干潟とは何だろうか。
言葉の意味は誰でも知っているのだが、干潟が果たす役割を詳しく語れるのは学者くらいしかいないだろう。
干潟は河口や波が穏やかな湾などに川から流されて来た砂や泥が溜まった場所。
潮が満ちれば水面下、引けば干上がるのが干潟。
それ以上潮が上がらない線が陸と海の境界であり干潟は海の領域、領海とは最も潮が引く線から沖になる。
国土交通省の体験プログラムには・・
生き物の住処として生物生息機能、水を綺麗にする水質浄化機能、栽培養殖場としての生物生産機能、人が水に親しむ親水機能、
水温や塩分の急変や満ち引きの繰り返しなど激しい環境変化に耐えることの出来る生物が住む・・とある。
環境省も同じようなもので、干潟は巨大な浄化槽と称し、干潟の種類や浄化の仕組み、生息する生物の解説などどっさり出てくる。
いくら干潟を観察、調べてもわかることはしれている。
野人にとってはつまらなく、小学生の理科、観察日記のようなもの。わざわざ体験学習プログラムでやることでもなく、休日に遊ばせればわかる。
いい機会だから今日は干潟のお勉強。
引き継がれた学問の中で学者が語る「つまらない干潟」ではなく、海洋学、地球物理学、協生理論を用いた野人流干潟のお話をしよう。
だいたい・・
海でも陸でもなく、水温塩分の急変、干満など激しい環境に耐えてまで、何で海の生き物が好んでそんな「海の僻地」で暮らさなければならないのか、天敵の鳥類も多い、そのように考える人はいないのかな。
水温の変化、塩分濃度の変化は海洋生物にとって致命的な事なのだ。 地球の歴史、海の歴史から見れば気楽に暮らせる場所は広大で干潟は微々たるもの。
干潟を観察すれば・・
生き物はひたすら潮が満ちてくるのを待っている。
貝は食餌を止め硬い殻を閉じて泥に潜り、潮が満ち始めるとカニ達は穴から出て、シオマネキと呼ばれるように一斉に爪で手招きして「早よ来い」とカニカニダンスしている。
藻類は・・日照りでカンピンタンになりながら雨水にも耐えて海水を待っている。
海藻を好んで食べる魚類もいず、成長も早い海の中のほうがよいではないか。
牡蠣だって夏の陽光に晒され、半分は干上がる場所より年中海水の中にいたほうが涼しく、エサも豊富で巨大化する。 そこに目を付けたのが牡蠣の養殖。
過酷にもかかわらず干潟には多くの生き物が暮らしている。 干潟だけでなく海岸線の磯には無数のカニや貝や海藻がビッシリ。
海に潜ればわかるが、生物多様性において完全な海域との差は歴然。
彼らが半陸の干潟で暮らす理由は、空気に馴染み、真水に馴染もうとしているからだ。
何故そこまでして過酷な環境に耐えるのか。
いくらエサや養分が豊富でも汽水域や干潟で生きられない海洋生物のほうが圧倒的に多い。
目的は陸への進出であり、彼らの意識と引き継がれた本能がそうさせている。
生き物が住めなかった陸へ海洋生物が進出して以来、その営みは今も引き継がれている。
植物の葉が緑である理由は、最も光合成に適しているからであり祖先は緑藻類。
河口の汽水域や海岸線には緑藻類がひしめいている。
へばりついて頑張っている褐藻類も多いから数万年後には最初から茶色の葉っぱも出て来るかもしれんな。
陸へ進出してからも産卵だけは海に帰らざるを得ない新米の生き物も多い。
潮の干満がなかったら、干潟がなかったら、生物は陸へ進出出来なかっただろう。訓練場所がないのだから。
陸の植物もまたさらなる進化を求め、1年草は多年草を目指し、多年草は樹木を目指す。
タラの木やパパイヤは樹木なり立ての新米、進化途上のイタドリやヤマウドもいつか樹木になれるだろう。
陸に進出した動物で最も進化を遂げたとされる人間・・
言わば他の生き物達の頭領でもあり、他の生き物、環境を守るべき立場。 その最高と自称する頭脳・・
もそっと何とかならんものか。
干潟だけ見るから干潟しかわからない。
海を見て、陸を見て、地球の歴史を見て、海と陸の境界を見れば気付くことだ。
川の上流から河口までもコンクリートで固めれば、干潟があっても海から陸への進出は無理だな。
蛍が川と陸の行き来が出来ないのも同じ。
生命の循環・営みを遮断して環境や干潟保護を語るのもおかしな話だ。
学問の常識からみる干潟は人間目線。
干潟に浄化作用はあるが、生き物達は浄化の為に生きて来たのではない。
生物の目線で見なければ生命の仕組みに気付くことはない。
干潟が浄化槽なら海や陸は浄化槽ではないのか。
川も浄化槽だが人間が作った川はその役目を果たさない。
陸も浄化槽だが山や平地はその役目をはたしていない。
人が住む以上、建物や道路など暮らしの場所はやむを得ないにしても、その数百倍にも及ぶ山や農地は浄化槽ではなく河川と海の最大汚染源になっている。
役目を果たさないから泥や廃棄物が河口を埋め尽くし海に堆積、干潟もやがて人間の廃棄物で埋め尽くされるだろう。
生き物が住めなくなれば干潟は干潟の役目を果たせなくなる。 半世紀に満たないうちに干潟は消え去るかもしれんな・・
マリンビレッジ近く 大湊干潟での講習会
ムーの科学とムーの進化論
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無毒の海藻から有毒の植物へ 進化の理由1
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無毒の海藻から有毒の植物へ 進化の理由2
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無毒の海藻から有毒の植物へ 進化の理由3
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現在 6編 未完成・・
進化と退化 未来の道を開くもの
https://ameblo.jp/muu8/entry-12500322318.html
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