【8053】住友商事/大赤字圏も年70円配当を維持、不採算事業整理一段と進み翌期浮上か。 | なちゅの市川綜合研究所

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【8053】住友商事(東証一部) OP

現在値 1,473円/100株  P/E--.-  PBR0.77 3月配当 9月配当 株主優待なし

住友系の総合商社。油井管など鋼管は強大、CATVなどメディアも強い。資源は非鉄軸。


今期予想配当金は年2回・合計70円のため、配当利回りは約4.75%となります。

住友商事は株主優待制度を導入していません。

業績を確認していきます。IFRSとなります。
■2017年3月期 営業収益 39,967億円、最終利益 1,708億円 EPS 136円 

■2018年3月期 営業収益 48,273億円、最終利益 3,085億円 EPS 247円 

■2019年3月期 営業収益 53,392億円、最終利益 3,205億円 EPS 256円 

■2020年3月期 営業収益 52,998億円、最終利益 1,713億円 EPS 137円 

■2021年3月期 営業収益 (非公表)億円、最終利益▲1,200億円 EPS▲96円 ce修正(2/4) 

◆2021年3月期 営業収益  50,652億円、最終利益▲1,175億円 EPS▲94円 con

□2020年9月2Q 営業収益 21,477億円、最終利益▲602億円 EPS▲48円 

□2020年12月3Q 営業収益 32,925億円、最終利益▲1,002億円 EPS▲91円(2/4) 


2020年9月中間期の営業収益は前年同期比18.5%減の2兆1,477億円、最終利益は同赤転の▲602億円となり、予算との比較は無いものの市場予想より上で着地しました。上期でマダガスカル事業Ambatovy▲550億円、豪州発電事業▲250億円等の減損を計上し、これら一過性損失▲1,350億円を控除した実力のベースの最終利益は750億円程となり、実質的には▲540億円程の減益となりました。新型肺炎禍でインフラ、メディア・デジタル事業が好調に推移したほか、輸送機・建機が回復して非資源分野が2Qにかけて業績を引き上げた一方、ニッケル鉱山停止や豪州石炭事業が軟調だった資源分野が足を引っ張りました。

 

2021年3月期通期の見通しについては、トップライン非開示であるものの、3Q時点で多少増額しており、最終利益は前期比赤転の▲1,200億円(従予:▲1,500億円)を予想しています。今期は構造改革のため上記減損等の一過性損失を延べ▲2,500億円を計上予定だったものの、既に▲3,000億円に拡大する見込みであり、3Qで欧州青果事業で▲380億円、Ambatovyで▲300億円の減損を追加計上しています。一方、実力ベースの最終利益は期初から800億円増額しており、これは業容が大きい自動車産業の回復や、金属分野の鋼材の持ち直し、資源におけるAmbatovyの操業再開等の寄与が見込まれます。そのため減損拡大にも拘らず、実態の回復でいくらか相殺して最終赤字を幾分埋めるような仕上がりとなる見通しです。

 

今期は3年中計の最終年度となっており、当初は最終利益3,085億円→3,500億円(ROA4%超&ROE10%超)への伸長を定量目標とするとともに、財務目標として配当後CF2,000億円を借金返済、このほか次世代投資3,000億円を成長戦略としています。然しながら、折からの新型肺炎禍で終わった期の実績は最終利益で目標の半分程度で今期は赤字、同ROAも2.1%&ROE6.4%で今期はNoReturnの見通しのため壊滅的な未達見通しとなります。当社の特徴として、自動車や金属といった市況変動を受けやすい事業が多いため、景気後退局面や新型肺炎禍の影響をシャープに受けるため、他総合商社比で一段と苦戦しているような状況です。

 

今次中計の具体的な取組施策としては、①既存事業バリューアップ、②次世代ビジネス、③PF事業(業際整理による事業掛け合わせ)を掲げるとともに、次世代投資領域として①テクノロジー革新、②ヘルスケア、③社会インフラの3領域に3,000億円を投じる計画でした。結局、こうした各種施策については新型肺炎禍で劣後事項となり、上述のようなAmbatovy周りの減損に加えて、Marcekkusのシェールガス権益譲渡、豪州穀物Emerald Grainの売却、マツダと合弁のメキシコ自動車生産事業の同社への売却など事業ポートフォリオの整理を一層推進しています。そのため、来期は他社比で不採算事業整理が進んでいる点や、景気回復恩恵を受けやすいことから翌2022年3月期は業績的に浮上しやすく、最終利益で2,000億円程度が見込まれます。

 

株主還元については、配当性向30%が一応の基準となっているものの、今期は記念配当の10円を剥落させた年70円配を予想しています。上述の中計では財務目標として配当後CF2,000億円/3年を目標としており、この水準には届かないとみられるものの、大赤字ながら年70円配が維持される見通しです。ただ本来的には最終利益で3,000億円無いと年70円配は出せないため、下限的な意味合いが期待されるものの、翌期以降の還元政策にはやや注意が必要と言えそうです。

 

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