【8053】住友商事(東証プライム) NT
現在値 3,216円/100株 P/E 8.2 P/B 0.96 3月配当 9月配当 株主優待なし
住友系の総合商社。油井管など鋼管は強大、CATVなどメディアも強い。資源は非鉄軸。
今期予想配当金は年2回・合計120円のため、配当利回りは約3.73%となります。
住友商事は株主優待制度を導入していません。
業績を確認していきます。IFRSとなります。
■2021年3月期 営業収益 46,450億円、最終利益▲1,530億円 EPS▲122円
■2022年3月期 営業収益 54,950億円、最終利益 4,636億円 EPS 370円
■2023年3月期 営業収益 68,178億円、最終利益 5,651億円 EPS 452円
■2023年3月期 営業収益 (非公表)億円、最終利益 4,800億円 EPS 388円 ce
□2023年6月1Q 営業収益 16,713億円、最終利益 1,294億円 EPS 105円(8/3)
□2023年9月2Q 営業収益 29,000億円、最終利益 2,700億円 EPS 221円
2023年3月期の営業収益はYoY+24.1%の68,178億円、最終利益はYoY+21.9%の5,651億円となり、中間の増額見通しを更に上振れました。北海油田売却益とミャンマー通信事業の減損といった一過性影響(同▲70億円)は限定的であり、実力ベースでも好伸しました。資源(同+490億円)はシェラゴルダ銅鉱山剥落も、市況高騰で豪州石炭事業やエネルギートレードが堅調でした。また、非資源(同+560億円)も、リグ増や油井管高騰で北米油井管事業が好調だったほか、不動産の大口案件や自動車関連事業の復調が寄与しました。
進行期である2024年3月期の予算については、最終利益はYoY▲15.1%の4,800億円と2桁減益を予想しています。資源(同▲970億円)はMtoM置き直しで、石炭・ニッケルほか各種エネルギー価格の軟化を織り込むほか、好調だったトレードの反動減を見込みます。非資源(同UNCH)については、北米油井管事業が一転して軟調、不動産も案件剥落で減益を予想するものの、サミットエナジーの収益改善と好調な輸送・建機で埋めて横這いを見込みます。8月3日に開示済の1Qは最終益1,294億円とインラインも、通期為替前提はドル円130円のため上振れ余地がありそうです。
進行期は3年中計「SHIFT2023」の最終年度ですが、想定超の資源価格高騰を受け、計画初年度時点で最終利益目標4,500億円(当初:3,000億円)、投融資をCF累計1.23兆円(当初:1.14兆円)、累計株主還元3,500億円(当初:2,600億円)に其々増額済です。今次中計では高収益実現と下方耐性の強い事業PFであり、62あるSBUのうち低採算事業からの撤退を進めます。尚、終わった期時点の巡行益は既に4,800億円とコメントされており、中計の利益目標額自体は既に“岩盤”化しているものと解されます。
今次中計での取組事項は、①資産入替、②注力事業の強化・育成、③次世代事業への種蒔きの3点です。資源事業の中核・マダガスカルのAmbatovyニッケル鉱山については、プラント故障等で生産4万t/y(稼働率6~7割)の維持はやや微妙な情勢です。生産原価となる石炭・硫黄といった副資材価格の高騰は一服したものの、インドネシアで生産能力の拡張が続くニッケルの自体の需給軟化も予想されるため、均衡圏確保が精々といった状況です。
非資源事業については、北米油井管事業が足許軟調に転じているものの、脱炭素潮流の一巡で、石油・ガスへの投資が抑制され過ぎてきたことから、下期での底入れが見込まれます。自動車事業も生産・販売台数の回復がみられます。主要子会社はSMF&L(50.0%)の航空機リースが顕著に回復するほか、通信のJ:COM(50.0%)、SIerのSCSK(50.6%)についても堅調推移が見込まれます。携帯直販化の影響を受けるティーガイア(41.8%)は減益基調が続くものの、電力のサミットエナジーは逆ザヤ解消で浮上します。
株主還元については、今次中計の還元ポリシーを「DOE3.5%~4.5%の範囲で、配当性向30%を基準に決定」に変更しています。DOEは期初資本を参照しつつ、予想最終益4,800億円を基準に5円増配となる年120円配(配当性向30.9%)を予想しています。
*参考記事① 2023-02-03 2,258円 OP
【8053】住友商事/豪州石炭事業が牽引も、非資源着実増で追加の株主還元に期待。
*参考記事② 2022-08-19 1,935円 OP
【8053】住友商事/資源高だけでなく北米油井管・農業資材好調で、年110円復元配に期待。
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