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Multiplex world

本・ゲームレビュー・日々の雑記など

仕事の都合で33時間仕事場に閉じ込められて、先ほど帰宅しました……


春の新作メニュー。コンセプトは「ご当地グルメ」という大雑把な企画段階で社員を振り回さないで下さい店長!(心からの叫び)

しかもスーパーで調達してきた山のような食材を厨房に投げ込んで「さぁ作れ!」とは何事ですかアナタは?

せめてどういう食材を使うかとか、ソースはクリームベースなのかトマトベースなのかガーリックベースなのか、そして何より金額設定から仕入れ値と儲けを考えてから行動してください。

あと【ホッケ】をどうパスタに使うのですか!?しかもホッケの開き買ってきてアンタ本当に飲食店の店長かぁっ!!!

まぁホッケは最終的に酒の肴として購入していたと言い張られたのですが、メニュー考えるのか酒盛りしたいだけなのかよく判らない深夜会議でした…


あと、帰りにいつもお世話になっているスーパー「東急ストア」さんに晩飯を買いに行ったら【ポーション再入荷しました】と張り紙が出ていたので話の種に買ってみましたよ~。

しかし………プレミアボトルのみ再入荷とは考えてますね東急ストアさん_| ̄|◯

俺は別に普通ので良かったのに……つか味さえどんな物か判ればそれでいいんだけどさ。

600円は高いよ。ラッキーストライクが2箱買えちゃうよ。別にビン欲しいわけじゃないんだよ……。

まだ飲んでないですけど、巷では「不味い」だの「微妙」との声が多いようで。正直躊躇いますねコレ。

個人的には体がかなり参っているのでHP回復は嬉しいけど、所詮ポーションだし

プレミアだろうが結局はHP100回復が関の山。プレミアだろうがなんだろうがハイポーションには敵いません。

なんかそのうち一本2000円くらいで「エリクサー」とか販売しそうで怖いです。

とまぁ発ガン性物質青1号配合。話題の栄養ドリンクのお話でした。



愚痴ばっかりも何なんで、少し別の話題でも一つ。

「ひぐらしのなく頃に」の本家掲示板で知り合った【水薙鳥停留所】の管理人さんことZAPPERさんが「ジャンプ十週打ち切り漫画」という企画をされております。

文字通り「週間少年ジャンプ」で十週で打ち切りとなった漫画のレビューなんですが、すごく面白いw

「あ~!こんなんあったなぁ。懐かしい~」と画面の前で笑わせていただいています。

そして現在、ジャンプで掲載されている漫画で涼権がそこそこ気に入っている漫画が十週は免れた物の、そろそろ危険域に達しかけているのです。

その漫画とは「みえるひと」です。

確かにストーリーとしては王道でもあり、霊や妖の案内屋というコンセプトが「幽遊白書」の初期段階っぽくてまずまずといった所でしょうか。

では何故涼権がそこそこに気に入っているのか。それは珍しく気に入ったキャラが出来たからです。


彼の名を「犬塚ガク」通称Mr.ガラスのハート!

なんというかオイシイ奴です本当に。

惚れた相手には一直線。もはやその行動&言動はストーカーの何者でもない。そして武器はピコピコハンマー。

最初は「いい感じにキレてるキャラ」という評価でしかなかったのですが、ガクの過去を垣間見る回で一気に赤丸急上昇。

こういうキャラは大好きです。いい感じに捻くれた思考を持っているくせに、無償の愛をささげるとか言えるガクをもうちっと見て行きたいです。

しかし、ジャンプさんはそう甘くありません。どんどん連載のページが後退していっております。

「みえるひと」が打ち切りになったら、立ち読みで読むジャンプ漫画が「銀魂」と「アイシールド21」だけになります。もう「ワンピース」とか「テニスの王子様」とか長く続いたんだから良いでしょ?

新しい風をどんどん取り入れて若い漫画家さんを伸ばしてあげようよ!

むしろ俺は「テニスの王子様」が打ち切られるのを心待ちにしているよ!(本音)


えー…………徹夜明けでよく判らない事を長々書いてしまいましたので、寝ますです。


   ハァ…
  <⌒/ヽ-、___ oO(おやすみなさい……)
/<_/____/


  ∧ ∧
  ( ´・ω・`) oO(……春の新メニュー、【ポーションパスタ】ってどうだろうか?)
 _| ⊃/(___
/ └-(____/
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄


   ハァ…
  <⌒/ヽ-、___ oO(首飛ぶよな……寝よ…)
/<_/____/




やっと買えました『蟲師』第7巻!

本当は発売日に買いたかったのですが、なかなか買いにいけずに今日やっと入手。

早速家に戻って蟲師ワールドに突入です。ヒャッホイッ!(テンション↑)


…………

………

……


読破(じっくり1時間25分経過)

ふぅ……

あ~、とりあえずですねぇ…


淡幽が出てきたよおっかさん!!!


蟲師第2巻の「筆の海」以来の登場ですよ!俺が一番好きな「筆の海」の淡幽が順レギュ確定ですよ!

やっぱり蟲師のストーリーの中で何らかのキーパーソンであったのですね『禁種の蟲』は。

いやぁ嬉しい。蟲の収集家であり医科の化野はちょくちょく出てくるんですが、まさか淡幽がまた出てくるとは。やはり人気なのですね「筆の海」は。そりゃアニメの最終回に持ってくるだけの話って事ですよねお客さん!

北海道ではアニメ最終回はまだ先ですが、公式HPで最終回が「筆の海」って書かれていて「やっぱそう来たかっ!」ってニヤニヤしてましたもん自分(傍から見ると怖いかも…)

まぁ興奮冷めやらぬ内ではありますが、サラッと7巻の各話感想を。


【花惑い】

古い桜の樹にまつわるお話。昔から桜が美しい華を咲かすのには、その根元に人の死体が埋められていて、その血を啜り薄紅色の華を咲かす。

なんて話をよく耳にしますが、桜にはどこか怪しげな美しさがあります。

この話も少し物悲しい展開をみせます。毎年見事な華をつける桜のたもと、幾年変わらぬ美しさを保つ女性と、その女に魅入られた一族の悲運の物語とでも言いましょうか。

最後のシーンで、朽ちてしまったはずの桜が再び満開の華を咲かせているのを見て、この物語がより一層奥深い物になったと感じました。


【鏡が淵】

波の立たない森深い場所にある泉に姿を映すと、その者と同じ姿をとり最後には本人と成り代わる蟲。

一人の男に恋心を抱き、そして振り向いてもらえなかった女の末路。

生きている意味を見出せず「こんな私に、成りたいの?」と問いかけるシーンが印象的でした。

そしてギンコが自分を失う事の儚さ、愚かさを説きます。「……そこは、さびしいだろう…?」

もう、ギンコの兄貴渋すぎます。なんでアンタはそんなにカッコいい台詞言えるんだ!

最後のシーンはちょっと和みましたけどね。このお話w


【雷の袂】

子を愛せない母親と、愛しては貰えぬが母を守ろうとする子のお話。

家の為に愛しても居ない男の元へ嫁いだ母親が、生まれた子供をどうして愛せるのかと思い悩む切ない内容です。

どう接すれば良いのかわからない。どうやって愛せば良いのかわからない。

なんと言うか、とても考えさせられたお話です。現代における幼児虐待をする母親も同じ気持ちにあるのでしょうかね。

最後に「…今度はきっと。ちゃんと子供を愛せる母親に、生まれてきてあげるから――」

マジで泣いてしまいました・゚・(ノД`)・゚・


【棘のみち】

最古の蟲師一族の背負いし豪をえがいたお話。

蟲師第2巻「筆の海」にリンクするこのお話は、淡幽の「狩房一族」の体に禁種の蟲を封じ込めた一族「薬袋」の現頭首クマドが重要なキーパーソンになっています。

「狩房」と「薬袋」の両一族の背負った悲運。重すぎる生を受け入れ、必死に生きようとしている淡幽は強い娘だなぁ……。その性格といい口調といい、久々に惚れるキャラだわ。

若干ギンコが二人に食われているけど気にすまい。

「我々はひとりじゃない  ひとりじゃないんだよ」

最後のこの台詞は淡幽がクマドに言ったものなのですが、ジーンと来ました。

やはり蟲師の世界は深い。そして色々考えさせられます。


いやぁ~……えがったっ!

