野人が「ごろ寝」という脊椎への負担を軽減する方法をとったのにはきっかけがある。13歳の時に脊髄を痛めたからだ。
当時は脊髄とは気づかず、痛い箇所もわからず原因不明の体内の激痛だった。
木から落ちたか崖から落ちたのか、故障の原因はわからないが、みぞおちの位置で胴体を輪切りにするように腹腔全域に電気が走り、息が吸えず動けなくなるのだ。
肋間神経痛のような症状だがそうではなく、病院ではわからなかった。
医療も薬も役に立たず、程度により短くて一晩、長くとも3日横になっていれば治るが、年に5回・10日間前後は激痛と呼吸困難で動けなくなる。
どうしても出なければならない仕事は、ろっ骨をガムテープで完全に固定、呼吸を小さくして船の舵を握った。 アバラ骨が動かなければ痛みは軽減される。
50代まで続き、救急車の世話になったこともある。
それが頑丈な野人の体の唯一の弱点だった。
テーマ「すいみん愚物語や道具武具」、ブルース・リーの哲学などで記事にしたように、特技は水泳、空手・古武術。 県大会で優勝、全国大会へも出場した。
しかし水泳・空手どちらも皆と同じようなハードな練習は拒否、高校大学共に運動の省エネを徹底した。
それが許される立場に身を置き、結果を出して来たのだから問題はない。
練習なしでこれらの結果を出すのはスポーツ界の非常識であり、当然スポーツマンシップのかけらもなかった。
プールでの練習も陸トレ・筋トレ・柔軟体操もまったくせずに高校県大会100m自由形で優勝する野人を・・
出たくも勝ちたくもない。
体力、知力、技術は暮らしに困らない程度で良い。
今でも準備運動なしで海に飛び込みそのまま潜水。
小中校、社会人と誰よりも無重力の水中に身を置いた。
柔軟体操、ランニング、筋トレなど何十年もやったことがない。本はすべてごろ寝して読んだ。
本能の対処のおかげか症状は30年かけてはるかに軽減、50年かけて軽微な症状も出なくなり完治した。
30代後半、友人の院長に3日間強制入院させられ精密検査を受けたが不明。
近代医療でもわからなければ、原因は顕微鏡で見える範囲ではなく指揮系統にあり、電気信号の故障だ。
脊髄の何処かにその原因があったと考えている。
それほど脊髄とは精密で重要な機能が組み込まれた器官なのだ。
数十年かけて軽減したのは、全ての活動において全力を使わず、脊髄を休めると言う対処のおかげだろうが、完治に至ったのは協生理論を書き始め、野生肉、野生果実、骨髄スープなどを日常的に摂り続けたからだ。
指揮系統の不調がもたらす難病はこれらで復元出来る。
病名もなく命に別状はないが、野人も半世紀50年苦しんだ原因不明の難病だった。
痛い箇所もわからず診断書も出ないので周囲からはサボり、休む口実、怠け者と思われていただろう。
中学高校の時は、体を動かせず脂汗が出るほどの激痛で苦しむ野人の背を、いつもむー母がさすってくれた。
むー母だけが野人の苦しみをわかっていた。
むー母は自営業で、朝6時から夜の9時まで年中無休で働いて野人と祖母を養っていた。
普通は子が疲れた親の肩をたたいてあげるのが親孝行、親に背中を揉ませるなど親不孝・・と、同級生から非難されたが、むー母は「子孝行」だったな。
いただいた多くの賞状に関心はなく大半は捨て、一部はむー母にあげたが、母は大事そうにファイルにして保管していた。
メダルは近所の子供にあげていたが、いまだ捨てられない大きなブロンズメダルは立派な木箱の裏に母がペンで内容を記録していたからだ。
野人は誰よりも多くの、多種動物の背骨を見て来た。
マグロ、カジキ、多くの魚類、猪、鹿、鳥・・何十年も刃物でさばき続けた。
骨まで使うので背骨の関節も外し続けた。
小さなナイフ一本で巨大猪や鹿、マグロ、カジキも解体、背骨もバラバラに出来る。
手足の骨と違って背骨は柔らかく、関節は脆く簡単にスパッと切れる。
中は空洞で骨髄があり複雑な構造になっている。
他の骨とは明らかな違いがあり、生命が詰まっている。
脳と並ぶ生命の聖域に人知は遠く及ばない。
脳は頭骨で守られているが背骨は常に酷使されている。
重力に逆らい背骨を立て続けることの無理・・
骨を繋ぐ腰椎の消耗は相当に激しいはずだ。
高齢化した野生動物に背骨の変形、消耗などはない。
「年を取れば背や腰が曲がるのは当たり前」ではなく、人間自らそのようにしてしまったのだ。
「年を取れば膝の軟骨もすり減る」「圧迫された腰椎は戻らない」「萎縮した腎臓は戻らず透析」と言われているが、生ある限り、生命力がある限り必ず復元する。
その情報は組み込まれている。
生命とは情報そのものだな。
背骨をどうやって守り、休ませ、長持ちさせるか・・
この野人の体験記事が参考になれば幸いだ。
肉離れ 歩行困難な野人
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野人珍話列伝 全身針ネズミ
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捨てられないブロンズメダル
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