開墾農園の周囲はササユリの群生地だ。
山の斜面の至る所にササユリが自生、素晴らしい芳香を漂わせている。
まとまってはいないが、探せば数百本はあるだろう。
ササユリは日本在来種の代表で、5月から6月にかけて薄いピンクの花を咲かせ、古事記や万葉集にも登場する。
野生では種子の発芽まで1年から2年、花を咲かせるまで7年以上要し、花の寿命はわずか10日。
花の命は短くて苦しきことのみ多かりき・・と言うが、そのようには見えない。
繊細で遠慮しながらも懸命に生きるササユリは幸せそのものだろう。
「恋に焦がれて鳴く蝉よりも鳴かぬ蛍が身を焦がす」
口に出してあれこれ言う者よりも、言わない者のほうが深く思っていると言うことのたとえらしいが・・
蛍の命も飛び立ってわずか10日。
蝉の命は1か月でも土中生活は数年・・
比率からすれば大差なく、同じように生を謳歌していることに変わりない。
鳴こうが光ろうが、特技による表現の自由でどちらも素晴らしいではないか。
野人も自生ササユリの保護に携わっていた。
100万坪の自然環境に恵まれたヤマハ施設でマリーナ・スポーツ施設とフィールドの責任者をやっていた頃、数ヘクタールの果樹農園、山菜キノコ園だけでなく、遊歩道や花菖蒲園、蛍の沢、水生植物の沢も造成整備した。
外注野外管理スタッフは4人、彼らに依頼して森林整備時に貴重な群生自生種を保護した。
風通しを良くする為に大半は刈られる運命だったが、せめてもの罪滅ぼしにそれくらいは・・
それが草木に埋もれていたコバノミツバツツジ1万本と、斜面にひっそりと自生していたササユリだ。
他にヤブツバキの大木数十本、遊歩道沿いのアケビやムベの群生地など、草刈り作業は通常の何倍もかかったが、その予算を確保した。
その4人の外注スタッフの一人が「照ちゃん」で、その88歳の旦那さんが今は猪を提供してくれている。
てるちゃんの姉の「ツヤちゃん」もスタッフだった。
その親方は伐採管理業以外に炭も作り、高齢病気ながら今もマリンビレッジに炭を届けてくれている。
親方は、貴重な植物を残すと言う野人の方針を尊重、ササユリ群生地を発見、総出で保護した。
保護と言っても草刈り時期を考慮するだけで細々と生きていたササユリは息を吹き返す。
弱肉強食の自然の法則に逆らい、ちょいとササユリにエコひいき・・だな。
指示するだけでなく、お野人も連日草刈り機で彼らと共に山道を切り開いた。
群生するササユリは、花の季節には傍の遊歩道を歩く人々の眼を楽しませ、お返ししてくれた。
同様にヒガンバナも草刈り時期を考慮すれば人々の眼を楽しませてくれる。
野生種はその条件に合った環境の中で生き生きと花を咲かせる。 人の助けなど必要としていない。
誕生してくる動植物は自ら環境を選べず、多様性の中では領域を思い通りに築くことも困難。
それが出来るのは人間だけだが、仕組みを理解した上で彼らの心を汲まなければ理想の環境は出来ない。
協生農法・・欲に囚われず常にそうありたいな。
開墾農園はゲンジボタルの自生地。
ササユリツアー、蛍ツアーも 考えるか・・・
公園になってしまった水生の沢
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ひよこの日曜日 猪との遭遇
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