蟲師は期待を裏切らないねぇ本当に。アニメも良い出来だし、DVDが全部出揃ったら大人買いしますよw

ただ劇場版(実写)の噂を聞き、そしてギンコ役がオダギリジョーだそうです。

えーっと………


とりあえず止めて頂きたいのですが、無理でしょうか?


中途半端なCGで蟲を再現するのはやめてくれ。そもそもあの世界観を実写とかで考えるな。

せめて「スタジオ・ジブリ」で劇場化してくれや。

…え?なんですか?

『蟲は蟲でも、腐海の蟲が出てきそう』ですって?


いや、むしろそれなら見てみたい!


オウムに語りかけるギンコってのもアリですよね?ナシですか?


(追加)

塵骸魔京の小説版。「ファンタスティカ・オブ・ナイン」も一緒に購入しました。

ゲーム中で一番ヒロインぽかった女の子なのに、まったく触れられず、謎を多く残したままだった牧本さんが主役という事なんでウハウハです。

なんせゲームやってて「あれ?何故あれだけ伏線張っておきながら補完ないの?」とか

「きっとエンディングフルコンプしたらおまけシナリオで牧本さんの伏線が補完になるんだ」と意気込んだのに結局は傘のお方だったり。

あまりに酷い扱いだった彼女を小説で補完というあたりなかなか憎いですニトロ+さん。

ただぶっちゃけ、予算&制作期間の関係でゲーム中では省いたってのが本音だと思われます。

ただまぁ、ニトロさんの作品の小説版は過去、クオリティーがなかなか高かったので期待できます。

Phantomとかヴェドゴニア。鬼哭街とかはむしろ小説版の方が小奇麗にまとまってゲームより……ゲフンゲフンッ!

とりあえず今から小説版「塵骸魔京」読みます~。


蟲師第7巻

桜の袂で物思いに耽るギンコが目印です。渋いなギンコw


塵骸魔京(上巻)

ようやくスポットが当たった牧本さん。下巻が待ち遠しいです。

涼権が最近はまっている漫画「BLACK LAGOON」(ブラック・ラグーン)をご紹介しましょう。
サンデーGXで連載中の原作者『広江礼威』が描くガンアクションコミック。
ストーリーは日本の商社マンである主人公「岡島 緑郎(おかじま ろくろう)」が南シナ海の出張中、海賊まがいの運び屋「ラグーン商会」のメンバーに誘拐される事から始まる。
事件に巻き込まれた緑朗は、助けてくれるはずだった会社に「君はもう死んでいるんだ。我社と社員の為に、南シナ海に散ってくれ」とあっさり切り捨てられてしまう。(´Д`)不憫すぎる…
その後、今までの自分を捨て緑朗は名前を「ロック」と改めてラグーン商会のメンバーになる事を決めるのである。
以下主要キャラ解説。


【レヴィ】
本作ヒロイン?
ラグーン号唯一の女性乗組員。『二挺拳銃(トゥーハンド)』の異名を持つ凄腕のガンマン。
性格は短期で無鉄砲。トラブルの種をいつも運んでくる愛すべきキャラw
冷酷に人を殺す殺人機械(キラーマシン)な一面もあるが、ロックと出会い少しずつ変わり始めている。
愛銃は「ソードカトラス」。ベレッタM92をカスタマイズした銃を二挺携帯。他にも多彩な銃器の取り扱いに長けている。
(補足)レヴィの吸うタバコの銘柄は「ラッキーストライク」だと思われる。


【ロック】
多分主人公?
本名「岡島緑朗」元商社マンだったが、何の因果か現在はラグーン商会の水兵として雇われる身に。
普段はオロオロしているが、追い込まれた状況になると途端に知恵が回り起死回生のアイディアを出す美味しい奴。
本気モード?になるとネクタイをグイッと緩めてちょっと格好良いのだが、たまに空回りする事もある。
(補足)ロックは多分「セブンスター」の愛好家と思われる。本人が言うには「吸えればなんだって構わない」そうだがやはりお気に入りの銘柄はあるのだろう。


【ダッチ】
ラグーン商会のリーダー。
頼りになれるタフガイで、あだ名をつけるのが趣味。緑朗にロックというあだ名をつけたのも彼である。
物事を冷静に判断できる目と、人徳からの多彩な人脈を持つのが彼がリーダーたる由縁とも言えるだろう。
愛銃は「S&W M29」。撃ちまくるレヴィとは対照的で、さほどドンパチに固執しない。
(補足)「アメリカン・スピリット」の愛好者。彼らしいチョイスである。


【ベニー】
ラグーン商会の頭脳担当。
コンピューターや機械類に強く、荒事には弱い「眼鏡くん属性」に忠実な男。
昔やらかした事件でFBIとマフィアに狙われる羽目になり、ラグーン商会に入ったという事らしい。以外にハードな人生を送っている。
特に目立つ事も無く、見せ場という見せ場も与えられない彼の今後に期待する。


【バラライカ】
我らが姉御w
ロシアン・マフィア「ホテル・モスクワ」のタイ支部を任されている女ボス。
元ソ連軍大尉。顔の右目に大きな傷跡があり、体中にも銃創や傷がある。
冷酷な女ボスという反面、以外に人間味溢れるお方で、部下やレヴィ達にも慕われる人格者でもある。
多分本気になったら作中の誰よりも強い。ロックとかベニーだったら2秒で殺される事間違いなし。


【張(チョウ)】
我らが兄貴!作中で一番渋く格好良いオヤジw
香港マフィア「三合会(トライアド)」のタイ支部のボス。常にサングラス着用の二枚目オヤジ。
バラライカとは友好関係にあり、ラグーン商会に仕事を依頼することもしばしば。
ボスという立場のくせに進んでドンパチの矢面に立つこともあり、腕もレヴィ以上に達者。
愛銃は「ベレッタM76スタンダード」をレヴィのように二挺携帯。グリップには龍の刻印をあしらっている。
一度「AMTハードボーラー・ロングスライド」で打ち合いをした際に「クソったれのハードボーラーで打ち合いだ」とぼやいていたので、自分の銃にかなり愛着があるようだ。


とりあえずの主要メンバーはこんな感じです。判りにくいですか?ならばコミック読んでくださいw
4月からアニメ化も決定したブラック・ラグーンですが、原作者の広江礼威さんは今まで打ち切りにした漫画がいくつもある状況でして、ラグーンもいつ終わってしまうかハラハラします。
アニメ化で腹をくくってキッチリ最後まで描きあげてくれる事を願います。
さて、アニメ化ということでキャラの声優さん達が気になるところですね。
決定した声優さんは今のところこんな感じです。


レヴィ:豊口めぐみ(「鋼の錬金術師」(ウェンリー役)など)
ロック:浪川大輔(「BECK」(田中幸雄役)など)
ダッチ:磯部 勉(ハリソン・フォード吹き替えなど)
ベニー:平田広明(「ワンピース」(サンジ役)など)
バラライカ:小山茉美(「機動戦士ガンダム」(キシリア・ザビ役)など)


