【8053】住友商事/豪州石炭事業が牽引も、非資源着実増で追加の株主還元に期待。 | なちゅの市川綜合研究所

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【8053】住友商事(東証プライム) OP

現在値 2,258円/100株  P/E 5.1 P/B 0.73  3月配当 9月配当 株主優待なし

住友系の総合商社。油井管など鋼管は強大、CATVなどメディアも強い。資源は非鉄軸。


今期予想配当金は年2回・合計115円のため、配当利回りは約5.09%となります。

住友商事は株主優待制度を導入していません。

業績を確認していきます。IFRSとなります。

■2020年3月期 営業収益 52,998億円、最終利益 1,713億円 EPS 137円 

■2021年3月期 営業収益 46,450億円、最終利益▲1,530億円 EPS▲122円 

■2022年3月期 営業収益 54,950億円、最終利益 4,845億円 EPS 370円

■2023年3月期 営業収益 (非公表)億円、最終利益 5,500億円 EPS 439円ce修正 

□2022年9月2Q 営業収益 33,543億円、最終利益 3,502億円 EPS 280円(11/4)  

 

2022年9月中間期の営業収益はYoY+31.9%の3兆3,543億円、最終利益はYoY+45.3%の3,502億円となり、北海油田売却等による一過性利益270億円を控除した最終利益はYoY+3,230億円と実力ベースでも好伸しました。資源(YoY+620億円)は市況高騰による豪州石炭事業の取込増にくわえ、エネルギートレードが順調に推移しました。また、非資源(YoY+450億円)も北米油井管事業の好伸のほか、大口の不動産引渡し、自動車関連事業の復調も貢献し、エチオピア通信事業の立ち上げコスト等を飲み込んで増益となりました。

 

2023年3月期の通期見通しは中間時点で増額しており、最終利益はYoY+18.6%の5,500億円(期予:3,700億円)に修正しています。資源(期予比:+680億円)は売却したシェラゴルダ銅鉱山が通期剥落するものの、好調なエネルギートレードの実勢を織り込み、一般炭価格前提を229$/tと保守的前提ながらも大幅増となります。非資源(期予比:+850億円)も、販売好調な自動車事業の一段増、リグ増や油井管の市況高騰による北米鋼管事業の好調が、国内電力小売り等の不調分野を飲み込みます。また全社ではバッファ▲200億円を追加計上し、下期為替前提145$がMtoMで重しとなるものの、更に上振れ期待がかかります。

 

進行期は3年中計「SHIFT2023」の中間年度であり、初年度想定超で増額ロールしています。翌2024年3月期の最終利益見通しを3,000億円→4,500億円に引き上げ、中計3年の投融資もCF累計1.14兆円→1.23兆円、累計株主還元も2,600億円→3,500億円に増額しています。今次中計のテーマは高収益の実現と下方耐性の強い事業ポートフォリオであり、現状で62あるSBUから低採算事業からの撤退を進めます。なお、足許の経営側のコメントによれば、実力ベースで既に4,000億円後半に達しているとみられ、市況の追い風無くとも中計は達成圏とみられます。

 

取組施策としては、①資産入替、②注力事業の強化・育成、③次世代事業への種蒔きの3点を挙げています。資源事業では、懸案だった減損済のマダガスカル・Ambatovyニッケル鉱山は6~7割の稼働率で生産4万t/y体制を維持しているものの、石炭・硫黄といった副資材価格の原価高騰による損分点上昇やニッケル価格の一服で均衡圏確保が精々となっているため、当面は市況高を背景とした豪州石炭事業が牽引する構図が続きます。

 

非資源事業については、好調な北米油井管事業を軸に、自動車事業も生産・販売台数に緩やかな回復がみられます。うち主要子会社についても、航空機リースが苦戦していたSMF&L(50.0%)の復元や、通信のJ:COM(50.0%)、SIerのSCSK(50.6%)についても堅調な推移が見込まれます。他方で、携帯直販化等で手数料収入の減少するティーガイア(41.8%)の減益や、電力のサミットエナジーは赤字が継続しています。

 

株主還元については、今次中計の還元ポリシーも見直しており、当初「配当性向30%&年70円配下限」だったものの、「DOE3.5%~4.5%の範囲で、配当性向30%を基準に決定」に変更しています。DOEは期初資本を参照するため、当初予想では年90円配(下限)としていたものの、実態利益の上振れに即して年115円配(配当性向26.1%)に増額していますが、3Q以降更なる追加還元(自社株買いか増配)が見込まれます。

 

*参考記事①  2022-08-19 1,935円 OP

【8053】住友商事/資源高だけでなく北米油井管・農業資材好調で、年110円復元配に期待。

 

*参考記事② 2022-03-07  1,950円 OP

【8053】住友商事/四半期毎の上方修正で大増勢、株主還元方針も拡充される公算。 

 

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