2007.11.13社会レポート
■原油価格の高騰が続き史上最高値更新となって1バレル100ドル寸前にまで上昇している。主因は新興国経済の急拡大である。だが、米サブプライムロ-ン問題を契機にヘッジファンドによるリスクマネ-も原油市場になだれ込んでいる。米国株やドルの下落で急速な金融信用収縮から、資金の逃避先として起きているのだ。原油だけでなくゴ-ルドや穀物などの国際商品も急騰している。原油や商品価格の上昇が続けば、日本経済に与えるマイナス影響も増加する。原材料高となり、コスト増が企業収益を圧迫するからだ。最近では毎月のようにガソリン価格の上昇が続き、食料品の小売価格や電気・ガスなどの公共料金の値上げのニュ-スが相次いでいる。所得間格差が広がっている中での値上げラッシュは、地方や弱者の市民生活には圧迫となる。所得の伸びが無い状況での値上げが続けば、個人の消費拡大は望めなくなる。日銀が期待している「景気拡大の中での消費者物価上昇」は無理な注文になる。ただ、原油も商品価格の上昇も目先の価格達成感があり、目先的な天井を打ちやすい場面でもある。FRBバ-ナンキ議長の金融政策の舵取りが試されるところだ。リスクマネ-の逃げ足は速く、一方方向への上昇が続く筈も無い。高値波乱となる可能性がある。勿論、10年スパンで考察すれば、原油もゴ-ルドも長期上昇トレンド上にあるが、短期的には天井打ちが近いと考える。
2007.11.8社会レポート
■米国のビッグイベントである注目の年末のクリスマス商戦がはじまる。11月第三木曜日が感謝際(サンクスリビングデイ)で、例年、全米のショッピングセンタ-やデパ-トなどの商店は1ヶ月間のビッグセ-ルスをする。昨年は、株価上昇や好調な雇用がチェ-ンストアやデパ-トなどの売り上げ増に結びついていた。しかし、本年は株価の史上最高値更新という恩恵を受けない可能性が高い。今年はサブプライムロ-ン問題や住宅・不動産価格の下落、原油価格の史上最高値更新で、ガソリンなどのエネルギ-や商品価格上昇で、懸念材料が満載だからだ。原油価格の上昇は天井知らずで、インフレ懸念も強い。商品はインフレで、住宅・不動産価格は下落とダブルパンチだ。FRBは10月30~31日のFOMCで、0.25%利下げという早めのクリスマスプレゼントをしたが、利下げが中~高所得者を刺激するかどうかは不明だ。ヘッジファンドの決算は11月。決算を乗り切れず1~3の大手ヘッジファンドが破綻すれば、12月上旬のFOMCでも再利下げの可能性もある。今のところクリスマス商戦の大きな崩れは無い予定だが、蓋を開けてみないと判らない。米国景気は予断を許さない状況にある。
■不安漂う米国景気。サブプライムロ-ン問題は氷山の一角で、住宅/不動産価格の下落や個人消費の落ち込みは、『米国景気の失速は深刻では無いか』と、悲観的な見方が台頭している。特に、市場予想を超える米金融機関の損失拡大は先行き不安が広がり、膿を出し切るまで時間がかかるとの見方が支配的だ。こういう状況は、米国依存度の高い企業は売り要因となる。一方、米国とは逆に好調が続いている、欧州やアジア地域は景気回復と経済発展が続き、特に、北京オリンピックを控えた中国と筆頭に「インド・インドネシア」などの東アジア地域の成長ぶりは、未だに勢いが衰えない。EU圏の欧州も失業率の低下や倒産企業件数が減少し持続的な景気回復を示し、ロシアや中東欧の資源国家の新興国も景気拡大を続けている。従って、米国向け輸出が鈍化しても、拡大を続けるアジア地域や欧州へ積極的に進出している企業は、好業績となろう。欧州の売り上げ高比率が高い企業や、アジアへシフトしている企業は、「高収益期待⇔株価上昇期待」から、今後も買われてくる可能性が高い。商社・建設機械・鉄鋼・素材などは、新興国の経済成長が収益に直結しており、引き続き人気となるだろう。
■米サブプライムロ-ンから 波及する損失拡大の輪は、米金融機関やヘッジファンドにとどまらず、日欧豪などの年金信金運用機関や投資銀行、証券会社にもマイナス影響を与えている。メリルリンチ・リ-マンやドイツ銀行も損失を抱え、実際、メリルリンチは180億ドル(約2兆円)で会社存続にも影響するほどの規模である。シテイグル-プの損失は7-9月期で終わらず、10-12月期でも更に損失が出てくる懸念があり、金融機関全体にマイナス影響を与えている。株式下落の場面でレバレッジを効かせたヘッジファンドは、銀行から追加融資を断られれば直ちに経営破綻する。すでに危機に瀕しているファンドもある。世界中にデリバテイブ販売された総額の実体がつかめず、相手先も規模もわからないのが現状だ。緊急事態と認識したFRBは、10月30~31日に開催されたFOMCで金利0.25%利下げ実施した。だが、株式市場は、材料出尽くしで今年4番目の急落を記録。米国景気の先行き不安は大きくなっている。原油価格の史上最高値更新やゴ-ルドや商品市況の強基調も、インフレ懸念を増大させるもので、景気減速に歯止とインフレと綱引きとなる。ただ、サブプライムロ-ン問題は基金設立により、深刻な状況を招くことはなくなった。ブッッシュ政権が本気になっており、まもなく解決の方向に進展する。基金の引き当て金額の規模も、やがて4~5000億ドル規模まで増大する。12月上旬~中旬までに問題解決の方向に動くだろう