……ふむ。主役二名(レヴィ&ロック)がいまいちピンと来ないですな…。
やはり脳内変換とドンピシャって分けにはいきませんよね(汗)
ちなみに涼権の脳内変換では……


レヴィ:林原めぐみor三石琴乃
ロック:うえだゆうじ
ダッチ:大塚明夫
ベニー:鳥海浩輔
バラライカ:榊原良子
張:若本規夫


こんな感じです。結構良いチョイスだと自分では思うのですがいかがですか?(汗)
レヴィは性格を考えると過去に似たキャラ居ないかなと考えたところ、「カウボーイビバップ」の「フェイ」から林原めぐみさんを。
そしてもう一つは「ブルーシード」の「小梅」から三石琴乃さんをと考えました。フェイほどクールビューティーな感じでもないし、銃をぶっ放せればそれで良いって性格なら小梅の方がしっくりくる気もするんですよね。
冷めた口調の時はエヴァのミサトさんっぽい感じでもいけると踏んで。
豊口めぐみさんでは若干声が弱い気もするのですが……。
ロックは普段気が弱いくせにいざとなったら強気になる所から、うえだゆうじさんでピッタリな気がするのですよ。
機動戦艦ナデシコのテンカワ・アキトっぽく演じていただければいいと思いませんかね?
あとはまぁ決定した声優さんでも良い感じだとは思うのですが、バラライカの姉御はキシリア様よりハマーン様で行って欲しかったですw


はてさて、リアルタイムではアニメ「ブラックラグーン」見れませんが、楽しみですねぇ。
まだ放送回数も発表されてませんが、24話は欲しい所。アニメオリジナルもたっぷりやって欲しいですねぇ。


BLACK LAGOON

『青春とは人生のあるいっ時を言うのではなく、心の様相を言うのだ』
 昔どっかで習ったサムエルだかザビエルだかって人の言葉だ。
 だが、そんな言葉はまやかしだ。青春なんてもんは学生時代にしか味わえないただの幻想。馬鹿やっても大抵お小言で済まされる身分の時しか経験できねぇ蜜壺だ。
そんな奇麗事を真に受けるのはリストラされてブルー入ってるおっさんか、もしくはただの阿呆だけだ。
俺も馬鹿で阿呆だが、その言葉が嘘だって事くらいは判る。社会に出ちまうと、途端に社会人って烙印押されて誰かが決めたレールの上を走らされる。
気持ちがどうあろうとお構いなし。学生って身分が終了した瞬間、青春時代はもう終わり。はいご苦労様でしたってわけだ。
俺に残された青春時代は残り一日。今日が最後。
「秦。とりあえず準備はOKだ」
「とりあえず、ってのが妙に気になるところだが。大丈夫なのかキノ?」
「あぁ。準備万全だ」
「さっきと言ってる事違うじゃねぇか。……まぁいいさ。そんじゃぁ『さらば青春。最後の最後まで無茶やっちゃうぞ作戦』発動だ」
「了解だ」
 だったら、青春最後の1ページ。ド派手に飾り立ててやろうじゃねぇか。



 悪いが話はまだ続く。上の数行でこの物語が完結だとでも思ったのか?悪いが世の中そんなに甘くは無い。続くといったら続くのだ。
えーっとだな。実は今回の計画を最初に持ちかけてきたのはキノこと木下の方だった。
事の発端はキノの何気ないこの一言からだった。
「なぁ秦。俺達の生徒指導室出勤回数。何回目だか覚えてるか?」
「んなもんいちいち数えてねぇよ」
 卒業式を間近に控え、3年の俺達は特に授業も無く平和な日々を貪っていた。この日も特にする事が無く、キノと近所の駄菓子屋を冷やかしている真っ最中だった。
「ふむ。だが俺は数えていてな。前回までで通算99回だ」
「暇人め」
 少しぬるくなったチェリオを飲み干し、キノの言った言葉をなんとなく反芻する。生徒指導室出勤99回?
「99回か」
「そうだ。99回だ」
 99。ゾロ目。二桁の位の最上位。もう1を加えれば?
「秦。お前はこの数字をキリが良いと考えるか?それとも……」
「いや。キリが悪いねぇ。どうせなら三桁いっとかねぇと後味が悪ぃ」
「お前ならきっとそう言うと思った。そこでだ。記念すべき我らが通算100回目の機会は、もはや卒業式の日を置いて他には無い」
 珍しくキノが不敵な笑みを零す。大抵の悪巧みは俺がキノを誘うというパターンだったが、最後の最後にコイツに乗せられてしまっている。だけど、悪い気はしない。
「やりますか」
「やられますか」
 俺達は互いの決意を確認しあい、最後の悪巧みの計画を練るために立ち上がった。
ついでに行きつけだった駄菓子屋のばーちゃん(御歳92)の目の前でキンキンに冷えたチェリオをかっぱらう。許せばーちゃん。これで最後だ。



 とりあえず決まった作戦名『さらば青春。最後の最後まで無茶やっちゃうぞ作戦』の実行内容をキノと二人で検討しながら、俺はコイツと今までやらかしてきた悪行の数々を思い出していた。
 キノとの出会いは至ってシンプル。お互いワルで少しは名前の通っていた俺達はどっちが強いか白黒させるために決闘をし、最後には友情が芽生えて強敵と書いて『とも』と呼ぶ関係になったのだ。
すまん。嘘だ。
本当は俺が小遣い稼ぎの為に働いていた深夜のコンビニバイトの時。ゴミ出しをしに裏口に行くと、うちの制服を着たズタボロの野郎が転がっていた。それがキノだった。
喧嘩に巻き込まれたかカツ上げにでもあったんだろうと思い、俺はそのまま放っておこうと思い横を素通りすると、キノが俺に向かって話しかけてきた。
『なぁ、腹が減った。何か廃棄する食い物あったらくれないか?』って。
 数日後。学校の廊下でキノと再会し『この前はおにぎり助かった。お前には借りが出来たな』と、随分フレンドリーに話しかけてきやがった。
『廃棄品だ。そんなんで借り作ったとは思ってねぇよ』と言葉を突き返すと『それでも助かった』なんて笑顔で答える始末。
 それが俺とキノの馴れ初め。いきさつ。腐れ縁の始まりというわけだ。
キノは普段真面目で良い奴で。しかもクラスの評判はめっぽう良かった。
そのくせ、自分の意に反する事には我慢が出来ず、気に入らなければ暴力沙汰になってもお構いなしという性格をしていた。
だからキノの奴が喧嘩を吹っかける理由は殆どが『考え方が気に食わなかった。それだけだ』といったものだ。
俺もそんな性格のキノだからこそ、こうしてつるんで来られた。
 思えば、コイツとつるんでるお陰で通算99回の生徒指導室行きを成し遂げているにも関わらず退学せずに済んでいるのかもしれない。
なぜなら、お互いつるみ始めてから暴力沙汰を起こすことがめっきり無くなったのだ。持ちつ持たれつの関係。ナイスなコンビだとは思わないか?

「ところで秦」
 俺が思い出に浸っていると、キノが頭を捻りながら切ない声を上げてきた。
「なんだヒポポタマスJr」
「ヒポポタマス?俺の新しい愛称か。……ふむ。斬新だな。しかしなぜJrなんだ?」
「真に受けるな馬鹿。ところで用件はなんなんだキノ?」
 俺が聞き返しても、キノはずっとヒポポタマスJrという言葉を反芻していた。気に入ったのかソレ?
「あぁすまない。聞きたい事と言うのはだな、今回の作戦名についてなんだが」
「おう。なかなか素敵なネーミングセンスだろ?」
「お前のネーミングセンスには前々から一目置いてはいた」
 一目置いててくれていたのかキノよ?
「だが『さらば青春。最後の最後まで無茶やっちゃうぞ作戦』って事は、俺達の青春はもう終わりなんだろうか?」
「まぁ……そうだろ。俺もお前も、高校出たら就職が決まってるんだ。今までみたいな馬鹿はもう出来ないだろ?だったら、本当の意味での青春なんてもんはコレで仕舞いだ」
 俺がそう言い切ると、キノは少し寂しそうな顔をした。
俺もキノも今言ったように高校を卒業したら就職することになっている。俺は知り合いのバイクショップで修理工の見習いに。キノは親父さんが経営している蕎麦屋で修行することになっている。
コイツとも、今までみたいに毎日顔をあわせる事が出来なくなる。そんな余裕が無くなっちまう。
だから今度で最後。卒業式の日にめでたく通算100回目の生徒指導室行きで俺達の青春は幕を閉じる。
「世知辛いな」
 キノは自嘲するように少し笑った。
「あぁ。まったく世知辛い世の中だ」
 俺もキノに吊られて、ほんの少しだけ笑った。
「なら、最後は派手な花火を打ち上げるとしよう」
「おう。……って、それも良いな。卒業式のある体育館にマジで花火打ち上げるか。勿論爆竹やロケット花火なんかじゃなく大筒の打ち上げ花火。サイズは20号の大玉で紋は景気良く錦菊ってのはどうよ?」
「体育館の中でだと流石に洒落ではすまない気もするが、ともかく俺は柳とか椰子の方が好きだ」
「三種類全部ド派手に打ち上げるか?」
「うむ。粋だな」
 こうして、俺達の青春最後の馬鹿騒ぎ計画はつつがなく進行していった。



