【3222】U.S.M.H/いなげや4Qから取込予定も貢献僅少、株式交換による希薄化影響は甚大。 | なちゅの市川綜合研究所

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【3222】 ユナイテッド・スーパーマーケット・ホールディングス(東証プライム)  NT

現在値 881円/100株  P/E 62.8 P/B 0.76  2月配当優待 8月配当優待

イオン系。首都圏で展開する食品スーパー大手。傘下にマルエツ、カスミ、マックスバリュ。
配当金は2月末・8月末の合計16円配当のため、配当利回りは1.82%となります。

ユナイテッド・スーパーマーケット・ホールディングスは株主優待制度を実施しており、2月末・8月末時点で単元株を保有する株主に対して3千円相当の買い物割引券等を年2回進呈しておりますので、配当優待利回りは約8.62%となります。

業績をチェックしていきます。

■2022年2月期 営業収益 7,164億円、営業利益 121億円、EPS 41.8円 

■2023年2月期 営業収益 7,086億円、営業利益 63.8億円、EPS 10.4円

■2024年2月期 営業収益 7,066億円、営業利益 69.0億円、EPS 7.8円 

■2025年2月期 営業収益 7,451億円、営業利益 85.0億円、EPS 14.0円 ce

□2024年5月1Q 営業収益 1,756億円、営業利益 0.5億円、EPS▲8.6円(7/9) 

□2024年8月2Q 営業収益 3,700億円、営業利益 25.0億円、EPS 7.0円 四e 

2024年2月期の営業収益はYoY▲0.3%の7,066億円、営業利益はYoY+8.2%の69.0億円となり、3Q時点の減額見通しよりやや上で着地しました。値上げによる生活防衛意識の高まりのほか、特に地方・郊外型のカスミの集客効率化策が裏目に出て、顕著な客離れが発生しました。SSSはマルエツが計画105.0%→103.2%、カスミ99.9%→93.4%、MV関東101.7%→103.5%と軒並み計画を下回りました。なお出退店については、純減1の総店舗数は529店となりました。


進行期である2025年2月期の予算については、営業収益がYoY+5.4%の7,451億円、営業利益はYoY+23.1%の85.0億円を見込んでいます。予算前提SSSはマルエツ103.6%・カスミ105.9%・MV関東102.7%でセットしているものの、既開示月次(4ヶ月累計)によれば概ね100%で推移しており、カスミの客離れに歯止めがかかっていない状況です。利益面については人件費や仕入原価増を売上増でこなす計画であり、店舗改装等の既存店投資(37億円)が中心ながら、新店は倍増の10店程を見込みます。尚、7月9日開示済の1Qは売上高1,756億円&営業益0.5億円と弱含みで推移しています。

 

当社は翌2026年2月期を最終年度とする3年中計で、売上高を7,086億円→7,500億円、営業利益を63.8億円→220億円まで伸長させる計画ですが、急激な物価高進行による消費者心理の悪化(特に地方・郊外主体のカスミ)により、達成は困難な状況です。中計3年間の投資額は年250億円(出店/活性化/DX化/その他営繕に均等投資)を計画しており、新店は年3千坪程度の売り場面積拡大により、年70億円~100億円の売上伸長を目指します。

 

今次中計での主な取組事項は①店舗収益改善、②店舗外収益拡大、③他領域拡大、④デジタル改革、の3軸を掲げています。①は品揃・棚割・PBといった所謂MD改革のほか、商品開発や産地開発・仕入先開発による差別化を図るほか、➁ではネットスーパー等のOMOや無人店、移動スーパーの導入で店舗外収益の獲得を拡大します。③は“Scan&Go”に代表される店舗DXツールIgnicaのアイテム知財外販により、営業利益10~15%の高採算事業として育成する目論見です。

 

なお昨年イオンが立川を地場とする中堅スーパーのいなげや(8182)をTOBで51%持分の連結子会社化しており、続く本年11月の再々編により当社がいなげやを完全子会社化します。進行期も4Qから数字乗りするものの、いなげやは“虎の子DgS”のウェルパーク(営業益6億円)を事前にイオン系列のウェルシアHD(3141)に売却するため、巡行営業益は半減して数~10億円程度に留まる見通しであり、新規シナジー創出以外の単純連結上乗せ効果は殆ど無いものと解されます。

 

財務状況については、自己資本比率50%と一定程度をキープしています。上述のいなげや買収も株主交換で実施するため、追加的な財務負担は然程ないとみられるものの、50%程度の大幅な株式希薄化が発生することから、いなげやの“低空飛行“の業績を踏まえると、1株当たり利益は大きく棄損する見通しです。なお株主還元については、期初予算段階からタコ配予想となるものの、年16円配当(配当性向114.1%)を予想しています。
 

*参考記事① 2024-01-18 1,008円 NT

【3222】U.S.M.H/郊外型のカスミの客離れが顕著、新中計は早くも目標過大感が漂う。

 

*参考記事② 2023-06-27   1,110円 NT

【3222】U.S.M.H/立川地盤の中堅同業のいなげや買収を公表、売上高1兆円が射程圏に。

 

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