■8月の暴落で ■値上げラッシュが続いている。原油価格が史上最高値を更新したことで、ガソリン・ガス・軽重油が上昇。つれて、トウモロコシ・小麦・大豆・乳製品など、原材料価格の高騰が家計を直撃している。来年にかけても、値上げや分量を減らして実質的値上げに踏み切る食品メ-カ-が目立ち、ジワジワと物価上昇が続いている。新興国の経済成長やバイオエネルギ-需要の拡大が背景にあるが、もう、デフレに戻ることは無い。物価上昇は継続し、インフレ経済が通常となる。日本は、安いからといって、農産物を中国や豪州、米国・カナダなどに依存してきた。これまで農業にはジャブジャブの公的資金を投入してきたが、農家の経営や農家の後継者を育てる農業政策をしてこなかった。農協を太らせ、農業道路に関連する土木企業に甘い蜜を吸わせるだけだった。その結果が食料自給率40%以下である。田畑は2年や3年で元に戻れない。せめて、自国民の食料くらいは自国で生産し消費したいものだ。抜本的な農業政策の転換をしなければならない。
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2007.10.26
■原油価格が史上最高値を更新し1バレル90ドルにタッチした。原油は、本年1月にボトムを形成したあと上昇を継続、つれてゴ-ルドや商品市況の上昇も続いている。地球規模の人口増大や、BRIC’sの石油需要急増が主な要因として上昇。BRIC’sに続きVISTAの経済発展も急成長を続けている。原油価格は、まもなく1バレル100ドルをオ-バ-すると考える。原油価格は市場経済で決まることであり、「需要と供給」のバランスで成り立っている。しかし、この2~3年の原油価格の上昇は、石油製品の実需上の逼迫や、中東地政学的リスクを逸脱した動きとなっている。70~80年代の石油価格は、メジャ-とOPECが国際貿易を支配して決定されていた。現在は、その頃の伝統的なスタイルとは異なるのだ。好景気に沸く世界中のジャブジャブに有り余っている巨額のホットマネ-が流入される事で、市場全体が金融商品化となっている。つまり、ヘッジファンドや年金基金、投資信託などの大規模な投機資金の動きが、「需給と供給」のバランスを無視して博打場と化したのだ。マネ-ゲ-ムで石油価格が乱高下する、自由市場の全く新しいスタイルの石油価格が形成されるといってよい。 しかし、元来、年金資金を運用する投資ファンドやヘッジファンドなどの投機資金は、利益を目的とする。マネ-ゲ-ムであれば、史上最高値はいつでも簡単に更新される。だが、いつまでも上がり続けるマ-ケットは無い。従って、石油市場も必ず天井形成の時期が到来する。マネ-ゲ-ム性が過熱し、1バレル100ドルオ-バ-で高止まりしていけば、やがて世界不況のトリガ-が引かれる。価格が上がり続けることで世界的な不況を招き、石油需要ペ-スがスロ-ダウンするからだ。先進国経済は80年代と比較して石油価格に対して強化されている。だが、中国やインドなどの新興国の石油対策は脆弱でダメ-ジが大きい。現状の過熱した石油マ-ケットの天井価格や時期を、正確に予測するのは不可能であり無意味であるが、3年以内の天井形成の可能性がある。その時は、ゴ-ルドなど商品価格の暴落も避けられない。
■米国投資銀行や証券などサブプライムロ-ン問題で、世界の金融機関の損失がかなりの額で膨らんでいることが明らかになっている。ベアスタンダ-ズ1050億円/モルガンスタンレ-1100億円/リ-マンブラザ-ズ820億円/シテイバンク7630億円/メリルリンチ6330億円/UBS3960億円/野村證券1456億円など、積極的に参加していた企業の明らかになった損失額でも2兆円を超える。他にヘッジファンドや年金資金の損失もある。不良債権が増大すれば、この金額は更に膨らんでいく可能性がある。米国メガバンク3行は、信用収縮が拡大しないよう10兆円規模の債権回収共同ファンドを設立した。しかし、10兆円規模では少ない。50~70兆円規模のファンドが設立されないと市場の安心感を得ることは出来ないだろう。対応が遅れると、『金融機関の損失が拡大⇔ヘッジファンドの破綻』と連鎖する。時間を要するほどマ-ケットの信用収縮が増幅、下手をすると世界的な金融恐慌にまで発展しかねない。バ-ナンキ議長の金融舵取りの腕の見せ所だが、「利下げ・市場に巨額の資金供出」を交互に繰り返し、市場の安定に向けて素早い対応を重ねていくだろう。世界市場のアチコチに巨額の被害をもたらす、サブプライムロ-ン問題という大型ハリケ-ンも、11月末~12月中旬までには一段落する。株価も落ち着きを取り戻す。11月中旬以降には日米共に買いの好機が到来すると考える。