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ワイン好き

勉強しているとこんなページ を見つけました。気候変動とワイン作りの関係ももちろん興味深いのですが、下図、特に右側。

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冷涼地に適した品種は、順にゲヴュルツトラミネール・リースリング・ピノノワール・シャルドネ・ソービニヨンブランですか。見事に私の好きなのがそろっているのですが。

そうかー、イタリアやスペインのワインよりニュージーランドやチリのワインを選んでしまう原因も、その辺にあるのか。納得してしまった。

医薬品クライシス

医薬品クライシス という本を読みました。息つく間もなく読了。

医薬品に限らず、科学とはいったい何なのか、ということを考えさせられる名著だと思います。ぜひ。


ちなみに著者の佐藤さん、HP がとても充実しています。いつも勉強させてもらっています。

愛媛県の有名人

愛媛県出身の科学者というと誰が最初に思い浮かぶでしょう。青色発光ダイオードの中村修二先生でしょうか?
中村先生は西宇和郡瀬戸町の出身で、実は私の故郷のご近所だったりします。最近よくあるクリスマスの青いイルミネーションは、この人がいなければ、登場がずいぶん遅くなっていたかもしれません。ブルーレイディスクや、最近私がよく使っている405nm共焦点レーザー顕微鏡の登場も、遅れていたかもしれません。

そしてもう一人、重要な科学者がいます。
宇摩郡新宮村(現四国中央市)出身の真鍋淑郎先生です。wikipedia以外の紹介として、JAMSTEC(海洋開発研究機構)KYOTO地球環境の殿堂のHPを。
何をされた方かと言うと、「地球科学の分野にコンピューターによるシミュレーションを導入した先駆者」です。
天気予報に欠かせない数値予報の精度を向上させ、また、地球温暖化が現実の地球で確かに起こりうることをシミュレーションにより実証した人物、と言えばそのすごさは実感できるでしょうか。
今や天気予報は大気大循環モデルなしには成立しませんし、地球温暖化予測はコンピューターシミュレーションなしには絶対に不可能になっています。もしノーベル地学賞が存在していれば、有力な候補者になっていたのではないでしょうか。

北極の次は南極

昨日の記事 で北極の氷の減少のことをちょっと書きましたが、南極の氷について興味深いニュースが2つ入ってきたのでそれについて。


南極の氷は溶けているのか?(NASA)

衛星からのgravity data(重力測定データ)による、南極の陸地の氷体積(質量です、訂正)の経年変化です。この計測法が始まってから日が浅いので、長期的傾向と断定するのはまだ早いと思うのですが、まあ減少傾向にあると言えそう。

ところで、"陸地の氷"と注釈したのには理由があって、今度は南極海の氷の面積のデータを見てみます。こっちは日本の気象庁



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なんと南極海氷面積は逆に増加傾向。

このデータを元に、「南極の氷は増えているのだから、温暖化なんかしてないんだよ!(たとえ温暖化しても海面上昇なんかしないんだよ!)」と主張するケースがままあるようですが、要注意です。

南極大陸の氷の体積は減少傾向にあると言えそう。一方、南極海の氷の面積は拡大している。これは何を意味しているのか?

そう、南極大陸から南極海に流出する氷が増加している可能性を示唆しています。

氷は固体ですが、それでも温度が上がると流動性が増します。陸上に蓄えられている氷は、氷河になって海に注ぎ込んでいるわけですが、それが加速することになります。当然これは海面上昇の要因となります。


これを裏付ける新たな報告もありました。

南極の巨大氷床の崩壊はもはや避けられなくなった(オックスフォード大)

南極のパイン島氷河 という氷河はもはや回復することはなく、数十年内に消失することが決定付けられた、とのことです。

パイン島氷河の消失だけで、海面は24cm上昇すると見積もられています。


最近出版される、気候変動による海面上昇幅に関する論文は、押しなべて「予想より海面上昇は加速している」というものが多いです。

http://www.bloomberg.co.jp/apps/news?pid=infoseek_jp&sid=axyoL5Isx6_0

http://www.47news.jp/CN/200902/CN2009022501001216.html

今世紀末までに1m前後は海面上昇するのではないか、という報告が多いと思います(実際に数えたわけではありませんが)。

寒い日が続きますな

愛媛も雪。南予ではかなり積雪したようです。

さて、日本だけでなくヨーロッパやアメリカ、中国などでも寒波が居座っているようです。

http://www.data.jma.go.jp/gmd/cpd/monitor/weekly/


こんなに寒いのに地球温暖化って本当なのか?と聞かれました。というわけでちょっと説明を

温暖化は局地的な現象ではなく、地球全体の平均気温が上昇していくことが問題です。裏を返せば、局地的には気温が低下することもありえるのです。

この冬の寒波は果たして全球で考えるとどうなのか。データを見てみましょう。

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上図は、北極点を中心にして、去年の12月の平均気温と平年との差を示したものです(出典:米国立雪氷データセンター)。見ての通り、北ヨーロッパ~中国にかけてと北米大陸中緯度域は極端な低温を記録しています。

一方、グリーンランドなど北大西洋地域と、シベリア東部~カナダ北部、北極海にかけては、逆に極端な高温になっています。

結果として、この冬の世界平均気温は決して低温ではありません。むしろ高温傾向は続いています。今日、気象庁から先月の世界平均気温速報値が発表されましたが、1971-2000年の平年値に比べ0.30℃高く、1891年以降では観測史上第4位の高温です(南半球がかなり高温だったことが効いていますが)。


これは、例年なら北極に封じ込められている寒波が、今年は低緯度地域へ流入していることが原因と考えられています。根拠の一つが下図。



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今度は、12月の平均気圧と平年値との差を示した図です。北極は例年より気圧が高く、中緯度地域は例年より気圧が低くなっています。

風は気圧が高いほうから低いほうに向かって吹くので、この冬は北極から寒気が流出しやすい状況が続いている、と言えます。

大雑把に言うと、この冬は、高緯度地域は高温傾向になり、中緯度地域は低温傾向になりやすい気圧配置になっていると言えます。そして、中緯度地域=人口稠密地域なので、この冬は世界中から寒波のニュースが入りやすくなっている、ということです。


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それを裏付ける・・・とまでは言えませんが、北極海の氷は今年は極めて少なくなっています。海氷に覆われている面積は、1979-2000年までの平年に比べると約100万km^2小さく、これは観測史上最小とほぼ等しい数値です。


詳しくは下記リンクを。

http://nsidc.org/arcticseaicenews/

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%8C%97%E6%A5%B5%E6%8C%AF%E5%8B%95