【8053】住友商事(東証一部) OP
現在値 1,496円/100株 P/E 8.13 P/B 0.74 3月配当 9月配当 株主優待なし
住友系の総合商社。油井管など鋼管は強大、CATVなどメディアも強い。資源は非鉄軸。
今期予想配当金は年2回・合計70円のため、配当利回りは約4.68%となります。
住友商事は株主優待制度を導入していません。
業績を確認していきます。IFRSとなります。
■2018年3月期 営業収益 48,273億円、最終利益 3,085億円 EPS 247円
■2019年3月期 営業収益 53,392億円、最終利益 3,205億円 EPS 256円
■2020年3月期 営業収益 52,998億円、最終利益 1,713億円 EPS 137円
■2021年3月期 営業収益 46,450億円、最終利益▲1,530億円 EPS▲122円
■2022年3月期 営業収益 (非公表)億円、最終利益 2,300億円 EPS 184円 ce
◆2022年3月期 営業収益 52,401億円、最終利益 2,443億円 EPS 195円 con(7/9)
□2021年9月2Q 営業収益 26,000億円、最終利益 1,000億円 EPS 80円 四e
2021年3月期の営業収益は前期比12.4%減の4兆6,450億円、最終利益は同赤転の▲1,530億円となり、3Qで微増額した修正計画を再度下回って着地しました。マダガスカル・ニッケル事業Ambatovyで▲850億円、欧州青果事業で▲380億円、豪州発電事業▲250億円等の減損を計上し、これら一過性損失▲3,510億円を控除した計算上の最終利益は1,980億円程と計算されるため、実力ベースでは▲500億円程と2割程の減益となりました。新型肺炎禍でインフラ、メディア・デジタルやスーパー事業といった一部非資源分野だけ好調に推移したものの、輸送機・建機の回復が期後半となったほか、ニッケル鉱山停止や豪州石炭事業が軟調だった資源分野が足を引っ張ったほか、大型発電所建設(EPC)案件もピークアウトしました。
2022年3月期通期の見通しについては、トップライン非開示であるものの、最終利益は黒転の2,300億円と反転増を見込んでおり、これは巨額な一過性損失が剥落する効果が主要因です。資源分野ではニッケル価格前提を引き下げる一方、銅及び石炭価格上昇による単価効果が寄与するほか、ニッケル事業を中心とした実績期の構造改革による収益改善効果が見込まれます。他方、非資源事業については微増計画であり、欧州青果生産等の生活・不動産事業の堅調推移や、鋼管事業の持ち直す一方、輸送機・建機の回復が限定的に留まる見通しです。業績達成の如何については、マダガスカル・ニッケル事業のAmbatovyの稼働率が2Q以降順調に戻るかどうかが最大の鍵となりそうです。
終わった期は3年中計の最終年度となっており、最終利益を3,085億円から3,500億円(ROA4%超&ROE10%超)に引き上げる計画でしたが、上述のとおり壊滅的な未達に終わっています。今般公表された新3年中計「SHIFT2023」では、2024年3月期に最終利益3,000億円超を目指すほか、3年間のCF累計1.4兆円を投融資に1.14兆円+株主還元に0.26兆円振り向けるとともに、その他KPIとしてROA4%&ROE10%を目標に設定しています。
今次中計の具体的な取組施策としては、①資産入替、②注力事業の強化・育成、③次世代事業への種蒔きといった3点を掲げるとともに、「高い収益性と下方耐性の強いポートフォリオの構築」というスローガンを掲げています。Ambatovyについては減損計上と構造改革により、操業停止からの立ち上がりがすすめば、足許で堅調なニッケル相場の恩恵を受け収益寄与が見込まれますが、非資源のSMF&LやSCSK、J:COMといった中核子会社の業績が堅調に推移しても、EPC案件を中心とした電力事業の大型案件の剥落が大きく、最高益奪還はかなり難しい状況です。特に当社は他社比で石炭火力関連のエクスポージャーが大きく、ESG的観点から今後縮小せざるを得ない点もマイナスです。
そのため、次世代の成長ドライバーが中々見当たらないことから、当社における投資論点については基本的に株主還元になろうかと思います。今次策定の新中計期間についても、配当性向30%基準となっており、年70円配(計算上は38.0%)を予想しているほか、向こう3年については年70円が下限として守られる方針である旨が公表されました。当社は他社と異なり自社株買いをしないのがネックですが、この配当水準感であれば株価的な下支え効果が期待できます。なお、更なる増配については向こう2~3年は無いものと考えています。
*参考記事① 2021-02-10 1,473円 OP
【8053】住友商事/大赤字圏も年70円配当を維持、不採算事業整理一段と進み翌期浮上か。
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