干潟が干潮時に水が引く時間は短いが、体の表面がカンピンタンにならない工夫をすれば空気中での滞在時間は伸びる。
砂は岩が砕けたものだが、泥は砂に有機物が混じったもの。
表皮の工夫はともかく、大地の保水が出来なければどうにもならない。
ワカメ達の陸地の海作り計画が具体的に始まった。
満ちて海水が届く場所まで海だが、大潮になると1日の大半は潮が引いて水がない。
最も潮が満ちる場所と引く場所の中間地点も、1日の半分近くは水がない。
それでも海の生物は生きられる、生きている。
時間は短くとも、その時だけは干潟も陸には違いない。
この干潟がワカメやコンブ達に希望の光をもたらした。
彼らにしてみれば・・陸を見ながら・・
「あれも うみ~ これも うみ~
きっと うみ~ 」
と・・歌いながら闘志を燃やしたことだろう。
見た目は地味な愛の水中花達は、陸で美しく花咲くことを夢見ていた。
最初から水中にある海底は保水など必要ないが、陸は常に乾いている。
陸に上がって保水域を作ろうにもこれでは干潟から上には上れない。
最初に干潟に突撃したアオサやヒジキを見ると・・
表面はカンピンタンに乾き、まるでヒゲ親父・・
これではちっとも美しくはなく、水の中の方がまだマシだ。
乾いている間は水中からミネラル補給も出来ず休眠中でひたすら耐えている。
当然、干潟組のほうが成長は遅くなる。
やや水気のある干潟でもコレだから、さらに水の届かない陸へ上れば飢え死にが待っている。
ワカメは自らの体の構造改革の必要性を感じた。
乾くとカピカピになる粘膜は空中に対応出来ない。
水分が少なくて体を保護する膜が必要になる。
強い意志を持ったワカメ達の表皮の構造改革は干潟で始まった。
長い年月をかけて表皮は理想的な構造に近づいて行った。
ワックスとも言える脂膜は空気にも水にも耐えられ、そこに住む微生物も両生類へと共に構造を変えて行った。
表皮が水陸共に対応出来るようになれば、次は陸の保水だ。
ワカメは悩んだが、コンブやヒジキは何も考えとらん
干潟は小石や砂に海の有機物の残骸が混じった泥・・
泥が水分を保ち、なければ水は地下に抜けてすぐに乾燥する。
海がない場所にどうやって泥を作れば良いのか・・
干潟の向こうにある生命の住めない殺伐とした陸を眺めていると・・
何やら妙なものがワカメの目に入った。
何であんなものが・・
それは波で打ち上げられ風で飛ばされた海の生物の残骸だった。
ワカメやコンブの御先祖様達が大半だったが、魚の骨やイカの甲羅もある。
泥・・出来るではないか
皆で海の産物「生命の源」を持ってお引っ越しすれば良いのだ。
あれに・・水をかければ・・海茶漬け
ではない、食べて 生きて行ける
どうやって水・・運ぶのか
いや、運ぶ必要などない、空から降って来れば海茶漬けが出来る。
しかし・・どうやって食べるんだ・・茶漬け
海のように水深はまったくないから地面で食べるしかないな。
すぐカンピンタンになれば食べる時間もないから地表では大変、水が染み込む間に地中で食べるしかない。
地中で水と共に吸い上げるには・・
海のように葉ではなく「根」で吸い上げるしかない。
続く・・
無毒の海藻から有毒の植物へ 進化の理由 1
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