甘味料によるアレルギーに立ちはだかる壁 | アレルギーで家族をつなぐ~実践っ!岡夫婦の食物アレルギー体験レポート~

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実践っ!岡夫婦の食物アレルギー体験レポート
written by パパ
※Facebookページ→食物アレルギー体験レポーター岡夫婦

 

 

食物アレルギーに関する研究が進んできたことにより、
過去にはわからなかったアレルギーのメカニズムや
予防・治療法などが少しずつ解明されてきています。

 

しかし、ここにきて新たな食物アレルギーの問題が

注目されています。

それは、甘味料による食物アレルギー症状です。

 

 

●甘味料による食物アレルギー症状

 

私たちのブログても以前、
甘味料のエリスリトールで食物アレルギー症状を発症した

事例を紹介致しました。

 

甘味料によるアレルギーについて紹介した記事はこちらから

 

日本アレルギー学会では、甘味料による食物アレルギー症状について

具体的な症例が報告されました。

 

甘味料の「エリスリトール」が5g含まれたダイエットゼリーを食べたお子様が、
食後40分から咳込みが始まり、目が腫れて体全体が真っ赤になるとともに、
経皮酸素分圧(Sp02)が95%まで低下しました。

 

アレルゲンの負荷テストを実施したところ、
エリスリトールの摂取:100mg、300mg、1gでは
アレルギー症状誘発はありませんでしたが、
3gの摂取で10分後に咳込みが始まり、顔面にじんましんが出現、
SpO2が92%まで低下し、その後、全身にじんましんが起きました。

 

その後、アドレナリンの投与、ステロイド剤の静注、酸素吸入などで
症状が軽快したとのことです。

 

この結果より、こちらのお子様はエリスリトールを3g以上摂取すると

アレルギー症状を発症することがわかりました。

 


では、アレルギー症状を引き起こすのは、

エリスリトールだけなのでしょうか?

 

2013年に開催された日本アレルギー学会において、
「全国の医療機関に問い合わせた調査の結果、

甘味料、人工甘味料が原因でのアレルギー疾患が

全国で約30件起こっている」
と報告されました。

 

その内訳は、

エリスリトールが15件、キシリトールが10件、

ステビアが2件、サッカリン、ガラクトオリゴ糖、

ソルビトール、アセスルファムKが各1件
なっています。

 

 

●なぜ甘味料でアレルギー症状が起きるのか?

 

食物アレルギーは、

食品に含まれるたんぱく質に対して
身体が持つ免疫細胞が過剰に反応して起こる

と考えられてきました。

 

エリスリトールは、人工的に作り出された甘味料ではなく、
果実や味噌、醤油などの発酵食品にも含まれている「糖アルコール」
と呼ばれるもので、私たちの日常の食卓に並ぶ食品にも含まれています。
 

「糖アルコール」はタンパク質を含まないことから、

アレルギー専門医の方も
「エリスリトールで食物アレルギー症状が

 起こるとは考えにくい」
最初は大変困惑されたようです。

 

公開講座「よくわかるこどものアレルギー」にて
エリスリトールについて質問した時の記事はこちらから
 

 

エリスリトールなどの甘味料によって引き起こされる
食物アレルギー症状のメカニズムについては、

まだ研究段階であり、はっきりとしたことはわからないようです。

 

今まで考えられてきた食物アレルギーのメカニズムに
当てはまらない事象であり、

アレルギー症状を起こさないだろうと

思われていた甘味料や他の食品成分も、

起こりうる可能性はゼロとは言えないということです。

 

エリスリトールによる食物アレルギー症状発症のメカニズムの

推測について紹介されたコラム:はしもと小児科さまの記事はこちらから

 

 

●甘味料によるアレルギーに立ちはだかる壁

 

食物アレルギーを持つ方は、治療目的以外では
アレルゲンとなる食品を摂取しない生活をしています。

 

食品を購入する際に、原材料表示にてアレルゲンが
入っていないかどうかを確認しています。


特定原材料7品目については表示義務があり、
特定原材料20品目については表示推奨がされています。

 

では、アレルギー症状を引き起こした甘味料は、
原材料に表示されているのでしょうか?

 

実は、エリスリトールは食品扱いであり、添加物ではありません。
食品扱いとなる場合、食品添加物としての表示義務がありません。

また、微量に使用されている場合は、ほとんど表示されることはないようです。
 

各種オリゴ糖も砂糖代わりに使われていますが、
これも食品扱いのため法律上の表示義務がありません。

 

過去に、アンパンの餡に含まれるエリスリトールによって
食物アレルギー症状を発症したケース
では、
表示義務から外れていたことから、

原材料表示はされていなかったとのことです。

 

 

一方、キシリトール、サッカリンNa、ソルビトール、ステビアといった
人工甘味料については、食品添加物のため表示義務があります。
 

しかし、食品添加物はアレルギー表示の対象外であり、

注意表示はされていません。

 

消費者庁は、甘味料による食物アレルギー症状について既に把握されており、
消費者に対して情報提示するなどの行動をしています。

「内容を詳しく精査するとともに、患者の数などを見ながら、
 今後、アレルギー物質としての表示が必要かどうかについても

 検討していくことになる」
とお話されています。


※消費者庁では、過去にコチニール色素に起因する

 食物アレルギー症状が確認された際、
 製造販売業者に対して注意喚起を行い、

 表示をするよう求めていました。
 しかし、この注意喚起には法的強制力がない為、

 アレルギー表示をされずに使用され続けているものがあります。

 

消費者庁によるコチニール色素に関する注意喚起はこちらから

 

 

もし、今後も甘味料による食物アレルギー発症例が

多くなってきた場合には、アレルギー物質としての表示が

必要と判断されるかもしれませんが、
法施行された後すぐに表示が切り替わるわけではありません。


食品製造メーカーさんも、表示切り替えをするのに準備が必要なので、

法施行されてから表示が切り替わるまでに猶予期間が設けられます。

 

甘味料に対しアレルギー症状をお持ちの方は、
原材料表示に記載されない、
またはアレルギー表示の対象にならない
ということで
アレルゲン誤食の危険性が大変高いです。

 

 

消費者の方が安心して食品購入をすることができるように、
食品表示の法改正が必要となってくるかもしれません。

 

また、なぜ甘味料によってアレルギー症状が引き起こされるのか?
そのメカニズムの解明に期待が寄せられています。