 そして話は最初に戻り卒業式当日。
 正確には前日の夜から準備やらなにやらで慌しかったが、なんとか計画実行までこぎつけた。
狙うタイミングはプログラムの最後に組まれている校長による閉会の挨拶。式の途中で実行してしまうと、一応他の卒業生の大事な青春の1ページを汚してしまうことになる。
だったら、どうせ誰も聞いてない校長の挨拶の途中で失礼させてもらうのが一番良い。退学させずに今日まで俺達をこの場所に居させてくれた校長には悪いが、そこは寛大なお心で簡便してほしい。
「秦。とりあえず準備はOKだ」
「とりあえず、ってのが妙に気になるところだが。大丈夫なのかキノ?」
「あぁ。準備万全だ」
「さっきと言ってる事違うじゃねぇか。……まぁいいさ。そんじゃぁ『さらば青春。最後の最後まで無茶やっちゃうぞ作戦』発動だ」
「了解だ」
 キノのGOサインを受け、俺はあらかじめ用意してあった拡声器の電源を入れ、高らかに宣言した。
 俺の最後にして最大の晴れ舞台だ。全員耳の穴かっぽじってよーく聞きやがれ。

「あーあー。ただいまマイクのテスト中。テステステス。あーあーあー。……ゴホンッ。卒業生ならびに来賓の皆様方。あとついでに教職員の皆様もよーくお聞き下さい」
 俺が語りだすと同時に、キノが最終セッティングのスタンバイに移る。
「えー、ただ今より。今日この日にめでたく卒業する卒業生諸君の為に、ささやかなショーをご覧頂こうと思います。かくいう自分も卒業生なのですが、まぁ細かいことは気にしないで」
 俺達の騒ぎを聞きつけた卒業生、来賓、教職員がぞろぞろと体育館から出てくる。生徒指導の小野山が猛ダッシュで俺達の方に走ってくるのが見えたがもう遅い。
「秦!いつでも良いぞ」
 親指を立ててサムアップ(意味重複だが気にするな)するキノに俺もすかさずサムアップ。
「それでは!ド派手に最後を飾らせていただきます!」


 ……

 …………

 ………………

 ……………………


「いやはや。粋でしたね秦さん」
「イナセだねぇ、キノさん」
 キノの知り合いの花火師から出世払いで購入した20号の打ち上げ花火3発(大筒はレンタルで)を華麗に大空へ舞い上がらせ、俺達の『さらば青春。最後の最後まで無茶やっちゃうぞ作戦』は成功に終わった。
流石に免許も無い一般人の俺達が勝手に花火を打ち上げたことで、生徒指導室どころか警察まで駆けつける大騒ぎになったが、まぁ結果オーライという所だろう。
めでたく生徒指導室出勤通算100回も迎えられ、おまけに警察補導回数も44回という微妙な回数と相成った。
 朝になってようやく警察署から開放された俺達は、二人で肩を並べて帰路に着く途中だった。
「まぁ最後にあれだけ騒げれば悔いは無いわ」
「んむ。良い最後だ」
 特にこれといった会話も無く、俺とキノはしばし無言で歩いた。
アルバムには収まりきらないほどの思い出を刻んで、お互い感無量だった。会話なんて必要ない。むしろ言葉なんて物は無粋だ。
『寡黙に、そして背中で語るのが本当の男というもんだ』
 相川翔さんが残した有名な言葉だ。……すまん、嘘だ。真に受けるな。
「んじゃ。俺はこっちだから」
 いつもキノと落ち合う交差点で、俺は短く言葉を吐いた。
「あぁ。それじゃぁ……またな」
 キノが珍しく言葉を詰まらせた。感慨に耽っているのだろうか?キノのくせに。
「おう。またな」
 それだけで十分だ。別にこれで会えなくなるわけじゃない。今までみたいな馬鹿はもう出来ないけど、会うだけならいつでも会える。
 そう。俺達は親友なんだ。そうだろ?キノ。



 後日。余談ではあるが俺の就職するはずだったバイクショップに卒業式の一件がバレ「入社見送り」という内容の通知が来た。
キノはキノで、親父さんに勘当を言い渡され、家を放っぽり出されていた。現在俺の部屋で下宿中。
「いいオチが付いたな」
「……だな」


(いいわけ)

卒業式シーズンだったので適当に書き上げたいい加減なSSです。

タイトルのユースデイズ(Youth Days)はまんま青春の日という意味です。いいなぁ青春。あの頃に戻りたい……(遠い目)

ちなみに秦とキノ(木下)は高校時代の友人の名前から拝借。考えるのが面倒だったのです(汗)

勿論、こんな馬鹿な奴らじゃありませんでしたけどねw


(さらに一言)

ブログのデザインを変更しました。なんか小洒落たデザインで良いなと思いまして。

最初に選んだバイクはたまたま選んでいる時に目に留まっただけで深く考えていなかったもんでw


二日続けて小説をブログにUPしてしまったので今日は普通な雑記を書こうと思います。

まぁこれからも小説をバンバンUPさせていこうと思ってはいるのですがね。小説ってのもただ小説を読むだけで技量が上がる物じゃなくてとにかく書きまくって自分のスキルを上げていかなくてはどうしようもない物なのですよ。っていうか世の中全部そうなんですがね(汗)

ネタは何でもいいんです。ベタな物から小説と言えるか微妙な内容でも魅せる文章を書くための練習としてなんで、まぁ~細かい事は気にしないで下さい。趣味ですからw


んー……書くことが特に無いですね(汗)

まぁ季節柄な話題としまして卒業式があちらこちらで行われ、もうすぐ春がきて入学式。新しい季節の到来を祝いまして……

4月から放送が始まるアニメの話でも!(関係無ぇ~)


とりあえず気になっている新番組は以下の通り(サイト【MOON PHASE】 様より情報拝借しました)


ARIA The NATURAL ☆☆☆

銀魂

Soul Link ☆☆

.hack//Roots ☆☆

獣王星

ウィッチブレイド

BLACK LAGOON ☆☆☆

ひぐらしのなく頃に ☆☆☆

機神咆吼デモンベイン ☆☆☆


まぁこんなもんですかね。つーか多いですね今年の春から始まる新作アニメ!

なんでも40本近い新作アニメの放送が始まるそうで。や~、すごいですねぇ。

まぁとにかく、自分が期待しているアニメは上に書いた物の中でも☆3つ付いた4作品ですね。

個々の期待は☆で表しましたが個人的な意見としては


【ARIA】

原作が好きで、天野こずえ作品は全部コンプリートするほどのファンです。あの世界観には心癒されます。

ファーストシーズンがなかなか良い出来だったので期待できます。

【銀魂】

ジャンプで欠かさずに読んでいます。あの古典的ともいえるテンポや笑いのセンスは好きなんですけど、なんと言ってもアレは漫画。紙面だからこそ笑えるものであってアニメになってそれを維持できるかが不安です。

【Soul Link】

18禁ゲームからアニメ化するこの作品。今年の春にはPS2版の移植が決まっているそうで、そっちをベースに展開していくのでしょう。このゲーム、プレイした感想はアニメ「無限のリヴァイアス」とサウンドノベル「Ever17」を足して2で割り、さらに劣化させたような作品です(酷!)ストーリーはそこそこよかったのにキャラの内面を書ききれずにグダグダした感じです。あとBADエンド分岐がシビアすぎてなかなかクリア出来ないのも痛かった。今回アニメ化で少しは頑張ってほしい所。……って!放送回数12話!?無理やろそれは!

