6年前の今日、日本国が「あなたは、これからは女性とみなします」と
言ってくれた日です
SRSそのものは、さらにその二年前の2016年に行っていたのですが
特例法第三条3項の”未成年の子なし”要件に掛かっていて
6年前の6月に下の子が成人したのを待って
特例法に則って「戸籍の改性」の申立てを行ったのが6月23日ですので
審判が下ったのは17日後でした・・・途中には呼出も追加提出物も何もありませんでした
この審判が下りた後は
改名の時とは違い・・・・審判後の自分の好きなタイミングで、戸籍改名の手続きをします
お役所の方で勝手に手続きを進めてくれて
さらに二週間後の7月26日に戸籍の性別変更も終わりました
戸籍を変えるにあたって
わたしは(造膣こそしませんでしたが)SRSすること自体は忌避感もなく
というよりは、どちらかと言うと積極的に?というかやりたくてSRSを受けました
ただこのSRSは
国内では一時期、お上への過剰忖度でしばらくの間思考停止状態になっていました(*_*;
そのきっかけとなった事件は
1965年に起きた「ブルーボーイ事件」
わたしにとってはontimeの事件ではありますが
さすがにこの時はまだまだ自分事としての認知は出来ませんでした(^O^;)
この事件は、当時ブルーボーイと言われていた男娼数人に対して性別変更手術を行った
産婦人科医に対して、優生保護法違反と麻薬取締法違反で摘発したもので
優生保護法違反については第28条の
「何人も、この法律の規定による場合の外、故なく生殖を不能にすることを目的として
手術またはレントゲン照射を行ってはならない」に違反したということで
その後、”性転換手術≒優生保護法違反”という刷り込みが付いてしまったのです
ただこの時の判決の量刑の重さは
優生保護法よりも、手術とは別件の麻薬の横流しに在り
優生保護法違反も、本旨は性別変更手術そのものではなく
当時の売春取り締まりに対して
一部の男娼が性別変更手術を受けて売春することによる取り締まりのしにくさから
※売春防止法は、女性に対してのもので”男性である性別変更者”への取り締まりがしにくかったのです
”元を断つ”との思いからの摘発であったとされています
それでも、その時の判決文では
「姓転向症に対して性転換手術を行うことの医学的正当性を
一概に否定することはできないが
生物学的には男女のいずれでもない人間を現出させる非可逆的な手術であるので
少なくとも次のような条件を満たさなければならない」として
どちらかというと手続き上の不備を突いて違反とし
必ずしも性別変更手術そのものを全面的に否定していたわけではないのです
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判決
1969年2月15日、東京地方裁判所刑事第12部により被告人医師を有罪とする判決が下された。
被告人医師は、別件の麻薬取締法違反と併せて懲役2年および罰金40万円執行猶予3年に処せられた[1]。
判決文は、性転換手術に対する様々な意見を挙げた上で、次のような判断を下している。
・性転向症に対して性転換手術を行うことの医学的正当性を一概に否定することはできないが、
生物学的には男女のいずれでもない人間を現出させる非可逆的な手術であるので、
少なくとも次のような条件を満たさなければならない。
・手術前には精神医学や心理学的な検査と一定期間にわたる観察を行うべきである。
・当該患者の家族関係、生活史や将来の生活環境に関する調査が行われるべきである。
・手術の適応は、精神科医を交えた専門を異にする複数の医師により検討されたうえで決定され、
能力のある医師により実施されるべきである。
・診療録はもちろん調査、検査結果等の資料が作成され、保存されるべきである。
・性転換手術の限界と危険性を十分理解しうる能力のある患者に対してのみ手術を行うべきであり、
その際手術に関し本人の同意は勿論、配偶者のある場合は配偶者の、
未成年者については一定の保護者の同意を得るべきである。
・証人・鑑定人となった以上、高橋進の報告によれば、手術を受けた3人は性転向症であったと認めることができる
(ただし、今日の基準において性同一性障害であると判断できるかどうかは現在となっては不明である)。
・しかし、被告人医師は、上記に挙げたような十分な診察・調査を行わなかった。
・従って、手術の医療行為としての正当性を認めるには足りず、
「正当な理由をなくして、生殖を不能にすることを目的として手術」を行ったものといえる。
これは優生保護法第28条に反する。
**************************************************** Wikipediaより *****
※今のガイドラインは、このことを踏まえているのですよね・・・
しかしながら
この事例が不正確な形でマスコミによって報道されたことで
”性転換手術≒優生保護法違反”という刷り込みで
医療界の過剰忖度が生じ
その後1998年の埼玉医大での性別適合手術まで
一般の人に対する性別適合手術が大っぴらに行われることはなかったのです
上であげた事例は、優生保護法の解釈を
男娼による売春取り締まりのために別件利用したものであり
その影響で長らく日本では性別変更論議が停止してしまったのです
そして先週
やはり(旧)優生保護法自体の違憲判決が出ました
これは(旧)優生保護法が
「不良な子孫の出生を防止する」との目的で
戦後の1948年に制定されたのですが
これによってハンセン病患者を始め多くの障害者が
国権力によって強制的に不妊手術をされてきました
ブルーボーイ事件と矯正不妊手術
ブルーボーイ事件の方は、”勝手に生殖機能をなくす”ことは違反といいながら
強制不妊手術の方は、”生殖機能を(国権力が勝手に)なくす”ことを
同じ優生保護法を使って運用していることが
なんか”怖い”というか、とっても悲しいことに思えるのです
そして今日
先日の最高裁での特例法第三条4項の生殖不能要件の違憲判決に絡んで差し戻された
特例法第三条5項の外観要件なしでの男性から女性への性別変更の許可が
広島高裁で審判されました
まだいろいろな資料を見切れていないので
一番知りたい”なぜ原告が手術をしたくないのか?”の部分が
腑に落ちる内容には辿り着けてはいないのですが
今の感覚では、今回はたどり着けないような気がしています(^O^;)
多分明日には新聞記事が載るのかなと思っていますので
判決要旨等も含めて、明日には高裁判決についての記事をUPしようとか思います