【3222】U.S.M.H/食品高騰や光熱費上昇の織り込みが甘く、増額後中計の過大感が強い印象。 | なちゅの市川綜合研究所

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【3222】 ユナイテッド・スーパーマーケット・ホールディングス(東証プライム)  NT

現在値 1,127円/100株  P/E 24.1  P/B 0.96  2月配当優待 8月配当優待

イオン系。首都圏で展開する食品スーパー大手。傘下にマルエツ、カスミ、マックスバリュ。
配当金は2月末・8月末の合計18円配当のため、配当利回りは1.60%となります。

ユナイテッド・スーパーマーケット・ホールディングスは株主優待制度を実施しており、2月末・8月末時点で単元株を保有する株主に対して3千円相当の買い物割引券等を年2回進呈しておりますので、配当優待利回りは約6.92%となります。

業績をチェックしていきます。

■2020年2月期 売上高 6,916億円、営業利益 93.5億円、EPS 12.8円  

■2021年2月期 売上高 7,338億円、営業利益 191億円、EPS 69.0円 

■2022年2月期 売上高 7,164億円、営業利益 121億円、EPS 41.8円 

■2023年2月期 売上高 7,210億円、営業利益 150億円、EPS 46.7円 ce
□2022年5月1Q 売上高 1,735億円、営業利益 7.5億円、EPS 1.8円(7/5) 

□2022年8月2Q 売上高 3,640億円、営業利益 60.0億円、EPS 24.9円 四e 

2022年2月期の売上高はYoY▲2.4%の7,164億円、営業利益はYoY▲35.4%の121億円となり、対前・対予算で減収減益となりました。予算前提の通期SSS前提は全店98.9%(マルエツ98.9%、カスミ99.3%、MV関東96.9%)でしたが、“巣ごもり”需要の一服や肉・野菜の急騰により、実績の全店SSSは97.6%となりました。郊外中心のカスミが改装効果等で比較的健闘した一方、都心店や都心型小型店が多く、人流の回復が弱かったマルエツが低調に推移しました。出退店については、出店8・閉店5の純増3となり、総店舗数は521店となりました。


進行期である2023年2月期の予算については、売上高がYoY+1.1%の7,210億円、営業利益がYoY+23.4%の150億円を見込んでいます。通期SSS前提は全店99.9%(マルエツ100%、カスミ99.4%、MV関東101.8%)でセットしていますが、4ヶ月分累計月次によれば97.6%で推移しており、ビハインドしています。利益面は、セルフレジ導入割合増による経費減やMD変更により採算性良化を見込むものの、仕入原価や光熱費上昇影響が大きく、2桁増益予算は過大感のある印象です。出退店は、通期で10店の出店を見込むほか、活性化投資に50億円を投じて積極的な店舗改装を継続します。

 

進行期は3年中計の最終年度であり、この2023年2月期迄に売上高を6,916億円→7,390億円、営業利益93.5億円→130億円に引き上げる計画ですが、途中の実勢反映で売上高7,450億円&営業利益150億円に増額した経緯があります。と同時に、長計の“置きの数字”である2025年2月期の目標額も、売上高8,430億円&営業利益295億円に増額していますが、足許の食料品価格の高騰や水道光熱費上昇や“値上げ”による消費者センチメントの一段の悪化をほぼ織り込んでいないとみられます。そのため、中計・長計ともに過大感が強く、進行期の予算自体は中計に計数をサヤ寄せさせているものの、未達公算が極めて高いものと解されます。

 

本中計の取組事項については、既存事業の成長が限定的であることから、①コスト改革、②フォーマット改革、③ワークスタイル改革、④デジタル改革、の4軸で体制の再構築による収益力の改善を図ります。①は本部から個店への業務移管により直間比率を引き下げる一方、各事業会社から本部機能を巻き取って持株会社に寄せるといったコスト削減により、3年で▲28億円のコスト削減を図ります。②は店舗改装の積極化(店舗数の1割目途)、④は「Scan&GO」や「Self POS」に代表されるセルフレジ等であり、形を変えた①のコスト削減となります。また、これらシステムの開発・運用する傘下のDX会社のイグニカは、イオン九州など広域イオングループにも外販を進めています。

 

財務状況については、自己資本比率は54.0%かつネット無借金状態で高位安定状態が継続しています。そのため、株主還元については、終わった期こそ巡行水準比2円減配の年16円としたものの、はや復元させて年18円(配当性向38.5%)に増配する方針となっています。

 

その他の投資論点として、引き続きイオン本体による完全子会社化が想定されますが、当社は筆頭株主がイオンの中間持株会社である「イオンマーケットインベストメント」であり、同社持分の28.2%を丸紅が保有していることから、同社持分の引き取りや中間持株会社のままでの2社共同買収等の様々なオプションが想定されるため簡単ではありません。また、イオンは他にも資本関係を整理すべき上場子会社が非常に多いことから、当社については劣後する公算が高いとみています。

 

*参考記事① 2021-12-09  1,038円 OP

【3222】U.S.M.H/巣ごもり特需一巡ではや反落、DX等の積極投資で償却負担重い。

 

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