【.hack】

なつかしのゲームの続編が発売され、そしてアニメ化。ネットゲーム社会ともいえる現代になかなか斬新な構想で作り上げられたゲームであり、当時(初代)は自分もプレイしながら関心していました。ただ時期を置きすぎている感じがして食いつくファンをどれだけゲットできるかがポイントになりそうなアニメです。

【獣王星】

なんとなくストーリーは面白そうですが、原作があるのかも知りませんし、どういった展開を見せてくれるかも謎。まぁ実際に見てみないことには判りませんね。コレばっかりは。

【ウィッチブレイド】

上記獣王星と同様。見てみないことには判らないです。

【BLACK LAGOON】

チャットで進められて原作コミックを買ってみたらコレが面白いのなんのってwガンアクションの描写もさることながらストーリーも奥が深く、人間関係とかもすごく面白い。後日漫画のレビュー書きますが、とりあえず「張(チョウ)」さん最高!アンタ格好良すぎですって。もう期待大の作品です。

【ひぐらしのく頃に】

同人ゲームで一世を風靡し続けるサウンドノベルゲームのアニメ化。ただ世界観の表現がアニメにすると難しいと思われる作品なだけに期待と不安が共にあります。ある程度はアニメオリジナルになる事は予想できますが、原作ファンにとってしてみれば良いのか悪いのか判断しかねます。いっそう今放送している「ガンパレード・オーケストラ」の様に「鬼隠しノ章」「綿流しノ章」といった具合に区切って原作に忠実な内容にするのも一つの手とも思うのですが、はてさてどうなる事やら。

【機神咆哮デモンベイン】

超ド級に熱い18禁サウンドノベルとして生を受けたデモンベインがいよいよアニメ化です。なんといってもこの作品「本当にエロゲか?」という感想を万人に与えた異作で、まさに王道のロボットアニメを見ているように感じられました。人気が出たためにコンシュマー化もされ、その時の特典としてOVAが同伴されていたのですが、それを見る限りじゃまずまずと言ったところ。一時期アニメ化にあたりヒロインの「アル」の声優さんが原作と違うという誤報が流れ「2ちゃんねる」では大騒ぎにもなっていたのですが、声優陣はPS2版の方々がちゃんと吹き替えなさるそうです。まぁ悲しいかな。18禁ゲーム原作のアニメの宿命というかなんというか。デモンベインも放送回数12話という無茶な結果になっています。勿体無い……良い題材なのにな。


とまぁ色々語りましたが、製作しているスタッフの皆様は必死に最終調整を行っている事でしょう。

どうか良い作品を作ってください。


(オチ)

えっとね。北海道の放送局ではね………

どれも放送しないんだってさ……ちくせう_| ̄|◯

大阪に帰りたいよ…ママン

嫌味なほどの快晴だった。気温も高すぎず、まさに小春日和というにはこれ以上ないほどの晴天。
そんな気持ちよい天気だと言うのに、俺にはソレが疎ましくて仕方が無い。
4月に入り、学校なり職場では新しい日々に胸を躍らせている多くの人たちが居ると言うのに。そんな季節だと言うのに。
俺にとって、何よりも大切だった。守ってやらなくちゃいけなかったヤツ。
日浦葵という名の少女の葬儀が、ひっそりと行われた。
二十歳の誕生日を目前に控えた4月8日。彼女は・・・逝ってしまった。


葬儀に参列した人たちは、誰もが鎮痛な面持ちをしていた。
だが、涙を流す人は殆ど居らず事務的に参列しているのがよく分かる。それはそうだろう。誰一人、葵と直接面識があったわけじゃないんだから。
着慣れない礼服の胸ポケットからタバコを取り出し、一本を口に咥えて火をともす。スッと一息肺に煙を送ると、途端に頭がグラついた。
二日前から一睡もしていなかったから、体が随分参っているらしい。ヤニ酔いなんて随分と久しぶりな感覚だった。
寺の縁側に腰を落ち着けて、もう一度周囲を見渡した。葵や俺と同じ年頃の参列者などまったく無い。おっさんとおばさんばかりが目に付く。
葬式ってもんは、こういうものだったっけ?と不思議な気持ちになる。
過去に何度か親戚などの葬式に出た事はあった。高校の時には、隣のクラスの知らない誰かが死んで、学校葬が行われた事もあった。
その時は、親しかった奴らが目に一杯の涙を浮かべて、嗚咽を漏らしていたというのに。死んだ人の事を思い、思い出話をしていたと言うのに。
葵が逝っても、誰一人として泣いたり、思い話の一つも語らない。
なんて・・・・寂しい光景なんだろう。


「誠くん?」
しばらく呆然としていたら、見知った女性に声をかけられた。葵の担当をしていた看護婦さんで、俺も随分世話になった女性だ。
「あぁ、どうも」
ほとんど吸わずに根元まで灰になってしまったタバコを携帯灰皿に押し込みながら適当な返事を返す。
顔を上げてすぐ、俺は少しだけ嬉しくなった。
その看護婦さんは今はそうではないけど、確かに涙を流した跡が残っていた。両目を真っ赤にさせて、目じりの部分の化粧も若干剥がれ落ちていた。
この人は、葵の為に涙を流してくれたんだ。葵が逝ってしまった事を、ちゃんと悲しんでくれたんだ。
「誠くん。私が言って良いものか分からないけど。元気を・・・出してね」
「ありがとうございます。・・・・でも、今はまだちょっと無理そうです」
元気を出して。その言葉が嬉しくて、なんとか笑顔で答えようとした。ただ、本当に笑えていたか自信が無かった。
そんな言葉をかけてくれるってことは、俺の顔は相当参った表情をしていたと言う事だろうから。
「葵ちゃんにとって、誠くんは他の誰よりも一番心を許していた人だから。今日、誠くんに見送ってもらえて喜んでいるはずよ」
「死んでしまったのに喜んでいるってのは・・・なんか妙な感じですね」
少し自嘲気味に話て、また空を見上げた。
雲ひとつ無く、風も穏やかな晴天。嫌味なほどに澄み渡っている空。
「こんな日は、雨くらい降って欲しいですよね。葵の事を悲しんで、せめて空くらいは泣いてくれててもいいのに。その涙雨で、俺の分の涙を流し去ってくれればいいのに」
「誠くん・・・・・・」
俺は縁側に寝そべって、ゆっくり瞳を閉じた。光を遮り視覚情報を切り離し、今の刻を忘れて昔に思いを馳せる為に。あの頃の記憶を、鮮明に思い出すために。


葵に初めて出会ったのは今から5年前の春。
高校に入って必死にバイトで溜めた金で買ったバイクを乗り回し、その挙句に事故を起こして右足を骨折して入院した時の事。
リハビリの為に歩き回っていた病院の中で、葵と初めて出会った。
始めに感じたのは驚きだった。病院の真っ白な壁。白衣。ベットにシーツ。入院してから嫌と言うほど見てきた白という色。
葵は、そんな白よりもっと透き通っていて、まるでファンタジー小説の中から出てきた妖精のように見えた。
ただ一点。唯一白ではなかったのが瞳の色。光の加減で赤や茶色に見える不思議な色をしていた。
あまりにも幻想的で、俺はしばらくの間バカみたいに口を開けて見入ってしまっていた。
声をかけてきたのは葵の方だった。少しおどけた感じに『私って珍しいでしょ。全身真っ白けで、瞳だけ変な色をしていて。私を始めてみた人は大抵あなたと同じような顔をするんだ』と。
突然声をかけられて、俺はなんと切り出したらいいか焦ってしまった。そして口を裂いて出てきた言葉が『綺麗で見とれてた』という馬鹿恥ずかしいセリフだった。
ソレを聞いた葵は声を上げて大笑いし、俺は必死に弁解しようとさらに必死になってしまった。だから、あの時の会話の内容はよく覚えていない。


