【8053】住友商事/四半期毎の上方修正で大増勢、株主還元方針も拡充される公算。 | なちゅの市川綜合研究所

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【8053】住友商事(東証一部) OP

現在値 1,950円/100株  P/E 5.3 P/B 0.85 3月配当 9月配当 株主優待なし

住友系の総合商社。油井管など鋼管は強大、CATVなどメディアも強い。資源は非鉄軸。


今期予想配当金は年2回・合計110円のため、配当利回りは約5.64%となります。

住友商事は株主優待制度を導入していません。

業績を確認していきます。IFRSとなります。

■2018年3月期 営業収益 48,273億円、最終利益 3,085億円 EPS 247円 

■2019年3月期 営業収益 53,392億円、最終利益 3,205億円 EPS 256円 

■2020年3月期 営業収益 52,998億円、最終利益 1,713億円 EPS 137円 

■2021年3月期 営業収益 46,450億円、最終利益▲1,530億円 EPS▲122円 

■2022年3月期 営業収益 (非公表)億円、最終利益 4,600億円 EPS 368円ce修正 

□2021年9月2Q 営業収益 25,430億円、最終利益 2,410億円 EPS 192円  

□2021年12月3Q 営業収益 39,451億円、最終利益 3,351億円 EPS 267円(11/4)  

 

2021年9月中間期の営業収益はYoY+18.4%の2兆5,430億円、最終利益はYoY+3,100億円の2,410億円と黒字転換を果たしたほか、上期としては過去最高となりました。前期計上の一過性の減損等損失が一掃(マダガスカル・ニッケル事業Ambatovy+550億円、豪州発電事業+250億円、尼自動車金融事業+150億円等)されたほか、Ambatovyの操業再開や鉄鉱石・石炭等の資源価格上昇により、資源・科学事業が大幅な増益を確保しました。また、自動車関連事業や北米鋼管事業も回復したため、資源/非資源ともに大増勢となり、2Qでは1Qで増額した通期予算を再増額しています。

 

なお、2022年3月期の通期見通しについては、トップライン非開示であるものの、足許3Q時点で再々増額しており、最終利益は黒転の4,600億円と期初予想の2倍水準まで大きく伸びる見込みです。前期計上のAmbatovy減損に代表される巨額の一過性損失(▲3,510億円)の剥落効果が主要因ではあるものの、資源分野ではAmbatovyの操業再開とニッケル相場の高騰にくわえ、銅等のその他金属も軒並み高値圏のため、収益が噴き上がる公算です。非資源事業についても、不動産事業で大型物件の引渡しがあるほか、北米鋼管事業・自動車関連事業も新型肺炎禍からの回復が鮮明となっているため、通期着地は更に上振れる可能性もありそうです。

 

当社は進行期を初年度とする中計「SHIFT2023」において、3年後の2024年3月期に最終利益3,000億円超を目指すほか、3年間のCF累計1.4兆円を投融資に1.14兆円+株主還元に0.26兆円振り向けるとともに、KPIとしてROA4%&ROE10%を目標に設定しています。然しながら、上述のとおり今期の落着見通しは既に4,600億円と大きく超過することから、今年度終了時点でローリングされることが明らかにされています(※資源価格高騰による“追い風参考”部分が1,400億円程度存在するため、実力値は2,600億円ほど)。

 

現時点での取組施策としては、①資産入替、②注力事業の強化・育成、③次世代事業への種蒔きの3点が掲げられています。新型肺炎禍で操業停止を余儀なくされていたAmbatovyは、前期に減損計上と構造改革で膿を出し、通期4万トンの操業体制に復帰しているものの、副資材価格高騰影響により実勢トントンとみられるため、コスト削減の進捗と足許のウクライナ情勢によるニッケル価格の一段の高騰でアップサイド余地が残ります。また、非資源事業ののSMF&LやSCSK、J:COM、サミットといった中核子会社の業績も堅調に推移しており、懸案は他商社比で遅れているとされる脱炭素化の動きでしたが、先月末にバングラディシュの石炭火力発電所の拡張案件への参加を見送りを明らかにしており、ESGを意識した対応が目立つようになってきています。

 

当社の最大の投資論点であろう株主還元については、現中計の3年間では配当性向30%基準&年70円配を下限としていましたが、今期は増配に次ぐ増配で、目下の配当予想は既に110円に達しています。そして問題となるのは減配が濃厚となる翌期以降の話ですが、最新の会社側アナウンスによれば「配当が急激に落ちることは避けたい」としているため、下限配当を80円~90円まで引き上げる可能性が高いほか、想定超の好業績による財務改善で自社株買いの選択肢も復活しているとみられるため、期末に開示される新還元方針に期待したいと思います。

 

*参考記事① 2021-07-13 1,496円 OP

【8053】住友商事/ニッケル事業の回復が鍵だが、向こう3年間の年70円配当下限を明示。

 

*参考記事② 2021-02-10 1,473円 OP

【8053】住友商事/大赤字圏も年70円配当を維持、不採算事業整理一段と進み翌期浮上か。

 

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