大きい2種類。
五感の準備体操として嗅覚の刺激もしましたが、私がここで伝えたかったのは“毛”の話。
アップルミントの葉のフワフワ感、カレープラントやシロタエギクのようなシルバーリーフ。
触覚と視覚で感じる場所は違うけれど、これは全部植物の茎や葉に生えた細かい毛の仕業。
植物に生えた細かい毛は、植物自体を守るためのもの。
外敵から食べられるのを守ったり、紫外線や乾燥のような自然環境から自分自身を保護するため。
それらで勝手に人間が楽しめちゃうのです。
続いてみんなが真剣に見てくれているのがフレンチラベンダー。
「かわいい花」と観賞してくれていますが…
「それ、花じゃありませ~ん」
写真の中心部がわかりやすいのですが。
上にうさぎの耳のように出ているピンク色のものは花びらではなく、その付け根あたりにある同じ色のようなものが花です。
その下に茶色いのがいくつか点在していますが、それは終わった花。
小さな花たち、存在を知ってもらってよかったね
ここからはウェービー花壇に。
先週は咲いていなかったユリが咲いていました
鮮やかな黄色のLAユリ。
さっき嗅覚を使ったこともあり、その流れでのユリなので、こちらから言わなくても香りを嗅ぐ人も。
「あれ?匂わない??」
香りが強いというイメージが強いユリでも、系統によって匂わないものもあるのです。
逆に香りなんて無さそうと思っても、案外良い香りを放っているという植物もあるので、いろいろ自分の嗅覚で確かめてみるのも自然観察ですよ
続いてあーやが紹介したのはハナトラノオ。
「ん?まだハナトラノオの花は咲いてないんじゃない?」と思う方もいらっしゃるでしょう。
はい、花を観賞したのではなく、葉っぱで楽しみます
ただ葉っぱを触ってもらいます。握るように触ったり、指をすり合わせるように触ったり…すると「冷たい」。
そうなんです、すごくひんやりするのです。周りの植物たちと触り比べてもみました。
感覚なので絶対ではないかもしれないけれど、やっぱりトラノオの葉が冷たいのです。
これは葉の蒸散作用によるもの。
木に生えている葉もそうですが、それよりも草の方がひんやり感じるというのも単なる感覚ではなく、植物の仕組み上そう感じるのです。
触覚で自然を楽しむのもおもしろいですよ
続いて観察したのは…
フジバカマ。
また花の咲いていないものを…と思われたかもしれませんが。
よ~く目を凝らして、何かを探します。
そこにいたのは
キイロテントウ。成虫も幼虫もいました。
右側の幼虫のそばに、葉が白くなっている部分わかりますか?
ガーデニングをやっている人には聞き馴染みのある「うどん粉病」です。
「テントウムシがアブラムシを食べてくれる」というのを聞いたことがある人もいると思いますが、このキイロテントウはうどんこ病の菌を食べてくれるのです
実際、一週間前に下見で訪れたときよりも同エリアのうどんこ病にあらわれる白いものが明らかに少なくなっていました。
薬剤を使わずに植物を育てたい場合は、このような益虫を育てるというのも一つの手ですね。
もみちゃんによるガイドはまだ続きます。ここからは花と虫との関係について。
みなさんが真剣に観察しているのはメド―セージ。
セージといっても、香りを感じているのではなさそうです。
もみちゃんがおもしろいことを実践しているのを見て、その後みなさんにもやってもらいました。
細い枝などをメド―セージの花の中へ入れています。
ただ突っ込むというのではありません。まるで虫が飛んできて、花びらに着地して、蜜を吸うために中にからだをもぐらせるのをイメージして、花の中に軽い刺激を与えます。
すると何が起きるのか…
ふだんは見えない雄しべと雌しべが姿を現すのです。
上の花びらから出ている、2本の雄しべと1本の雌しべ。雌しべの先が2裂しているのもわかります。
虫媒花と花の絶妙な関係性を体感できました。
これに続いて、同じ観点で三尺バーベナとガウラを観察。
三尺バーベナのように細い筒状の花は、ストローのような長い口先をもつチョウやハチしか蜜を吸えません。
さっきのメド―セージのように、花の中にからだをもぐらせることはできませんね。
※花びらが欠けているのではありません
ちょっとアンバランスな並びの4枚の花びらをもつガウラ。
花によっては、雄しべの付け根に蜜が玉のように見えたりします。
この花は、どんなタイプの虫でもウェルカムな形をしているのです。
いろいろな花の形を見比べて、花と虫媒花の関係を知ったのでした。
実験と解説のあと、香りを楽しみました。
コモンタイムです。
ハーブガーデンだけではなく、ウェービー花壇にもたまにハーブが植えられています。
しかし楽しむのは香りだけではなく、花の見方。
ただ眺めるのではなく、小さな小さな花の形をしっかり見たり、真上から横からと角度を変えて見たり。
ときにはちょっと手を添えて小花をきゅっと集めた状態で見てみたり。
少し見方を変えるだけで、いろいろな表情に見えてくるのです。
実際にやってみると「あら、ほんとだ~」と。
ちょっとしたことで、ひとつの花でいろいろ楽しめる方法を知ってもらいました
ハーブだからと言って、香りだけを楽しむのではないのがこの自然観察会なのです。
続いて、せっかく来ていただいたのでのんちゃんから雑草のガイドを。
花壇とはいえ、たくさんの雑草たちも共生しています。
その中から、まずはカタバミ。
カタバミはタネが熟したものをつまむとプチッと音をたてて弾けます。しっかり聞こえたという人もいらっしゃいました。
そしてカタバミといえば…10円玉磨き。
カタバミの葉で10円玉を磨くとピカピカになるというもの
みんなが10円玉を手にして、ゴシゴシ磨いていきます。
すると…
絵や文字がはっきりしないような色をしていた10円玉だったのが、出っ張っている部分が磨かれてはっきり浮かび上がってます。
いちばん左の10円玉なんてピカピカですこれを磨いたのは、今回(も)サプライズ参加してくれた、私たちチームの恩人・秀さんです
もうひとつはアメリカフウロ。
左には黒く熟したタネが詰まっています。
右はタネは弾け飛んだあとです。
アメリカフウロのタネは、黒いタネが5つではなく、この黒いものの中にたくさん詰まっています。
十分に熟すと、真ん中の突き出た部分が裂け、くるっと巻き上がってタネを飛ばすのですまるで発射台のよう。
その巻き上がってタネを飛ばし終わったものが右の写真なのです。
このユニークな形は神輿飾りに例えられます。
五感を使ったり、虫になった気分で再現してみたり、植物を使った実験をしてみたり…
いろいろな内容を詰め込んだ自然観察会。
日頃から公園に来ているみなさんですが、この観察会を経て、これまでよりももう一歩近づいて、あるいはこれまでよりもあと数分長く、花壇の植物を楽しんでくれるんじゃないかな。
そんな手ごたえを感じた観察会でした。
余談ですが…
カレープラントの観察から始まった観察会のあと、近くでランチにいただいたのはカレーでした。
人間の嗅覚おそるべし…
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