それがきっかけで、俺と葵は友達になった。俺より2歳年下で、今まで一度も学校に言った事が無い事なども教えられた。
ただ、自分の病気の事については一切自分からは話さなかった。だから俺は自分で調べる事にしたんだ。葵の病気の事を。
病名はすぐに分かった。いや、病名と言ってしまっていいのか、未だによく分からない。
葵はアルビノだった。アルビノとは、人を含めた生き物が当たり前のように持っている色素(メラニン)が産まれた時から少なく、肌の色や髪の毛が白く、瞳の色なども薄く透き通ったようになる常態を指す医学用語だという。
そして葵はまったく色素を持たない、全身型のチロシナーゼ活性陰性型だった。
アルビノ患者は紫外線に弱い。色素をまったく持たない葵にとってはまさに命に関わることだった。常人に比べ皮膚ガンにかかりやすく、日の光にさらし続ければ皮膚は赤くなり、時には水泡が出来てしまう事もある。
外に出る時は紫外線を通さない雨合羽のような服を着込み、サングラスをつけなくてはならなかった。普通の日常生活を送る事などは無理に等しく、学校に通う事だって出来ない。
協力体制のある学校を見つけることなどは困難で、それにたとえ通えたとしても、普通の子供たちと同じ生活を送る事などは出来やしない。
日の当たらない薄暗い教室から、そとを元気に走り回る同い年の子供たちを、ただ見ていることしか出来ない生活などが、幸せであるとは到底思えない。
なにより、葵はアルビノであると同時に体が弱かった。
だから一度も学校に行った事もなく、今までずっと病院で一人で過ごしていた。友達の一人も出来ないままで・・・ずっと。


俺の退院が決まった日、葵はずっと元気がなかった。
何を話しかけても「うん」だの「そうだね」といった空返事を返してくるばかり。どうも様子がおかしいと問い詰めてみたら『だって、もう誠くんとは会えないから』と。
そして封を切ったように泣き出した。服に一杯の涙を落として。
だから俺は葵に言ってやった。このセリフは今でもよく覚えている。このセリフを言ったあとの葵の顔が、とても印象的だったから。
『なに言ってるんだよ葵。俺達は友達だろ?なんでもう会えなくなるんだよ。これからだって毎日顔見にきてやるよ』
俺がそういうと、葵はしばしポカンとした表情をしてから、唐突に俺に飛び込んできやがった。友達って言われた事が嬉しかったのか、俺の服まで葵の涙でびしゃびしゃになった。


言葉どおりに、俺は毎日学校が終わると葵の病室に訪れた。相変わらず薄暗く仕切られた病室だったが、お袋さんが毎日取り替える花のおかげでいつも違った香りがした。
その日学校であったこと。最近読んでいる漫画の話。ツーリングで撮ってきた写真を見ながらの土産話。その一つ一つを、葵は嬉しそうに聞いていた。
葵が率先して話す場合の話題は、主にゴスペルに関する話が多かった。
葵の入院している病院はかなりの広さがある所で、病院内に図書室やら教会まであった。
治りにくい病気をもつ患者が多いこの病院では、退屈しのぎの為にサークル活動のような物があって、葵はゴスペルのサークルに入っていた。
教会がある病院とだけあってかなり本格的で、月に1度礼拝堂でコンサートが行われている。毎回大盛況で、俺も毎回足を運んだ。
コンサートの時にだけ着るシスターのような服がよく似合っていて、それを褒めると真っ白な肌を真っ赤にさせてよく照れていた。
まぁそれだけじゃなくて、葵の歌声は本当に綺麗だった。澄んでいて、それでいて温かみのある歌声。
大げさな言い方かもしれないけど、本当にプロと言ってもおかしくないく程だった。
コンサートでは、毎回歌われる歌が一つあった。「Amazing Grace」神への賛美歌。有名な歌であり、誰もが一度は耳にしたことがあるであろう曲。
歌われるのは決まって最後。まさにとりを飾るに相応しい歌だった。
葵もAmazing Graceが一番のお気に入りで、よく誰も居なくなった図書室で聞かせてくれた。
俺一人のための独占コンサート。よく看護婦さんにバレて『図書室では静かに』と二人で怒られもした。


俺の記憶の中で、葵はいつも笑っていた。泣いていた姿を見たのは俺の退院が決まったあの日だけ。
毎日たくさんの事を話し、笑って、時には喧嘩もしたり。
色々な約束事をさせられて、俺は律儀にその約束を守った。
いや・・・・。そういえば一つ、まだ果たしていなかった約束があった。
もう果たす事が出来なくなってしまった約束。いつか二人で旅行に行こうといった約束。
その約束を果たす前に、葵は逝ってしまった。



葬儀が終わり葵の入った棺桶を焼き場に移し、参列者の見守る中。ゆっくりと葵は炎の中に消えてしまった。
今までずっと堪えていた涙が、どうしようもなく溢れて、俺は馬鹿みたいに泣いた。
多分俺は、今の今まで葵の死に向き合えていなかった。それが、今ようやく理解できた。どうしようもないほどの現実と、葵の身が焼かれる残酷なまでの真実が、俺に気づかせた。
葵は死んだのだ・・・と。
「・・・・誠くん」
「うっく・・・・お・・おばさん・・・。俺・・・ぐっ・・うっ・・お・・俺・・」
後から後から流れ出す涙のせいで、ちゃんと話す事が出来なかった。
そんな俺を、葵のお袋さんは力強く抱きしめてくれた。
周りには参列者がまだ居て、本当は情けないくらい恥ずかしいはずなのに、抱きしめてくれるおばさんの気持ちが嬉しくて、俺はしばらくそのままで泣き続けた。
「葵の為に泣いてくれて・・本当にありがとうね。いつもあの子の傍に居てやってくれて・・・・・本当に・・ありがとうね」
おばさんもいつの間にか泣いていて、俺には何も言う事が出来なかった。
泣いてやる事が、葵のためになるのなら、いつまでも泣いてやろう。
葵の為に泣いてくれる人が少ないのなら、俺がその分も泣いてやろう。
そう思って、俺は枯れ果てるまで涙を流し続けた。


それから数日後。俺の家に小包が届いた。
差出人は葵のお袋さんで、手紙が一通添えられていた。
形見分け、という事らしく、小包の中には俺のよく見知った多くの品が入れられていた。
まだ葵の温もりが残っている、大切な思い出の品。
送られてきた物を一つ一つ手にとって、俺は誰もいない部屋で葵に話しかけるようにその思い出を語っていった。
時間はたっぷりあった。なにせ毎日の週間だった事が、ぽっかりと穴が開いたように無くなってしまったから。

最後に出てきたのは、分厚いファイルだった。それは葵が参加していたゴスペルサークルで歌う曲の楽譜を挟んでいた物で、随分な量になっていた。
「葵。こんなにも色々な歌を歌ってたんだよな」
パラパラとページを捲っていくと、ある曲の楽譜が出てきた。
【Amazing Grace】
葵が一番好きだった曲。よく俺に歌って聞かせてくれた思い出の曲。
「・・・・もう、これも聞けなくなったんだよな。こんなことなら・・・テープにでも録っておくんだったな」
楽譜を読むことは出来ないけど、ゆっくりと歌を口ずさみながらページを捲っていく。
何度も聞いているうちに自然に俺も歌えるようになっていた。葵に比べたらヘタクソな歌だったが、それでも歌い続けた。
最後のページを開くと、間に挟まっていた一枚の紙が床に落ちた。
何気なく拾ったソレを見て、俺は息を止めた。


                                                       


