【9658】ビジネスブレイン太田昭和/受注&転嫁遅れで1Qで通期減額、年78円配当は維持可能か。 | なちゅの市川綜合研究所

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【9658】ビジネスブレイン太田昭和 (東証プライム) BY

現在値 1,795円/100株 P/E 8.89  P/B 0.72  3月配当優待 9月配当 

コンサルやシステム開発受託。会計システムに強み。情報セキュリティも。
配当は3月末・9月末の年2回・計78円配当のため、配当利回りは4.35%となります。

ビジネスブレイン太田昭和は株主優待制度を導入しており、3月末時点で単元株を1年超保有する株主に対して、1,000円分のクオカードを進呈しておりますので、配当優待利回りは約4.90%となります。

業績を確認していきます。2022年3月期よりIFRSに移行しています。

■2022年3月期 売上高 323億円、営業利益 27.4億円、EPS 148.6円 

■2023年3月期 売上高 370億円、営業利益 32.0億円、EPS 159.0円 

■2024年3月期 売上高 342億円、営業利益 206.9億円、EPS 1,224円

■2025年3月期 売上高 390億円、営業利益 24.0億円、EPS 202円 ce修正(8/13)

□2024年6月1Q 売上高 87.3億円、営業利益 3.2億円、EPS 17.0円(8/13) 

□2024年9月2Q 売上高 181億円、営業利益 9.4億円、EPS 70.9円 ce修正(8/13)

2024年3月期の売上高はYoY▲7.7%の342億円、営業利益はYoY*6.5倍の206.9億円で着地し、1Q時点の増額見通し並みで着地しました。昨年5月に子会社のグローバルセキュリティエキスパート(GSX、4417)の持分法落ちに伴う減収と株式売却による営業益の“仮膨れ”影響が大きいものの、期初受注残高は過去最高のYoY+23.9%の139億円と高水準だったほか、主力のコンサル/SIer事業はファンドラップ・新NISA対応ニーズが大きい金融機関向けが伸長しました。またBPO事業も買収効果が一部寄与して増収増益となりました。

 

なお2025年3月期の通期見通しは1Q時点で減額しており、売上高がYoY+14.2%の390億円(期予:400億円)、営業利益はYoY▲88.4%の24.0億円(期予:27.9億円)に修正しています。前4Qの受注低迷から、期初時点の受注残高はYoY微減の115億円止まりだったほか、主力のコンサル/SIer事業における好採算のファンドラップ向け需要の一巡、価格転嫁の遅れが響きます。BPO事業については年初買収のトゥインクルが通期で寄与するものの、全社利益は人件費増や稼働低下による経費率増、不採算案件継続のほか、株式売却益剥落で大幅減となる見通しです。

 

当社は長期計画として、2031年3月期迄に売上高1,000億円&営業利益100億円、中期計画として2024年3月期に売上高400億円&営業利益34億円を目指していましたが、計画外で旗艦子会社のGSXを持分法に落としています(85%→40%)。そしてこの影響を足し返すと無事に中計達成となることから、この度2027年3月期を最終年度とする新中計に移行しています。新中計では向こう3年で売上高を342億円→580億円、事業利益を25億円→50億円に其々引き上げる計画です。

 

今次中長計期間の取組事項については、当面のSI市場の成長率が年率3.4%、ソフトウェア市場が同8.3%程と見込まれるものの、市場自体は横這い圏のほか、SaaSへの移行で従来型パッケージは縮小するなど、環境変化が大きくなっています。そのため、当社では①No.1戦略、➁RCN2戦略、③BPO戦略の3軸を新中計での取組事項に掲げるとともに、数字等で足りないところをM&Aとアライアンスで穴埋めしていく方針です。

 

①のNo.1戦略はエリア拡大がメインとなり、開設した福岡支店を軸とした中国地域(広島)の取り込みのほか、東日本は東京圏以外(北海道・東北)への拡大を図ります。このほか、高コストを誘引しやすい既存パッケージ商品のアドオン開発をテンプレ化し、価格競争力強化にも取組ます。②のRCN2戦略は、モビリティ・インフラの既存2大顧客を拡大させる方針で、買収した周辺業務会社を活用による受託可能範囲の拡大を契機に、コンシューマーやヘルスケア系顧客に本格参入します。

 

財務状況については、GSX持分法化による時価評価影響大きく、自己資本比率は66.6%と高水準に膨らんでいます。終わった期より株主還元方針も見直し、(一過性除き)配当性向を30%→40%に引き上げ、14期連続の増配となるYoY+3円の年78円配当(配当性向38.6%)を見込んでいます。1Qで通期減額している状況ではあるものの、かかる好財務のため問題なく配当可能とみています。


*参考記事① 2024-03-09  2,250円 OP

【9658】ビジネスブレイン太田昭和/GSX連結除外の時価評価で仮膨れ、業容補強のM&Aが進む。


*参考記事➁ 2023-09-11 2,122円 OP

【9658】ビジネスブレイン太田昭和/子会社GSXを持分法に落とすも、IFRS時価評価で仮膨れ。

 

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