先日の最高裁での「特例法第三条4項の生殖能力要件」についての違憲判決
そこで差し戻された5項の外観要件についての判決が
昨日広島高裁で出され
MTFで初めての(4項&5項なしという)手術要件をせずでの性別変更が認められました
もちろん今回の判決は
当該事件の申立人に対してのみ有効なので
この判決を持って
これからは誰しもが”手術要件なし”になる、というわけではありません
それでも、今後の審判には影響を与えるでしょうし
今秋以降に予定されている特例法の改訂議論に拍車をかけると思います
今回の判決で広島高裁は
「手術が常に必要ならば、当事者に対して手術を受けるか、性別変更を断念するかの
二者択一を迫る過剰な制約を課すことになり
憲法違反の疑いがあると言わざるをえない」と指摘しましたが
併せて、「公衆浴場での混乱の回避などが目的だ」として
外観要件の正当性は認めました
※ですから”望まない手術をしなくても性別変更への道は開くのかもしれませんが
その代わりとして性別変更にあたって”望む手術をすることは違法になる”ことはないと思います
このところの最高裁や高裁での、わたし達に関係するような
次々と出ています
これまでは
”(法律)男が子供を産む”と、世の中が混乱するとか
”(法律)女が悪さをして孕ませる”恐れがあるとか
”(女)風呂場で男性器を見たくない”
そして同性婚(や夫婦別姓)は、伝統的家族制度を壊す等々
マイノリティ当事者、個の想いや権利/人権を無視して
世の中全体の秩序維持を優先させてきたと思います
それがここに来ての各裁判所の判決は
問題とされている点は本当に全体に対して
個を無視してもいいほどに悪影響があるのか?
そうではなく
何かしらの悪影響があったとしても
他の方法ではそのことをカバーできないのか?
出来るだけ個の尊厳を優先させようという方向に舵が切られた
のかなと思いました
これまで普通の人(優性の人)の総体的な質の低下が起きないように・・・保護する
障害のある人(劣勢の人)の子が産まれないように、と・・・
国権力が強制的に不妊手術をすることを行ってきたのは違憲であったと断じました
ここでも世の中という全体の質の低下を恐れることよりも
なんらかの障害があっても個の尊厳を第一に考え
その障害をどのようにサポートしたのなら
個のQOLを向上できるのか?という視点に切り替わってきているということです
流れは”個を大事にする”ということは
非常に大事な点だとは思います
そうではありますが
”個が想えばなんでも通る”と言うことではないと思います
誰しもが裕福な家に生まれ、美しく、頭よく、スポーツが出来て・・・
なんて思っても必ずしも思い通りにはならないのが現実です
でもその足らない分を、必要な公からの支援も受けたり
さらには努力で補ったり、選択したりしながら
自分の人生を受け入れていくのだと思います
そうした中の一つに
与えられた性が、想いの性と異なることに気が付く人が居て
それをクリアするのが(日本では)特例法による生別変更なのだと思います
当然のことですが、このことは個人的なことではありますが
それでも単に個人のことだけにとどめ置けるものではないのだと思います
性の越境は、その時々の気分でしてよいものではないと
わたしは思います
GD(旧GID)は自称とは言っても
それなりの期間の診察は必要だと思いますし
(男女差での不平等はあるのかもしれませんがMTFの)
特例法第三条5項の外観要件は、何らかの例外規定は設けたとしても
残すべきかなと思っています
逆にこの(不可逆的な)手術要件が
簡単に性別変更できてしまう、ということへの関門となり
私的には、それを乗り越えるだけの想いと力が
※必要な手術費用を貯める、ということも含めてです
ただこの部分に関しては、実際に使える保険適用も考えてもいいかな!
トランス後を生きるのに必要なのではないかと思っています
これまでにも書いてきていますが
身体の問題とかいろいろな事由により
どうしても手術に馴染まないということもあるかもしれません
その場合は、さらなる代わりの条件を設定したうえで
今回のように個別に審判を受ける道があってもよいかもしれません
そして今回の申立人の言い分としては、次のように言われているようです
「もし、手術にリスクや負担が少なく、あした、魔法みたいに女性器に変わるのであれば
もちろんしたい気持ちはあります。
ですが現実はそうではありません。
健康な体にメスを入れなければならず、費用も高額で、
入院や療養にも長い時間がかかり、体への負担も大きいです。
社会人として生活しているなかで、長期間休みをとるのもできません。
すごく悩みましたが、手術はできないと思いました」
わたしは、この言い分には正直納得は出来ませんでした!
今回の申立てでも4年かけているそうです
費用は分かりませんが、それだけの時間をかけるのであれば
SRSだって”造膣なし”でよいのだから
時間はなんとか出来るのではないだろうか?
いや、すべきなんだと、わたしは思います
得られた文言だけでは申立人の状況は分かり切れませんが
文言からの判断では
乗り越えられる障壁でしかないと、わたしは思いました(^O^;)
これからの法律の流れは別として
この申立人の考え方には、わたしは寄り添うことは難しいです(*_*;
※青太字の部分は、関連記事にリンクを貼ってありますので
当該箇所をWクリックしていただくことで、当該記事に飛べます