Amazing Grace 遥か彼方 キミを連れて行こう
遠い空を 超えて二人で 
あの日夢見た場所へ

あの日の事を キミは覚えていますか?
私は今でも覚えている 色鮮やかに思い出す事が出来る
暗い闇の淵に居た私に そっと手を差し伸べてくれたキミの顔を よく覚えている

あの日 私の世界が変わった
暗く色あせた世界に キミは光を運んでくれた
たくさんの色を与えてくれた
両手で支えきれないほどの思い出をくれた
いつだって 私の傍に居てくれた

あの日の約束 キミは覚えていますか?
いつか二人で 空を越えた遠くの国に 共に行こうと言ってくれた
毎日の他愛の無い会話の中に 新しい話題が増えた
どこの国へ行こう? そこはどんな場所だろう? どんな人たちが暮らしているだろう?
そんな夢物語 キミはいつだって真面目に聞いてくれた
その日が いつか必ず訪れると信じて

夜が訪れるたびに 私は考えていた
神様に命を与えられてから 今日までずっと
私が産まれて来たのに どんな意味があるのか?
私は何をするために 産まれてきたのだろうか?
それはとても恐ろしい問いだった
意味などないのかもしれない 何も出来ずに この命は果ててしまうのかも知れない
そんな事ばかりを考えてしまう夜が 私は怖かった
朝の訪れが 待ち遠しくて仕方なかった

窓に日の光が差し込む頃 いつだってキミは傍にいてくれた
優しい声で 私におはようと言ってくれた
たった一言の言葉が こんなにも嬉しいと思えるのは
それがキミの言葉だったから

もう一度私は考える
私の産まれてきた意味 私が産まれてきた理由
それはきっと キミに出会うためだったと

今までずっと 私の傍に居てくれてありがとう
私を暗闇から救ってくれて 本当にありがとう
私の世界に たくさんの色を与えてくれてありがとう
たくさんの思い出を ありがとう

いつかきっと 二人一緒に あの空を越えた場所に行こう
その場所に暮らす人たちに 会いに行こう
新しい思い出を 作りに行こう

大好きな キミと一緒に




いつの間にか、俺の瞳からは涙が溢れていた。それは数日振りの涙だった。
葵は昔から洋楽の歌詞を日本語に直すのが好きで、ゴスペルを指導していた人も感心していた。
多分コレも、最初はそういう意味で書いたんだろう。だけど、途中からはただの詩になっている。
メロディーラインには一つも乗せられない、ただの詩だ。
だと言うのに・・・・
「馬鹿・・やろう・・・・。何・・書いてるんだよ・・お前・・・・。こんな・・・・こんなどうしようもない・・・・」
泣きつくしたと思っていた涙が、どうしようもないくらいに溢れ出す。
葵の書き残したその一枚の紙を胸に押し付け、声をあげて泣いた。
空を超えた場所に行ってしまった、葵の元に届くように。
祈りを込めて・・・・・



(あとがき)

短編SS三作目です。なぜか最近登場人物が死んでいるSSばかり書いているような・・・。

今回のテーマにした「Amazing Grace」は白鳥英美子さんのアルバムを職場の知り合いに借りて聞きながら書きました。いやぁ~改めて良い曲だと思いました。

さて、次は明るめのSS書こうかな(汗)


いつだってそうだった。
アイツは出会った頃からずっと、ただひたすらに前に向かって早足で歩き続けてた。
いくら私が必死に追いかけても、追いつく事が出来ずにアイツの背中ばっかり見てた。
私にはアイツの隣を歩く事が出来なかった。その事が悔しくて、悲しくて。昔はしょっちゅう泣いてた。
その度に立ち止まって、アイツとの距離は一向に縮まるどころかどんどん離されていって・・・・。
そのくせ、私が泣くのを止めて必死に後を追っていくと、アイツは少し不機嫌そうな顔をしながらも待ってくれてた。
そしてまた、私より少し前を早足で歩き出していく。
それが私とアイツの距離だった。
隣じゃなくて、少し離れた後ろからアイツの背中だけを見てた。


学校の成績は抜群なくせして、誰でも出来るような事が苦手で。
その事を指摘されるとすぐに不機嫌になって『うるせーんだよ』って言ってすぐに逃げ出すのがお決まりのパターンだった。
興味のある事はトコトンまでのめり込んで最後にはキッチリ物にする。誰かに教えてもらう事が嫌いで何が何でも自分ひとりの力で成し遂げるのがアイツのポリシーみたいなものだった。
他人に口を挟まれると途端にやる気を無くすが、数時間後にはまた一人で再開するのもお約束だった。
かといって自分の殻に閉じこもってるわけでは無かった。少なくとも気心知れた仲の友達は何人もいたし、無闇にアイツの奥にまで踏み込まなければ何かを言ってくる事はなかった。
傍に居るだけなら、アイツは他人を決して邪険に扱ったりなんかしなかった。
そんな性格してるくせに、自分以外の誰かの奥には図々しいくらいに土足で上がりこんでくる。
しかもそれは決まって相手が他人を拒絶しているような時。悲しい事があった時だったり、ひどく落ち込んでいる時に限ってアイツは我がもの顔で踏み込んできた。
いくら拒絶したって出て行こうとしない。その場に座り込んでテコでも動かなかった。
コッチが諦めると、まるで見計らったように『話せば少しは楽になるぞ』なんてセリフを恥ずかしげもなく真顔で言ってくるのだ。
そんな・・・本当に笑っちゃうくらいに不器用な生き方しか出来ないヤツだった。


アイツの好みは酷く単純で、一度気に入ってしまえばそればっかりといった具合だった。
食べ物にしても音楽にしても、何にでもだ。
とりわけお気に入りだったのがジンジャーエール。
年がら年中。たとえ季節が真冬だったとしてもいつもジンジャーエールを飲んでいた。
アイツとの思い出の中ではいつだってソレが出てくる。
まさに切っても切れない存在。アイツとジンジャーエールはセットで一つみたいな物だった。
なんでそこまで好きなのか。何か思い入れでもあるのかと尋ねるといつでも『好きなんだからしょーがねぇだろ』というお決まりの答えが返ってきた。


何もかもが懐かしい思い出。
いつだって私の少し前を早足で駆けていってアイツとのかけがえの無い大切な思い出。


「なにも、ここまで早足に駆け急ぐ必要もなかったのに。ばーか」


私は手に持つジンジャーエールをアイツの墓の前にそっと置いて、7年も心に留めていた思いを吐き出す。


「私ね。アンタの事ずっと憧れてたんだよ。結局、最後までアンタの隣に並ぶ事は出来なくなっちゃったね。・・・・色んな思いを宙ぶらりんにさせたまま、もう7年もたっちゃった」


墓石に額を当てると、ほんの少しひんやりした感触がした。


「本当に・・・・大好きだったんだぞ」


お供え物とは別に買っておいた缶のプルタブを開けると、プシュッと心地良い音が辺りに響く。
中身を少しアイツの墓にかけてやると、小さな気泡が光に反射してキラキラと輝いた。
ソレがまるで『やっぱり旨いな』とでもアイツが言っているように思えて、ほんの少しだけ笑った。


「また来年も来てあげるから、感謝するんだぞ」


最後に少し残ったジンジャーエールを飲み干す。
あの頃と変わらない、懐かしい味がした。



(言い訳)

PCに音楽データ入れていて、なんとなく「くるり」のアルバムだけ再生させてたら思いついたSSです(汗)

意味が分からない人は「くるり」の『ばらの花』という曲の歌詞を調べてみましょうw


ジンジャーエール買って飲んだこんな味だったけな♪


皆さん、求人情報誌やアルバイトマガジンなどを見ながら何を基準にバイト先を決めますか?

