【8233】髙島屋(東証プライム) NT
現在値 1,391円 P/E 23.1 P/B 0.57 2月配当優待 8月配当優待
東京、大阪など全国展開する老舗百貨店。シンガポールSC店と東神開発寄与大。
配当金は2月末・8月末の年2回で合計24円で、配当利回りは1.73%となります。
髙島屋は株主優待制度を実施しており、単元株を保有する2月末・8月末の株主に対して、10%割引優待カードを進呈しております。このカードの持参により、有料催事が3人まで無料となるため、仮に入場料1,000円の催事に、2人で年1回行った場合を想定した場合における配当優待利回りは、およそ約3.16%となります。
業績を確認していきます。当社は2023年2月期より新収益認識基準に移行しています。
■2020年2月期 売上高 9,190億円、営業利益 255億円 EPS 93円
■2021年2月期 売上高 6,809億円、営業利益▲134億円 EPS▲203円
■2022年2月期 売上高 7,611億円、営業利益 41億円 EPS 32円(4/11)
■2023年2月期 売上高 4,315億円、営業利益 175億円 EPS 60円 ce 新収益
□2022年5月1Q 売上高 1,013億円、営業利益 66億円 EPS 32円(6/30) 新収益
□2022年8月2Q 売上高 2,080億円、営業利益 70億円 EPS 33円 ce 新収益
2022年2月期の売上高はYoY+11.9%の7,611億円、営業利益はYoY+175億円の41億円で着地し、中間の減額見通し比で若干未達ながらも、コスト削減効果により大幅増益となりました。全面休館や時短営業で前年ハードルが低かったものの、新型肺炎禍の拡大・収束の繰り返しや、衣料品が伸び悩んだほか、外商・富裕層以外の中間層が低調でした。店舗別では横浜・新宿がYoY2割増、大阪(難波)、京都、玉川が同1割超となった一方、日本橋は同1桁台の戻りとなりました。海外はベトナムを除く旗艦のシンガポール(SG)、上海、タイ王国ともに軒並み増収増益となり、SC運営の東神開発もテナントの減賃一巡で反発しました。
進行期である2023年2月期は新収益基準移行影響で単純比較出来ないものの、売上高はYoY▲43.3%の4,315億円(旧基準:8,315億円)、営業利益はYoY*4.2倍の175億円を見込んでいます。予算前提の国内百貨店売上高はYoY+8.4%で計画しており、既開示の1Qによれば、特選・宝飾が好調な外商等の富裕層がYoY+30%と新型肺炎禍前を上回って推移しており、立川店の百貨店区画営業終了影響を飲み込んでおり、概ね計画線推移が確認されます。また、SCの東神開発も続伸、海外も新型肺炎禍の感染再拡大影響のある上海除きで続伸、かつ円安効果で数字が大きく出ています。
当社は翌2024年2月期までを緊急期間として位置付け、2020年3月期比で合計▲216億円のコスト削減を目標としていましたが、初年度・2年度目で合計▲200億円程の削減を済ませたため、既に利益が出やすい“筋肉質”な企業体に変貌しています。ロール後の3年中計では、翌2024年2月期に(旧基準)売上高8,500億円・営業利益300億円を目標としており、利益面については上述のコスト削減効果のフル寄与が見込まれるものの、計数前提上は国内百貨店のインバウンドの戻りを最大3割で見ているため(逆に3割弱は戻らないと未達)、達成可視性は高くない状況です。
他方、中計3年間での総投資額は1,400億円を見込んでおり、東神開発を中心とする国内外の商業開発に900億を投じる計画です。としているほか、東神開発の日本橋三丁目スクエア、流山FLAPS、S・C ANNEX2(いずれも既に開業済)といった新規稼働物件の寄与を見込んでいます。また、注力中の金融業はSBIとの提携によりOEM方式の“ネオバンク“を導入して顧客富裕層の運用需要の取り込みを図るほか、ECにも投資をおこない、最終年度の売上高を323億円→500億円に引き上げる計画です。
海外事業は、ハノイ北西に位置する都市開発PJ「スターレイク」でA地区・B地区の土地所有権の取得と、学校運営事業への出資(持分25%)を済ませており、2021年に開校させています。今後は商業・オフィス・住宅の複合開発の「ランカスター・ルミネール」、2024年には「スターレイクⅠ期」の開業を予定しており、Ⅰ期・Ⅱ期に合計202億円を投じ、巡行時に年17.2億円程(30年平均)の営業利益貢献を見込みます。
財務状況については、2018年12月に600億円のユーロCBを発行しており、行使価格が@2,180円のため全部負債で認識されるものの、足許の自己資本比率はIFRS16号反映により“見えがかり”上の悪化分を反映してなお35%と十分な水準を確保しています。配当予想は据置となる年24円が公表されており、進行中の中計3年間は下限として据え置かれる見通しです。
*参考記事① 2021-12-28 1,036円 NT
【8233】髙島屋/東神開発の減賃一巡とコスト削減で浮上も、トップラインの戻り鈍い。
*参考記事② 2020-12-30 846円 NT
【8233】髙島屋/3Qまで想定超も上方見送り、冬ボーナス満額近く財務も余裕残しか。
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