平成23年東北地方太平洋沖地震②
左が地震発生前、右が地震発生後の写真。海岸線の形が大きく変形している。NASA HP
より
この写真は今回の地震のすさまじさを象徴するものかもしれません。直線的だった福島県および宮城県南部の海岸線が、あちこちでえぐりとられたようになってしまっています。
私はいちおう地球科学を学んだ身です。このような規模の地震が起き得ることは知識としては知っていましたし(スマトラ沖という近い例もあった!)、いずれは日本近海でも発生しうることも理解はしていました。
しかし、現実に目の当たりにすると、何と言うか・・・。陳腐な表現ですが「自然の力は本当にすさまじい」と痛感します。
・日本の気象庁は、今回の地震規模をM=9.0に修正をしました。
http://www.jma.go.jp/jma/press/1103/13b/kaisetsu201103131255.pdf
・M=7クラスの余震は、近いうちにほぼ確実に発生します。
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20110313/t10014641851000.html
被災していない、しかも遠隔地に住んでいる人間にとって、できることは限られています。
募金や寄付など、できることがあればできることを。いつもの日常を正しく送ること。今後、被災していない人も不便を強いられることがあるかもしれませんが、その受容を。
それを肝に命じたいと思います。
17:50追記
それにしても、このような災害が発生した場合、各国からの援助が即座に届くようになったのは、考えてみるとすごいことです。 普段は友好的とは言えない国からですら、援助が届きます。
その裏にはいろいろな打算もあるかもしれません。しかし、打算があってもいいじゃないですか、それで助かることは間違いなくあるのですから。弱みに付け込むような世界よりはどれほどマシなことか。
そういう意味では、人類は僅かずつでも「前に」進んでいるのかもしれません。
平成23年東北地方太平洋沖地震
テレビに映し出される映像は、目を疑うものばかりです。被害が少しでも小さくなることを切に願います・・・。
これほどの規模の地震が起きるとは。過去を紐解くと、西暦869年の貞観三陸地震 にまで行き当たります。この時も、津波は内陸数kmにまで到達したと推測されています。日本史上でも最大級の地震であることは疑いありません。
これほどの規模の地震だと、余震は長く続きますし、規模も大きくなります。十分お気をつけ下さい。
いささか不謹慎かもしれませんが、このブログは四国の方が多く見られていると思うので、四国に関する情報を。
・この地震によって南海地震などが引き起こされる可能性はありません(偶然同時に起きる可能性は否定できませんが)。
・津波は相当長い間続きます。例えば宇和島市は、第一波到達から12時間ほど経過した今朝の7時ごろに、最大波高を観測しています。絶対に海岸には近づかないことです
・四国もいずれは、今回の地震と同じ状況に遭遇します。東日本への支援と同時に、そのことをよく認識しておいてください。
10:42追記
アメリカ地質調査所によると、今回の地震のマグニチュードは9.0に修正されたとのことです。
http://www.newscientist.com/blogs/shortsharpscience/2011/03/powerful-japan-quake-sparks-ts.html
ただ、地質調査所HPには8.9のままですが。
いずれにせよ、今回の地震は2004年スマトラ島沖地震に迫る規模のものだった、ということになります。
20:30追記
今回の地震の変位量は40mに達した可能性があるとのことです。
http://www.newscientist.com/blogs/shortsharpscience/2011/03/giant-quake-was-small-for-its.html
おおざっぱに言えば、海底地殻が40m跳ね上がったことになります。変位量だけで言えば、2004年スマトラ島沖地震や、1960年チリ地震(史上最大の地震)をはるかに上回ります。
隕石の中の生命
http://jp.reuters.com/article/oddlyEnoughNews/idJPJAPAN-19847920110307
夢がある話題です。
私が学生のころ、火星から来た隕石(アランヒルズ84001 )の中にバクテリアの化石らしきものがあった、と大騒ぎになりました。それを思い出します。結局、これが生命の化石という確信は、いまだ得られていないとは思います。
さて、今回はどうでしょう。Journal of Cosmology, 2011, Vol 13 を見てみます。 以下に示す図はすべて同報告を出典とします。
SEM-EDS(電子顕微鏡とセットになった元素分析装置)によるマッピング(元素の分布が分かる)結果
うーん・・・。確かにSEM写真は生物的なものにも見えます。が、やはりSEM画像と元素分析だけでは、生物化石と言い切るのはちょっと難しい気がします。
マッピングからは、生物的に見えるところはC・O・Mg・Sといった親生元素(生物に多く含まれる元素)に富み、Si・Feなど、親石・親鉄元素に乏しい傾向はありますが、これも決定的な情報とは言えない気がします。
必ずあるとは限りませんが、バイオマーカー(コレステロールやクロロフィルなど生命が作り出す特有の物質のこと、以前紹介したアルケノン もその一例)の存在が確認できれば決め手になりえます。近年はTOF-SIMS などの強力な分析装置もあるので、ぜひそのような機械で分析した結果を見てみたいですね。
3/8追記
NASA本部も「ちょっと待て!」という感じですね。
http://mainichi.jp/select/science/news/20110308k0000e040024000c.html
深海の水温上昇
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20110305-00000013-mai-soci
http://www.agu.org/pubs/crossref/2011/2010JC006464.shtml
以前、 海の温暖化の話をしましたが、これはあくまで浅めの海の話。今回は、3000mより深い海の水温もやはり上昇しているとの報告です。論文はまだabstractしか読んでいませんが・・・。
水は大気よりはるかに熱容量が大きく、わずか0.077℃/10年であっても、蓄積された熱量は莫大なものになります。
去年、scienceに"missing energy"として、「放射強制力の上昇に比べ熱の蓄積が少ない(どこに消えているんだ?)」という内容の報告がありました。
http://www.sciencemag.org/content/328/5976/316
http://www.sciencedaily.com/releases/2010/04/100415141121.htm
即断はできませんが、深海に移行していたという可能性はありそうですね。
なかなか時間が取れません。(もしいれば)期待している方、申し訳ありません。