時給・仕事内容・時間帯・勤務地。確かに選ぶ基準としてはこんな所でしょう。

やはり一番のネックは時給と勤務時間でしょうか?良い時給でも週2日で一日の勤務時間が少ないとかだったら稼ぎとしてはイマイチです。程よい時給と無理の無い勤務時間&日数。求めるならばこういった店が一番人気があるのでしょう。


自分の職場でも今回バイトを募集するためにバイト雑誌に掲載を依頼しました。

一言コメントを添えるのですが、それは店長がまぁ一般的で無難なコメントを考えまして。よく見かけると思いますが「気さくな仲間と明るい職場でアナタも一緒に働きませんか?」みたいな感じでw

それと今回は文章だけでなく職場の写真も載せるということで何日か前に写真撮影がありました。

店の休憩時間に厨房とホールのメンバーも加え何枚か写真を撮ったのですよ。その中で自分も「フレンドリーな人間関係」をかもし出すためとキッチンから料理をホールの女の子にワザとらしいほどの笑顔で手渡しているワンショットを撮られました。

デジカメだったのですぐに写真を見て全員に「顔引きつってますってw」と大笑いされたり・・・・。

まぁ楽しいひと時でしたよ。撮影にきた人も良い写真だから使わせてもらうと思いますとも言ってくれたり。

んで、今日その記事の乗ったバイト雑誌を店長が買ってきて皆で見たら、写真には見事に店の概観が載っていました・・・・・・・・・・・・・


別に写真載せてもらえなかったからひがんでるわけじゃないんですけどね・・・・

それならワザとらしい一言残して去っていかないでくれカメラマンさんよぉ・・・・


まぁなんです。バイトくんお待ちしてますよ。


最近時間がたつのがやたら長く感じます。特に休日になるとあっという間に夜になっていたりします。

よく「もう今年も終わりか。あっという間の一年だったなぁ~」なんて思う方も多いと思います。

肉体が感じる時間概念が、実際の時間より早く過ぎているように錯覚するのを「ジャネーの法則」と言うそうです。

フランスの心理学者「ポール・ジャネー」が提唱した説で、生涯のある時期における時間の心理的長さは年齢の逆数に比例するというもの。

例えば、1歳の子どもの1日=30歳の大人の30日。

さらに砕けて言えば、生後1年の赤ちゃんにとって、一年とは自分の生まれてから今日までの時間であって1分の1という概念となります。30歳の人間は30分の1。

歳を重ねるごとにこの心的錯覚は大きくなり、一年。一日の経過が早く感じるようになるというものです。


そう考えると、何だか時間というものも曖昧な物に感じ取られてしまいます。

一日をただダラダラ過ごす事がいかに勿体無い事かと・・・・。まだ20代なのにこんな事ばっかり考えているから「心が老けてる」と言われるんでしょうね・・・自分は_| ̄|◯オゥオゥオゥ


しかし、人間にはどうでもいいような時間ってのは割合大切だったりします。

心にゆとりが持てるって事ですよお客さん(誰だよ?)

仲の良いダチと酒を飲みながら莫迦な話で盛り上がったり、チャットで莫迦な話題で盛り上がったり、羽目はずして莫迦なマネしたり(莫迦ばっかだな・・・)

つい今しがた(このブログを書く数分前まで)よく行くサイトのチャットで莫迦話で盛り上がりました(若干一命暴走してましたがw)

ついつい時間がたつのを忘れて話し込んで、んで今ブログにこんな事を書いてたりします。

「ジャネーの法則」がなんじゃいっ!心にゆとりも持てない人生の何が楽しいかっ!今を精一杯楽しめればそれで十分幸せだろう!

などと数行前に書いた事なんてお構いなしな気分になってしまいます(意思弱すぎ俺)


皆さんには一緒に莫迦な事が出来る仲間、居ますか?



頭の上で何かが鳴いている・・・・。いや、正確にははやし立てている。

頭に響く甲高い電子音は、まどろむ意識を早く現実世界へシフトさせろと言っているようだ。それも命令形で・・・。

だが俺はそんな命令に屈するほどのお人よしでもなければ聖者でもない。どちらかと言えばロックな魂を受け継いだ漢だ。そんな生易しい命令には断じて屈しない。屈してやるものか。

俺は俺の意思を貫く。誰にも邪魔はさせない。現代社会に翻弄され、ただ言われるがままに生きていくような人生なんてまっぴら御免だ。

そう・・・。これは戦いなのだ。現代社会へ反旗を翻し、我が夢の園を。約束されし楽園を取り返すための聖戦なのだ!

未だに鳴き続ける「ヤツ」の生命活動を止めるべく、俺は重く鈍い腕を高々と振り上げる。

あとはこの腕を重力に任せて振り下ろすだけ。簡単な事だ。それで「ヤツ」の生命活動を完全に。完膚なきまでに止めることが出来る。


ゴスッ


鈍い音と共に、辺りには再び静寂が取り戻された。

振り下ろされた俺の腕は、さながら死神の鎌とでも言うべきか。あの耳障りな音で鳴いていた「ヤツ」の命を刈り取った。

勝った・・・。なんとも呆気ない最後だ。後に残るのは空しさだけ。戦いの後と言うものは決まってこうなのだ・・・。

しかし、俺は勝ち取ったのだ。我が夢の園を。約束されし楽園を!

その優越感と、達成感。そして俺の身を包み込む暖かな温もりに意識を沈め、どこまでも深く潜っていくのだ。

これを至福と言わずになんと言うだろうか・・・・・


「そうは問屋が卸しません」


・・・・・・俺が勝ち取った楽園は、たった一歩踏み出した所で無慈悲にも略奪された。布団とともに・・・・


「さよなら・・。僕の楽園(エデン)」


俺は楽園に最後の別れを告げた。・・・素っ裸にされたミノムシのように丸まりながら。

あぁ・・・。子供の頃に遊び半分でミノムシの衣を剥いだ俺に対する罰なんだろうかコレは?

ミノムシさん・・・・ごめん。


「そんな安上がりな楽園に身を溺れさすな若者よ」


「そうは仰いますが空(そら)さん」


「はいはい。なんですか優風(ゆう)さん?」


「僕達から夢や希望。そして楽園までもを奪い去った現代社会が、なんの保障や対策も行わずにただ放置しているだけのこんなご時世に、生きる意味や自分の存在価値を見出せないままで居る若者が、身近にあるほんのささやかな楽園に没落するのを咎める権利を、誰が有しているというのであろうか?」


「布団の次は身包みを剥がれたいようですね。優風さん」


「犯されるぅ~」


ビスッ!


鈍い音が聞こえたのと同時に、額がジンジンと痛み出す。どうやら空さんお得意のデコピンを食らった模様・・・。


「莫迦な論争はこれにて閉幕。ほら、早く起きなさい。着替えに洗顔。朝食に学校の準備。急がないと遅刻しちゃうぞ優風ちゃん」


「ヤー(了解)」



我が家の空さん。分類で言うところの俺の姉貴。

現在親が居ない我が家では親代わりも勤める唯一頭の上がらない存在である。

さっきみたいな御ふざけの時は例外として、俺は「姉ちゃん」と呼んでいる。いや、「呼ばされている」と言うべきだろう。

この歳にもなって姉の事を「姉ちゃん」と呼ぶのには抵抗がある。しかしそう呼ぶのには理由があった。

中学に入ってすぐの頃だったか。俺は一度だけ「姉ちゃん」ではなく「姉貴」と呼んだ事があった。

そしたら姉貴は激怒した。つーより泣かれた。号泣だった・・・・。

『優風ちゃんが不良になったぁーっ!』と・・・・。

呼び方を変えたくらいで不良あつかいされたのは心外であったが、泣かれるのは困るので結局は元の鞘に収まる形となった。

まぁしかし。俺にも一応意地というものがあるわけで、心の中でだけは姉貴と呼んでいる。・・・・我が事ながら情けなさ大爆発だ。

そんな我が家の空さん。我が麗しき姉貴がどういう人物かというと・・・・・


「優風ちゃん。朝ごはん出来たよー!」


まぁ、それはおいおい語るという事で・・・・・・




発作的に何書いてるんだろう俺・・・・

どうしよコレ_| ̄|◯