【8053】住友商事(東証プライム) OP
現在値 3,373円/100株 P/E 7.7 P/B 0.88 3月配当 9月配当 株主優待なし
住友系の総合商社。油井管など鋼管は強大、CATVなどメディアも強い。資源は非鉄軸。
今期予想配当金は年2回・合計130円のため、配当利回りは約3.85%となります。
住友商事は株主優待制度を導入していません。
業績を確認していきます。IFRSとなります。
■2022年3月期 営業収益 54,950億円、最終利益 4,636億円 EPS 370円
■2023年3月期 営業収益 68,178億円、最終利益 5,651億円 EPS 452円
■2024年3月期 営業収益 69,103億円、最終利益 3,864億円 EPS 315円
■2025年3月期 営業収益 (非公表)億円、最終利益 5,300億円 EPS 435円 ce
□2024年6月1Q 営業収益 17,717億円、最終利益 1,263億円 EPS 103.6円(7/31)
□2024年9月2Q 営業収益 36,500億円、最終利益 2,720億円 EPS 226.1円 四e
2024年3月期の営業収益はYoY+1.4%の69,103億円、最終利益はYoY▲31.7%の3,864億円となり、増額見通しから一転して大幅減益となりました。自動車流通・建機・(航空機等)リースの好調や、国内電力小売が調達価格沈静化と契約更改による逆ザヤ改善で持ち直すなどしたため、非資源は堅調に推移しました。他方、資源分野では市況反落とトレーディングの反動減、北海油田の売却益や不動産事業における大型案件剥落で大幅減となったほか、Ambatovy鉱山を全減損(▲890億円)して大幅減益となったものの、一過性減損なかりせば見通し並みの着地となります。
進行期である2025年3月期の予算については、最終利益はYoY+37.2%の5,300億円を見込んでいます。資源は実勢価格比でやや保守的な前提を置くほか、トレーディングも続落を織り込むものの、Ambatovy鉱山の回復が見込まれます(持分損失取込は消える)。非資源については、建機の好調持続と北米鋼管事業の回復、不動産売却案件計上等で大幅増を見込みます。7月31日に開示済の1Qは最終益1,263億円と計画線の進捗と解されるものの、事業により強弱まちまちであり、バッファも無いことから、不透明感の残る内容となっています。
当社は終わった期で3年中計「SHIFT2023」が終了し、想定超の資源価格高騰恩恵により、(Ambatovy鉱山の一過性減損を打ち込んでなお)当初計画の最終益目標の3,000億円を達成しています。今般公表された新3年中計では、最終年度の2027年3月期の最終益6,500億円を目指すこととしており、ROEは12%を維持、投資額は1.8兆円強を計画しています。
今次中計での取組事項は、①競争優位にある成長事業の拡大(最終益+1,000億円)、➁既存事業の再構築(最終益+500億円)、の2本柱となっています。①の成長事業については、アグリ・建機・リース・エネルギーソリューション・鉄鋼・デジタル・ヘルスケア・不動産などを優位性ある分野として定義し、その中でもトランジションや再エネ、ソリューションに展開出来るエネルギー事業や、インフラとの掛け合わせで拡張出来る不動産事業を成長の中核に据えています。
①の既存事業は各種資産入替によるバリュー顕在化だけでなく、ターンラウンドの戻り分が一定程度見込まれています。減損した青果事業をはじめ、終わった期に簿価残額890億円全て減損したマダガスカル・Ambatovyニッケル鉱山の回復も見込まれているものの、生産目標4万t/yに対し、足許生産量は2.4万t/yと依然低調な状況です。主要子会社のSMF&L(50.0%)は航空機リースが顕著に回復しているほか、通信のJ:COM(50.0%)やSIerのSCSK(50.6%)も堅調に推移しています。このSCSKとティーガイア(41.8%)に関しては、今次中計期間中に資本関係見直し(完全子会社化、外売りなど)が発生する可能性もありそうです。
株主還元については、今次中計の還元ポリシーを「総還元性向40%&累進配当」に変更しており、他商社に遅れる形で念願の累進配当が導入されました。進行期の配当予想については、5円増配となる年130円配(配当性向30.0%)を見込んでいるほか、別途500億円(1.6%)の自社株買いも実施しており、計算上の配当性向は39.4%となります。
*参考記事① 2024-04-04 3,572円 NT
【8053】住友商事/▲500億円バッファ残しも見通しやや不透明、次期中計の株主還元拡充に期待。
*参考記事② 2023-09-21 3,216円 NT
【8053】住友商事/資源価格一服でも巡行益4,800億円圏、円高前提で多少の上振れ余地。
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