【9658】ビジネスブレイン太田昭和/GSX連結除外の時価評価で仮膨れ、業容補強のM&Aが進む。 | なちゅの市川綜合研究所

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【9658】ビジネスブレイン太田昭和 (東証プライム) OP

現在値 2,250円/100株 P/E 1.82  P/B 0.93  3月配当優待 9月配当 

コンサルやシステム開発受託。会計システムに強み。情報セキュリティも。
配当は3月末・9月末の年2回・計75円配当のため、配当利回りは3.33%となります。

ビジネスブレイン太田昭和は株主優待制度を導入しており、3月末時点で単元株を1年超保有する株主に対して、1,000円分のクオカードを進呈しておりますので、配当優待利回りは約3.77%となります。

業績を確認していきます。2022年3月期よりIFRSに移行しています。

■2021年3月期 売上高 290億円、営業利益 24.0億円、EPS 140.2円 

■2022年3月期 売上高 323億円、営業利益 27.4億円、EPS 148.6円 

■2023年3月期 売上高 370億円、営業利益 32.0億円、EPS 159.0円 

■2024年3月期 売上高 340億円、営業利益 205.9億円、EPS 1,206円ce修正

□2023年9月2Q 売上高 169億円、営業利益 195.1億円、EPS 1,139円 

□2023年12月3Q 売上高 250億円、営業利益 199.6億円、EPS 1,166円(1/31)

2023年9月中間期の売上高はYoY▲3.6%の169億円、営業利益はYoY*12.5倍の195.1億円で着地し、対計画で増収増益となりました。期初の受注残高は過去最高のYoY+23.9%の139億円と高水準を確保しており、主力のコンサル/SIer事業は建設業向けのシステムが伸長しました。他方、BPO事業は決済関連子会社のPTJが回復したものの、複数事業年度に跨る大型案件の剥落売上高で減収しています。なお、昨年5月に子会社のグローバルセキュリティエキスパート(GSX、4417)の株式を追加売却と持分法落ちによる影響(時価評価)、営業利益が“仮膨れ”しています。

 

なお2024年3月期の通期見通しは、1Q時点の増額予想を据え置いており、売上高がYoY▲8.3%の340億円、営業利益はYoY*6.4倍の205.9億円を見込んでいます。連結除外子会社分を控除した実態の受注残高はYoY+7.8%の110億円と過去最高を更新しており、コンサル/SIer分野はファンドラップ・新NISA対応ニーズが大きい金融機関向けが貢献します。BPO事業も新設の鹿児島拠点の稼働本格化が見込まれるものの、大型案件の獲得が進んでおらず、横ばい圏となります。1月31日に開示済の3Qは売上高は250億円&営業益199.6億円で進捗しており、上振れ含みと解されます。

 

当社は長期計画として、2031年3月期迄に売上高1,000億円&営業利益100億円、その手前の2024年3月期に売上高400億円&営業利益34億円を目指す中計としていました。然しながら、旗艦子会社で会計システムの脆弱性診断やサイバーセキュリティ教育を手掛けるGSXを持分法適用に落として(85%から40%程)います。今期のGSX社の予想営業利益は11億円に上るため、“なかりせば”として合算すれば、実力ベースでは計画超過圏で推移しています。

 

今次中長計期間では主力のコンサル/SIer事業と、BPO事業の割合を現行ままの7対3とし、全社戦略としてシナジー強化やM&Aとアライアンス強化、ブランディング強化を挙げており、ロゴやタグラインを一新し、本社も築浅の日比谷フォートタワーに移転しています。計数にはM&Aによる上積み分は見込まないものの、2021年に機関システムやローコード開発を手掛ける大阪のBSC(年商15億円)を買収したほか、2023年にはPLM支援のフレスコを傘下に収めています。

 

BPOではセゾン情報システム(9640)から事業買収したほか、2021年にはネットワーク構築等のIT関連事業を手掛けるジョイワークス(年商10億円)を、本年1月にはバックオフィス支援のトゥインクル(年商24億円/営業益3億円)を30億円で買収しています。旗艦子会社であるものの、本業から距離のあるセキュリティ事業のGSXは独立させる一方、より本業に近い事業をM&Aで補完して中長期的な業容再拡大を図る方針です。

 

財務状況については、GSX時価評価影響で自己資本比率は65%程と高水準となっています。株主還元方針も見直しており、配当性向を30%→40%(一過性除き)に引き上げており、13期連続の増配となるYoY+27円の年75円配当を見込んでいます。またこれとは別に1.3億円程(0.5%)程に自社株を実施しており、“あぶく銭”の株主還元が進んでいます。

 

*参考記事① 2023-09-11 2,122円 OP

【9658】ビジネスブレイン太田昭和/子会社GSXを持分法に落とすも、IFRS時価評価で仮膨れ。


*参考記事➁ 2022-08-13 1,427円 OP

【9658】ビジネスブレイン太田昭和 /中計・長計達成に向け買収続く、業績は順調に拡大。

 

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