【3175】AP HOLDINGS/直近1Qで黒字圏に浮上、TIP段階資本調達は当面“凍結”。 | なちゅの市川綜合研究所

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【3175】エー・ピーホールディングス(東証スタンダード)  NT

現在値 984円  P/E 62.1  P/B 225.9  3月無配 3月・9月株主優待あり

都内中心に居酒屋『塚田農場』等を展開。自社農場で地鶏を育成。
配当金の支払い実績はなく、今期も無配予想となっています。

エーピーカンパニー株主優待を実施しており、3月末・9月末に単元株を保有する株主に対して3,000円分の株主優待食事券を贈呈しておりますので、優待利回りは約6.09%となります。

業績を確認していきます。

■2022年3月期 売上高 79.9億円、営業利益▲37.9億円、EPS 3.1円

■2023年3月期 売上高 171億円、営業利益▲17.3億円、EPS▲130.8円 

■2024年3月期 売上高 205億円、営業利益▲1.1億円、EPS▲37.8円

■2025年3月期 売上高 200億円、営業利益 4.0億円、EPS 11.1円 ce

□2024年6月1Q 売上高 50.2億円、営業利益 0.4億円、EPS 1.5円(8/14)
□2024年9月2Q 売上高 98.0億円、営業利益 1.5億円、EPS 7.9円 四e

2024年3月期の売上高はYoY+19.9%の205億円、営業利益はYoY+16.2億円の▲1.1億円となり、大幅な増収増益ながらも計画の黒字転換には届きませんでした。新型肺炎禍で大きな影響を受けた「塚田農場」を中心とした居酒屋業態が顕著に回復したほか、専門店・レストランも好調に推移し、SSSは130.3%となりました。他方利益面については、人件費・食材原価・販促費が重く、トップライン大幅増も水面下留まりとなりました。出退店は出店・退店ともにゼロ(転換2店)となり、期末の国内総店舗数は純減25店154店となりました。

 

進行期である2025年3月期の予算については、売上高がYoY▲2.9%の200億円、営業利益はYoY+5.1億円の4.0億円を予想しています。減収予算となるものの、これは前期の店舗純減(▲25店)の影響が大きく、既存店の累計5ヶ月月次は104.6%とまずまずの水準で推移しています。利益面については、不採算店閉鎖による改善とメニュー改定による原価高騰転嫁により、改めて黒字転換を目指します。なお8月14日に開示済の1Qは売上高50.2億円&営業益0.4億円で進捗しており、四半期ベースでは既に黒字転換を果たしています。

 

当社は本年11月の中間決算で2031年を終期とする中計を公表予定としており、目下の取組事項としては、①「塚田農場」の業態派生、②専門店シフト、③海外事業拡大、④中食/内食の拡大を挙げています。①については、画一化した従来型の九州系「塚田農場」から、北海道・地どり屋・炭火焼鳥・食堂など“マイナーチューニング”店舗を増店しており、いずれも良好に推移していることから、不調な「塚田農場」既存店を業態転換していく方針です。

 

➁専門店は、銀座であれば3万円級のバリュー(?)とされる高級寿司を廉価で提供する「若尊」や「鮨つぐみ」を開発したほか、既に5店の既存店を有する「立ち寿司横丁」が非常に好調に推移していることから、足許では八重洲地下街だけでなく、新宿駅構内“EATo LUMINE”といった改札内にまで出店を果たしています。③の海外については、香港低調ながらインドネシアが大変好調に推移しているため軸足を移すほか、④の中食は弁当販売・宅配弁当ともに好伸しており、生産拠点の拡大を検討します。

 

なお株主還元については、進行期も無配を予想しています。当社は昨年5月に資本増強のためにEVO FUNDを相手先にMSワラントを発行しています。最大調達額は10億円弱であり、行使価額は@770円(発行価額623円)、@1,200円(同324円)、@1,500円(同324円)と不利な経済条件のTIP段階調達スキームとなっているものの、本年6月に2025年3月末まで“行使凍結通知”を実施していることから、会社側では実力での財務改善に手応えを持っていると解釈することが出来そうです(※足許の自己資本比率は0.7%)。
 

*参考記事① 2023-10-05 852円 OP

【3175】AP HOLDINGS/事実上の債務超過に転落、MSワラントを不利条件で発行。

 

*参考記事② 2020-08-01 416円 OP

【3175】エー・ピーカンパニー/「つかだ食堂」への注力で、新卒採用戦略への影響を懸念。

 

*本記事の内容記述は一般に入手可能な公開情報に基づき、作成されています。特定の証券・金融商品の売買の推奨ないし勧誘を目的としておらず、本記事に基づいて投資を行い、何らかの損害が発生した場合でも責任を負いません。


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