【8053】住友商事/資源高だけでなく北米油井管・農業資材好調で、年110円復元配に期待。 | なちゅの市川綜合研究所

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【8053】住友商事(東証プライム) OP

現在値 1,935円/100株  P/E 6.5 P/B 0.68  3月配当 9月配当 株主優待なし

住友系の総合商社。油井管など鋼管は強大、CATVなどメディアも強い。資源は非鉄軸。


今期予想配当金は年2回・合計90円のため、配当利回りは約4.68%となります。

住友商事は株主優待制度を導入していません。

業績を確認していきます。IFRSとなります。

■2020年3月期 営業収益 52,998億円、最終利益 1,713億円 EPS 137円 

■2021年3月期 営業収益 46,450億円、最終利益▲1,530億円 EPS▲122円 

■2022年3月期 営業収益 54,950億円、最終利益 4,845億円 EPS 370円

■2023年3月期 営業収益 (非公表)億円、最終利益 3,700億円 EPS 296円ce 

□2022年6月1Q 営業収益 16,152億円、最終利益 1,552億円 EPS 124円  

□2022年9月2Q 営業収益 30,000億円、最終利益 2,000億円 EPS 160円 四e  

 

2022年3月期の営業収益はYoY+18.3%の5兆4,950億円、最終利益はYoY+6,189億円の4,845億円となり、中間の再々増額見通し並みで着地しました。一過性の減損等巨額損失▲3,150億円の剥落(マダガスカル・ニッケル事業;Ambatovy)影響が大きいものの、それを除く実力ベース最終利益もYoY+2,590億円と好伸しました。Ambatovyの操業再開や鉄鉱石・石炭・銅等の資源価格上昇により、資源・科学事業が躍進しました。また、自動車関連事業や北米油井管事業も回復し、不動産の大口引渡しもあったため、全セグメントで一段増となりました。

 

進行期である2023年3月期の通期予想については、最終利益はYoY▲20.2%の3,700億円と反落を見込みます。資源分野ではAmbatovyのコスト増加、ウクライナ情勢による輸送機・化学品への影響、売却したシェラゴルダ銅鉱山の剥落等のほか、油井管事業の一服、エチオピア通信事業立ち上げ費用を織り込み、実力ベースで▲770億円の減益を見込みます。尚、8月3日に開示済の1Qは最終利益YoY+44.7%の1,552億円、対通期予算進捗率42%と高水準で推移しており、金属市況の軒並み高に加え、北米油井管・農業資材など好調分野が複数あることから、予算据置ながらMtoM考慮で大きな上振れが予想されます。

 

進行期は3年中計「SHIFT2023」の中間年度となっているものの、初年度の出来上がりが想定超だったため、事実上の上方ロールを実施しています。翌2024年3月期の最終利益見通しを3,000億円→4,500億円に引き上げるほか、中計3年の投融資もCF累計1.14兆円→1.23兆円、累計株主還元も2,600億円→3,500億円に増額しています(目標KPIのROA4%&ROE10%は維持)。今次中計のテーマは高収益の実現と下方耐性の強い事業ポートフォリオであり、特に低採算事業からの撤退に注力します。

 

取組施策としては、①資産入替、②注力事業の強化・育成、③次世代事業への種蒔きの3点を挙げています。操業停止していたAmbatovyは、減損計上・構造改革が済んでおり、通期で4万トンの操業体制(推定稼働率60%台)復帰により、ニッケル市況高と数量増を満喫しているものの、石炭・硫黄といった副資材価格の原価高騰により取込利益はいま一歩となっています。そのため、良くも悪くも石炭価格に振らされる展開ではあるものの、中計最終年度では、最終利益4,000億円水準に留まる可能性があります。

 

非資源事業の主要子会社事業については、ウクライナ情勢で航空機リースの減損があったSMF&Lは新型肺炎禍からの復元で一段増を見込むほか、SCSKは顧客企業のDX投資増で反発、J:COM、サミットも今次中計期間においては概ね底堅く推移する見通しです。特に北米鋼管が市況好調裏に尻上がりで好調に推移しているほか、拡大の進む農業資材については、農薬販売・資材販売の強化にくわえ、生産支援PFの開発など次世代事業創出に取り組みます。

 

最大の投資論点である株主還元については、現中計の3年間では配当性向30%基準&年70円配を下限としていましたが、今回還元ポリシーも見直し、「DOE3.5%~4.5%の範囲で、配当性向30%を基準に決定」としました。DOEは期初資本を参照するため、目下予想の年90円配当が事実上の現時点の下限配当と解されます。現状年▲20円の減配予想となっているものの、計算上は最終利益が4,500億円まで上振れれば復元配が見込まれます。

 

*参考記事①  2022-03-07  1,950円 OP

【8053】住友商事/四半期毎の上方修正で大増勢、株主還元方針も拡充される公算。 

 

*参考記事② 2021-07-13 1,496円 OP

【8053】住友商事/ニッケル事業の回復が鍵だが、向こう3年間の年70円配当下限を明示。

 

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