【3222】U.S.M.H/郊外型のカスミの客離れが顕著、新中計は早くも目標過大感が漂う。 | なちゅの市川綜合研究所

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【3222】 ユナイテッド・スーパーマーケット・ホールディングス(東証プライム)  NT

現在値 1,008円/100株  P/E 184.9  P/B 0.87  2月配当優待 8月配当優待

イオン系。首都圏で展開する食品スーパー大手。傘下にマルエツ、カスミ、マックスバリュ。
配当金は2月末・8月末の合計16円配当のため、配当利回りは1.59%となります。

ユナイテッド・スーパーマーケット・ホールディングスは株主優待制度を実施しており、2月末・8月末時点で単元株を保有する株主に対して3千円相当の買い物割引券等を年2回進呈しておりますので、配当優待利回りは約7.53%となります。

業績をチェックしていきます。

■2021年2月期 営業収益 7,338億円、営業利益 191億円、EPS 69.0円 

■2022年2月期 営業収益 7,164億円、営業利益 121億円、EPS 41.8円 

■2023年2月期 営業収益 7,086億円、営業利益 63.8億円、EPS 10.4円

■2024年2月期 営業収益 7,090億円、営業利益 60.0億円、EPS 5.4円 ce修正(1/10)

□2023年8月2Q 営業収益 3,526億円、営業利益 18.7億円、EPS 3.0円 

□2023年11月3Q 営業収益 5,249億円、営業利益 26.5億円、EPS 1.4円(1/10) 

2023年8月中間期の営業収益はYoY▲0.1%の3,562億円、営業利益はYoY▲15.5%の18.7億円となり、対前・対計画で減収減益となりました。値上げによる生活防衛意識の高まりや、集客効率化を図ったカスミで顕著な客離れが発生しました。予算上の全店SSSは概ね前年超で組んでいたものの、マルエツは105.0%→102.2%、カスミ99.9%→94.3%、MV関東101.7%→103.5%と軒並み計画を下回りました。なお出退店については、出店2・閉店1の純減1となり、総店舗数は530店となりました。


なお2024年2月期の通期見通しは3Q時点で減額しており、営業収益はYoY+0.0%の7,090億円(期予:7,338億円)、営業利益はYoY▲6.0%の60.0億円(期予:92.0億円)に修正しています。12月分まで既開示の月次によれば、来店頻度のや買い上げ点数が継続しており、特に郊外型のカスミの客離れが更に深刻化しています。利益面についても、再集客販促や省力化のためのDX投資と償却負担が重く、一転して減益見込みとなります。なお出退店は、店舗改装等の既存店投資(45億円)が中心となることから、純増で5店程を見込んでいます。

 

当社は2026年2月期を最終年度とする3年中計で、売上高を7,086億円→7,500億円、営業利益を63.8億円→220億円と鋭角的に回復させる計画ですが、足許の消費者センチメントが急速に悪化していることから既に目標過大な印象です。向こう3年間の投資額は年250億円を見込んでおり、出店・活性化・DX化・その他営繕等に概ね均等に投資します。特に成長の核となる新規出店については、年3千坪程度の売り場面積拡大により年70億円~100億円のトップライン伸長を目標としています。

 

今次中計での主な取組事項は①店舗収益改善、②店舗外収益拡大、③他領域拡大、④デジタル改革、の3軸を掲げています。①は品揃・棚割・PBといった所謂MD改革のほか、商品開発や産地開発・仕入先開発による差別化を図るほか、➁ではネットスーパー等のOMOや無人店、移動スーパーの導入で店舗外収益の獲得を拡大します。③は“Scan&Go”に代表される店舗DXツールIgnicaのアイテム知財外販により、営業利益10~15%の高採算事業として育成する目論見です。

 

なお昨年より親会社のイオングループがSM事業の再編を実施しています。年末にイオンが立川を地場とする中堅スーパーのいなげや(8182)をTOBで51%持分の連結子会社化しており、今秋の再々編により当社がいなげやを完全子会社化する予定です。本件取組により、当社グループ単独で売上高1兆円が射程に入り、スケールメリットが期待されるものの、相当程度の財務的負担が見込まれます。他方、株主還元については、減額修正でタコ配となるものの、特別配当の2円を剥落させた年16円の配当予想を据え置いています。


*参考記事① 2023-06-27   1,110円 NT

【3222】U.S.M.H/立川地盤の中堅同業のいなげや買収を公表、売上高1兆円が射程圏に。

 

*参考記事② 2022-07-22 1,227円 NT

【3222】U.S.M.H/食品高騰や光熱費上昇の織り込みが甘く、増額後中計の過大感が強い印象。

 

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