2008.1.15社会レポート
■オバマ候補がアイオワ州で勝利、続くニュ-ハンプシャ-州ではヒラリ-が苦戦のうえ勝利。民主党の大統領候補は、初の黒人大統領を狙うオバマ初の女性大統領を目指すヒラリ-の一勝一敗で、実に面白い米大統領選挙戦が続いている。民主党はオバマとヒラリ-のデッドヒ-トで、共和党のいずれの候補も影を薄め、今や次期大統領はヒラリ-やオバマの両候補に絞られたといっていい。共和党が大統領の座を獲得するのは無理な状況だ。ヒラリ-候補は昨年10月まで、ダントツのリ-ドを保っていた。だが、オバマ候補の演説に上手さや聡明さに、若年層や黒人女性の支持がジリジリと集まってきた。特に、米国NO1有名人の黒人女性TV司会者の、オプラ・ウインフリ-がオバマ支持を示し、キヤンペ-ンに同行してからガラリと変わった。彼女は、自身のTV番組や番組製作会社を経営していることから、TV・ラジオ・雑誌・インタ-ネットなどあらゆるメデイアを駆使しているマルチタレント。女性層に圧倒的な人気を誇っている彼女は、オバマ候補と二人三脚で行動し、幅広い集票マシンとなっている。ただ、この人気が今後も続いていくかは不明だ。民主党支持の白人びいきのみならず、共和党からもオバマ候補に対する警戒感が台頭。「ヒラリ-は嫌いだが、黒人大統領になるのはもっと御免だ」という形で、ヒラリ-支持に廻ることも想定される。共和党と民主党の両党から、オバマ候補に対する非難中傷が始まっている。選挙中のさ中に、暗殺される可能性も出てくる。マ-ケットも黒人大統領を望んでいない。各TV局がリサ-チする両候補の支持率で、オバマ候補が有利の時は『株安・ドル安』となり、ヒラリ-有利の発表で『株高・ドル高』となっていたように、市場の反応はヒラリ-に分が良かった。ス-パ-チュ-ズデイで決まるだろうが、結局は、初の女性大統領ヒラリ-クリントンの誕生となるだろう。
■サブプライムロ-ン問題が今後の世界経済に暗い影を差し込ませるとの不安心理が、市場の弱気を蔓延させて売り一色の展開となっている。だが、サブプライムロ-ン問題から波及する金融セクタ-の損失額は最大で120兆円程度であり、全てが不良債権となったとしても、米国経済に与える影響は軽微だ。1800兆円の株式市場や120兆ドルのGNP規模の米国景気が120兆円規模で失速する事は考えにくい。軽くは無いが米国経済、ましてや、BRIC’sやVISTAの高経済成長に牽引されている世界経済に与える影響は、少ないと言ってよい。米国の不動産・住宅価格の下落は、昨年夏からのFF金利の利下げ効果が半年~10ヶ月のタイムラグを置いて効果が出て来る。不動産・住宅市況の下落率は、まもなく低下していくだろう。FRBバ-ナンキ議長は次回のFOMCで、0.75%又は1%の大幅利下げを実施する可能性もある。28日のブッシュ大統領の一般教書演説で、金融機関に対する「公的資金注入」の発表可能性もあり、産油国や新興国の政府系投資ファンドの巨額資金も動き出した。サブプライムロ-ン問題は08年上半期で織り込むだろう。第二四半期には市場心理は好転するのではないか。ブッシュは、イランに対する武力攻撃を3月までに実施する可能性がある。先行きに翳りが見え隠れする米国経済と、共和党不利の状況が続いている11月大統領選挙を「戦争特需」で乗り切ろうとする、いつもの手を使おうとするだろう。サブプライム問題からイラン中東~地政学的リスクへ関心が移る。